魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師──   作:六道 天膳

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第17話「破壊の雷 」

現在、海鳴市には巨大な強装結界が張られている。

巨大で強固な結界は並みの術者では簡単に破壊することができないだろう。

そんな結界内で新しくデバイスを手にしたなのは達とヴィータ達が対峙していた。

この状況を一言で表すならば一触即発といえる状況。

 

 

「私達はあなた達と戦いに来たわけじゃない、まずは話を聞かせて。」

「闇の書の完成を目指している理由を……」

 

 

そんな状況でなんとか説得を試みるなのは達だが、そんなことを今更ヴィータ達に言ったところで無駄なこと。

 

 

「あのさぁ……ベルカのことわざにこういうのがあんだよ……”和平の使者なら槍は持たない。”」

 

 

初めて聞くというか、なのは達が知っているはずもない諺に首をかしげるなのはとフェイト。

 

 

「話し合いをしようってのに武器を持ってやってくるヤツがいるかバカ!って意味だよ。バーカ!」

「な!?い、いきなり有無を言わさずに襲い掛かってきた娘がそれを言う?!」

 

 

なのはの言い分もごもっともである。

 

 

「それにそれはことわざではなく、小話のオチだ。」

 

 

そしてザフィーラから冷静かつ的確にツッコミが入る。

 

 

「うっせ!いいんだよ。細かいことは。」

 

 

────その直後。

 

突然、激しい雷鳴が結界内に鳴り響き、なのは達の会話を遮るように紫色の雷光がビルに落ちた。

そして、雷が落ちたそのビルには一つの人影がいた。

凛々しい顔立ちと美しい髪はまさに紅蓮の炎を思わせる。

ヴォルケンリッターの中で最も騎士という言葉に相応しい女性。

 

 

「……!シグナム!」

 

 

このシグナムの参入により結界内の緊張感が一気に高まる。

 

 

『ユーノ君!クロノ君!トウカさん!手出さないでね。私、あの子と一対一だから!』

 

 

────なのはたちは決心していた。

 

 

もし相手が話を聞かせてくれないのなら、戦いに勝って話を聞かしてもらうしかないと。

だからなのははヴィータと一対一で戦うことをクロノ達に伝えた。

もちろんなのはだけじゃなく、フェイトとアルフもそれぞれ一対一で戦うことを伝えた。

彼女達らしいといえば彼女達らしい判断である。

そしてそれは逆にクロノにとって好都合だった。

 

 

『ユーノ、トウカ。それならちょうどいい、僕達で闇の書の主を探すんだ。』

『闇の書の?』

『連中は持っていない。おそらく、もう一人の仲間か主かがどこかにいる。僕とトウカは結界の外を探す。ユーノは中

を……』

『わかった。』

『はいよ。』

 

 

ここに闇の書の主がいないということを知っているトウカは特に何も言わずにクロノの提案を飲んだ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

一方、一対一で戦うことを決めたなのははヴィータの後を追っていた。

 

 

「あたしが勝ったら話を聞かせてもらうよ!」

「やれるモンならやってみろ!」

 

 

ヴィータは振り向きざまに数発の鉄球を追いかけてくるなのはに向かって打ち出すが。

なのははすかさず上昇しヴィータの牽制攻撃を回避する。

 

 

「てぇぇぇぇい!!」

 

 

しかし、ヴィータは回避されるのと同時にカートリッジをロード、グラーフアイゼンはドリルへと姿を変え、すかさずなのはとの距離を縮め、全力でグラーフアイゼンを振るう。

一見単純な攻撃だが以前の戦闘でなのはのバリアを軽々と打ち砕いたほどの威力だ。

しかし、今回は前の戦いとは違う。

今のなのはには新しく生まれ変わった相棒がいる。

 

 

『Protection Powered.』

 

 

片手を突き出してなのはは正面からヴィータの攻撃を受け止めた。

そして同時になのはは驚いていた。

前の戦いで成す術もなく砕かれたバリアが完全にヴィータの攻撃を防いでいたのだから。

 

 

「堅ぇ……」

「……!ホントだ。」

『Barrier Burst.』

 

