吾輩はルビコニアンデスお兄さん!人とコーラルの行く末を真に憂う者である!   作:ポポァ

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見切ったので発射する初投稿です。
書きためは無いし不定期更新だけど読んでくれたら幸いです。


幼年期の終わり

 最初に感じたのは灼熱だった。脳に瞳を抉じ開けるような激痛、胃の中で胃酸が沸騰しているかのように焼ける胸、視界は赤い輝きに飲まれ、極めてはっきりと思考に流れる走馬灯。

 あらゆる異常を訴える肉体から切り離されたような意識が、これまでの人生の断片を逆再生で垂れ流す走馬灯をぼんやり眺めている。

 物資の輸送任務に就いたこと、ずっと戦いに明け暮れていること、ルビコン解放戦線に拾われたこと、初めてMT*1とAC*2の戦いを見て酷く興奮したこと、廃墟を彷徨い食糧を探したこと、両親がコーラル*3中毒で死んだこと、物心が付き世界を認識できたことーーーそして、生まれる前。

 アーマードコア6の発売前にド腐れクソクソ通り魔野郎に殺されたこと。

 

 

「おおーーーーい!!誰か何人か来てくれ!フェリクスのアホがコーラルタンクの中に落ちやがった!」

 

 

 そして自分がアーマードコア6の世界に生まれ変わっていたのだと理解できた瞬間、ロープで肉体が足場に引き上げられ、産声を上げるように肺と胃に溜まったものを吐き出した。

 

 

「オ”エ”エ”エ”エ”エ”エエエエエ!!!」

 

「うわ汚ええ!!朝飯とコーラルが混じって叫喚地獄みてえだ!」

 

「逆になんで普通に呼吸再開してるんだよ。どう考えても致死量とかいう次元のコーラルじゃないだろ」

 

「全身の血管が赤く輝いてミュータントみたいだ。こいつ叩いたら爆発するんじゃねぇか?医務室よりUFOとかのほうが合ってるでしょ」

 

「馬鹿言ってねぇでさっさと医務室に運べ!……なるべく衝撃を与えないようにそっとだぞ!!」

 

 

 全身赤くてかてかで、思考は冴えてぴかぴかな俺を同志達がやけに丁寧に担架で医務室に運び、早口で医師に状態を説明。挨拶をして素早く物陰に隠れるように去っていった。

 医師のおっさんは煙草を吹かしながら赤るい現実から目を背けるように天井の染みを数える仕事に従事している。

 

 

「あの……一応診察とか、してもらっていい?」

 

「キッショ!!!生きてるだけでも理解不能なのに言語まで発するとか、今のお前を医学の物差しで測れる訳ねーだろ!とりあえず養生でいいんじゃない?なるべく安静にしてくださいね。じゃ」

 

「ヤブ医者め……いや分かるけど……」

 

 

 羽ばたくようなステップで逃げ去っていく医師を見送り、コーラル濡れのままベッドで脱力し深呼吸する。

 

 

「完全に目が覚めた……いや解放されたって感じかな」

 

 

 啓蒙が増え、脳に瞳を得たかのような知覚能力の覚醒っぷりに思わずキルアごっこをしてしまう。心臓はとんでもない速さで脈打ち、体温はアカン一線を越え、視界は真っ赤なお星さまがちらつくままだが、不思議と二度目の死はまだ遠いと確信できていた。

 ここはルビコン3。アーマードコア6の舞台となる辺境の惑星であり、俺はコーラルを求めて侵略してくる企業に抗う現地人のレジスタンス、ルビコン解放戦線に所属するMT乗りだ。

 前世ではたどり着くことのできなかったこの世界に生まれ変わることができたのは、大いなる意思の賜物なのだろう。やはりフロムは神。

 

 

「しかし……四脚MTも動かしていて楽しいが、やはりACが欲しいよな……この世界だと歴代作品と比べてACの評価は低いし、なんとか手に入らないものか」

 

 

『繋がった……?強化人間でもないのに交信が可能なんて、一体どんなえっすごい』

 

 

 突然脳内に響く知らない女性の声。やはりコーラルで頭がホンワカパッパしてしまったか?

