現代の日本に転生したかつての勇者は学園生活で青春を謳歌する 作:虎武士
──4月10日
入学してからそろそろ一週間が経とうしている、桜舞い散るこの頃。
「キャー! 天川君、此方向いてー!」
「被写体になってよ! ちょっと良い写真撮りたいの!」
「同じく! 桜吹雪を背景に撮れば、映えること間違いなしなの!」
「そ、そうですか。は、ははは…」
乾いた苦笑いを
別に彼女達にそのつもりはなくとも、自然にそうなっているので下手に崩せない。
「やっぱり桃士君はモテモテだねえ」
「うん……生まれ持った才能なのかな、あのルックスじゃ仕方ないかもね」
(ホ◯と知った日には、周りの娘達皆気絶しちゃうかもだもんね)
本性を知っている身としては、さきは哀れみの眼差しを向けるのだった。
「おいおい! 天川だけに注目集まっても、マンネリになっちまうぜ!」
自分の席に足を乗せ、
「男は顔がいいってだけじゃ魅力が引き立たねえ! ワイルドな男ってのも、オツなもんじゃね?」
ドヤ顔で王牙は髪を研ぐ仕草で女子達に向かって語る。
「何言ってんのこの
「野生児が天川君に張り合って変な事言ってるわ」
「モテないからって無理に悪ぶっている」
「恋愛物が好きだって言うギャップがあって、何とも言えない」
「この野生児と天川君と比べたら月とスッポンの差があるわね」
「ゴフォッ!?」
辛辣な言葉が出て次々と突き刺さり、王牙は床に手を付いて俯く。
「あ、落ちた」
「ある意味で落ちたね」
この一週間で見慣れた王牙のリアクションと振られっぷりを真顔で見る二人、下心がある為か同情はしない。
「そう言えばこの学園って色んな部活動あるよね、そろそろ決めとかないとつまんない学校生活になっちゃうね」
「はっきり言うな……でも何処に入るかが選択肢があり過ぎる」
身体を動かすならばバスケやサッカー、剣道や水泳と言った運動部。
又は調査や研究にのめり込み、娯楽性のある文化系の部活もありだろう。
「他には生徒会に入るって言うのもいいかな」
「えー? 私そーいうの無理、責任感のある奴苦手だよぉ」
「言うと思った」
学内を取り締まる大役はさきには似合わないだろう、どちらかと言うと文化系の部活の方が彼女に相応しく思う。
この際放課後に部活を全部回ってみたら、何処かに気に入った部があるかも知れない。
「おい雑魚クン、俺らの代わりに勉強やっといてくれや」
すると突然、高圧的な声が聞こえてきた。
「え……で、でも」
更にオドオドしい声が聞こえて、振り向くとおかっぱ髪の少年──
良く目を凝らせば彼の席を三人の男子が包囲していて、真琴の怯えた姿を見下ろして下卑た笑みを深くしている。
一人は黒髪に不気味な顔の少年、一人は豚を彷彿とさせる小太りの少年、もう一人はパンダみたいに黒い隈のある少年。
三人共ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべており、真琴を品定めしているかのようだ。
「いいじゃねえかよ、俺ら
「
「頼むよ〜〜。
「………っ」
真琴は質の悪い虐めに屈してしまっている、様子から察するに真琴は昔からあの三人から虐めを受けてしまっているようだ。
これはいけないと意見を申し立てようと考えていると、さきが先に動いていた。
「何やってるの君達、勉強は自分の力でやらなきゃ駄目じゃない」
眉間に皺を寄せてさきがいじめっ子三人に意見する。
「橘君もちゃんと反論しなきゃ駄目だよ? この三人に一生虐められっぱなしでいいの?」
真琴はビクッと身体を震わせる、三人は下卑た笑みを深くする。
「姫野ちゃん、あんまり強制させないでくれよな? 俺らは出来ねえ教科があるから此奴に頼んだんだよ。なっ、真琴?」
不気味な顔の男子がそう言えば「う……うん」と真琴は困惑気味に頷く、あれは逆らってはいけないと言う怯えた顔だ。
「ったく、闇倉の奴……橘にいつもあんな事させてんのか。通りで満点を取れるわけだぜ」
「自分の手で解けない問題を全て彼に答えさせ、それを自分の手柄の様に振る舞う。あくまで他力本願で答案を書かせていたのか」
不気味な顔の少年──
そんな蛇太郎といる小太りの少年──猪原と黒い隈のある少年──笹井も同様の手口で真琴に強制させており、不快な感情しか沸いてこない。
「ブヒヒッ、姫野ちゃん。たまには僕らと遊ぶんだな〜」
「そうだよ、あんな自称勇者とか言うイタイ奴と連むより楽しいよ。何せ蛇ちゃんのお父さんは政治家で、色んな所に顔が利くんだ〜」
猪原と笹井の言葉に蛇太郎はドヤ顔になり、ニヤけた笑みを浮かべる。
「えっ、普通にやだ」
『真顔で断った!?』
「親の権力で威張ってる人と一緒にいたくないし、生理的に無理。ゆーくん達といた方が楽しーもん」
さきの言葉に蛇太郎達三人は言葉を失い、更に追い打ちを掛ける言葉が響く。
「そう言う事らしいからのう、学友を虐げるのを控えた方がよいでないか」
腕を組んで壁に背中を預けていた
「むぐぐ……自称勇者! 狡いぞ! 姫野さんや御門さんを盾にしてこんな事言わせやがって!」
「はい?」
「そうなんだな〜! クラスの美少女二人を手篭めにして、優位に立つつもりなんだな〜!?」
「ハーレムをしれっと築きやがって! 一回氏ね!」
哀れにも蛇太郎達三人は自然にそんな状態の勇作を罵倒、やれやれと言った様子で教室にいる全員が彼等は溜め息を吐く。
「マジで羨ましいんだよ、此方は! こうなりゃあ徹底的に此奴を辱め──」
「──それ以上はいけませんよ〜闇倉君?」
「………え゛?」
ギギギギギ……と錆びた機械の様に蛇太郎の首が後方へと振り向く。
いつからいたのか、このクラスの担任が微笑ましい笑顔で教科書を抱えて立っていた。
「ふ、藤乃先生!?」
「いつの間にいたんだな〜!?」
「今の言動は頂けませんよ? 闇倉君には
『うえええっ!?』
まさかの宣告に蛇太郎達は絶句、大和撫子の如く優しい笑顔の
キーンコーン……。
丁度学校内にチャイムが鳴り響く、昼休み終了の合図だ。
「さて五限目の時間ですよ。皆さん、楽しく授業を受けましょうね♪」
微笑ましい笑みを浮かべて弥生は勇作達を促すのだった。