吾輩はルビコニアンデスお兄さん!人とコーラルの行く末を真に憂う者である! 作:ポポァ
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積んでたソフィー2にハマってたゾ~ やソNo.1!
無機質なライトが照らす雑多な資料が数多く積まれた部屋で、二人の男が会話していた。
つい先ほどまで嫌味な上司にネチネチと仕事の不始末を詰められた直後です。そんな疲労を滲ませた男が気怠そうに口を開く。
「じゃあ……結局あの謎の傭兵君は、解放戦線所属の現地人で、元々ドーザーの戦闘狂がコーラル浸けになって、キラキラ光ってどっか行ったと思ったらAC拾ってきて、ウォルターの猟犬君に負けて居なくなったと思ったら、異常に強くなって帰ってきたってことでいいのかい?」
「それで合っている。お前の報告を鑑みるに、敗北で背負った借金の形に強化人間の人体実験でもされたんだろう。その上で生存し、金欲しさにオールマインドのテストパイロットでもしてるんじゃないか」
「確かに訳の分からないバズーカを装備していたが……あれがまともな武装だったら負けていたかもしれない。挙動も完全に高度な強化をされたそれだった。確認だが、アーキバスの技術の漏出ではないんだろう?」
「ああ、間違いなくコーラル不使用型の脳深部管理デバイス
「そうか……まだコーラルでの強化人間を続けている奴がいるとはなぁ……」
疲弊した企業戦士5号、ホーキンスの眉間の皺が深まる。強化人間技術の過渡期、ルビコンが焼かれコーラルの安定入手が不可能になった段階で、アーキバスはコーラルの神経パルスを有り物で再現する方向へと舵を切った。
手探りの技術開発は数多くの人命喪失を伴い、そこには彼の部下や同僚も多く含まれ、また彼自身も技術の安定化を迎える直前、多くのリスクを背負った第7世代強化人間の生き残りであった。
だがそれでも、コーラルによる脳開発時代の凄惨さに比べれば何倍もマシだと言えたのだ。
「纏めた資料はデータで送っておいた。他に何かあるか?」
「いや、ありがとうオキーフさん。助かったよ」
端末で送られた資料を眺めながら立ち上がり、ドアに向かって歩きながらスライドして現れた赤色発光お兄さん画像を2度見してドアに激突。痛そうにしながら去っていった。
「……行ったか。困ったものだ、スッラの敗死で計画が躓いてくれると思えば、こうも都合良くお似合いの人材が現れるとはな。運命なんてものがあるなど今更思いたくは無いが」
長い会話ですっかり冷めたコーヒーを啜る。泥のような濃さと安っぽい苦みは、アーキバスの情報部門隊長であるV.Ⅲオキーフの長年の倦怠感によく噛み合っていた。
ホーキンスに渡した資料には当然載せていない、件の傭兵の強化人間化はスパイとして自らが流した9世代型の情報をベースにしただろうこと。根幹を成す脳管理デバイスの情報を流していないのは事実であるが、デバイスさえ無ければ無用の長物だったはずの各種データが、コーラルへの異常適応の1点突破で利用され尽くされるとは全くの想定外であった。
「ヴェスパー二人をテスト機で撃退できる強さ。最悪を避けるためにもラスティとは遭遇しないよう調整する必要があるな。……うんざりする」
カップを傾けるが中身は空になっている。溜息を吐きながら立ち上がり、インスタントの粉を入れお湯を注ぐ。安物であろうと香りはコーヒーそのものであり、数少ない生を楽しめる瞬間だった。
「Cパルス変異波形の確保も出来ている以上、オールマインドへのハッキングも危険か。もはや不要となった俺への刺客もくるだろう……」
オキーフが最後に掠め取った、新型強化人間の情報。人体感覚の拡張はオールマインドの研究テーマだが、あそこまでの改変に耐えうる人間が、やがてそのスペックをフルに発揮できる機体と共に殺しに来るのだろう。さらに異常な戦績を挙げ続ける猟犬を使い、ハンドラー・ウォルターが再びコーラルを焼こうとしていることにも勘付いていた。どちらも生き続けていけば、やがてどちらかが彼の命を奪うのは必定だった。
再び溜息を吐き、少しだけ上質な椅子に腰掛ける。そして全てが解決するパターンを願った。
「全部フロイトが倒してくれればいいのに……」
『スペースエイトヘッドゴーストシャークトパスΩとネオギガンティックメカロドンβⅡ改2号機mk-2はどっちが強いのかしら? フィリクスはどう思う?』
「まずサメ映画が大破壊を乗り越えてさらに進化していったことに戦慄を覚えるぜ。人はサメ映画を撮るための形をしている。無限の新作と続編を繰り返すための形状、それこそが人間の本質であり……生命進化のカギなのかもしれない」
『コーラルの代わりにサメ肝油でも脳に流されたのですか? いくら現状様子見するしかないとはいえ、特定カテゴリの映画ばかりを見続けるのは害があるのでは。サメで人は進化しません』
「分からんぞ。ACで水中戦しようとしないのは河童では無くサメを恐れているからかもしれないし。あと個人的にはビッグサンダーグレートファイティングジョーズが好きだったわ。サメ界のリーダー的逸材やね」
俺たちは現在暇になったので、どこでもシアター見放題プラン映画観賞会(サメ縛り)を開いていた。
前回のミッション後、ベリウス北西地方が爆散し海の一部と化したのだが、その際大気中に拡散したコーラルが海を挟んだ向かいにある、中央氷原に向かって行くのが観測されたのだ。
コーラルはより多くのコーラルに集まろうとする習性があり、今回の件で企業や解放戦線が求める集積コーラルが中央氷原の何処かにあることが判明。
そして今は全ての勢力が新たな舞台に戦いの場を移す為の準備の段取りをしている段階……つまり最初からゴール地点が分かっていた俺たちは特に慌ただしいことも無く、さっさとゴールしてくれないとリリース計画が始まらないので誰かを妨害する理由も無く……暇なのである。
封鎖機構と野良ドーザーはどれだけ殴っても問題無いのだが、マインドαはもうお腹一杯だしデータも不要。完全新型作成待ちであり、意味も無く暴れて目立つのもなあ……てな具合である。
やることも無いのでちょっと話題になった映画鑑賞会である。地味に毎月1コーム(1万円相当)と高額サービスなので見ないのも勿体無いし、まずはサメかとなったのだ。
「長い歴史が生み出した数多のサメ、味わい深い。空を知らない地下都市産の自爆するキサラギシャーク系もいいが、火星産進化増殖するディソーシャーク系もいい。重金属汚染により空飛び輝くアスピナシャークとサメ映画から見る人類史やね」
『デボン紀から大して進化していない軟骨魚を参考にしたところで、人類の新たなステップは望めないでしょう。せめて自力で宇宙を開拓してからです』
『でも……私たちコーラルの力があれば?』
「忘れてないか? コーラルリリースの先には……コーラルを浴びたサメもまた生まれるんだぜ?」
『……いや、まさか、我々の計画の先に……? 一応、検討しておきます……』
まさか説得できてしまうとは。大丈夫なのかこのAI。
書こうと思って書けないとき、新しい作品書きたくなる現象、あると思います
10話くらいでエタる作品連発する人はこういうタイプなんかなって。オレモソーナノ
マインドαは卒業。ぶっちゃけ最終決戦に勝てる自信があるならもうバスキュラープラント完成まで寝てても良い事実。原作知識持ちだとさっさと洋上のザイレム壊してほぼ勝ち確なのでフィリクス君には発売前に死んでもらう必要があったんですね。