所詮は妄想なのでところどころ雑ですが、封印するのも勿体ないので投稿しました。
シン、ZO、龍騎、ブレイド、響鬼あたりのライダーが我ながらひどい使われ方をしていると思ったので、苦手な方はお気をつけください。
あと、クウガは小野寺クウガです。ライジングしません。
ユウスケと夏みかんは出ないと言ったな。あれは嘘だ。
鳴滝「平成ライダー15人の力を結集させるんだ!」
海東大樹は困惑していた。
顔なじみの男、鳴滝が何の前触れもなく突然目の前に現れ、そんなことを伝えてきたのだ。
彼が言うには、「地下帝国バダン」が「メガ・リバース計画」なるものを企んでおり、それを阻止するために平成ライダー15人をかき集めろ、と。
海東に伝えた後は門矢士にも会いにいく、と残して彼はそれきり姿を消してしまった。
伝えるだけ伝えて是非も問わずに去っていった彼に多少の不信感を抱きつつも、海東は士のためだと割り切って動き出すのであった。
海東「そういうわけで君の協力が必要なんだ。引き受けてくれるよね?」
ユウスケ「いきなり現れたと思ったら……何の話だよ」
小野寺ユウスケ。かつて士たちと共に旅をしていた「仮面ライダークウガ」に変身する青年だ。
現在は拠点としていた光写真館を一時的に離れ、自由気ままに暮らしていたようだ。それ故、探し出すのに苦労したが。
海東「地下帝国バダンのなんとか計画を阻止するために平成ライダーを集めろ、って頼まれてね」
ユウスケ「頼まれた、って…鳴滝さんにか?」
海東「ああ。じゃ、よろしく頼んだよ」
ユウスケ「お、おい!俺まだ何も……」
海東「士も動き始めてる頃だ。他のライダーからも協力を仰ぐから君もついてきたまえ」
ユウスケ「人の話聞けよ──って、士が?……仕方ない、いくよ、ったくもー…」
愚痴を言いながらも海東に続くユウスケ。
まずは一人だ。次は───
ドカァァァンッ!!
ユウスケ「なんだ!?」
海東「あっちだ」
突如轟いた爆発音。二人はその方角へ走り出す。
海東とユウスケが向かっている広場では、二体の怪人と戦闘員らしき集団の姿があった。
突然地面に走った亀裂から二体の怪人が現れ、広場は一瞬でパニックに包まれる。
怪人1「ようやく出てこれたぜ……畜生、モグラロイドの野郎しくじりやがったな!許せねえよなぁ、カメレオロイド!」
怪人2「お前はまだいい、ジゴクロイド。地中はお前のオアシスみたいなもんだろう」
悪態をつきながら広場で暴れ回るジゴクロイドというらしい怪人に、カメレオロイドというらしい怪人が馬鹿にするような口調で言う。
ジゴクロイド「コンクリートに埋まって何がオアシスだ!ああもう気分悪い、モグラロイドの野郎どついてやらねえと気が済まねえ!」
カメレオロイド「そのモグラロイドだがな、兄弟共々もうくたばってるみたいだ」
ジゴクロイド「何ぃ!?何でだよ!?ああ、最悪だ!この苛立ちはもう……」
ジゴクロイドの鋭利なハサミが逃げ惑う人々の背中を捉えた。
ジゴクロイド「人間殺して抑えるしかねえなぁ!」
カメレオロイド「待て。俺たちにはやることがあったはずだ」
ジゴクロイド「テメェがやれカメレオロイド!俺はひと暴れしてえ!」
カメレオロイド「やれやれ。ま、いいけどな…俺も真面目にやる気はないし」
カメレオロイドは戦闘員を引き連れて広場を立ち去る。
それを見届けもせずにジゴクロイドは雄叫びをひとつ上げると、ハサミを振りかざして逃げ遅れた青年に襲いかかった。
ジゴクロイド「死ねやぁっ!!」
青年「う、うわあああぁぁっ!!」
バシュンッ!!
ジゴクロイド「うがっ!?」
突如背中に走った小さな衝撃に、ジゴクロイドは今まさに振り下ろさんとしていたハサミを止め振り返る。
そこにはジゴクロイドに銃を向けるディエンドの姿があった。
ディエンド「穏やかじゃないね」
ジゴクロイド「何だテメェは…?」
ディエンド「通りすがりの仮面ライダーさ」
ジゴクロイド「あぁん?仮面ライダー……だと?」
ユウスケ「早く逃げろ!」
青年「は、はいぃ…」
突如現れたディエンドにジゴクロイドは心底不機嫌そうに返す。
その間にユウスケは腰を抜かしていた青年を助け起こし、逃した。
ユウスケ「お前らがバダンか!」
ジゴクロイド「俺の邪魔すんな!」
ユウスケ「変身ッ!」
ジゴクロイドが頭部に生えたハサミから電撃を放つ。
電撃は拡散して二人に襲いかかり、ディエンドはバックステップで回避する。
ユウスケはクウガに変身して回避───できず、電撃をその身で受け止めた。
クウガ「き、効いたぁ……」
ジゴクロイド「テメェから死ね!」
ディエンド「おっと、そうはいかないよ」
《ATTACK RIDE…》
《BLAST》
ジゴクロイド「フン、そんな豆鉄砲が効くか!」
《ディエンドブラスト》がジゴクロイドに襲いかかる。
注意がクウガに向いていたジゴクロイドの背中にヒットするが、不意打ちに驚いただけで大したダメージにはなっていないようだ。
ジゴクロイドは両腕のハサミで地面を貫くと、一瞬ですり鉢状の蟻地獄を作り出した。
ディエンドとクウガをまとめて飲み込んだ蟻地獄は、二人を中央部で待ち構えるジゴクロイドの元へと引き寄せていく。
ディエンド「っ、これは!?」
ジゴクロイド「まとめて埋まれや!」
クウガ「超変身!でやぁぁっ!!」
ジゴクロイド「おっ!?」
クウガはドラゴンフォームへ「超変身」し、蟻地獄に飲み込まれてきた鉄棒を掴んでドラゴンロッドへ変化させる。
そして強化された跳躍力で蟻地獄から脱出し、ドラゴンロッドでジゴクロイドを一突きする。
ジゴクロイド「そんな攻撃じゃ、俺の甲殻には傷ひとつ付けられねぇぜ!」
ディエンド「いいね。それ、いただき」
《KAMEN RIDE…》
《GAI》
《SASWORD》
ディエンド「よろしく」
ディエンドが仮面ライダーガイと仮面ライダーサソードを蟻地獄の外へ召喚する。
ガイはメタルホーンを、サソードはサソードヤイバーを振りかざしジゴクロイドに飛びかかった。
サソードがクロックアップにより蟻地獄をものともせずジゴクロイドに攻撃を加えていく。
ガイは重量級の一撃でジゴクロイドを怯ませるが、それでも傷は付かなかった。
ジゴクロイド「ちっ、くそ……効かねえ、効かねえがな、うざってえんだよ!!」
ディエンド「なっ!?」
クウガ「うおおっ!」
