魔法少女リリカルなのはA's──記憶を無くした魔導師── 作:六道 天膳
海鳴市は海に隣接した日本のとある県にある街だ。
住みやすさに定評があり、海辺といっても山もあれば丘もあり、中心地にはビルが立ち並ぶビジネス街、そこから少し離れると閑静な住宅街、有名な学校があれば図書館、病院、商店街、果てには温泉と至れり尽くせりである。
近年、建物が壊されたり、巨大な木が生える等不審な出来事が多いものの、治安も比較的良い……と言っていいのかどうかわからないが、とにかく人気のある町である。
さて、そんな海鳴市の海鳴市商店街にはとある喫茶店がある。
その喫茶店には優しいマスターと美人ウェイトレスがおり、そして何よりも美味しい洋菓子が評判のお店である。
今まさにトウカ、なのは、フェイトの三人はその評判のお店へと入っていった。
「こんにちわー」
「いらっしゃいませー!……あら?珍しいわね、みんなお揃いなんて。」
「お邪魔します。」
トウカの普段の日課その2。
そして評判の喫茶店というのは。
「……ってうちのお店じゃないですか~!」
喫茶翠屋である。
「ゆっくりしていってくださいね、もちろんなのはも。」
「おかーさーん!トウカさん普段来てるんだったら教えてよ~!」
「あらあらごめんなさい。」
普段からトウカが来ているとは聞いていなかったなのはは桃子に文句を言っている。
「桃子さん今日もお願いします。」
「ええもちろんよ~今日は何にしましょうか?」
「いつも通りお任せでお願いします。」
「はい、わかりました。二人もせっかくだから食べていってね。」
「「はーい!」」
「今日はお客さんは比較的少ないし、みんなで来たんだったら腕によりをかけて作っちゃうわよ!」
と言って桃子はキッチンへ向かっていった。
「ねぇなのは。このお店って確か洋菓子がメインじゃなかったっけ?」
「うんそのはずなんだけど……」
「最近トウカさんが来るようになって始めたんだよ。」
キッチンへと向かった桃子に代わって士郎が表に出てきた。
「あ、お父さん。」
「士郎さんお邪魔してます。」
「普段から家族5人分の食事を作っているけれど、トウカさんがお昼に来るようになってからというものの、今まで以上に料理に力を入れるようになっててね。最近は洋菓子だけじゃなく、お客さんにもランチを提供しているんだ。」
「へ~最近お母さんが料理の本を買ってきてたけど、そういうことだったんだ。」
どうやら今日は店にトウカ達以外のお客は来ていないらしく、4人で談笑していると――――
「みんなおまたせ。どうぞ~」
ドン!と大きなお皿に盛られたサラダと3人分のカレーが目の前に置かれた。
「わぁ美味しそう。」
「お母さん随分気合い入れて作ったんだね。」
「今日もトウカさんが来ると思って昨日から仕込んでいたのよ。」
目の前に置かれたカレーを二人は嬉しそうに見ている。
しかしその直後に桃子の放った一言で二人は凍り付くことになる。
「まだまだあるわよ~ちょっと待っててね。」
「「え?!」」
そういってテーブルいっぱいに盛られていく皿・皿・皿……当然盛られている量も大盛りである。
「え……なんですかこの量は……?」
しかもその料理の種類も様々である。
最初に置かれたカレーを始めとして和洋中色とりどりの料理が置かれている。
節操が無いどころの話ではない。今まさになのはとフェイトの目の前にはカオスが広がっている。
「お母さんいくら何でも作りすぎじゃあ……」
「大丈夫、大丈夫。全部俺が食べるから。」
「「え!?」」
そして今度はトウカの言葉に二人は凍り付いた。
「普段トウカさんが食べてる量と一緒なのだけれど……足りなかったかしら?」
「「ええ!!??」」
「いえいえとんでもない。いつもありがとうございます。」
二人とも先ほどから開いた口が塞がらないといった様子で二人のやり取りを聞いていている。
「でもこの量の料理だと一体いくらするんだろう。」
ぽつりとフェイトはそんな言葉を呟いた。
「最初はお金なんていらないって言ったんだけど、どうしてもっていうから……」
「いやいや。こんなに美味しいくて、しかもこの量をタダでっていうのは流石にね……だからお金はちゃんと払ってるよ?」
ちなみにその料金というも常識的に考えれば格安なのだが、桃子はそれ以上は譲るつもりはないらしくきっぱりと断られてしまったのだ。
なのでお言葉に甘えて美味しい料理の数々を堪能してはいるものの、実は最初からこんな量が出されていたのではない。
美味しそうに食べる様子や、一つ一つ料理の感想を丁寧に言っていくうちに日に日に量が増えていってしまって今に至るということなのだ。
「あら美味しい料理なんて嬉しいわぁ~ちょっと待っててね!今デザートの用意してくるから!」
「「……」」
もはやフェイトもなのはもツッコむどころか反応する気力すら無くなった。
「なのはのお母さんってあんな感じだったっけ?」
「たまーにこうなるときあるんだけど……ここまではちょっと珍しいかな……」
(なのはの目の前の事に全力全開な所は桃子さんから来てるのか。この親にしてこの子ありだな。)
呑気にそんなことを思いつつ、トウカは黙々と食事を平らげていく。
「あ、今日のお味噌汁の出汁は昆布と鰹節の合わせだしか。美味しいなぁ……」
そのスピードは通常の倍以上の速さなのにもかかわらず、綺麗に食べていくだけでなく、一つ一つ味わっていく。
一つ、また一つと平らげられていく皿を見て、二人はただただ呆然としていた。
「どうした。二人も食べないのか?」
「「い、いただきます。」」
もちろん。そのあとにできたケーキやゼリー等のデザートもトウカは見事に完食するのであった。
◆◆◆◆◆
「ふう。ごちそうさまでした。」
「……本当にあの量食べちゃった。」
「トウカさん太ってるようには全く見えないけど一体どこに入ってるんだろう……」
目の前の数々の料理を見事に完食したトウカに二人は唖然としていた。
普段一緒に住んでいるフェイトが思い出してもトウカがこんなにも多くの料理を食べていた覚えはない。
「うーん。何でかわからないけどいくら食べても太らないみたいなんだよね。ちなみに俺の場合、食べようと思ったらたくさん食べれるってだけだよ?」
食べようと思ったらいくらでも食べれるが、少量でも十分満足できるという燃費が悪いのかいいのかわからない。
「さて、じゃあそろそろ場所を変えようか。」
「「はーい!」」
「桃子さんごちそうさまでした。」
「ええ。またいつでも来てくださいね。あ、そういえば恭弥がまたトウカさんと手合わせしたいって言ってたわよ。家の方にもいつでも来てね、歓迎するわよ。」
食休みを少しして、三人は次の目的地に向かうのであった。
あけましておめでとうございます(激遅)
えー……本当におそくなりましてすみません。
年始から仕事に行っては帰って寝るという作業のような日々が続いておりまして……
最近ようやくそちらが落ち着いたので久々に投稿できました。
さて、言い訳はともかくとして、お読みいただきありがとうございました。
感想等、色々お待ちしております。(作者のモチベにきっとつながります)
次回もよろしくお願いします。