 

そして同時にレイジングハートはバリアブーストを発動しバリアを爆発させ、お互いの距離を取る。

 

 

「アクセルシューター……シュート!」

 

 

同時に放たれる十二発の光弾。

あまりの勢いになのはは一瞬驚いてはいたが、なのはは必死にコントロールしようとしていた。

明らかに速度、威力が前よりも格段に上がっている。

しかし、そんなものをいきなりに十二発も放って操るのは普通の魔導師では容易ではない。

その考えはヴィータも同じ。

ヴィータはこれだけの数を同時に操ることができないと思い、四発の鉄球をなのはに向けて放った。

 

 

「アホか、こんな大量の弾……全部制御出来る訳が……」

 

 

確かに飛躍的に大きくなった力をいきなり使いこなすのは普通の魔導師では難しい。

だが、それは”普通の魔導師”であればの話である。

なのはは毎日毎日、鍛錬を一日も欠かさずに続けてきた。

しかも魔力もセンスも非凡の才を持っている。

そのおかげか、すぐにそれらを完璧に使いこなし、放った四発の鉄球は全て迎撃され、ヴィータは驚きのあまりに目を見開いていた。

 

 

「約束だよ。私達が勝ったら事情を聞かせてもらうって!アクセル……」

 

 

同時になのはは右手を上げ、集中力を高める。

グラーフアイゼンはパンツァーヒンダネスを発動しヴィータの全方位を多面体で構成された障壁で覆った。

 

 

「シュート!!」

 

 

同時に四方八方から繰り出されるなのはのアクセルシューター。そのあまりの威力にヴィータのバリアは至るところに亀裂が入る。

 

 

なのははヴィータを完全に圧倒していた。

 

 

一方、フェイトとシグナムも激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

クロスレンジで打撃と斬撃を撃ち交し合うシグナムとフェイト。

 

バルディッシュはレヴァンティンの刃をしっかりと受けきり、新射撃魔法プラズマランサー、新近接形態ハーケンフォームで、シグナムに肉迫する。

シグナムのレヴァンティンの中距離形態、鞭状連結刃「シュランゲフォルム」にもひるむことなく互角の戦いを繰り広げるフェイトに、素直な賛辞を送るシグナム。

 

 

強さを認め合い、そして互いにそれぞれ傷を負いつつも勝負を続ける二人。

 

 

それぞれの場所で激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「おぉ……なかなか激しくやってるねぇ。」

 

 

トウカはとあるビルの屋上ででなのは達の戦闘を座りながら見ていた。

結界の外に出る際、エイミィが中の状況を確認出来るようにと結界内をモニタリングしている映像を共有して貰っていたのだ。

 

まぁ簡単に言ってしまえばサボっているのである。

 

つい先ほどまではクロノと共に結界の外で闇の書の主を探していたのだが、二人一緒に行動していては効率が悪い、ということで二手に分かれて捜索することにしていた。

……のだが、途中でトウカは探すのを止め、ビルの屋上でなのはたちの戦闘を観戦していた。

 

 

『こんなところでサボっていていいのですか?もしバレたら流石にまずいと思うのですが。』

 

 

楽しそうに戦闘を見ているトウカを半ば呆れた様子でヘイムダルは言う。

 

 

「ん~……とりあえず結界内はユーノがいるから大丈夫だろうし。アルフもいるしね。」

『ですが、残りのもう一人の騎士の姿が見当たりませんが。』

「そういえばそうだな。まぁどこにいるかは分からないけど、前の戦闘を見る限り、あの金髪の女の人はおそらくサポート専門。入ってくるんだったらシグナムと一緒に結界の中に入ってきているだろうし……たぶん外にいる可能性が高いかな。」

 

 

と、やる気がなさそうに話すトウカだったが、彼の表情は険しかった。

トウカは密かに胸騒ぎを感じていた……それヴィータとの戦いが終わった後のことだ。

なのは達のことを心配しているわけではない。

先ほどから戦闘を見ているが、なのは達の方が押しているぐらいだった。

だからなぜこんなにも胸騒ぎがする理由がわからなかった。

 