ジゴクロイドは蟻地獄から飛び出すと、空中から電撃を放つ。
蟻地獄から解放されたディエンドとクウガは何とか回避したが、直撃したガイとサソードは消滅してしまった。
着地したジゴクロイドが二人を鬱陶しそうに睨みつける。
ジゴクロイド「今度こそ消えてもらうぜ…」
ディエンド「悪いけどこっちも本気でいかせてもらうよ……ユウスケ!」
クウガ「おっ!?これは……よしっ、超変身!」
ディエンドはクウガに、サソードが遺したサソードヤイバーを投げ渡す。クウガはタイタンフォームに超変身し、サソードヤイバーをタイタンソードに変えた。
ジゴクロイドが雄叫びを上げると、彼の胴体の髑髏が口を開き、赤い極太レーザーを射ち出した。
ジゴクロイド「消し飛べぇぇっ!!」
クウガ「てやあああぁぁっ!!」
タイタンソードでレーザーを真正面から両断する。二方向へ枝分かれし、威力が分散されたレーザーは勢いを失って地面に着弾した。
クウガはその爆発を背にジゴクロイドに歩み寄りタイタンソードによる重い一撃を加え、頭部のハサミを片方切り落とした。
ジゴクロイド「グウウゥゥァァァ……お、俺の、ハサミがぁっ…!」
ディエンド「やるね」
クウガ「てかお前も戦えよ!?」
ディエンド「だって僕の攻撃通用しないし」
クウガ「そうですか」
ジゴクロイド「許さねえ、許さねえぞテメェらぁぁぁ!!」
激昂するジゴクロイドが残った片方のハサミから電撃を放つが、バランスを失ったそれはあらぬ方向へと飛んでいく。
ディエンド「哀れだね」
《FINAL ATTACK RIDE…》
《DI DI DI DIEND》
ディエンド「ま、トドメくらいは決めさせてもらうよ」
クウガ「よし、いくぞ!」
ジゴクロイド「なめるなぁぁぁ!!」
《ディメンションシュート》がジゴクロイドに向けて放たれる。
ジゴクロイドは再び赤いレーザーを放ち迎え撃つが、明らかに出力の落ちているそれはあっさりと破られ、《ディメンションシュート》が防御力の低い腹部に直撃した。
ジゴクロイド「グガアァァッ……」
ディエンド「ユウスケ、あそこだ!」
クウガ「とおりゃあああぁぁっ!」
ジゴクロイド「グ、オ、アアアァァッ───」
《ディメンションシュート》を受け切ってなお倒れないジゴクロイドの無防備に開かれた腹部にクウガのタイタンソードが突き刺さる。
《カラミティタイタン》により刀身から流し込まれたエネルギーに耐え切れず、ついにジゴクロイドは爆散した。
クウガ「ぃよっしゃあ!」
ディエンド「こんなものか」
ジゴクロイドの最期を見届けた二人は変身を解除する。
海東「さて、ライダー探しの続きといこうか」
ユウスケ「それより、もう一体の方を追うべきじゃないか?」
海東「そんなこと言われてもどこへ行ったか分からない」
ユウスケ「まあ、そうだけど…いいのかなー放っておいて…」
ユウスケは納得いかなそうに頭を掻きながら海東に続いて広場を後にする。
「…グオオオォォ……」
人のいなくなった広場にぽっかりと開いた蟻地獄の跡。
その奥底からどす黒い怨恨が湧き上がった。
~~~
平成ライダーを結集させるため捜索を続ける海東とユウスケ。
海東はひとつだけ当てがあるのを思いだし、とある巨大財閥の本社、その会長室を訪れていた。
目の前には、大きな窓からまるで神様のように下界の景色を見下ろす巨大財閥の主───鴻上光生の後ろ姿。
海東「単刀直入に聞くけど、『仮面ライダーオーズ』は今どこにいる?」
海東の問いに鴻上は何も答えない。ただただ下界を見下ろしている。
何となく居心地の悪さを感じるユウスケは、イチゴがふんだんに使われた巨大なショートケーキ1ホールを黙々と食べ続けている秘書らしき女性に声をかけてみるが、完全にシカトされた。
海東「…もう一度聞くけど、オーズは……」
鴻上「海東大樹君いや、仮面ライダーディ・エーッンドッ!!」
ユウスケ「うわぁ!?びっくりした!!」
突然振り返り耳をつんざくような大声を出した鴻上に驚き、ユウスケは身をすくめる。
海東と秘書の女性はまったく動じていなかった。
鴻上「火野君の居場所を知りたいそうだね?」
海東「やっと教える気になったかい?」
鴻上「火野君がどこにいるのか?何をしてるのか?それは……」
ユウスケ「そ、それは…?」
鴻上「それは、私も知りたい!」
海東「…じゃ、もういいよ。邪魔したね」
心底呆れ果てた様子の海東はそれだけ言い残して会長室を出ていこうとする。
鴻上「待ちたまえ海東君!」
海東「まだ何か?」
鴻上「音信不通の火野君を探すのは困難を極めるだろう。そ・こ・で、だ!里中君ッ!!」
里中「定時なので上がりまーす」
鴻上「里中君!待ちたまえ里中くぅーん!!」
いつの間にか巨大ケーキを完食し、それどころか帰宅の準備も済ませていた里中、というらしい秘書はキャリーバッグを引いて会長室を出ていってしまった。
沈黙の中に響くキャリーバッグの車輪の音が遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった頃にユウスケが口を開いた。
ユウスケ「あの…何か話すことがあったんじゃ…」
鴻上「…帰ってしまった里中君の代わりに、私が話そう」
海東「…よろしく」
鴻上「先程言ったように火野君は今音信不通の行方不明だ!ついでにバダン帝国なる侵略者もいる。それとはまた違う、思わぬ邪魔が入るかもしれない。探すのは骨が折れるだろう」
ユウスケ「で、会長さんはどうやってオーズを探すつもりなんだ?」
鴻上「私の知り合いが経営するクスクシエという料理店がある。そこを伺ってみたまえ。里中くんを付ける予定だったが…帰ってしまったからねぇ!!」
ユウスケ「…意外と根に持つタイプ?」
海東「ま、小さいけど貴重な手がかりだ。すぐに向かおう」
会長の後光が差しそうなほど輝かしい満面の笑みに見送られ、二人は鴻上ファウンデーションを後にした。
~~~
多国籍料理店クスクシエ。
現在、「サバンナフェア」開催中。
店内の内装も店員たちの衣装もアフリカンテイスト一色に染まったクスクシエを訪れた二人。
その門をくぐるなりはつらつとした店長らしき女性に出迎えられ、彼女の半ば強引ともいえるペースに飲み込まれ、気付けば席に座り料理の注文を終えていた。
ユウスケ「なんていうか…すごいお店だな…口をはさむ隙すらなかった」
