いつもよりほんのちょっと長い。投稿頻度はごめんなさい。
AM6:00
波は朝が弱い。
しかし高校に行ってからは頑張って朝早く起きるようになった。
なぜかって?
それは1秒でも長く、そして早く、活力源となる美少女を己の目に焼き付けるためだ。
なので今日も時計のアラームが鳴った瞬間手探りでアラームを止め、カーテンをつかみ、思い切り開ける。
暖かい光が波を照らす。段々と頭が覚醒していく。
「....起きるぞ~....」
手足を伸ばし、一気に体を起こす。
「よしっ!早く支度しよ!」
まず洗面所に駆け込み顔を洗う。
その後食パンをトースターに突っ込みパンを焼く。3分間かかるので、その間に着替えをする。
パンが焼き終わったら1分で食べ、牛乳を飲み、歯を磨き、顔を洗う。
「7時には自習室を使えるから、勉強して、8時に教室に向かい、アイちゃんを待つ。完璧だ...。その前にトイレトイレ~」
波がトイレのドアノブに手をかけた時、左隣の寝室の扉が開き、知綱が出てきた。
「あら、波おはよ~。今日アイちゃん家に誘うんだっけ?」
「そんなこと言ってないよ。そもそも昨日初めて話したんだよ?もっと仲良くなってから家に誘うでしょ」
「そうかしら?でも物は試しって言うじゃない?やってみないとわかんないと思うんだけど...違うかしら?」
「それで試して失敗した場合はどうすんの」
「その時は私が学校に」
「分かったからそれだけはやめて?今日言えたら言うから」
「言えたらじゃなくて言うのよ?分かった?」
「はいはい言います言います」
波の返事を聞くと知綱はニコッと笑みを浮かべ、鼻歌を歌いながら洗面所へ向かった。
もうこれ以上アイとのことで何か言われないように、トイレを早く済ませ、波は家を出た。
学校までの道のりは徒歩10分ほど。もう少し家でゆっくりしていたかったが、今の状況だと家にいる方が体力を使うことになる。
そんなこんなで学校についたが誰もいない。当たり前だ、現在時刻6時30分。
しかし波にとってはノートの件で陰口を言われる可能性があったので今の学校は落ち着ける居場所といえるだろう。
それから波は7時までの30分間寝て待つことにした。
校門近くに駐車してあった車と車の間で
誰にもばれないように...
何分経過したかは分からない。目が覚めたきっかけは
「おーい、水野~?あ、起きた。こんなところで寝てるところ先生に見られたらどうすんだよ。てか何でこんなところで寝てんの?」
瞼を開けて最初に見えたのはしゃがみながら波の顔を覗くメルトの顔だった。
「....おはよう...メルトくん」
「おはよう。でなんでここで寝てんの?」
「...誰にもばれないと思ったから。今何時?」
まだ意識がはっきりせず、頭がぼんやりとしているせいか波は緊張なくメルトと話すことができた。
「すげぇな、昨日のカタコト言葉で話してたやつとは思えん」
「頭がぼんやりしてるからかわかんないけど、なんか緊張してないんだよね」
「へぇ~、まぁいいや、とにかく行こうぜ」
「うん。で、今何時?」
「波はゆっくりと腰を上げる。
「今はなぁ....7時30分だ」
「え!? 7時30分!?」
メルトの言葉を聞くや否や波は校門へと足を急がせた。
「っておい!水野!おいてくなよ!」
メルトは波の後を追う。
「水野、急にどうし、って、なんで星野さんの靴箱の中見てんの?」
メルトの目に映ったのはアイの靴箱の中を覗く波だった。
「...ふぅ~、良かったー、まだ来てなくて」
「星野さんになんか用でもあんのか?」
「いや特に」
「じゃあなんで」
「それは...」
「それは?」
波が周囲に人がいないことを確認する。
メルトも周囲を確認する。
波は安心して話始めようとしたが、メルトには校門近くに紫色の髪の顔立ちの良い少女が見えた。
「...おい...水野...?」
「それは、僕が1秒でも長くアイちゃんを眺めたいから!もしアイちゃんが僕が寝てる間に学校に来てたらせっかく早く来たのに意味ないじゃん!」
「そうだな!それでさ、星野さん来てるぞ!?」
「要するにアイちゃんは目の保養であり、僕の活力源ってわけ」
波がアイについて語るなかメルトは焦り、アイは迫る。
「あんな美少女ほかにいる!?いないよ!スタイルも良くて顔も良い。おまけに声も可愛い~♥」
「わかった!わかったからアッチ見ろ!」
メルトの必死な声も波の耳には届かず、アイとメルト、波の間はわずか4メートルほどしかなかった。
(あ...もう無理...いやまだ手はある!)