────戦いを見て不安になっているわけでもない。

 

────何かに恐怖しているわけでもない。

 

そして、この胸騒ぎと関係があるとは思えないが、ズキズキと胸の奥の痛みに襲われた。

トウカは痛みをこらえるように顔を歪め、ギュッと胸を押さえた。

 

 

『どうかしましたか?』

「大丈夫。さて……じゃあそろそろ働きましょうか。」

 

 

トウカの様子が少しおかしいことに気づいたヘイムダルが声を掛けたがトウカは答え、再び空に飛び立った。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

一方、激戦を繰り広げているなのは達とは別にもう一つの戦いが繰り広げられていた。

アルフとザフィーラである。

ここでも同じように互角の戦いを繰り広げていた。

そんな最中、ザフィーラは結界の外にいるシャマルと念話で話していた。

 

 

『状況は……あまり良くないな。シグナムやヴィータが負けるとは思わんが、ここは退くべきだろう……シャマル、何とかできるか?』

『何とかしたいけど、局員が外から結界維持しているの……あたしの魔力じゃ破れない。シグナムのファルケンかヴィータのギカント級の魔力を出せなきゃ……』

『二人とも手が離せない。やむをえん。あれを使うしか……』

『わかってるけどでも……っ!』

 

 

直後、シャマルの背中に杖が突き付けられた。

その背後には黒い杖のデバイスを構えたクロノがシャマルの背後に立っていた。

ザフィーラとの念話に集中しすぎたため、その隙がシャマルの命運を分けた。

クロノは周囲への警戒を怠らないようにしつつ、シャマルに語りかける。

 

 

「捜索指定ロストロギアの所持、使用の疑いであなたを逮捕します。抵抗しなければ、弁護の機会もあなたにはある……同意するならば武装の解除を……」

 

 

「フッ!」

 

 

それは突然だった。

クロノの側面から何者かが現れ、次の瞬間にクロノは腹部を蹴られ凄まじい勢いで吹き飛ばれ、隣のビルのフェンスに激突していた。

あまりにも一瞬の出来事だったのでクロノはその蹴りをまともに受けてしまい、腹部の痛みに苦しみながら自分を蹴った張本人を見る。

そこには白を基調とし青いラインの入った服を着ている青い髪の男がそこにいた。

 

 

「くっ……!仲間……?」

 

 

クロノは周囲の警戒を怠っていたわけではなかった。

それはクロノがシャマルの背後を取った映像を見ていたエイミィ達も同様であった。

エイミィも周囲のサーチャーを用いていたにも関わらず何の反応もしなかったことに動揺を隠しきれなかった。

 

 

「あなたは……?」

 

 

シャマルもその男のことを知らないのか何者か聞こうとしたが、それは仮面の男に遮られた。

 

 

「使え。」

「……え?」

「闇の書の力を使って結界を破壊しろ」

「でもあれは……!」

「使用して減ったページはまた増やせばいい……仲間がやられてからでは遅かろう?」

 

 

そう。闇の書は今まで回収した魔力を消費して強力な魔法を放てる。

それこそ、やろうと思えば一つの都市を軽く吹き飛ばせる程度の威力だ。

しかし、当然だが使用した魔力はまた回収しなくてはならない。

闇の書は全666ページからなる書。既に340ページ以上到達してようやく折り返しというところまできたのにここで多くの魔力を消費することに一瞬躊躇ったシャマルだったが、仲間の危機と思うとすぐに闇の書を使用すると決心した。

 

しかし。

 

 

「……っ!離れろ!」

「きゃあっ!」

 

 

突然、仮面の男はシャマルを突き飛ばす。

その直後、二人が立っていた場所に槍が突き刺さった。

 

 

「ちっ……貴様は……!」

 

 

すぐさま仮面の男は槍を投げられた方向を向く。

仮面で隠れているためその表情はわからないが、その声色は明らかに怒気を含んだ声だった。

 

 

「クロノ遅くなってすまない。大丈夫か?」

 

 

倒れているクロノの隣にトウカが降り立った。

 

 

