魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師──   作:六道 天膳

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こちらはサイドストーリになります。
サイドストーリーに関しては一人称視点も加えながら進めていきたいと思います。
キャラの口調がおかしい?こまけぇこたぁいいんだよ
宜しくお願いします


第9話「サイドストーリー なのは編その1」

12月4日 早朝。

フェイト達が海鳴市に引越してきた翌日のことである。

 

 

「ふぁぁ~……ねむい。」

 

 

今、トウカは桜台に向かっている。

今朝は早くに起きすぎてしまったというのもあるのだが、暇さえあれば最初に目覚めた桜台まで散歩に来るのが習慣になっていた。

もちろんここに来たところでなにがあるわけでもないが、桜台は景色が良く散歩にはちょうどいいのでトウカのお気に入りのスポットのひとつになっている。

 

 

のんびりトウカが歩いていると微かだが魔力の反応があることに気がついた。

 

 

(ん?この魔力の感じは……なのはかな?リンカーコアがかなり消耗してるから魔法の使用を控えてるってクロノが言ってたはずだけど・・・)

 

 

そんなことを考えつつ、トウカはなのはがいるのであろう場所まで歩みを進めた。

 

 

 

 

 

◆なのはサイド◆

 

 

 

 

 

「リリカルマジカル」

 

 

私はそう呟き、両手に魔力を集中させ、魔力で作り出した光を見つめる。

しかし、その光には力が無く、すぐに消えてしまった。

 

 

「やっぱりまだダメかぁ……」

 

 

あの日からまだ2日しか経っていないから仕方ないけれど、やっぱり少し落ち込んでしまう。

 

私は近くのベンチに座って空を見上げる。

 

今の私の側には今まで一緒に過ごしてきたパートナーであるレイジングハートがいない。

出会ってからまだ一年も経っていないけれどずっと私の側にいてくれたパートナー。

クロノ君はすぐに治ると言っていたけれど、たった数日一緒にいないだけでこんなにも寂しいとは思わなかった。

あの日に傷ついたのはレイジングハートだけじゃなくフェイトちゃん達も傷つけてしまった。

 

 

すべては私の力不足のせい。

 

 

「はぁ~……」

 

 

そのことを考え、余計に落ち込んでしまっていたその時だった。

 

 

「だーれだ。」

 

 

突然、目の前が真っ暗になったのだ。

 

 

「え、えぇ!!だ、誰ですか!?」

 

 

突然の出来事にびっくりしてしまったが、両目が手で塞がれていることにすぐに気がついた。

そしてこの声にも聞き覚えがあった。

 

 

「も、もしかしてトウカさんですか!?」

「あったり~」

 

 

両目を塞がれている状態から開放され振り返ると、そこにはニコニコ笑っているトウカさんがいた。

 

 

「おはよう、なのは。」

「お、おはようございます……」

 

 

目の前にいる髪の長い男の人はトウカさん。

記憶喪失らしく、今は記憶を取り戻すために努力しながらリンディさん達に協力している。

まだ出会って数日しか経っていし、話もゆっくりはしたことは無いけど、とても優しい人というのが私の印象だった。

飄々としてて雲みたいに掴みどころがない人だけど、決して悪い人では無く、むしろ安心にさせてくれるような不思議な人。

最初は年上の男の人だからかと思ったけど、年上のクロノ君やお兄ちゃんとは違う雰囲気の人だ。

 

 

「トウカさんなんでここに?」

「ん?散歩に来たらなのはの魔力を感じてね。でもまだ本調子じゃないみたいだけど大丈夫?それに、深刻そうな顔してたけど悩み事?」

「そうなんです……」

「なるほどね……じゃあ悩んでたことを当ててあげよう!たぶんフェイトやレイジングハートのことでしょ?」

「え!?」

 

 

なんと、私が今まさに悩んでいたことをトウカさんはあっさり言い当ててきた。

 

 

「あんなことがあった直後だし、自分の力不足のせいで、とか思ってたんじゃないかなって思ったけど……当たってる?。」

「……そうです。なんでわかったんですか?」

 

 

何から何までトウカさんにはお見通しだった。

しかも私の力不足と思っているところまでもだ。

あまりにも正確に言い当てられたので私はトウカさんが人の心を見通す魔法でもっているんじゃないかと思ってしまった。

 

 

「なんでって……なのはは優しい子だし、悩んでるとすれば自分の事よりも周りの人たちを優先して考えてそうだからね。」

 

 

そういってトウカさんは微笑むと私の頭を優しく撫でてくれた。

 

 

「あっ!うぅ……」

 

 

突然頭を撫でられたせいで、今の私の顔は真っ赤になっているかもしれない。

けれど、トウカさんの手は暖かく、悩んでいた私の心をゆっくりと落ち着かせてくれた。

 

