魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師──   作:六道 天膳

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第19話「双子の使い魔 」

「トウカさん……?」

 

 

それはトウカがなのはの頭をこねくり回した直後の事だった。

扉の方を向くと、そこには医師の話を聞きに行っていたフェイトとリンディの二人の姿があった。

 

 

「……っ!トウカさん!!」

 

 

フェイトはトウカが目を覚ましている様子を見るや否やトウカの胸に飛び込んできた。

 

 

「うおっ!?フェイト!どうした?」

「よかった……!トウカさん……!」

 

 

心配のあまり気が気じゃなかったフェイトは少し涙目になりながらトウカの名を呼びながら抱きしめる。

心配してくれたという感謝の気持ち、それと同時に心配をかけてしまった申し訳ないという気持ちが入り混じって最初は戸惑っていたが、トウカはフェイトを安心させようと背中を軽くさすった。

 

 

「トウカさんもう目が覚めてたのね。体調はもう大丈夫なの?」

「はい。見ての通りピンピンしてます。リンディさんもすみません、ご心配をおかけして……」

「謝ることないわ。フェイトさん達が無事だったのもトウカさんのおかげ……むしろ感謝しているくらいなんだから。あっそれと、診断結果は異状なし、今日中に退院していいそうよ。何事もなくてよかったわ。」

 

 

担当していた医師が退院の直前になって別の医師と代わったらしく少々手続きに時間が掛かったらしいが、あまりにもあっさりと、呆気なくトウカは退院をすることになった。

 

 

余談だが。

それからしばらくしてフェイトを何とか落ち着つかせたトウカだったが、何故か羨ましがったなのはもトウカに抱き着いてきた。

目覚めたばかりで二人に抱き着かれ、苦しがったトウカはリンディとクロノにアイコンタクトで助けを求めたが、リンディはあらあらといった様子で微笑みながら様子を見守り、クロノはやれやれといった様子で呆れた表情でため息をついていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

その後、なのはとフェイトは学校があるので帰宅することになった。リンディもやることがあるらしく同様に帰宅した。

トウカも管理局に長居する用事もないのでなのは達と一緒に帰ろうと準備をしていた時、クロノがふと思い出した様子で。

 

 

「そうだ。退院直後で悪いが、少し寄りに道に付き合ってもらえないだろうか?」

「それは大丈夫だけど……どこいくんだ?」

「ついてこればわかるさ、エイミィとユーノもいまこっちに来ている。」

 

 

ということなので、なのは達と入れ替わる形で合流したユーノとエイミィを含めた4人は管理局の中を歩いていた。

 

 

「なのは達は帰ったけど3人は向こうにいなくて大丈夫なのか?」

「まぁモニタリングはアレックスに頼んできたし。」

 

 

あの激戦の後なので騎士達もすぐには動かないだろうとクロノ達は読んでいるのだろう。

アレックスはアースラのオペレーターの一人で茶髪とメガネが特徴の青年のことだ。もう一人のランディという青い髪の青年とコンビでとても優秀らしい。

 

 

「闇の書について調査をすればいいんだよね?」

「あぁ。これから会う二人はその辺に顔が利くから。」

「闇の書の調査?これから会う二人?なんのこと?。」

「一応トウカの記憶について関わってくるかもしれないことだからな、来ればわかるさ。」

 

 

そういっている内にどうやら目的地に着いたらしくクロノはとある部屋の一室の扉の前で立ち止まった。

 

 

「……」

「……?クロノ、どうした。」

 

 

クロノは扉の前で立ったままで扉を開こうとしない。

いや、正確には扉を開けること……この部屋に入ることを躊躇している様子だった。

トウカに声をかけられハッとした様子で大丈夫だ。とだけ答えると少し深呼吸し、いよいよ部屋の扉を開ける。

 

 

「リーゼ、久しぶりだ。クロノだ。」

 

 

部屋に入るとそこにはソファに寝そべっている女性とその向かい側で本を読んでいる女性がいた。

その二人は普段よく見る管理局の青い制服ではなく、黒いスーツのような服を着ている。

更に特徴的なのが、二人とも髪の長さは違えど髪や瞳の色が同じで、そして猫耳と尻尾があることから誰かの双子の使い魔なのだろうとトウカは推測した。

そしてついでに言うならば二人とも美人だ。

一体どうしてクロノは部屋に入ることを躊躇していたのだろうかとトウカは疑問に思っていたが、次の瞬間。

 

 

「わぁ~お!クロ助~お久しぶりぶり~」

 

 

と、先ほどまでソファに寝そべっていた髪の短い方の女性がクロノに抱き着いたのだ。

というより思い切り顔を胸に押し付けられていた。

 

 

「ロッテ!ちょっ!離せこら!」

「なんだとこら~久しぶりに会った師匠に冷たいじゃんかよ~」

「アリアこれを何とかしてくれ1」

「久しぶりなんだし、好きにさせてやればいいじゃない。まぁそれに……まぁなんだ。満更でも無かろう?」

「そんなわけ……」

 

 

そしてクロノはロッテと呼ばれた元気の塊のような女性に押し倒されたのであった。

クロノの叫び声が部屋の中に響き渡る。

 

 

「トウカ~!助けてくれ!」

 

 

その時トウカが取った行動は……

 

 

「さっき俺を助けてくれなかったツケだ。頑張れ。」

 

 

トウカはクロノを見捨てようしたのだが。

 

 

「「トウカ?」」

 

 

クロノがトウカの名前を出すと、二人は動きをピタリを止めてトウカの方を向いた。

 

 

「へぇ~あんたが父様が言ってたトウカって男かい?」

 

 

先ほどまでクロノを押し倒していたロッテだったが、猫のようにジャンプし、トウカの目と鼻の先まで顔を近づけてきた。

そして今度はまるで観察するかのようにトウカの周りをくるくる回る。

 

 

「ふぅ~ん……」

「あ、あの……君たちは?それにお父様って。」

「……とりあえず立ち話もなんだし、席に座ったら?」

 

 

今度はロッテとは正反対といえるほど落ち着いた性格のリーゼと呼ばれた女性がトウカとロッテの間に入ってきた。

 

 

一方、押し倒されたクロノとはというと、

 

 

「なんで……あんなのが僕の師匠なんだ。」

 

 

顔中にキスマークをつけられたクロノはのっそりと起き上がっていた。

どうやらこういったことは日常茶飯事のようで動じた様子もないエイミィ。

そしてユーノは軽く引いていた。

 

 

「「……」」

 

 

リーゼに勧められるままソファに座ろうとしているトウカ達。

リーゼロッテとリーゼアリア……ギル・グレアムの使い魔にしてを古くから支えている双子の歴戦の魔導師。

先ほどまでクロノで遊んでいたロッテ、エイミィと久々の再会を喜び合っていた二人だったが、一挙一動見逃さないようにトウカへ警戒の眼差しを向けていることをその場にいた全員が気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ということで19話でした。
少し短いですがなんとか投稿できました。
この度は投稿が遅くなり大変申し訳ございません。

では次回もよろしくお願いします。
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