魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師──   作:六道 天膳

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第19.5話「協力者 」

「……なるほど、闇の書の捜索ねぇ。」

「事態は父様から伺ってる。出来る限り力になるよ。」

「よろしく頼む。」

 

 

クロノの対面に双子の使い魔、リーゼロッテとリーゼアリアが座り、少し外れる形でその横にトウカ、エイミィ、ユーノという順番で座っている。

真面目な話をしているはずなのだが、クロノの頬にはまだキスマークが残っているため緊張感が全くない。

 

 

「エイミィさん、この人たちって……」

 

 

話の邪魔にならないように小声でユーノが問いかける。

トウカもこの二人のことが気になったので二人の話に耳を傾ける。

 

 

「クロノ君の魔法と近接戦闘のお師匠様達。魔法教育担当のリーゼアリアと近接戦闘教育担当のリーゼロッテ。グレアム提督の双子の使い魔。見ての通り素材は猫ね。」

 

 

エイミィが二人の説明をしているのをロッテは気づくと、微笑みながらユーノに手を振る。

手を振られたユーノの方はというと先ほどのクロノの惨状を見たからなのか、それとも小動物特有の勘が働いたのか、捕食対象として見られているのが直観でわかってしまったようで非常に複雑な表情で手を振り返していた。

 

 

「二人に駐屯地方面に来てもらえると心強いんだが、今は仕事なんだろ?」

「……武装局員の新人教育メニューが残っててね。」

「そっちに出ずっぱりにはなれないのよ。悪いねぇ。」

「いや。実は今回の頼みは……彼らなんだ。」

「そのちっこい方は食っていいの!?」

「え!?」

「あぁトウカは困るが、そっちは作業が終わったら好きにしてくれ。」

「な!?お、おいちょっと待て!トウカさんはよくて僕だけってどういうことだ!」

 

 

と、割と本気で焦っているユーノ。

みんなが笑ったことにより、からかわれているのに気付いたユーノだが、ユーノにとっては割と洒落になっていないようで複雑な表情を浮かべている。

そして当然の如くユーノの話を無視してクロノは話を進める。

 

 

「それで、頼みって?」

「彼の無限書庫での調べ物に協力してやってほしいんだ。それと、トウカの記憶に関して色々調べてほしい。」

「彼が記憶喪失なのは父様から聞いてる。ただ、たとえ無限書庫でも個人の情報を探し出すなんて不可能に近い。」

「もちろんそれはわかっている。だからこのデータを渡しておく。」

 

そういってクロノは一つのメモリを取り出した。

 

「……それは?」

「一度彼のデバイスを解析した時の情報と、彼の魔法に関してまとめてある。彼のデバイスはほとんどブラックボックスのようになっていて分かった事は少ないが、彼のデバイスは50年前に使用されていたミッド式のデバイスに近い構造をしているらしい。」

「なるほど……それを手掛かりにこのデバイスの出所を調べて彼について調べようってことか。わかった。他ならぬクロ助の頼みだ、協力は惜しまないよん。」

「ありがとう、助かるよ。」

 

 

こうしてクロノ達はアリアとロッテ、二人の協力を得ることになった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

クロノ達が退出した後、部屋に残ったロッテとアリアだったが、二人の表情は芳しく無い。

ロッテはどこか苛立っているような表情、一方のアリアの表情はどこか悲しんでいるようにも見えた。

重苦しい空気の中、最初に口を開いたのはアリアだった。

 

 

「……行ったわね。ロッテ大丈夫?」

「危うく殴りかかりそうだったけどね。それにしてもあいつ……アリアはどう思う?」

 

 

あいつというのは言うまでもなくトウカだという事をアリアはわかっていた。

 

 

「あの見た目、声、間違いなく彼だった。」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、ロッテは拳を机に降り下ろした。

魔力を込めているわけでもないのにも関わらず、ロッテの拳は机を粉々に砕いた。

 

 

「……っ!そんなわけない!!あの男があの人な訳がない!あの……裏切り者のはずが……!」

「ロッテ!!」

「……!!ご、ごめん。感情的になりすぎた。」

 

 

裏切り者という言葉をロッテが発した瞬間、普段は滅多に声を荒げないアリアがロッテに向かって怒鳴った。

ハッと我に帰ったロッテは反省した様子で、ソファに座って気を落ち着かせる。

アリアも軽くため息をつきながらロッテの隣に寄り添うように座る。

 

 

「記憶を失っているって言ってたけど……でもなぜ彼がここにいるの?それに父様も……何の手を打たずに放置しているのかしら。」

「父様はしばらく様子を見るために手を出すなっていう指示だけど……その記憶が失っているって話自体が疑わしいけどね。」

「だったら私たちを見て反応しない訳が無い。偽物だったら話は別だけど……どちらにせよ、父様の言う通りにしばらく様子見したほうがいいかもね。」

「やっぱりあいつ……今回の件とやっぱり関係が……?」

「推測の域を出ないけれど……可能性はあるかもしれない。偶然にしてはあまりにも出来すぎてるし。」

「なら、まずは闇の書を何とかしないとね。」

「それまではあくまで協力的な姿勢を見せつつ様子見が妥当ね。次の一手を打たないと。」

 

 

こうして二人は再び動き出す。

闇の書を破壊するために。

全ては自分達を育ててくれた父親の為に。

 

 




キリが悪いので12.5話として投稿しました13話は近いうちに投稿します。
では次回もよろしくお願いします。
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