海東「只者じゃないね、あの女性」
ユウスケ「あ、これ美味い!」
海東「悪くないね」
ユウスケ「ってこんなことしてる場合じゃないだろ!」
海東「座りたまえ。行儀が悪いよ」
ユウスケ「お前がお行儀を語るのか…!」
ひとまず、目の前の料理を完食させる二人。
ユウスケが何気なく店内を見渡してみると、隅っこの席にあの秘書───里中の姿を見つけた。だが何やら近寄りがたいオーラを放っており、話を聞ける状態ではなさそうだ。
もう一度ぐるっと見渡してみる。里中の隣の席、そこには談笑する二人の女性。
ユウスケ「あ、あれぇ…?おい海東、あそこにいるのって…」
海東「うん?」
デザートに夢中になっていた海東がユウスケの言葉に顔を上げ、ユウスケの示す席を見る。
その席に座っていた女性二人もこちらに気付いたようで、その一人がユウスケたちを見て表情を緩めた。
夏海「ユウスケ!大樹さんも!」
ユウスケ「やっぱり夏海ちゃんだ!久しぶりだなぁー」
思わぬ場所での再会を喜び合うユウスケたち。
光夏海。かつてユウスケや海東同様、士と旅を共にした仲間である。
海東「なぜ君がここに?」
夏海「一人でどこかへ行ってしまった士くんを探しに来たんです。最初はおじいちゃんも一緒に行くってはりきってたんですけど、腰を痛めちゃって…」
ユウスケ「ああ…」
海東「士の行方なら知ってるよ」
夏海「本当ですか!?」
海東の台詞に、これまでもにこにこしていた夏海の表情が更に明るくなった。
そんな雰囲気の中話し掛け辛そうに、夏海と相席していた女性が声をかけてくる。
?「あのー…お知り合いなんですか?」
夏海「はい!かつて一緒に旅をした仲間です」
ユウスケ「ああそうだ、夏海ちゃん、そちらは?」
夏海「比奈さんです。昔ここでアルバイトしていたそうですよ」
比奈「泉比奈です、よろしくお願いします」
夏海に紹介され、比奈は恥ずかしそうに頭を下げる。
鴻上「これもまたひとつの異世界交流というものだ!!」
夏海「ひぃ!?」
ユウスケ「うおあぁびっくりしたぁ!?」
突如クスクシエの扉を開いて現れた鴻上会長に、指名された里中はまったく動じず、それどころか料理から一切関心を外さない。
そんな彼女の態度に鴻上も大して気にも留めない。むしろユウスケたちの方が動揺していた。
鴻上「いくつもの世界が交わり、そしてまた離れていく。その根源こそ欲望にあり!素晴らしいと思わんかね里中君!」
里中「そうですね」
海東「来たね、会長さん。もう一度話がしたかったんだ。手がかりらしいものは何一つ手に入っていないよ」
鴻上「そ、の、ま、え、に!これを見たまえ!」
そう言う鴻上の手のひらにはバッタカンドロイドが乗っていた。
夏海「わ、かわいい!何ですかこれ!?」
ユウスケ「か、かわいい?」
鴻上「撮影・録画機能付きバッタカンドロイドだ。この子が撮影した動画を見てほしい」
海東「?」
バッタカンドロイドが虚空に映像を投影する。それは先程のジゴクロイドとの戦いを記録したものだった。
夏海「怪人…?これ、戦ってるのユウスケと大樹さんですよね?」
ユウスケ「そうだね。広場で人を襲ってたから倒したんだけど…」
海東「これがどうしたっていうんだい?」
鴻上「まあまあ、最後まで見たまえ」
鴻上の言う通りに動画を見続ける。場面はジゴクロイドを撃破し、二人が立ち去ったところだ。
しばらく閑散とした風景が映っていたが、突如低くくぐもった声が響いてきた。
『…グオオオォォ……』
ユウスケ「こ、これは!?」
映像には、地面に空いた穴からゆっくりと、倒したはずのジゴクロイドが這い上がってくる姿が映っていた。
その体は白く染まっており、クウガが切り落とした頭部のハサミも再生している。
海東「復活した…?」
鴻上「あの怪人はまだ死んでいない。またどこかで人を襲うだろう…だがこの街にはそれを救ってくれる仮面ライダーがいる!」
ユウスケ「えーっと…それってやっぱり…」
鴻上「話はまた後にしよう。この怪人は近くの自然公園に移動したようだ。後は頼んだよ仮面ラァァァイダァ!!」
海東「…仕方ない」
ユウスケ「ああ、やるしかないよな」
夏海「あ、待ってください!」
ユウスケ「危ないから夏海ちゃんはここにいて!」
夏海「で、でも…」
海東「足手まといだ。来なくていい」
ユウスケ「海東!そんな言い方…」
海東「言い争ってる場合じゃない」
ユウスケ「ああもう!分かったよ!夏海ちゃんごめん!海東には後で俺から言っておくから!」
夏海「…分かりました。気を付けて」
ユウスケ「ありがとう!」
海東とユウスケはクスクシエを飛び出していく。
残された夏海は静かに席に戻り、しょんぼりと肩を落とした。
比奈「ほ、ほら、元気だして!きっとあの人なりの気遣いで…」
夏海「ありがとうございます。でも、違うんです」
比奈「え?どういうこと?」
夏海「ユウスケと大樹さんに会えて、やっと士君のところに辿り着けそうだと思ったんです。でも、また置いてかれちゃいました…それが寂しくて…」
比奈「夏海さん…」
がくり、と項垂れる夏海に比奈の表情も暗くなる。
比奈「夏海さんって、その士って人のことが本当に好きなんだね」
夏海「ええぇっ!?そ、そんな!ち、ち、違いますよぉ!」
比奈「なんてね。ちょっと言ってみただけだよ」
夏海「へ、変なこと言わないでください…」
顔を真っ赤に上気させて慌てふためく夏海の様子を心底可笑しそうに笑う比奈。
そんな比奈同様に笑顔を浮かべる鴻上だったが、その笑顔は比奈とはまた別の意味のものであった。
鴻上「とてつもなく巨大な欲望が渦巻いている。素晴らしいッ!私はそれを見届けたい!!」
~~~
ジゴクロイド「………」
一方、復活したジゴクロイドが姿を現した自然公園はのどかな雰囲気から一変、パニック状態になっていた。
だが、ジゴクロイドのその虚ろな眼に逃げ惑う人々は映っていない。ただただ巨大なハサミを引きずりながら、己を傷つけた憎き敵の出現を待っていた。
クウガ「見つけた!」
ディエンド「すっかり干からびてしまったようだね」
ジゴクロイド「………!!」
駆けつけたディエンドとクウガを見つけるなり、その眼に闘志が宿る。ジゴクロイドは形容しがたい絶叫と共にハサミを振り上げ襲いかかってきた。
感情のままに打ち下ろされる重い一撃一撃がかわされる度、地面に鋭い爪痕が生じていく。
