魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師── 作:六道 天膳
とある日の夕方。
ハラオウン宅にてクロノと学校から帰宅したフェイトと遊びに来たなのはの三人はとある事について話し合っていた。
「そういえば、トウカさんって私達が学校行ってる間にどんな生活をしてるのかな?」
「あ、私もそれ気になる。クロノは何か知らない?」
それはなのはがふと言った疑問から始まった。
ちなみに当の本人であるトウカは外出中である。
「言われてみれば確かに。彼は民間協力者という形で監視まではしていないからそこまで考えたことは無いな。昼間はよく出かけているのは知っているけど、どこに行っているかまでは聞いたことがないな。」
普段のトウカは何をしているのだろうか?
という事を三人は疑問に思っていた。
トウカが家にいるときは本を読んでいることを見かけたり、フェイトの勉強に付き合ったり、時にはリンディと談笑していることが多い。
しかし、トウカは出かけることが多い。特に昼間はあまり家にいないことが多いのだ。
たまに夜遅くまで出かけている時もあるがその時は大抵、ちゃんと連絡もしているので特に問題になったこともない。
不審な行動も無く、普段からの生活態度も悪くないのでリンディも特に注意したことが無い。
「本を読むのが趣味だから、図書館に本を借りに行ってるんじゃないか?」
「いくら本好きのトウカさんでも毎日行かないと思うよ。」
「「「う~ん……」」」
三人の疑問は深まるばかりである。
◆◆◆◆◆
「「という事なので、今日はトウカさんと一緒に行動することになりました!」」
「うん。とりあえず一体、何が、どういう事なのかわからないからちゃんと説明してくれ。」
早朝、リビングのソファで本を読んでいたトウカは目の前にいるなのはとフェイトに告げられた。
二人から話を聞いたトウカはあきれたように苦笑いを浮かべている。
「そんなこと言わなくても普段どんな行動しているか言うし、普通に一緒に行けばいいじゃないか。なのはもわざわざこんな早くから来なくても……」
「ついつい気合い入れて早起きしてきちゃいました。」
えへへ、とはにかんでいるなのは。
ちなみに現在の時刻は6時10分、遊びに来るにしてはあまりにも早すぎる来訪である。
「ふむ、いつもより少し早いけど、早速俺が朝何をしてるか見せよう。フェイトはよく知ってると思うけど。」
「フェイトちゃんはよく知ってる?」
「あぁそういうことですか。」
なのははトウカが言っている意味が分からないようで、フェイトは思い当たることがあったような様子だった。
トウカの朝の生活、それは――――
十五分後。
なのはの目の前に色とりどりのミニクロワッサンのサンドが並べられている。
ちなみに一つ一つ種類それぞれ入っている具材は様々である。
更に、その横には具がたくさん入ったミネストローネも横に置かれている。
「一つ一つ説明すると、左からレタスとトマト。スクランブルエッグ。ベーコンとチーズ。そして最後にカッテージチーズとミックスベリージャムの四種類だ、どうぞ召し上がれ。」
「え!?これ本当にトウカさんが作ったんですか?」
普段のトウカの日課その1。
料理を朝食を目の前に並べられた朝食に驚いているというよりも、トウカが料理をすること自体に驚いていた。
なのはは普段、トウカが最近のハラオウン家の台所担当ということを知らないので無理はない。
「すごい……食べるのもったいなくなるくらい。」
なのは家の朝食も桃子のおかげで一般家庭よりも豪勢といってもいいだろうが、まさかトウカがこれほどの朝食を作れるとは思っていなかった様子である。
「ちなみに、飲み物はコーヒーと紅茶があるけどどっちがいい?」
「あっ、じゃあ紅茶でおねがいします。」
「了解。この間良いアッサムが手に入ったからそれでミルクティーにでもしてみようか。フェイトはコーヒーでいいかな?」
