魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師──   作:六道 天膳

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第14話「サブストーリーフェイト編2」

 

「さて、欲しいものは手に入ったし早く帰って料理の準備しなくちゃな。」

 

 

スーパーでの買い物を済ませ、両手にビニール袋を提げながらトウカは帰路についていた。

あの後、はやてと少しだけスーパーで何にするか考えていたがトウカが料理をしたことがないことを考慮し、お手軽かつ季節的に今晩の料理は鍋にすることになった。

 

 

「いやーはやてにはすごく助けてもらっちゃったな。また今度ちゃんとお礼しないと。」

 

 

しかもはやてに鍋の作り方をメモに書いてもらったので作り方がわからなくなってしまうこともないだろう。

そんなこんなでトウカはハラオウン家に到着。

 

 

「ただいまー」

 

 

……

 

 

返事が無い。

家中を探してみたがふどこにもいない。最後にフェイトの部屋の扉をノックするが反応無し。

 

 

「まさかフェイト……俺と夕食を食べるのが嫌で家出しちゃった?」

『そんなわけないでしょう、この部屋の中に生体反応があるのでいるはずですが。』

 

 

ヘイムダルに言われ部屋をこっそり開けるとフェイトが制服のままベットの上で寝ていた。

 

 

「あらら、寝ちゃってたのか……ふむ、なら今の内に晩御飯作るか、料理ができる30分前に起こせば大丈夫だろう。」

 

 

制服のままなので制服にシワができないかが気がかりだが、ちゃんと毛布を被って寝ているので風邪を引くことはないだろう。

なのでこのままトウカは料理に取り掛かることにした。

キッチンに立ちトウカはテーブルに食材を並べる。ちなみに並べられている食材は。

 

豚挽き肉、れんこん、木綿豆腐、ねぎ、白菜、にんじん、きのこ、大根。

 

鍋料理としては至って普通の食材達だった。

 

 

「フッフッフ……さて始めようか!フェイト喜んでくれるかな~♪」

『テンション高いのはいいのですが、傍から見ると気持ち悪いです。』

 

 

相変わらずマスターに冷たいヘイムダルだったが、今のトウカにはその言葉は聞こえていなかった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「う、う~ん……あれ、いつの間にか寝ちゃった。」

 

 

フェイトが起き上がり時計を見ると時間は7時を回っていた。

制服のまま寝てしまったことに気づいたが、幸い制服にシワが入っていなかった事を確認して部屋着に着替える。

 

 

「あれ?いい匂い……」

 

 

着替えている途中、キッチンのほうからいい匂いが漂ってきた。

そういえば今日はクロノが遅くまで帰ってこないのでトウカが夕食を作ると言っていたことをフェイトは思いだした。

着替え終わったフェイトがキッチンに向かうとキッチンにはトウカが立っていた。

 

 

「あれ?フェイト起きたのか、ちょうど起こしに行こうと思ってたところなんだ。もうちょっとで出来上がるからリビングで少し待っててね。今ちょっと面白い鍋作ってるから。」

「は、はい……」

 

 

ちょっと面白い鍋とはなんだろうかとフェイトは疑問だったが、トウカに言われるままリビングでしばらく待っているとテキパキとトウカは準備をしていく。

そして最後にトウカは土鍋をフェイトの目の前に置いた。

 

 

「さぁ出来上がったぞ。召し上がれ。」

 

 

目の前に置かれた鍋の見る。色とりどりの野菜や豆腐、肉団子が入っているとてもシンプルな鍋だった。しかし、トウカが言っていた”ちょっと面白い鍋”というところは見当たらない。

 

 

「いただきます。」

 

 

まずは鍋のつゆを少し飲む。しょうゆベースのシンプルながら野菜の旨味が溶けていて、とても上品な味わいだった。

次に野菜を口に入れる。白菜はいい塩梅につゆが染みている、にんじんや白菜の芯等硬い野菜も時間を考えて入れられたのか硬すぎず、かといって煮崩れしない程度にちょうどいい柔らかさになっている。ねぎやきのこも入ってるがそれらもとても美味しかった。

この時点でも鍋料理としては十分すぎるほどの美味しさであるがやはり特別な点はない。

ではこの肉団子にあるのだろうかと、フェイトは肉団子を口に入れる。

 

 

「……!」

 

 

その瞬間フェイトは驚いた。

まず肉の旨味がフェイトを出迎えた。そして次にコリコリとした食感。

そして何よりも驚いたのが少しピリリと辛味と柑橘系のさわやかな香りが鼻を通り抜けた。

 