もはや目の前の敵を倒すことしか考えていないようなジゴクロイドの姿に二人も動揺を隠せなかった。
クウガ「何だ、こいつ!?」
ディエンド「まるでゾンビだ」
???「その通り」
クウガ「誰だ!?」
突如頭上から降ってきた声に二人の注意が逸れる。
暴れ回るジゴクロイドから距離をとって声のした方を見上げると、そこには街灯の上に立つカメレオロイドの姿があった。
カメレオロイド「ジゴクロイドはもはや怨みの感情だけで動くゾンビも同然。よほどお前たちに敗れたのが悔しかったのだろう。哀れな奴だ」
クウガ「お前、他人事みたいに…仲間じゃないのか!?」
カメレオロイド「敗北した者に慈悲なし。ただ誇りのみをもって死せよ。それが我らバダン帝国だ」
ディエンド「なるほど。気が合いそうだ」
クウガ「冗談言ってる場合じゃないだろ!」
話している間にもジゴクロイドの猛攻は続いていた。そのハサミの破壊力を恐れて距離をとれば先程よりも威力の増した電撃を放ってくる。
装甲が脆くなっており普通にダメージが通ることと、レーザーを撃てなくなっていたことが幸いか。
ディエンド「気になってたんだが、君は加勢しないのかい?」
カメレオロイド「あいつがお前らを倒すのを見届けねばならんからな」
ディエンド「…言ってくれる。ユウスケ、少し任せるよ」
クウガ「お、おう!」
ククク、と不敵に笑うカメレオロイド。
彼がこの戦闘に干渉してくることはないと確信したディエンドはクウガにジゴクロイドを任せて一旦引き下がる。
ディエンド「今度はしっかりと働いてくれたまえ」
《KAMEN RIDE…》
《OUJA》
《GAOH》
ディエンドライバーから二体のライダー、仮面ライダー王蛇と仮面ライダーガオウが召喚される。
王蛇「祭りの時間だ…!」
ガオウ「まずはお前から食ってやる」
王蛇はベノサーベルを、ガオウはガオウガッシャーを振りかざし───クウガに襲いかかった。
クウガ「いったぁ!?ちょっ!違っ!俺じゃない!あっちあっち!!」
王蛇「俺を楽しませろ!」
ガオウ「久々の獲物だ…」
クウガ「助けて海東!い、痛い!痛い!」
ディエンド「………」
二体の邪悪なライダーに嬲られるクウガ。目の前の光景にゾンビ状態のジゴクロイドさえも呆然としていた。
ディエンドはただ何も言わず、新しいカードをディエンドライバーに装填する。
《ATTACK RIDE…》
《CROSS ATTACK》
ディエンド「お二人さん、ターゲットはあっちだ」
《CROSS ATTACK》が発動されると二体のライダーは半ば強制的にジゴクロイドの方へ向けられ、それぞれの必殺技を放つ。
ガオウの《タイラントクラッシュ》がジゴクロイドを横薙ぎにし、怯んだところへ王蛇のベノクラッシュが炸裂する。
大ダメージを受け吹っ飛ばされるジゴクロイドだが、まだ倒れなかった。役目を終えた王蛇とガオウは消滅する。
ジゴクロイド「グ…ガ、オ……」
ディエンド「何てタフな奴だ」
カメレオロイド「………」
クウガ「次で決める!でやあああぁぁっ!!」
クウガが跳躍し、《マイティキック》を放った。ジゴクロイドはそれを直に受け止め、壁に叩きつけられる。
───それでもまだ彼は起き上がってきた。
クウガ「な…」
ジゴクロイド「オ、オォ……」
カメレオロイド「………」
あまりの執念に戦慄するディエンドとクウガ。
傷だらけで全身から煙を吹き出させながらゆっくりとこちらに歩み寄ってくるジゴクロイドの姿に思わず後ずさってしまう。
ゆっくり、一歩ずつ、確実に近付いてくる、怨みと執念に取り憑かれた怪人のその背に───鋭い飛び蹴りが突き刺さった。
???「ストロンガー電キーック!」
ジゴクロイド「グ、ガアアアァァッ!!」
カメレオロイド「ム…!?」
クウガ「な、なんだ!?」
跡形もなく爆散し、ついに息絶えたジゴクロイド。
砂煙が晴れると、そこには───仮面ライダーストロンガーの姿があった。
ディエンド「君は……仮面ライダーストロンガー!?何故ここに」
クウガ「ストロンガーだって?先輩ライダーが助けてくれたのか…」
カメレオロイド「ちっ…」
クウガ「あっ、逃げた!?」
ストロンガーに気付いたカメレオロイドは姿を背景と同化させて消し、逃亡した。
二人はストロンガーに駆け寄る。
ストロンガー「………」
クウガ「あれだけタフだったあいつを一発で倒すなんて」
ディエンド「さすがは昭和ライダーってところかな。そうだ、君の力も───」
ストロンガー「電、ショーック!」
ディエンド「ぐっ…!?」
クウガ「海東!?」
突然、ストロンガーはディエンドを攻撃。
不意を突かれたディエンドは強烈な電撃を帯びた打撃を受け、変身が解除された。
海東「ぐ、あ…」
クウガ「ストロンガー、一体何を…」
ストロンガー「仮面ライダークウガに仮面ライダーディエンド!悪いが、ここで消えてもらうぜ!」
クウガ「え!?」
ストロンガー「電パーンチッ!」
クウガ「な、何なんだよ…!」
ストロンガー「おらぁっ!!」
クウガ「くっ…何だか分からないけど、とにかくやるしかない!超変身!!」
クウガは繰り出された電パンチを間一髪でかわし、ドラゴンフォームへと超変身。
先程の戦いでジゴクロイドがへし折った鉄柵を拾ってドラゴンロッドに変化させる。
クウガ「でやああぁっ!!」
ストロンガー「なんの!」
クウガ「おっ!?」
突き出したドラゴンロッドをあっさりと受け止められ、逆に振り回されてしまう。
海東は圧倒されるクウガに加勢しようと、傷だらけの体で吹っ飛ばされたディエンドライバーに手を伸ばそうとする。
ストロンガー「エレクトロファイヤー!!」
クウガ「ぐあああぁぁっ!!」
海東「ゆ、ユウスケ…!」
ストロンガーが放った凄まじい電撃が、ドラゴンロッドを通じてクウガに襲いかかる。
感電したクウガはドラゴンロッドを取り落とし、膝から崩れ落ちてしまう。
ストロンガー「トドメだ!」
ディエンド「ま、待て…」
ストロンガー「ストロンガー電キーック!!」
クウガ「うわあああぁぁっ!!」
ディエンド「ユウスケッ!!」
《ストロンガー電キック》が直撃し、クウガが爆散する。
煙の晴れた場所にクウガの姿はなく、ただひとつの「錠前」が落ちているだけだった。
海東「何故、こんなことを…」
