だいたい殴れば解決する 作:三回転半ドリル土下座
死滅回游の開始から十五日……
大方の予想に反して、羂索に動きはなかった。実働はなくとも、何らかの動きが見えるとは皆の意見が一致していたのだが。ここまで徹底して動きが見えないと、別種の恐怖が湧き出てくる。何か見落としているのではないかという猜疑心など。
現在、すでに八つの
当然キャンプはパンクしているし、人の出入りなどいちいち監視しようがない。干渉しようと思えばし放題だ。にも関わらず、こちらも常識的な問題しか出てこない。
正直に言って、ひたすら不気味だった。
羂索の目的は未だはっきりしない。だが、おおよその予想はついている。これは九十九由基が持ち込んだ情報であり、それを乙骨憂太伝いに聞いただけだが。
死滅回游という超大規模結界の要を作り、そこに天元という要素を制御装置として加え、日本国民全員、もしくは日本そのものを術式影響下に置く。この可能性が一番高いらしい。
薨星宮にはすでに護衛を置いている。まず御三家から一人ずつ(正直こいつらは戦力に数えていない)。浮いている戦力かつ表には出せないという事で、捕虜の脹相。そして特級術師である九十九由基。正直大地としては、由基に関しては最初だけでも死滅回游攻略に回って欲しかったが。彼女曰く、自分の術式は第三者がいる環境に向かないというのと、是が非でも天元を渡せないという事で残った。これに関しては、元々命令権があるわけでもないので仕方ない。
ともかく、由基の意見には大地も同意だった。死滅回游単体ではただの嫌がらせにしかならないし、通常の術式を噛ませてもクオリティが足りない。全呪術師の結界術を支える天元を利用するというのは、納得できる話だ。
由基に合わせて、大地も薨星宮近くにトラップを仕掛けていた。といってもこれは、五条悟が復活した時点で無意味になっている。
沈黙している羂索を気にしながらも、呪術師は死滅回游を治めるべく動く。大地は結界破壊の要なので、そうそう動けなかった(一度最寄りの
死滅回游の外側では、悟の復活が大いに影響した。なにせ、彼は復活からたった数日で、すでに500万を超える呪霊を祓っているのだ。おかげで一般人の被害と混乱は大分減ったと言っていい。ここからの治安維持は、それこそ国家の仕事である。呪術師にどうにかしろと言われても、ノウハウも権限もない。
「おまけに誰も居ないし」
独りごちる。本気で声を聞く者が誰もいない。
大地が待機しているのは東京だ。なぜかと問われれば、日本政府がビビった為である。
二度と政治的空白を生み出してはいけないという意見は分かる。そのために政治家や官僚を守る人員を派遣しろというのも。ただし、この段階でするべきとは言いがたい。
多少の余裕ができたために、自分達の命を最優先しろという意図が透けていた。思わずため息をつく。
期待していたわけではない。権力者というのは多かれ少なかれこんなものだ。むしろ覚悟をもって民衆を守る者こそ異常だろう。普段働いている代わりに、こういった場面で特権を行使するというのも否定はしない。彼らに命を賭けろと言うのも酷だろう。むしろ東京の
ただまあ。本当に暇だった。会話も許されずじっとしているというのは中々に辛い。
「天童はいるか?」
と、聞き慣れない声が部屋の外から響いてきた。
「ここだ」
少々大きめの声を上げる。
高専内は一般的な学校とそう構造に違いはない。部屋数に比べて生徒数がやたらと少ないため、教室プレートがかかっている事は希なのだ。慣れてなければ迷う事もある。
どうせ東京にいるなら、少しでも防衛地点に近い東京校で、とここに押し込められていた。政府としては、本当は移転先の杉並区に張り付いて欲しかったらしい。さすがにそこまで我が儘は聞けないため、突っぱねた。
