破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

12 / 32
ようやくここまで来れた!


紘汰と舞はあの星をどんな未来に導くんでしょうね。

ドライブ第一話、見事に引き込まれました。これからの一年間も楽しみです。
ベルトさん表情豊かでかわいい。




幻想郷編
第九話 道連れ二人、幻想の国


 

 

門矢士=仮面ライダーディケイド。

蔵間カイト=仮面ライダーバロン。

 

シシガケ率いる謎の組織『F.o.D』を追って次なる世界へ踏み込んだ二人は、名も知らぬ山の中にあてもなく佇んでいた。

 

 

士「…何もないな」

 

カイト「………」

 

士「何か言ったらどうだ?」

 

コウタ「あのさ……俺、何でここにいるのかな?」

 

士「お前じゃない」

 

カイト「………」

 

コウタ「えっ、いや…そうじゃなくて…」

 

士「とりあえず……久しぶりだな、コウタ」

 

コウタ「5分も経ってないよ!!」

 

 

葛城コウタ=仮面ライダー鎧武。

完全にとばっちりである。

 

 

 

コウタが士とカイトを見送ったその直後、足元に開いたホールからこの世界へ真っ逆さまに落ちていったのは数分前のこと。

すぐに合流した三人だったが、現在地はどことも知れぬ山の中。右も左も分からず、うかつな行動もできず。そんな状況が数分続いていた。

山を舐めてはいけない。遺跡を見つけてもうかつに入ってはいけない。超人機の基地だってあるかもしれない。

 

 

コウタ「とりあえずこの山を降りようぜ」

 

士「そうは言ってもな…」

 

コウタ「遭難するのは嫌だけど、動かなきゃ何も始まらないだろ。おいカイト、お前も何とか…」

 

カイト「……あいつらはどこだ!どこに行った!!」

 

士「当てにするな。あの様子だからな」

 

コウタ「ああ……でも、やっぱりいつまでもここにいるわけにはいかないって」

 

 

『F.o.D』が開いたホールを通ってこの世界を訪れたのだから、シシガケたちもこの世界のどこかにいるはずだ。だが行き着いた先が山の中では話にならない。

それから数分話し合い、士が折れたのでとりあえずは歩みを進めることになった。

きっと気付いていたのは士だけだったのだろう。何処かから三人を見据える赤い瞳に。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

士たちが幻想郷へ降り立つより少し前、海東が住み着いている博麗神社にはある二人の男女が訪れていた。

一人は鳴滝。その正体は未だ謎に包まれている男。

もう一人は見目麗しくも妖しげな、ともすれば胡散臭いともとれる雰囲気を漂わせる、長い金髪の女。

妖怪の賢者、スキマ妖怪の八雲紫であった。

 

 

鳴滝「鎧武の世界もディケイドによって破壊されてしまった!」

 

海東「それ、毎回言う決まりなのかい?」

 

鳴滝「───すっ おのれディケイドオオオォォ!!」

 

海東「息継ぎだ」

 

霊夢「息継ぎしたわね」

 

紫「………」

 

鳴滝「はぁ、はぁ……これでもう思い残すことは何もない……」

 

紫「…そろそろいいかしら?」

 

鳴滝「頼む…」

 

霊夢「で?いきなり現れて何の用よ、紫?」

 

 

鳴滝の魂の絶叫を見届けた霊夢は既に関心を失ったように紫に尋ねる。

紫は扇子をぱちん、と閉じると、ひとつため息を落としてからようやく口を開いた。

 

 

紫「…招かれざる客が幻想郷に現れたわ。それも団体様でね」

 

霊夢「それらしい奴らならこの間見たけど」

 

紫「幻想郷の各地でその姿を見せているわ。えーっと、名前は確か……」

 

霊夢「魔神提督」

 

紫「そう、ジェネラルシャドウ!」

 

霊夢「えっ?」

 

紫「えっ?」

 

 