ストロンガー「バダンを呼び寄せた平成ライダーを許すことはできない。テメェにも消えてもらうぜ」
海東「もう戦えない、この僕にも…手をかけるって言うの、かい…?」
ストロンガー「…何だと?」
海東の言葉にストロンガーが歩みを止める。
それを待ってましたと言わんばかりに、海東は持てる力を振り絞って前転。ディエンドライバーを拾ってストロンガーに数発銃弾を撃ち込むと、怯んだ隙に逃走した。
ストロンガー「……逃したか」
残されたストロンガーは海東の姿を見失ったのを理解すると、静かに自然公園を立ち去っていった。
~~~
夏海「あ、大樹さん!おかえりなさ……ど、どうしたんですか!?傷だらけじゃないですか!」
海東「………」
満身創痍でクスクシエに帰還した海東を夏海が出迎える。
何故傷だらけなのか、何故ユウスケがいないのか。夏海の頭の中は混乱していた。
夏海「大樹さん!しっかりしてください!海東さん!」
海東「」
比奈「夏海さん、海東さん死んじゃうから!」
夏海「あ、す、すみません…」
夏海にがくがくと揺さぶられ意識が混濁する海東。
ひとまずクスクシエ二階の空き部屋に運ばれ、傷の手当てを受けることになった。
海東「………」
夏海「大樹さん…何があったんですか?ユウスケは…」
海東「…ユウスケは……倒されたよ」
夏海「…え?」
海東の言葉に夏海は持っていた包帯を取り落とす。
夏海「倒されたって…本当、なんですか…?」
海東「僕の目の前でね…」
夏海「そ、そんな…一体誰に…」
海東「………」
仮面ライダーストロンガー。
彼は「平成ライダーを許さない」と言っていた。昭和ライダーは敵に回ってしまったのだろうか。
夏海「大樹さん!」
海東「昭和ライダー…一体何が起こっているんだ…」
比奈「海東さん!夏海さん!」
夏海「ど、どうしたんですか?そんなに慌てて…」
比奈「これ!これ見てください!」
どたどたと足音を立てながら部屋に駆け込んできた比奈が18インチほどのタブレットを二人に向ける。
そこに映っていたは───龍騎・ブレイド・響鬼の平成ライダー三人がストロンガー・シン・ZOの昭和ライダー三人と戦っている場面だった。
海東「龍騎…ブレイド…響鬼…」
夏海「比奈さん、これは一体どういうことですか!?」
比奈「私にもよく分からないんです……鴻上さんが海東さんに見せてこい、って。バッタカンドロイドから送られてくるライブ映像なんですけど」
海東「…怪我人をこき使うなんて、あの会長さんもいい度胸してるね」
夏海「大樹さん、まだ動いちゃダメです!」
海東「もう平気さ。それに僕は平成ライダーを集めなければならない……士のためにもね」
夏海「…え?」
海東「…邪魔をしないでくれたまえ」
それだけ言い残し海東は部屋を飛び出していく。
夏海「待ってください大樹さん!」
比奈「あっ、ちょっと!夏海さんも待って!」
慌てて海東の後を追いかける夏海と比奈。
部屋に残されたタブレットの中では、平成ライダーと昭和ライダーの正義のない戦いが続いていた。
~~~
《SLASH》
《THUNDER》
ブレイド「ウェエエエエエイ!!」
シン「があぁっ!!」
高架下で繰り広げられる平成と昭和の戦い。
ブレイドの《ライトニングスラッシュ》がシンを一閃し、爆散した。
ZO「シン!おのれ…!」
響鬼「くっ!」
ZOは回し蹴りで響鬼を引き離すと、跳躍しブレイドに躍りかかる。
ZO「とあああぁぁっ!!」
ブレイド「ぐああぁぁっ───」
ZOの鋭いキックがブレイドに直撃し、爆散する。
龍騎「ぶ、ブレイド…」
ZO「次はお前だ」
ストロンガー「いくぞ!」
響鬼「龍騎、くるぞ!構えろ!」
龍騎「何で、何でこんなことしてんだよお前ら!」
容赦なく襲い来る昭和ライダーと戦うことを躊躇う龍騎。
そんな龍騎に響鬼が呼びかけ、活を入れる。
ストロンガー「どうしたどうした!」
響鬼「龍騎、戦え!」
ZO「とうっ!」
龍騎「くっ……」
響鬼「龍騎!!」
ZOが跳躍し、龍騎めがけてキックを放つ。
咄嗟に響鬼が割って入り、《鬼棒術・烈火剣》でZOを迎え撃つ。
ZO「はあああぁぁっ!!」
響鬼「であああぁぁっ!!」
───結果は相打ち。
ZOのキックと響鬼の烈火剣は同時に互いの体を貫き、爆散した。
龍騎「ひ、響鬼!そんな……」
ストロンガー「ZO!?」
龍騎「……う、うおおおぉぉっ!!」
ストロンガー「…やる気になったか!?」
龍騎が絶叫と共にドラグセイバーを振りかざしストロンガーに立ち向かっていく。
二人のライダーがぶつかり合うその高架下に、海東とその後を追ってきた夏海と比奈が駆けつける。
海東「すでに二人、倒されている…」
夏海「どうしてこんなことに…」
比奈「何が起きてるの…?」
海東「とにかく、今は二人を止める」
海東がディエンドライバーを手に、龍騎に加勢しようとしたその瞬間。
一人の新たなライダーが乱入してきた。
???「ちょっと待ったぁー!」
海東「あ、あれは…」
比奈「え、映司君!?」
海東が探していた「仮面ライダーオーズ」、火野映司その人だった。
オーズは龍騎とストロンガーの間に割って入り、仲裁を試みている。
オーズ「待ってください!」
龍騎「お前は…?」
ストロンガー「オーズか。ちょうどいい、一緒に始末してやる!」
オーズ「待ってくださいってば!何で戦ってるのか分かりませんが、一旦落ち着いて話をしましょう!」
龍騎「…オーズ、どいてくれ。俺はストロンガーを倒す!」
オーズ「ああもう!だから一度話を聞かせてください!」
ストロンガー「問答無用!」
もはや二人ともオーズの話など聞く耳を持たなかった。
ストロンガーに蹴飛ばされ無残に河原を転がるオーズを見て、海東は止まっていた足を再び動かす。
海東「手を貸そうか、オーズ」
オーズ「あ、あなたは…?」
海東「仇討ち、ってわけじゃないけど…誰かのために戦ってみるのも悪くないかもね。変身!」
《KAMEN RIDE…》
《DIEND》
オーズ「あなたも仮面ライダー…!?」
ディエンド「立てるかい?」
オーズ「は、はい!」
オーズはディエンドに差し伸べられた手を掴み立ち上がる。
龍騎とストロンガーの方を見ると…両者が今まさに必殺技を放とうとしていたところだった。
《FINAL VENT》
龍騎「はあああぁぁ……」
ストロンガー「チャージアップ!」
龍騎「だあああぁぁーーーっ!!」