最初から開けられている扉から顔を覗かせたのは、脹相だった。
「護衛はどうしたんだ?」
「解任された。元々五条悟が復活した時点で、絶対に必要な役割でもなかったしな。羂索がやってきても、お前か五条悟が来るまでの時間稼ぎさえできればいい」
とはいえ、と小さく肩をすくめる。
「九十九由基はまだ不安があるみたいでな。中に残るようだ」
「本人は何してるんだよ」
「なんで羂索来ないんだろうと首をかしげながら、待ち構えるのに飽きて、天元と一緒にゲームやってる」
「天元様ゲームするのか」
クッソどうでもいい発見だった。どうでもよすぎて一時間後には頭から抜けてそうですらある。
「こっちに言付けとかは」
「ない。ないという事実に困惑していた」
「ふうん」
つまり、羂索がやってくる予兆すら感じられていないと。
何なんだろうな、と逡巡する。
天元の必要性がどれほどかは知らないが、少なくとも死滅回游は、プランに重要であるはずだ。それがすでに半分崩されている。常識的に考えれば、もう機能させられないだろう。問題は、常識の通じる相手ではない事だ……
或いはすでに諦めて、雲隠れしているのではとも考えたが。多分ないだろう、と大地は思っていた。
理屈立てて流れを追えば、羂索にはここで全てを決めなければならない理由があるはずだ。でなければ、星漿体と天元の同化が成されなかった時点で、いったん身を隠していただろう。星漿体がどれほどのスパンで生まれるかは知らないが、五条悟健在の間はリスクしかない。それを押して計画を始めたのだ。
ましてや、抱えていた無数の呪物を起動してしまった。これを取り戻すには、一体何百年必要なのか。推察するに、500年ごとにしかチャンスはやってこないのだろう。
(それに宿儺もいる)
彼は鬼札であると同時に足枷だ。大地や悟と戦わない為に逃げる事はあり得ない。
別の計画に移行した。計画そのものを縮小した。或いは、現状でも何ら計画に支障が無い。考えるだけなら可能性はいくらでも思い浮かぶが、判断材料がなかった。全て妄想の域を出ない。
霞を隊長に据えられた(もとい押しつけられた)捜索隊も、恐山以降は
一瞬、脹相に聞いてみようかと思ったが、やめた。知っていたらとっくに言っているだろうし、この時点で誰も聞いてないなら、問い詰めても意味がない。
「まあそんな事はどうでもいい。悠仁は今どこだ? 一緒に戦わせろ」
本気で興味なさげにしながら、彼が告げた。
脹相が戻ってきた時点でこう言われることは分かっていたが、改めて突きつけられると、頭を抱えたくなる。
はっきり言って、脹相、美々子、菜々子の存在は地雷だ。呪術師にとってのではなく、日本政府にとって。
渋谷事変は、その後の死滅回游を抜きにしても日本最大のテロ事件である。その死者数は、過去の国内テロで起きた負傷者数の十倍を軽く超えていた。当たり前にこんな奴らは死刑にしたいし、できれば表沙汰にだってしたくない。が、現状としては司法取引せざるをえなかった。
つまり絶対表で仕事をさせられない連中なのだが、現代人の美々子菜々子はともかく、脹相はそこら辺を理解していない。社会を甘く見ているというよりは、インターネット普及以前の鈍足な感覚のままでいると言うべきか。
だからといって、彼の望みも理解できるため、容易くつっぱねられない。
脹相はあまり表情豊かな方ではないが、それが感情や思考を読み取れない事と必ずしも一致するわけではなかった。はっきり言えば、非常に分かりやすい。
彼の中にあるのは、悠仁への罪悪感と贖罪。心底から悠仁を弟と思っている脹相は、自分達だけ呪霊側に“逃げ”て、悠仁一人を人間に取り越して酷く後悔している。受胎九相図と血の繋がりはないが、存在としては類似しているというのも事実。近しい者がそこを指摘はしないが、一部で危険を指摘する者は少なからずいた。挽回しようと必死なのだ。