 

 

『コーラルに対する異常な適応力……この人なら……私はルビコニアンのセリア。話は聞かせて貰ったわ。ACが欲しいのよね?』

 

「幻聴じゃない……?いや、ACが手に入るなら何でもいい。セリア?全く状況が分からないけど、何か当てがあるのかい?」

 

『ええ。持ち主が居なくなったACが一機、近郊の廃墟にある隠しガレージに眠っている。案内してあげるから、代わりに……仲良くしてね?』

 

「ハラショー!愛してる!結婚してください!」

 

 

 思わず興奮して叫んでしまう。この世界はフロム神に作られたんだから、幻聴ヒロインに導かれてACが手に入ると言われても特に疑問はない。それぐらいならまぁ……の範疇だ。そして叫んだことで脳が限界を迎え急速に意識が薄らいでいく。

 

 

『いや結婚は無理かな。まずは休息をとって、全部それからね』

 

 

 振られた。これ一応幻聴だけど夢じゃないよね……?現状一人で赤く光りながら興奮して叫んでるだけっぽいので酷く不安に苛まれる。ああ、ゴース、あるいはゴスム……我にACとヒロインを授けたまえ・・・…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢では無かった。数日間ほど赤くべたついたベッドと過ごし、過不足無く行動できるほどに回復した俺は客観的にヤバすぎる肉体を理由に長期の休暇を申請。無事受理されてセリアの案内で早速ACを探す小旅行に出かけることにした。

 

 

「夜中に曲がり角で遭遇してチビった」

「理性保ってていい外見じゃないでしょ」

「捕らえて研究所に……いや、やたら強いし爆発しそうだしな……」

「一人で会話しながら廃墟に……あっ(察し)」

「そのうち巨大化してMTを捕食してそう」

 

 

 などと同志たちの温かい言葉に背中を押され、スクラップをかき集めて組んだボロトラックで基地から旅立ち、半日かけてたどり着いた小規模な廃墟にある廃ビルのエレベーターに入る。

 

 

『システムにアクセス。ロックを解除。これで地下の隠しガレージに降りられるわ』

 

 

 さらっとエレベーターがハッキングされて心底驚く。幻聴ががっつり現実に干渉しているのだ。実は幻聴じゃなくて全く別の謎生命だったりする?でもフロムだし幻聴がドア開けるくらいならまぁ……気になるので今度聞いてみよう。

 

 

「いよいよか……たった数日しか経っていないのに二十年近く待たされた気分だよ」

 

『そんなに楽しみ?……そういえば、あなた基地の人たちに陰で福神漬け爆弾って呼ばれてたの知ってる?』

 

「ごめんちょっと今はその話題やめてくれないかな!」

 

 

 耳を塞ごうが彼女の声は脳裏から響いてよく聞こえる。エレベーターが止まり、照明の消えた暗闇の中、懐中電灯で非常灯に逆らうようにグレーチングの床を歩き、オペレーションルームと表示された扉を開き部屋へと入る。

 明かりの付いたままだった部屋の中には多数のコンソール、待機状態のランプが灯るコンピューター、デスクの上には投げ出された携帯端末、そしてジョッキから溢れ出し埃まみれの机上と床を濡らすコーラル。

 そしてデスクの前。赤黒く染まった床に倒れた椅子と、床に転がる干乾びた男性の死体、手から零れた拳銃。

 

 

「自殺か……ACは売れば大抵の借金なんて消し飛ばして遊んで暮らせる。コーラルに縋ってなお耐えられない何かがあったのか。AC代として死体は弔ってやるか」

 

『……ガレージの設備は健在よ。ACのオペレーティングシステムを起動するわ』

 

 

 部屋の全ての設備が稼働を始め、壁に掛けられた大きなモニターに整備ドックに固定されたACの上半身が映し出される。

 発売前PVで見た主人公の初期機体。それを黄色く塗った上で背中のミサイルが取り外されている。そして肩に貼られた警告標識のエンブレム。

 

 

「何だろう。初めて見たこの機体にすっごい既視感がある。どこか懐かしいけど、この状況だと全く嬉しくない親しみがあるというか……」

 

『随分と、その……シンプルな構成ね?無駄が無いというか、身軽さ重視というか。あっ通信が来ているわ』

 

『こちらは、傭兵支援システム「オールマインド」。設備の稼働が確認されたので通信を送りました。そのガレージの使用者である、登録番号Rb49 識別名デンジャーは死亡が確認されています。残された機体は所有者がいない状態であり、貴方が望むのであれば、傭兵登録をすることでその機体の所有者となり、ガレージのユーザー権限を入手できることをお知らせします』

 

 