ストロンガー「超電ドリルキィーック!!」
オーズ「うわっ!?」
大爆発。
龍騎の《ドラゴンライダーキック》とチャージアップストロンガーの《超電子ドリルキック》が激突した。
ディエンド「………」
オーズ「ま、間に合わなかった…!?」
白煙が晴れる。
そこにはストロンガーの姿のみがあった。
ディエンド「龍騎…!」
ストロンガー「次はテメェらだ」
オーズ「教えてください!何故こんなことするんですか!?」
ストロンガー「バダンをこの地上にもたらしたのが平成ライダーだからだ!今ここで潰すしかない!」
ディエンド「勝手なこと言ってくれる」
オーズ「昭和ライダーが立ちはだかるのなら…話し合いも通じないのなら、倒すしかない!」
ディエンド「よく言った」
ストロンガー「いくぞ!」
ストロンガーの電撃を纏った拳がディエンドに襲いかかる。ディエンドは上体を逸らして回避し、ストロンガーの腹に銃弾を撃ち込んだ。
一瞬怯むもすぐに立ち直り、オーズの振り下ろしたメダジャリバーを受け止め、鋭い蹴りを叩き込む。吹っ飛ばされたオーズはメダジャリバーを落としてしまった。
《クワガタ!カマキリ!バッタ!》
《ガータガタガタキリッバ!ガタキリバ!》
オーズ「はあっ!!」
ガタキリバコンボにチェンジしたオーズは無数の分身を生み出し、ストロンガーに襲いかかる。
分身「「「せいやぁぁーっ!!!!」」」
ストロンガー「しゃらくせぇ!エレクトロファイヤー!」
オーズ「あっ!?そ、そんな!」
ストロンガーが《エレクトロファイヤー》を放ち、分身を一掃する。
分身たちによる怒涛の連続攻撃をあっさり破られ唖然とするオーズにストロンガーの電パンチがヒットし、三度吹っ飛ばされた。
その隙にディエンドが《ディエンドブラスト》を撃ち込むが、それもものともせずストロンガーは猛進する。
《ATTACK RIDE…》
《BLAST》
ディエンド「はあっ!」
ストロンガー「でやぁぁぁっ!」
ディエンド「ぐっ!」
ストロンガーのパンチを両腕でガードし、後方へ下がる。
ディエンド「電気には電気で勝負だ」
《KAMEN RIDE…》
《ZANKI》
《TODOROKI》
ストロンガー「むっ…これが噂に聞くディエンドの力!」
召喚された仮面ライダー斬鬼と仮面ライダー轟鬼がストロンガーを攻撃する。
…所詮ディエンドの力で作り出されたイミテーションだが、心なしかコンビネーションが抜群に見える。
オーズ「すごい、他のライダーを…!」
ストロンガー「ぬ、ぐっ…!」
オーズ「俺も電気でいきます!」
《シャチ!ウナギ!タコ!》
《シャッシャッシャウタ!シャッシャッシャウタ!》
オーズ「てやああぁーっ!」
シャウタコンボとなったオーズは跳躍し頭上からウナギウィップでストロンガーの両腕を捕縛する。
動けなくなったストロンガーに斬鬼と轟鬼の同時攻撃が直撃した。
ストロンガー「ぐっ…電、ショーック!!」
オーズ「あばばばば!?」
ウナギウィップを逆流してきた電撃がオーズを襲う。
大したダメージにはならなかったが、ストロンガーをウナギウィップから解放させるには十分だった。
ストロンガー「たいした奴だ。俺の電気についてこれるとはな!!」
オーズ「う、ぐ……」
ディエンド「これ以上長引かせたくない。一気に決める」
《FINAL ATTACK RIDE…》
《DI DI DI DIEND》
ストロンガー「そう簡単にはやられん!」
斬鬼と轟鬼を吸収、エネルギーに還元して《ディメンションシュート》が放たれる。
ストロンガーはそれを電気のバリアを張って防御した。
ディエンド「防ぎ切った…!?」
ストロンガー「へっ、今度はこっちの番───」
《スキャニングチャージ!》
オーズ「セイヤーーッ!」
ストロンガー「ぐああぁぁっ!!」
オーズの放った《オクトバニッシュ》がストロンガーに直撃する。
とっさに簡易的なバリアを張ったことでダメージは抑えられ、ストロンガーはふらつきながらも何とか立ち上がる。
オーズ「そんな!」
ディエンド「まだやるのかい?」
ストロンガー「当然!はああぁっ!!」
ディエンドの放つ銃弾をものともしないストロンガー。
《ストロンガー電キック》がオーズを吹き飛ばした。
オーズ「ぐああぁっ!!」
ディエンド「オーズ!」
比奈「映司君!!」
死は免れたものの、変身が解除されたオーズ。
夏海と一緒に物陰で戦闘を見守っていた比奈は思わず駆け出してしまう。
オーズ「ひ、比奈ちゃん!?どうしてここに…」
比奈「映司君!」
ストロンガー「ん…?女だと…?」
ディエンド「?」
映司に駆け寄った比奈の姿を見たストロンガーの様子が一変する。
比奈の後に続いて現れた夏海が視界に映ると、ストロンガーから完全に戦意が喪失した。
ストロンガー「…女がいるんじゃ仕方ねえ。今回は引いてやる」
ディエンド「は?」
ストロンガー「あばよぅ!」
ディエンド「ま、待て!」
カブトローを駆り颯爽と去っていったストロンガーの背をただ呆然と見送るディエンドたち。
ストロンガーと共に脅威が去ったのを理解すると、ディエンドは変身を解除する。
海東「…わけがわからない。いきなり攻撃してきたり、いきなり去っていったり…」
夏海「女性が苦手なのでしょうか…」
比奈「とにかく、クスクシエに戻りましょう」
海東「ああ、僕は…」
夏海「大樹さん」
海東「……仕方ないね」
渋々、海東は夏海たちの後に続いた。
カメレオロイド「………」
誰もいなくなった高架下に、カメレオロイドが姿を現す。
カメレオロイド「ディエンド……これ以上お前の介入を見過ごすわけにはいかないな…」
カメレオロイドは長い舌をべろり、と動かす。
カメレオロイド「だが、その前に……」
~~~
海東「結局、集められたのはオーズだけってわけだ」
映司「…話は分かりました」
クスクシエに戻った四人。
今は久しぶりに帰ってきた映司を歓迎する暇もなかった。
比奈「映司君、どうして急に帰ってきたの?」
映司「帰ってきた理由、っていうのは特にないんだけど…クスクシエに来る前に門矢士って人に会ったんだ」
海東「…何だって?」
夏海「つ、士君に会ったんですか!?」
映司「え!?は、はい…それで、力を貸してくれって…」
夏海「あ、すみません…興奮しちゃって…それで、士君は今どこに?」