 

「この食感はレンコンですか……?でもこの辛さと香りは?」

「そう、刻んだれんこんを入れてみたんだ。そして辛さと香りの正体は……これだ。」

 

 

トウカは緑色のペースト状の物が入った小瓶をフェイトの前に置いた。そこには柚子胡椒と書かれている。

 

 

「冷蔵庫の中で見つけて試しに少しだけ練りこんでみたんだけどどうだったかな?辛すぎなかった?」

「全然大丈夫です。むしろとっても美味しいです。」

「そっかそれならよかった。でもね、実はこれで完成じゃないんだ。」

「え?」

 

 

そう言ってトウカは再びキッチンに戻っていく。

戻ってきたかと思ったらトウカの手には大量の白い物が山盛りに乗っている皿を持ってきた。

 

 

お気づきだろうか、トウカが買ってきた食材の中に登場していない食材があることを。

 

 

「それは……?」

「フフフ……コレを鍋に入れることでこの鍋は完成する……!」

 

 

 

それは大根。

 

 

トウカが手に持っているのは大量の大根おろしだった。なんとトウカはその大根おろしをそのまま鍋の投入したのだ。

 

 

みぞれ鍋。

 

 

大量の大根おろしを鍋に用いる鍋料理の一種である。

その大根おろしが雪のように見えることから雪鍋、あわ雪鍋とも呼ばれることもある。

この料理を教えてくれたはやて曰く、おろした大根をそのまま火にかけてしまうと凄まじい匂いが部屋中に充満するので一旦絞ってから水にさらし、そして再び絞ったものを事前に用意していたのだ。

そして、大根に含まれている酵素は加熱に弱く、ビタミンが破壊されてしまうため、あえて後から入れたのである。

 

 

「そして、このポン酢をお好みでかけて召し上がれ。」

 

 

そしてフェイトは先ほどと同じように肉団子と野菜と器によそい、鍋の中にある大根おろしを上に載せ最後にポン酢を少しかける。

 

 

「美味しい……!」

 

 

肉団子を口に入れた瞬間、フェイトは更なる衝撃を受けた。大根おろしと肉団子が非常にマッチしているのだ。

最初は大根おろしを鍋に入れてしまうことで鍋が冷めてしまうのではないかと思ったが、むしろ食べやすいくらいに程よい熱さになっている。

大根自体に本来ならば辛味があるはずなのだが、大根は冬になり甘みが増し、更に熱を加えられたことにより辛味はほとんど感じられない。

フェイトはひたすら黙々とお鍋を突いている。

 

 

「気に入ってくれたかな?」

「はい……!とっても美味しいです。」

「そっかそれならよかったよ。じゃあ俺も食べだそうかな。」

 

 

それからトウカはフェイトに肉団子の作り方やほかにはどんな料理を作れるのか等色んな話をしながら食べていると、食事はあっという間に無くなってしまった。

 

 

「もう食べ終わっちゃいましたね。でもお鍋の中のスープが少しもったいないですね。」

「それなら大丈夫。それ使って明日の朝食に雑炊を作ってあげるから。」

「ぞう……すい……?」

「そっか、フェイトもあまりこの世界の料理を知らないんだっけ。俺も今日知ったんだけど、このお鍋の中にご飯とか醤油を入れておかゆみたいに食べるとおいしいらしくてね。疲れてるときとかにもいいらしいから、リンディさん達ももうすぐ帰ってくるだろうし一応用意するつもりだったんだ。」

「そうだったんですね……!雑炊楽しみです!」

 

 

それを聴いた瞬間フェイトの目が輝いていた。なんとわかりやすい娘なのだろう。

というか、トウカはいつの間にかフェイトが自然に自分と話していることに気がついた。

話しているときの表情も柔らかい。フェイトがこのことに自分で気づいているのかはわからないが、少しは距離が縮まったのだろうと、少しトウカは安心していた。

トウカとフェイトはそれからリンディ達が帰ってくるまでゆっくりリビングで色んな話をしながらのんびりとした時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 




あけましておめでとうございます。
年末年始は仕事のほうが忙しくてなかなか投稿できませんでした。
相変わらずのんびり投稿ですが、今年もよろしくお願いします。
というわけで今回がサブストーリーフェイト編終了です。
ちなみに料理の描写は初めてだったのですがどうでしたでしょうか?
やってみたものの結構難しくてかなり四苦八苦しましたw

では次回もよろしくお願いします。
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