「大丈夫、大したダメージじゃない。」

「それならよかった。それにしても、誰だあの仮面の男は。あれも騎士の一人か?」

「わからない、どうやらあの騎士も仮面の男を知らないようだ。」

「ふむ……とりあえず考えるのはそれは後回しだな。まずは捕まえて話を聞くか。」

 

 

クロノの手を取り立ち上がらせた後、トウカは仮面の男を見据える。

 

 

「行くぞクロノ!」

「あぁ!」

 

 

二人掛りで同時に仮面の男へと肉薄する。

ランサフォームは先ほど牽制の為に投げてしまったため、今のトウカの手には一番最初に展開していたグアンテスフォームで接近戦、クロノはその後方から射撃魔法でトウカを援護する。

しかし、仮面の男は相当な手練れのようで簡単にはいかない。

トウカは蹴りや殴打を駆使するが、仮面の男はそれらを軽々と捌いていく。

 

 

「一応聞いておくけど、あんた……何者だ?それにその仮面……顔を見られたらマズいのか?」

「ふんっ、そんなこと答えると思うか?それに顔を隠しているのはお互い様だろう?」

「それもそうだな。俺は特に隠している理由はないんだけどね。悪いけど通してもらうぞ。」

「そんなこと、させると思うか!」

「……して貰わないと困る……クロノ!」

 

 

トウカは連撃を止め、すぐさまに後ろに下がる。

二人の上にはクロノが杖を構えた状態で待機していた。

 

 

「ブレイズキャノン!」

 

 

閃光と共に放たれる射撃魔法。

熱量を伴う破壊魔法で普通ならば人間相手に非常に有効となる魔法なのだが。

 

 

「そんなもの!」

 

 

仮面の男はクロノのブレイズキャノンを拳で打ち消した。

 

 

「おいおいマジか。あれを拳でって……」

「流石の僕もあんなことをされたのは初めてだ……トウカ気を付けろ。」

 

 

仮面の男はトウカとクロノ二人同時に相手にしているにも関わらずシャマルの元へと行かせまいと立ち塞がる。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

二人が仮面の男に足止めをされている間にシャマルは詠唱を唱える。

 

 

「闇の書よ、守護者シャマルが命じます。眼下の敵を打ち砕く力を、今、ここに。」

 

 

すると、結界の上空は一瞬にして凄まじい暴風が吹き荒れ、真っ黒な雲が次第に集まっていき、その中心には膨大な魔力の塊が出現する。

そんな中、ゴロゴロと音を立てて、魔力によって生まれた紫色の光が雲の中を走る。

 

 

「ちっ……まずい!クロノ!ここは任せた!」

 

 

トウカは急いで結界の方へと向かおうとする。

 

 

「待てトウカ!どうするつもりだ!?」

「なのは達の所に行く!嫌な予感がする……!」

「行かせてなるものか!」

 

 

しかし、当然の如く仮面の男は回り込んでトウカの行く手を阻む。

仮面の男は急いで飛んでいるトウカの真正面から回し蹴りを繰り出す。

眼前に迫る足に対しトウカは防ぐどころか逆に向かっていく。

 

 

「退け……!」

 

 

トウカはクロノですら軽々と吹き飛ばした仮面の男の蹴りを左手で掴み取った。

 

 

「なにっ!?」

 

 

そしてそのまま、左手で取った足を自分の方へと引き寄せ、トウカは空いている右手にありったけの魔力を込めた拳で仮面の男を殴る。

それに対し仮面の男はすかさず腕をクロスさせてガードするが、

 

 

「ぐあっ!」

 

 

仮面の男はそのまま地上へと落下していった。

トウカは仮面の男など眼中に無く、振り返ることなく結界に向かう。

 

 

(間に合え……!間に合え……!)