突然身を乗り出した夏海に驚く映司。
夏海は慌てて席に座り直すと、今度は冷静に尋ねる。
映司「今どこにいるのかは、ちょっと…」
夏海「そうですか…」
海東「………」
映司の答えに夏海はがっくりと肩を落とす。
海東「ともかく、昭和ライダーが平成ライダーの敵に回ったのは確かだ。それとユウスケの貸しも返さなければ」
夏海「ユウスケ…そ、そういえば大樹さん、ユウスケは…ひゃっ!?」
比奈「え?」
話の途中で突如素っ頓狂な声を上げた夏海に、三人が怪訝な表情になる。
映司「ど、どうしたんですか?」
夏海「誰ですか!?私の首筋を…ひゃいっ!?ま、また!」
海東「一人で何してるんだい?夏メロン」
夏海「な、夏みかん…じゃなくて、夏海です!そうじゃなくて…きゃっ!あ、あはははは!く、くすぐったい!!」
比奈「な、夏海さん…?」
一人で見えない何かと格闘し、悶える夏海。
彼女の言動から察するに首筋に何かされているようだが、周りから見てみればその姿は滑稽なことこの上なかった。
異変に気付いた海東はディエンドライバーを夏海に向ける。
映司「えっ!?」
比奈「か、海東さん!?何を…」
海東「…夏みかん、くれぐれも動かないでくれよ」
狙いを定めたディエンドライバーが火を噴いた。
銃弾は夏海の首のすれすれを通過し「見えない何か」にヒットした。
???「ギャアッ!」
比奈「…あ、あれ?」
夏海「はぁ、はぁ…」
海東「…やっぱり君か、カメレオロイド」
カメレオロイド「くっ…さすが、泥棒は目が利くな」
犯人はカメレオロイドだった。
夏海の首筋を長い舌で執拗に攻めていた
夏海「な、何なんですかあなた…!」
カメレオロイド「俺好みの綺麗な首筋だったからやった。反省も後悔もしていない」
夏海「サイテーです!」
怪人相手にも物怖じしない…というか、怒りに燃える夏海は、立てた親指をカメレオロイドの首に突き立てた。
夏海「光家秘伝、笑いのツボ!」
カメレオロイド「グッ!?ウ、ク、ハハハハハッ!ハハハッ、な、何だ、これはッ!ハハハハハッ!!」
映司「す、すごい…比奈ちゃんとはまた違う強さだ!」
比奈「映司君、それどういう意味!?」
映司「あ、ご、ごめん…」
海東「…で、何しにきたんだい?」
未だに笑い転げているカメレオロイドに海東は冷淡に尋ねる。
カメレオロイド「はー、はー…いや、何。お前にこの戦いの裏側を教えてやろうと思ってな」
海東「何?」
カメレオロイド「ついてこい。お前一人でな」
そう言い残すと、カメレオロイドは文字通り姿を消した。
海東「………」
夏海「大樹さん…」
映司「お、俺も行きます!」
海東「オーズ。君は士に呼ばれているんだろう?君はそっちに行きたまえ」
映司「で、でも…」
海東「心配いらない。ただ、士に一言よろしく言っておいてくれればいい」
映司「…分かりました」
海東「じゃ」
海東は右手で作った銃で三人に一発ずつ見えない弾を撃ち込むと、クスクシエを後にした。
~~~
カメレオロイド「来たな」
海東「わざわざ餌に引っかかってあげたんだ。有益な戦いにしたいね」
カメレオロイド「待て、待て。戦いにきたわけではない」
海東「油断大敵。いい言葉だね」
カメレオロイド「信用ないね、俺」
海東「透明化して人の首筋舐める変態の言うことなんて信用できないね」
カメレオロイド「俺もそう思う」
海東「…いい加減にしてくれないか!」
《KAMEN RIDE…》
《DIEND》
カメレオロイド「おおっと」
海東はディエンドに変身し銃弾をぶっ放す。
カメレオロイドはなんとも奇妙な身のこなしでそれを回避し、近くにあった大木にするすると登っていく。
カメレオロイド「話を聞けよ」
ディエンド「まだ言うのか」
カメレオロイド「まあまあ。仮面ライダー2号を尾行して手に入れた本物の情報だぜ」
ディエンド「…話してみたまえ」
カメレオロイド「おう、やっとその気になったか」
大木に張り付いていたカメレオロイドは、体勢を変えてこれまた太い木の枝に尻尾を巻き付け逆さまにぶら下がる。
カメレオロイド「まずはお前の抱える疑問を解消させてやろう。昭和ライダーは平成ライダーの敵に回ったわけじゃない」
ディエンド「………」
カメレオロイド「平成ライダーを目の敵にしているのは、我らバダンを欺くためだ。潰し合い、全滅したと見せかけて『メガ・リバース計画』を阻止するつもりらしい」
ディエンド「…それを僕に話していいのかい?」
カメレオロイド「かまわんさ。どうせこの話が終わったらこの世界から出て行ってもらうんだからな」
ディエンド「…続けたまえ」
カメレオロイド「倒されたライダーは皆、『ヘルへイムの森』に移されただけだ。ライダーが倒された後に残ったロックシードと鎧武の力があればいつでも復活できる」
ディエンド「…なら、ユウスケは無事ということか」
カメレオロイド「お、信じてくれたか?くれたんだな?」
ディエンド「仮に今の話が本当だとして…それを僕に伝えて何が目的だい?」
カメレオロイド「この世界から消えてほしいからだ。イレギュラーはディケイドだけで十分。お前は今回の戦いには不要だ」
ディエンド「何の話か知らないけど、結構な言われようだね。そんなに消えてほしいなら君が僕を倒せばいいじゃないか」
カメレオロイド「フン、ま…それでもいいけど……な!!」
ディエンド「っ!ぐあっ!?」
カメレオロイドが舌を伸ばし海東を攻撃する。
凄まじい勢いで放たれたそのしなやかな舌が海東を打ち据えた。
ディエンド「いきなりだな…戦いにきたわけじゃないって言ってたのは誰だ!?」
カメレオロイド「嘘だよバァーカ!そんなに消えたきゃ俺が消してやる!」
ディエンド「…なんて不安定な奴だ。僕がいつ消えたいだなんて言った!?」
《KAMEN RIDE…》
《RIOTROOPERS》
ディエンド「いってらっしゃい」
五体のライオトルーパーを召喚し、カメレオロイドに向かわせる。彼らを囮にし、ディエンドは離れた場所から銃弾を撃ち込んでいく。
いいように攻撃を受け続けるカメレオロイドは、突如頭上に何かを吐き出した。
カメレオロイド「ああ、うざったい!」
ディエンド「な…!?」
空中に浮かぶ緑色の球体。それが炸裂し、ライオトルーパーたちに降りかかった。
離れた場所にいたディエンドはその被害を受けなかったが、大量に浴びたライオトルーパーたちもその液体に困惑している。