意を汲んでやりたいが、かといって任せられる仕事もない。
煮え切らない様子の大地に対して、脹相が眉をひそめた。
「……何もないのか?」
「正直な」
一級術師の中でも上位に位置する脹相を遊ばせておくのは惜しい、という話も悟が復活するまでの話。現代呪術師的な連携ができない彼は、本当に単発の打撃戦力としてしか価値がなかった。そして、目立って力のある呪霊は、一級術師と悟によって祓われている。すでに足りないのは裏方の方で、戦力ではなくなっていた。
(これで羂索の居場所でもある程度分かってれば、禊の意味も込めて偵察をさせてやれたんだが……)
そんなことを考えている時点で、大地はもう彼を身内と認めている。彼は(少なくとも呪術師基準で)善人でも悪人でもない。ただ、弟には誠実だ。悠仁がいるかぎり、信用してもいい存在だと考えている。それこそ、仲間すら裏切る、どこぞのクズよりは。
脹相が嘆息しかけた、かと思えば、少しばかり視線を知らして宙に彷徨わせた。
「揺れた?」
「そうか?」
大地は何も感じなかったが。
日本に住んでいれば地震などいくらでも遭遇するし、鈍感にだってなる。気付もしなかったという事は、せいぜい震度一から二だろう。気にする事ではない。脹相だって、本当にただ気づけたから口に出しただけといった様子だったし。
などと思っていたら、やがて大地でも気づける程度に揺れが大きくなった。それなりに長く続いている。
「嫌な揺れ方だな。この状況で大震災なんて御免被るぞ」
「おい、ここは大丈夫なのか? 崩れる前に外へ出た方がいいと思うのだが」
「現代の建築物は昔と耐震基準からして違うからな。ましてや校舎なんてのは避難所として指定されるから、そうそう崩れん。それこそ校舎が崩れるような地震なら、どこにいても同じだ」
休眠していたとはいえ、150年前の人間なら理解しづらいのも仕方ない。鉄筋コンクリートもまだない時代の生まれだ。
などと言っている内に。揺れは大地震と言えるほどに大きくなった。さすがに立っているのが難しいのか、脹相が軽く壁に手を突いた。
「おいおいおい……」
「なんだ、やっぱり危ないのか」
暢気な事を言っている脹相に、呻く。
「そっちじゃない。かなり遠くで呪力が膨れ上がって……いや、吹き出ている。それも複数」
「襲撃か」
一転、剣呑な気配を発した彼に、小さく首を振る。
呪力は、大地の呪力感知範囲外から感じられていた。つまりはどう足掻いても一個人が発揮できるレベルではない、超膨大な呪力だ。
そんなものが、複数方面から津波のように押し寄せていた。
座禅を組み手を合わせる。姿勢に然したる意味はない。ただ、これがもっとも集中できる姿勢だと思っただけだ。
宿儺は分相応に生きていた。少なくとも、本人はそう思っている。好きなように力を振るうのも、心の赴くまま傲慢を貫くのも、全て己が最強である故。権利などない。義務もない。あるのはただ“我”のみ。
しかし。
唯我独尊であった筈の世界に、一人の男が踏み入ってきた。天童大地。現代最強の一人にして、現代で最も自由な男。
自分の領域に土足で踏み込まれたのに対し、しかし不快感はない。むしろ感じたのは胸の高鳴りだ。
今までであれば、暇つぶしの玩具程度に思っただろう。才能を思うさま感じ、しゃぶりつくし、出尽くしたと思ったら始末する。宿儺にとって、自分の領域に踏み込んできた人間というのは、それだけでしかなかった。
だが天童大地に対しては違う。生まれて初めて――思う様に競いたいと思った。“争い”をしたいと思った。あれと次にまみえる時は、驕りなど捨てて存分にぶつかり合わなければいけない。
今更修行をしようなどとは考えていなかった。鍛錬などした事はないが、強さは追求してきた。今更ちょっとやそっと鍛えたところで、強くなるとは思えない。