「はい。大丈夫です。」
もうすぐ、リンディ達もリビングに来るだろう。ハラオウン家のいつもの朝が始まる。
◆◆◆◆◆
「ご馳走様でした~すっごくおいしかったです。」
「そっかそっか。それならよかった。」
朝食を終えたなのははトウカの朝食に大満足と行った様子である。
「トウカさんの料理上手でしょ。」
「はいびっくりしました。」
「しかもコーヒーやお茶も入れるのとっても上手なのよ。」
リンディが食後のトウカ特製緑茶(ミルク、砂糖入り)に口をつけながらなのはに言う。
「あたしのご飯もいつもちゃんと作ってくれるんだよ!」
犬用の皿を空にした犬モードのアルフが満足そうに寝っ転がっている。
ハラオウン家の胃袋は完全にトウカが掌握していた。
「さて、この後どうしようか……いつもだったら昼頃まで本を読んでるんだけど……」
「それじゃあお勉強なんてどうですか?」
ふと、フェイトからそんな申し出があった。
「俺はそれでもいいけど……なのはは大丈夫なのか?」
「はい!大丈夫です。」
(この二人は本当に真面目だなぁ……)
せっかくの休日なのに勉強するというのは非常にもったいないとすらトウカなのだが、これは怠け者だからこその発想なのだろう。きっとそうに違いない。
フェイトの勉強を見ることは多いが、なのはは勉強を見たことは無い。
まずはなのはの学力を知る必要があるだろう。
「教科書や問題集はフェイトのを借りればいいとして、ちなみになのはは苦手な科目ある?」
「うーん……文系が少しよくないです。」
となると、フェイトと同じような方針で大丈夫だろう。
「理系は大丈夫なんだよね?」
「この間のテストはフェイトちゃんと一緒で満点でした!」
ブイっ!
とピースサインでにっこりと笑うなのは。
「理系なら高校生レベルまでなら行けます!」
「ほ、ほう……」
いや少し待ってほしい。
彼女たちの年齢は9歳。
子供である。
小学三年生である。
そんな子供が本来であるならば何年後にやるような勉強ができること自体が普通ではないと思う。
それはともかくとして、そこまで言うならばやはり文系メインで教える方針で問題ないだろう。
「さてじゃあ、やるか。じゃあ教科書65ページ開いて。問題集は125ページ開いておいて、後でやるから。」
今やっている範囲は普段フェイトに勉強を教えているので教えるべき範囲はおおよその予測はできる。
「教えるも何もトウカさん教科書も問題集も見ないで大丈夫なんですか?」
本来、今日は勉強することになるとは思ってなかったので、教科書も問題集も一冊ずつしかない。
これはフェイトとなのはと二人でシェアするのでトウカは見ることができない。
「あぁ大丈夫。フェイトに教科書この間借りて内容ほとんど覚えてるから。」
「え、ちょ、ちょっとまってください。それってどういう……」
なのはがなにやら驚いている様子だが、そこは無視だ。
「さて……徹底的に文系の強化をしていこうか。」
「なのは、先に言っておくね。」
「どうしたのフェイトちゃん?」
真剣な面持ちでフェイトはなのはに言う。
「こういう時のトウカさんは……」
――容赦がない。
普段教えてもらっているフェイトはそれをよく知っている。
こうしてトウカの勉強会はスタートした。
ちなみにこの日をきっかけに、なのはとフェイトの文系の点数が10点は伸びたというのはまた別の話である。
◆◆◆◆◆
――――それから時は過ぎ11時頃。
「さて……もうすぐお昼だし外に出かけようか。」
「……どこにいきますか?」
この昼からの行動がなのは達にとって本番といってもいい。
すっかり精根尽き果てた様子で聞くなのはにトウカはにっこりと笑い。
「そりゃあもちろん……」
――――まだトウカの一日は始まったばかりである。
メリークリスマス!!
ということでクリスマスに寂しく投稿します!
皆様はクリスマスどう過ごすのでしょうか?
私は今からふて寝します!
では次回もよろしくお願いします。