カメレオロイド「アオオオォォゥッ!!」
ディエンド「!!」
絶叫。
カメレオロイドが耳をつんざくような絶叫を上げたかと思うと、緑色の液体が発光し、爆発する。
それによってライオトルーパーは一瞬で全滅してしまった。
ディエンド「…なかなかやるね」
カメレオロイド「へへ……へへへ……」
ディエンド「…ダメだこりゃ」
もはや焦点も合っていない目で不気味に笑うカメレオロイド。
だが攻撃の精度は変わっておらず、鋭い舌で正確にディエンドを打ち据えていく。
カメレオロイド「ギィーハハハハァ!!ハッハハァーーッ!!」
ディエンド「ぐっ、こいつは厄介だ…」
《ATTACK RIDE…》
《INVISIBLE》
カメレオロイド「ギャハァ!?」
透明化し姿を消したディエンドにカメレオロイドは困惑する。
だが次の瞬間、その長い舌は背後に回っていたディエンドを貫いていた。
ディエンド「なっ…」
カメレオロイド「俺の目は誤魔化せないぞ」
ディエンド「ば、馬鹿な…」
カメレオロイド「次でトドメといかせてもらう」
ディエンド「や、やめろっ…!」
カメレオロイドは倒れ伏すディエンドの首を乱暴に持ち上げると、その頭上から緑色の液体を吐きかける。
上半身が真緑に染まったディエンドの姿を眺め、満足そうににたりと笑う。
ディエンド「前が、み、見えないっ…!?」
カメレオロイド「ハハハハハ!さあ、俺が叫び声をひとつ上げればお前はジ・エンドだ!ディエンドだけにな!」
ディエンド「…くだらない冗談はやめてくれないか」
カメレオロイド「おっと。失言だったかな。まあ…もう死ぬのだから構わんだろう?」
カメレオロイドは思いっきり上体を逸らしてすぅぅ、と息を吸い込み始める。
その一瞬の隙にディエンドは賭けた。持てる力を振り絞り、覚束ない手つきでなんとかカードをディエンドライバーに装填する。
《FINAL ATTACK RIDE…》
《DI DI DI DIEND》
ディエンド「当たれっ…!」
カメレオロイド「ムッ!?」
視界の端に映ったディエンドの姿に気付いたカメレオロイドは吸気を中断する。
カメレオロイドの立ち位置すら不明の状態で放たれた《ディメンションシュート》は、カメレオロイドのすぐ隣を通り抜けていった。
カメレオロイド「惜しかったな。だがもう悪あがきもできまい」
ディエンド「そんな…」
カメレオロイド「やれやれ、吸い直しだ。まあ、安心しろ。一瞬で楽にしてやる」
そう言って再び息を吸い込み始めるカメレオロイド。
だが、そんな彼を前にしてディエンドは───笑っていた。
ディエンド「楽になるのはお前の方だ」
カメレオロイド「はぎゃぁっ!?」
突如、カメレオロイドの視界に先ほど自分が登っていた大木が映った。《ディメンションシュート》によって撃ち抜かれた大木が倒れてきたのだ。
カメレオロイドは短い悲鳴を残して大木に押し潰された。
ディエンド「何も見えない?嘘だよバァーカ……って、もう聞こえてないか」
変身を解除し、緑色の液体が綺麗に消え去ったのを確認する。
海東がその場を立ち去ろうとしたその時───大木の下から満身創痍のカメレオロイドが這い出してきた。
海東「なっ……」
カメレオロイド「グ、フ、ハハハハ…俺はここまでだ…ディエンド、俺の言ったことは本当だ…お前はこの戦いに関わるな…」
海東「…何故、そこまでして……」
カメレオロイド「お前は、そういうの嫌うだろう…?人を利用するのは好きでも、利用されるのは嫌い、そういう奴だ…俺はお前を思って言ってやってるんだぜ…」
海東「………」
カメレオロイド「お前が関われば、ディケイドも、被害を受ける…それでもお前は、あいつらの仲間か…?」
海東「…君なんかに決め付けられたくないね。僕の旅の行き先は僕が決める。誰にも邪魔はさせない」
カメレオロイド「フン、そうかい…ま、いいけどな…」
その言葉を最後にカメレオロイドは生命活動を停止させ───数秒後、跡形もなく爆散する。
そしてカメレオロイドの死を待っていたと言わんばかりに、鳴滝がその姿を海東の前に現した。
鳴滝「………」
海東「…丁度いいところに現れてくれたね。君に言っておきたいことがあったんだ」
鳴滝「安心しろ。今回の一件はすべて、私から夏海君に伝えておく」
海東「そうじゃない。僕をこんな茶番に付き合わせようとしていたことだ」
鳴滝「私はすべてのライダーの味方。君も例外ではないのだよ」
海東「…なら、もういいよ。僕は一足先に旅立たせてもらう」
鳴滝「残念だ。だが、仕方ない……」
海東「それじゃ、また会おう」
鳴滝「待て、ディエンド」
海東「…何?」
鳴滝「これを預けておこう。役立ててくれ」
そう言って鳴滝は封筒を海東に手渡す。
中にはなにかカードらしきものが数枚入っているようだった。
海東「これは……」
何だ、と続ける前に鳴滝は姿を消していた。
彼の自由さに海東も呆れ果てる。
海東「……ま、人のこと言えないか」
《KAMEN RIDE BUJINGAIM》
《KAMEN RIDE MARS》
《KAMEN RIDE KAMURO》
封筒に入っていたのは、新しいカメンライドのカード。
それを空に掲げて存分に眺めると、海東は次の世界へと旅立った。
海東「まだまだ、僕の旅は終わらない」
元々はただの妄想だったので、仕上げる際に最後の方挫折しました。
伊達さんは世界を駆けるドクターなのでいません。
後藤さんもどこかの国でターザンしてるのでいません。
ストロンガー戦でのカメンライドは「電気」「カブトムシ」繋がりでブレイドとカブトにしようと思いましたが、ブレイドは戦ったばかりだしカブトは映画本編で戦ってたのでやめました。
そういえばブレイドとストロンガーは「オールライダー対大ショッカー」で戦ってましたね。
当初、オーズの名所はクスクシエだけでしたが、里中さんを出したかったので鴻上ファウンデーションも無理矢理追加。
なので会長とのやりとりに違和感が……しかたないじゃないしかたないじゃない。里中さん出したかったんだもん。
海東は武神鎧武、マルス、冠以外の鎧武ライダー(バロンとか龍玄とか)のカードも手に入れてます。数が多くて何じゃこりゃになってしまうので省きました。
…もしかしたら、ユウスケと夏みかんもいつか本編に出すかもしれません。