 

 

トウカは残り少ない魔力を総動員して真っ直ぐに向かう。

 

 

そして────

 

 

「撃って、破壊の雷!」

 

 

────落ちる。

 

 

闇の書により放たれた魔力の雷が結界を襲う。

そのあまりにも凄まじい威力でトウカも吹き飛ばされそうになる。

それでもトウカは少しでも前に進もうとする。

 

 

そして、結界は破られた。

 

 

しかし。

 

 

(おかしい……何故止まらない!?結界を破壊するのが目的じゃなかったのか。)

 

 

闇の書の魔法は結界を破ったにも関わらず止まる気配は無かった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

ひたすら町を蹂躙しようとする闇の書をシャマルも必死に止めようとしているが闇の書は魔法は言うことを聞こうとしない。

 

 

「なんで……!どうしちゃったの!?止まって!」

 

 

一方でこの闇の書の魔法の攻撃は、結界内にいたなのは達に襲い掛かってきた。

 

 

「なのは!大丈夫!?」

「大丈夫だよ、フェイトちゃん……でもこのままじゃ……」

 

 

なのは達はこの異変に対し、全員で一つの場所に集まり、アルフとユーノを中心に結界魔法や防御魔法を駆使し、辛うじて耐えていた。

 

 

「マズいよ!もう……持たない……!」

「アルフ頑張るんだ……!ぐっ……!」

 

 

アルフとユーノは額に汗を滲ませながら耐えているものの、それも時間の問題だった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

(ちっ!何で嫌な予感っていうのは的中するんだ!クソッ!間に合あわない……!)

 

 

嫌な予感が的中したトウカは内心自分に嫌気が差したが、そんな考えはすぐに捨て、今はなのは達の元へ向かうことに集中していた。

光のせいでまともに目の前が見えず、雷のせいで少し進んだだけでも体中が傷ついていく。

にも関わらずトウカはただひたすら進み続けた。

 

トウカは何故ここまでして自分がなのは達を助けようとしていたのか分からなかった。

 

 

自分でも不思議なくらい必死に、そして自然と体が動いていた。

悪い予感が的中したというのもただの偶然だった。

たどり着いた所で自分が何が出来るか分からない。

目の前で親しい誰かが傷つくのを見ていられなかったからなのか。

 

分からない。

 

いくら考えてもトウカは答えを出すことは出来なかった。

 

だが進む。

 

前へ。

 

前へ。

 

ただひたすら前へ。

 

やがて。

 

 

(見えた!なのは!フェイト!)

 

 

ようやく、雷の中心に必死で耐えているなのは達が見えたが……

 

 

────直後、轟音と共に町中が光に包まれた。

 

 

トウカの視界が白に染まり、時間がゆっくり進んでるような感覚に襲われる。

視界の端でフェイト、なのは、アルフ、ユーノの4人が落ちていくのが見えた。

 

 

(くそ……間に合わなかった……なのは……フェイト……)

 

 

もし自分が間に合っていればもしかしたら救えたのだろううか。

そんなことを考えながらふと自分の体を見ると、ゆっくりと地面へ落下している事に気づいた。

体は既に満身創痍、魔力も底をついていた。

もうトウカに飛べる余力は残されていなかった。

 

 

(俺は……死ぬのか……?)

 

 

そう思った時。

 

 

 

『ねぇ。君は死にたくないの?』

 

 

 

うっすらと霞んでいく意識の中、そんな声が聞こえた気がした。

 

 

(当たり前だ……俺はまだ何も思い出していない……”まだ何も成し遂げていない!”こんな所で死んでたまるか……!)

 

 

一体自分が誰と喋っているのだろうかということを考える余裕すらなかった。

ただトウカは問われたことに答えただけ。

 

 

『それは自分のため?それともあの魔法の中心にいる彼女たちのため?』

 

 

(そんな事わかるわけないだろ……ただ俺は……生きたいだけだ!そして”俺の目の前で誰かが死ぬのはうんざりなんだ!”)

 

 

 

『ふふ……あなたならそう言うと思ってた。では僕が力を貸してあげましょう。まずは貸し一つですよ?』

 

 

 

そして。

 

 

 

トウカの目の前は真っ暗になった。




いつも読んで下さり有難うございます
というわけで17話でした。
ここから原作とは同じようで違う展開に進んでいくと思います。

さてすっかり春で温かくなりましたね。
季節の変わり目なので風邪を引かないように気を付けてください。


では次回もよろしくおねがいします。
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