 

 

 

 

◆トウカサイド◆

 

 

 

 

 

本当に子供らしくない。俺はなのはの頭を撫でながらそう考えていた。

子供らしくないといっても別に悪い意味で思っているわけではない。

これくらいの年頃の女の子であればもっと自分のことを考えているものだと思うが、なのはだけでなくフェイトもだがどうも彼女達は優しすぎていると俺は感じていた。

 

 

「さて、俺はそろそろ帰るけどなのははどうする?」

「あ、じゃあ私も帰ります。」

 

 

こうして俺となのはは帰路についていたのだがその道中のこと。

ふと、なのはからこんな話題が出た。

 

 

「そういえばお父さんお母さんがまたうちに遊びに来てって言ってましたよ。二人ともトウカさんのこと気に入っちゃってるみたいなんですよ。」

「ふむ……じゃあいつにしようかな。」

 

 

そういえば最初に会った時の別れ際にそんなことを行っていた気がする。

あの夫婦のことだ。いつ行っても歓迎してくれるだろうけれど。

と、いつにしようか考えていたら

 

 

「じゃ、じゃあ今日早速私の家に来ませんか?」

「え?いいのかい?でも今日休日だし、忙しいだろうしなぁ……」

 

 

しかも、昨日行ったばかりなので、続けてお邪魔するのも悪いような気がする。

しかも今日は日曜日というこの世界での世間一般で言えば休日なのでお店のほうも忙しいような気がする。

俺は緊急事態にならなければ、普段は本を読んだり散歩したりして過ごすつもりなので、平日の忙しくない時間帯に適当に顔出せばいいだろうし。

 

 

「お昼過ぎだったら大丈夫です!ぜひ来てください!」

「お、おう……そうか。」

 

 

と、俺がどうしようかと色々と考えていたが、一方のなのははやたらと必死に俺の事を呼ぼうとしている。

というか何故そんなに必死に呼ぼうとしているのかさっぱりなのだが。

 

 

「な、なら今日お邪魔しようかな。時間は14時くらいでいいかな?」

「はい!やったぁ!!」

 

 

何故かオーバーリアクションで喜んでいるなのは。

そんなに嬉しがることなのだろか?

俺としては、お店の邪魔にならないのであれば断る理由はない話だ。

 

 

そんなこんなで俺は今日なのはの両親のお店に遊びに行くことになった。

 

 

そしてまさかあんなことになるとはこの時、トウカには知る由も無かった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

14時頃。

俺は翠屋に到着した。

店内をチラッと覗いて見たが、時間もお昼を過ぎたからか、ちらほらとお客さんがいる程度。

 

 

「こんにちは~」

 

 

と、俺は扉を開けながら挨拶をする。

店に入ると相変わらず夫婦二人が仲睦まじく働いていた。

しかもなのはもお店の手伝いをしているらしく、エプロンをつけてカウンターの食器を片付けていた。

 

 

「あらトウカさんいらっしゃい。来てくれてうれしいわ。」

「よくきてくれたねトウカさん。」

「あ!トウカさんいらっしゃいませ。」

 

 

俺が店内にはいると早速、親子三人が出迎えてくれた。

ふむ、コレが所謂幸せな家庭というものなのだろう。

俺もこんな親がいて、こんな暖かい家庭だったろうか。

まぁ今は記憶ないからいくら考えてもわかるわけないし、今は興味も無いのだが。

 

 

「こんにちわ士郎さん。桃子さん。なのははお店のお手伝いして待っててくれたのか?偉いな。」

「えへへ……ありがとうございます。あ、そうだ。お兄ちゃんを紹介しますね!お兄ちゃーん!この間話してたトウカさんが来たよ~!」

 

 

なのはがキッチンのほうに声をかけると、ひょっこりと俺と同じくらいの年齢の男の人がキッチンからでてきた。

っていうか、お兄ちゃんってなのはに兄がいたのか。初めて知った。

第一印象としては、見た目は父の士郎さんに似ているが、雰囲気がクールというか落ち着いているという印象だ。

 

 

「始めまして。なのはの兄の恭也です。先日は母を助けていただきありがとうございました。」

「いえ、大したことではないですよ。」

 

 

挨拶を済ませると恭也が手を出して握手を求めてきたので俺は応じた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「へぇ、恭也さんは大学生なのか。」

「恭也でいいです。」

「じゃあ俺もトウカって呼んでくれ、敬語も無しで。同じ年ぐらいだし。」

 

 