メルトは波にとびかかるようにして両手で口をふさぐ。
「メルトくん聞いテェ!?ンン!?ン゛ー!」
必死に手足をばたつかせ抵抗する波、しかし少し離れたところからこちらへ歩いてくるアイに気づいたとたんにピタリと動かなくなり、目を丸くしてアイを目で追う。
メルトは波が抵抗しなくなったのを確認すると、ゆっくりと口から手を放す。
波はただただアイを見つめていた。
アイは眠そうにあくびしながら靴を脱ぎ、靴箱に入れようとしたが自分の靴箱が全開に開いているのを見て数秒思考が停止する。
その様子を見ていた波は当然焦りだす。
(ややややばい、ど、どうしよう!!)
自分の靴箱に何かされていないか確認したかったのか、いろいろな角度から靴箱の中を確認しはじめ、
最終的には靴箱に顔を突っ込んでいた。
(か、かわいい...!)
何もされていないのを確認すると今度は犯人探しに移る。
キョロキョロと周りを見渡す。そして男子二人が目に留まる。
そもそもこの場には、アイ、波、メルト、の三人しかいない。
波はメルトに馬乗りされている状態でアイに見られることになる。
そして勘違いを生む。
「....波...くん?」
「お、おはようございます...アイ...さん?」
「...波くんだ!わーい!おっはよー!っとその前に...いじめ?」
アイになんとなく目を合わせないようにしていたメルトだが、さすがに『いじめ』をしている
と思われるのは気分がよくない。
「ごめん水野、あの話をあのままお前が話してたら危ないと思って...星野さん、勘違いさせるようなことしてすいません」
メルトは波から離れる。
「そうなんだ~、ならよかった!」
そう言うとアイは波が起き上がる前にと波に飛びつく。
「ウェエ!?」
「えへへ、いつもより早く来てよかった~」
「アイさん?」
「さん付けやだー」
「え、じゃあ...アイ...ちゃん...?」
「んー...まぁ...いいよ?次さん付けしたらお仕置きね!」
「...お仕置き...」
「何されるか知りたいの?教えてあげてもいいよ!」
「いや大丈夫です」
(それにしても...アイちゃんの体柔らかいなぁ~、それにめっちゃ髪の毛いいにおいする。やばいっ!
アソコが反応してしまう...!早く離れないと!)
「アイちゃん、そろそろ教室行かない?」
「あと1じか...1分だけ~」
「教室でね、だから今は」
「じゃあこのまま移動しよ!」
(それだけは...タイムリミットが、今元気いっぱいになってしまえば、アイちゃんにバレて僕の人生終わっちゃう!)
「でもこのまま移動したらころんじゃうかもしれないし、危ないよ?」
「え~、でも離れるのやだ~」
アイはさらに体を密着させる。
(うっ....しょうがない...こうなったら!)
「アイちゃんお姫様抱っこしてあげるよ」
「え?」
波はアイの体を持ち上げ、教室まで全速力で走る。
2人のイチャイチャしている姿を見せられていたメルトも後を追う。
「...あの小説、ノンフィクションだったのか...」
これぞ妄想!
創造は止まらないのだ!