 やっぱり地雷伍長*4じゃねーか!!!じゃあこの機体の名前はワスプか?いやエンブレムを引っぺがして色を塗りなおし、ミサイルを背負うだけで主人公になれる機体と考えれば問題ない。初期機体なんてそんなもんだと受け入れるべきだ。

 そして傭兵を支援するAIシステム……どうしても邪推してしまう*5が内容は極めてこちらに都合のいいものだ。

 メタ思考だがおそらく金銭だの資産価値だのに興味なく、とにかくACに乗って戦う人を増やしたいというスタンスなのだろう。もちろんこちらもACに乗って戦いたくてここに来たので大歓迎だ。

 迷わず了承し、登録に必要な簡単な個人情報を伝え傭兵登録をしてもらう。

 

 

『登録番号Rb58 識別名 プラス・フェリクス 新規傭兵としてユーザー権限を承認します。オールマインドは傭兵支援の一環として、戦闘技能教習シミュレータも提供しています。教習項目を修了された傭兵各位には褒章として機体パーツも給付されるため、まずは一通り修めておくとよいでしょう。新人向けの情報教材も送信しておきます。オールマインドは、貴方の活躍に期待しています』

 

「ありがとう。最後に機体は万全の状態のようだけど、先任のデンジャー氏はなんで死んだか分かる?」

 

『ガレージの情報ログによると、彼は依頼の目標地点に予定にない多くの敵が居たため逃亡。帰還後にコーラルを摂取した後、運試しと称し自動拳銃を用いてロシアンルーレットを試みたと想定されます。通信を終わります』

 

 

 想像を超えたアホな理由に故人を悼む気分が消し飛んだ。技能教習の前に部屋のスペースを埋めるくっせぇ生ゴミをダストシュートに叩き込むことを決意する。

 

 

『コーラルが絡むと死人が増える。やはり人とコーラルの共存の道は険しいわね……』

 

「こんなのを人類のサンプルとしてカウントしないでくれよ。個人的にはコーラルを増やしまくって銀河水没チャレンジとかやってみたいね」

 

『えぇ……』

 

*1
MuscleTracerの略称だがAC6本編では一度も説明されない。元は旧ザクみたいな人型作業機械であり戦闘能力も相応だが、別に強い武装が使えない訳ではない。またACと同じ技術が使えるので大型の戦闘用MTなどは下手なACよりも強かったりする。

*2
ArmoredCoreの略称。戦闘用MTから発展したCoredMT(換装により色んな戦況に対応)をさらに戦闘用に特化したもの(旧作設定)。AC6だと操作系が強化人間前提の難しすぎるものであり、限られた強者以外はMTや砲台を並べれば普通に倒せる程度の扱い。

*3
AC6の舞台、惑星ルビコン3にのみ存在する赤く光る液状の物資。燃料、飼料、麻薬、武器、人体強化、情報回路、ヒロインと凄まじい有用性がある上に自己増殖し尽きることが無い夢のような物質。当然これを巡って争いが起きている。

*4
ACPPに登場するアリーナ最下位の名物レイブン。海外版だと名前が変わる。

*5
初代AC、ACMoA、AC3、AC3SL、ACNX、ACNB、ACLR、ACVでAIがラスボスだった。




という訳でACゲットです。メタいこというと初期機体と武装は売却不可(ゲーム的都合だけど、無理に解釈するなら戦わせたいオールマインドが手放させてくれない)、仮に手放せても大金だけ持ってる密航おじさんが幸せになれる惑星ではありませんね!来るんじゃなかった…こんな惑星…

フィリクス君は20台半ば。福神漬けになる前の私生活では親にコーラル飲まされた影響でぼんやりする頭でひたすら戦闘シミュに籠ってました(前世記憶は無くても体は闘争を求めるため)。
5本指に割り込むのはアレ(親指:帥父 人差指:多分自腹AC 中指:帥叔 薬指:ホモ 小指:アイドル)だし、6本指にするにはSHINOBIがいるし。そんなわけで後付け指として登録名にプラスを足してます。他意はナイヨ

セリアは原作では情報少なすぎだけど多分アイビスの火で消えてそう。本作では燃え残ってて、ドルマヤンが交信できなくなったので交信できる人を探してたところに物理的に光る逸材を見つけてスカウト。薬中のホモさえ甘やかしてくれるんだから優しいお姉さんキャラなのは確定的に明らか。エアちゃんより長生きしてるので人にも慣れてます。
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