これは精神の調整だ。いつ戦うことになっても、最高の状態を発揮できるようにと。
だから願う。己の認めた器が、どうか全力を受け止められないような矮小であってくれるな。
「やあ宿儺」
「…………」
いつの間にか戻ってきた羂索に、宿儺は答えず視線だけを向ける。
彼の装いは、袈裟坊主という現代基準で異質なものではなかった。今はどこにでもいるような洋服姿だ。とはいえ、この状況ならば、普通である事こそ違和感を感じるが。
「あれ? ご機嫌斜め?」
「最後の指はどうした」
どれだけ圧をかけても風に柳というような羂索に、無意味を知って短く問いかけた。
彼はてへ、とでも言うような(非常に鬱陶しい)様子で答える。
「駄目だねー。分かってたけど五条悟が持ってるよ。やっぱないと駄目?」
「あれば最上だったのだがな」
宿儺は、意識だけを背後に向けた。そこにはミイラが鎮座している。
1000年前から存在する、宿儺自身の即身仏。指一本分くらいならこれで補完できるのだが。所詮は間に合わせでしかないし、気分的にもよろしくない。可能であれば、きっちり指二十本の状態で天童大地とまみえたかった。
仕方が無い、と諦める。戦いとは準備の段階から始まっているのだ。相手がこちらに全力を出させないようにしているなら、それもまた戦略。あちらを褒めるしかない。
「でもま、代わりは手に入れておいたじゃないか」
へらへらと笑いながら、羂索。大げさに苦労を語って見せた。
「本当に大変だったんだよ。もう呪術界にツテも地雷もないのに干渉するなんて。いやあ、ひっそり入り込む事の恐ろしさといったら。単体で見るなら、割と悪くない術師がちらほらいるしね。あいつらに時間を稼がれて天童大地か五条悟にでも来られたらアウトだった」
「お前はもう一度くらい殴られた方がいいと思うがな」
小うるさい男に、半眼になって答える。
「宿儺こそどうなんだい? 十種影法術は」
「あれはもういい」
伏黒恵と分離された際、宿儺に彼の術式が転写されていた。相手にも御廚子が残っているだろうが、まあどうでもいい。使いこなせる訳がないのだし。そもそも御廚子は優秀な術式とは言えなかった。強いのはあくまで宿儺であり、御廚子は宿儺が使うからこそ強力なものである。
十種影法術、確かに面白い術式だ。特に八握剣異戒神将魔虚羅は、非常に興味深い。だがそれだけ。便利だという以上の魅力は感じなかった。一度対峙し討ち果たした以上、もう用済みだ。
「ふうん、そんなものかい。まあ、無くして惜しくないならそれでいいか」
「それで、いつ始めるのだ」
「君の準備が整えばすぐにでも」
言われたため、手を差し出した。羂索も承知してたと言うように、紙を渡す。
宿儺は渡されたそれに目を通した後、燃やして塵にした。
「早くて助かるよ。正直、呪霊操術の制御なしに制御を続けるのは、少々しんどくてね」
呟きながら、羂索は右手を挙げた。そこから一歩分離れたあたりに、一体の呪霊が揺らめきながら出現する。
「じゃ、頼むよ、漏瑚」
「報告! 各地で呪霊の動きが活発化しています! 真偽不明ですが、一部では大量発生しているという話も!」
「日本政府から要請……というかもう悲鳴が! とにかくなんとかしてくれと!」
「呪力密度未だ上昇中――体調を崩す者が続出。各地の病院がパンクしています。呪力中毒症状の緩和法をくれと矢の催促があります」
「死者行方不明者、合わせて50万人を突破しています! その……現状で分かる人数でこれですから、今後も増えるかと……」
補助監督から上がってくる報告に、目眩を覚える。それらが一つ一つでも、国家にとって致命的と言えるものだった。
ここまで来ると頭痛すらしない。半ば状況を諦めながら、大地は静かに情報を集めていた。