現在、俺たち三人は店内のテーブル席で話をしていた。

なのはと恭也は元々俺が来るまでの手伝いだったらしく、一緒にこの店自慢という珈琲とケーキを食べてながら話しているというわけなのだが。

というか昨日気づいたことなのだが、この翠屋はお菓子と珈琲のお店である。

前に来たときはこの世界の文字を読むことが出来なかったので気づかなかったが、メニューにも飲み物と洋菓子メインであの時出てきた料理の数々はメニューに書かれていない。

 

ならば最初に来たときに出てきたあの料理の数々は一体なんだったのだろうか。

 

サラダやサンドイッチは一応書かれているが、パスタやハンバーグは当然書かれていない。

いやそもそもお菓子と珈琲のお店でなんであんな大量の料理の材料があったのだろうか。

 

うむ、あまり深いことは考えないでおくか。

 

 

「ところで、トウカは何か武術の心得でもあるのか?」

「うーん……まぁ一応あるけど、何でそう思ったんだ?」

「母さんから話を聞いたのもあるんだけど、さっき握手したときになんとなくそう感じたんだ。うちは御神流という剣術の流派でね。武術に心得がある人間がなんとなくわかるんだ。」

「御神流?」

 

 

詳しく聞くと高町家、正確にはその父である高町士郎は永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術という剣術の正当後継者らしい。

恭也もまたその御神流を受け継いでいるらしく、鍛錬を続けているとの事らしい。

この間の不良達は以前に一度だけ士郎がいる時に暴れそうになったことがあるそうだが、士郎にあっという間に鎮圧されたらしい。

なるほど、通りであの時の不良達は士郎がいない時に狙ってきたのか。

 

 

「へーそんななのはの家ってそんなすごい家だったんだね。」

「あはは……わたしはお兄ちゃんとかおねえちゃんみたいにすごくないんだけどね。」

「そんなことないよ。なのははがんばってるさ。」

「あ……ありがとうございます。」

 

 

そう言ってなのはは再び顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

……褒められ慣れてないのだろうか?

 

とはいえ、なのはは謙虚だが、すごさは俺自身がよく知っている。

俺はふと、最初に目覚めた朝に見たなのはの練習風景を思い出した。

今思い返しても集中力と努力量は明らかに普通ではない。

なのはの魔法の修練に対するストイックさはすさまじいものである。魔道師になって半年ぐらいらしいが、それにしては明らかに強い。

元々魔道師としての才能があるのだろうけれど、努力し続けることは決して簡単ではない。これには一種の才能が必要だ。

剣術の達人の士郎や日ごろからの鍛錬しているらしい恭也の影響を多少は受けているのかもしれないが、この努力し続けていることがなのはの強さの理由の一つなのだろう。

 

そんなことを色々と考えていたらおもむろに恭也がとんでもないことを提案してきた。

 

 

「そうだ。トウカさんよかったら俺と一度手合わせしないか?」

「……へ?なんでまた?」

「俺は鍛錬こそしているものの、今まで自分の家族以外の人間と手合わせしたことないんだ。だからどうだろう?」

 

 

あまりにも唐突過ぎて一瞬固まってしまった。

あの不良達といい、クロノといい、恭也といい、なんでこんなに血の気が多いんだろうか。

俺は戦うとかそんなめんどくさいことは出来る限りしたくない。

最初の不良たちは桃子さんを助けるため、次のクロノは強制。

今まで二回戦ってきたのは一応理由があったからこそ戦った。

 

しかし!今回は違う!

 

そもそも今日来たのはなのはに呼ばれ、桃子さんや士郎さんに挨拶しに来たのだ!

今回は断る理由はいくらでもある。

 

「いや……今日はなのはと遊ぶ予定だったし……な?なのh「トウカさんとおにいちゃん試合するの見てみたいです!!」

 

 

と、興奮しつつ、目をキラキラさせているなのは。

あ、この展開はあかん。

そして更に追い討ちをかけるように。

 

 

「おや?恭也とトウカさん試合するのかい?私も興味あるな。」

「あら、じゃあお店のほうは私にまかせて士郎さんは二人の手合わせ見に行ってきてください。」

 

 

と、キッチンのほうにも今の話が聞こえたのか、士郎と桃子も反応してきた。

 

 

「じゃあさっそく家の道場にいくか。」

「わーい!トウカさん早く行きましょ!」

「……ソ、ソウダナー」

 

 

俺はあきらめた。

 

 

 




再び間が空いてしまいましたね。すみません。
仕事がどうも忙しくてなかなか書く時間がとりにくい日々が続いております。
とはいえどんなに忙しくても書き続けるつもりですので今後ともよろしくおねがいします(なんか前にもこんなことを書いていたような気がする。)

さて今回から少しだけサイドストーリに入ります。
なのはだけでなく、フェイトやはやてのサイドもできれば作りたいと思っております。

ではまた次回もよろしくおねがいします。
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