実のところ、彼が現在率いているのは対死滅回游部隊であり、この情報はほぼ意味を成さないものだ。こういった状況に対処するのは上層部であり、国家首脳陣の役割である。話をこちらにも持ってきて貰っているのは、この中に羂索へ繋がるヒントがないとも限らないから。とはいえ、ほとんどただの悲鳴を聞くのは、中々に堪える。
十一月二十四日。恐らく羂索以外の誰にとっても唐突に、それは始まった。
日本の十二カ所で火山が噴火。活火山死火山の区別なくだ。というか、一部火山帯でも何でも無いところから噴火が起きている。これが(信じられないことに)人為的なものであるとは、呪術師の識者と地質学者の間で意見が一致した。まあそもそも、誰に言わせても羂索の仕業なのだが。
狙いも呪力がある者なら一目瞭然。地下の呪力溜まり(とでも言えばいいのか。正式名称がないので仮称だが)を、噴火によって無理矢理地表に噴出させたのだ。大地が感じた、地震と共に迫ってきた呪力の波はこれが原因だ。
恐らくだが。渋谷事変の折に吸収したという、漏瑚なる大地の呪霊を、真人と同じような形で利用したのだろう。どこかの
目下の問題は数百万人の避難民と、ただでさえ生活不安を抱えている全国民だが。呪術師の視点で言えばさらに大きな問題があった。それは、最早日本中に飽和していると言っていい呪力だ。
あふれ出た莫大な呪力は、全て集めれば死滅回游が完遂した時の、実に百倍近いと考えられている。これは、恐らく羂索が実行したかったことを、結界を利用せずとも力業で実現できる状態だ。それこそ、呪力に当てられて術式に目覚めてしまう者が多発するより遙かに厄介だった。
この事件が発生した事により、再び九十九由基を動かせなくなる。理屈の上だと、後は天元さえ確保できれば全てが終わるのだから。
ただし、それで安心も出来ない。
死滅回游の別プランとして、火山による地下霊地の露出を用意していたように。天元に変る別の方法がないとも限らないのだ。
「新田さん」
「うえ!? は、はい」
忙しく走り回っていた内の一人、補助監督の新田明に声を掛ける。多少うわずった返事が返ってきた。話しかけられるとは思ってなかったのだろう。
「上層部とは連絡が取れるか?」
「いえ。情報そのものは総監部に行ってるものと同じものが入ってくるんですけど、如何せん向こうも混乱してて……」
申し訳なさそうに言う彼女を非難するつもりはない。ただの確認だ。どう考えても、こちらより上層部の方が状況把握を急いでいる。聞いていればいいだけの大地とは忙しさの桁が違う。
ともあれ、連携を復活させられるまでは現場の判断で動くしかない。
もどかしく待っていると、外からどたどたと音がした。
「すみません、遅れました」
入ってきたのは、乙骨憂太班だ。背後には真依、パンダ、棘が続いている。
正直これは大分運が良かった。丁度一つの
「それで、僕達はここで何をすれば」
「待機だ」
「え?」
と、肩すかしを食らったように憂太が呟く。
「正確に言えば、再度で悪いが、代わりに重しをして欲しい。俺はこれから悟と一緒に、可及的速やかに全ての
すでに悟は
現状、大地と悟は同じ判断を下している。
問題は、大地が動かなければならない事。ここに来て、東京に鎮座する特級術師の意味が大きく変っている。
「あとどれほどもせずに与が戻ってくる。連絡はあいつ伝いに頼む」
「分かったよ。けど……大丈夫?」
質問には、苦笑するしかない。それが答えだ。
大丈夫というのが何に対してだとしても、問題あり以外の回答はない。人命、国家の保全、それこそ世界の命運まで。全てが危機に晒されている。
大地の次に権限を持つ憂太が、分かっていないはずもない。それでも、聞かずにいられないのだろう。
「なんとかする。そのために
ただの気休めでしかなかったが。本当に、そう言うしかなかった。