発した名前が違うことに、顔を見合わせて驚く二人。どうやら互いに把握しきれていない情報があるようだ。

海東の持つオーガドライバーを狙って博麗神社を襲撃した魔神提督は、ネオショッカーの大幹部。

紫が口にしたジェネラルシャドウはかつて仮面ライダーストロンガーと戦った怪人の名だ。

 

 

紫「どういうこと…?」

 

霊夢「意外ね。この幻想郷に起きている異変ならどんなことでも知ってると思ってたけど」

 

紫「私にも把握できていない事が…!?」

 

海東「ちょっと待ってくれ。ジェネラルシャドウだって?」

 

紫「…ご存知みたいね。海東大樹……仮面ライダーディエンド」

 

海東「ああ、その名前なら知ってる。仮面ライダーストロンガーと戦った改造魔人の一人だ。まさか魔神提督だけじゃなく、ジェネラルシャドウまで蘇っていたとはね」

 

鳴滝「何らかの理由で蘇った怪人たちがこの幻想郷に魔の手を伸ばしている。目的はまだ不明だが、放っておくわけにはいかない」

 

霊夢「まあ、何かあったら大樹さんが何とかしてくれるわよ」

 

紫「貴方も戦うのよ、霊夢」

 

霊夢「え?だって、私の攻撃あいつらに効かないもん…」

 

紫「もん、じゃなくて。大丈夫よ、私が何か方法を見つけておくわ。安心なさい」

 

霊夢「あんただから不安なのよ……」

 

 

胡散臭い微笑みを見せる紫に霊夢は呆れたように深いため息を吐く。

 

 

鳴滝「もうじきディケイドもこの世界に辿り着くはずだ。まずは彼と合流するのがいいだろう」

 

海東「やれやれ。相変わらず一足遅いな、士は」

 

鳴滝「まあそう言ってやるな。あの戦いの後だからな」

 

海東「士、早く来ないかなぁ」

 

魔理沙「霊夢ーーーッ!!大樹ーーーッ!!」

 

 

曇った空を見上げて海東は呟く。

虚空に浮かんだその言葉をかき消すように、大袈裟な声が神社まで響いてきた。

その声の主は魔理沙だ。突っ込むように猛スピードで神社に飛び込んできた魔理沙は跨った箒から降りもせずに話し始める。

 

 

霊夢「何よ、騒々しい」

 

魔理沙「大変だ!人里であのなんとか提督って奴が暴れてる!」

 

霊夢「ええ!?…もう、何なのよ今日は…」

 

紫「海東大樹」

 

海東「…それって『お願いします』じゃなくて『黙って倒しに行け』だよね?」

 

霊夢「待って、私と魔理沙はともかく、大樹さんはその足で間に合うの?」

 

海東「そこはまあ、覚えたての努力って奴で」

 

紫「無理しなさんな。私なら一瞬よ」

 

魔理沙「お、そういえばそうだな?」

 

海東「な、何をゥッ!?」

 

紫「行ってらっしゃい♪」

 

 

海東の足元に「スキマ」が開かれる。

スキマに真っ逆さまに落ちていった海東は、少しだけ死を覚悟したという……

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

コウタ「………」

 

士「………」

 

コウタ「なあ、士」

 

士「なんだ」

 

コウタ「…カイト、どこ行った?」

 

士「さあな」

 

 

下山を開始して十数分。

気付いた時にはカイトの姿がなくなっていた。

 

 

コウタ「あいつ、いきなり迷子かよ!」

 

士「俺たちの方が迷子になったって可能性は考えないのか?」

 

コウタ「えっ嘘ぉっ!?」

 

士「嘘だ」

 

コウタ「うっ…お、お前、ほんと分かんねえ奴だな…」

 

士「多分、だがな。行くぞ、カイトほどの太い神経の持ち主なら大丈夫だろう。降りた先ですぐに合流できるさ」

 

コウタ「大丈夫…なのかなぁ?」

 

 

軽い会話を交わしながら山を降りていく。

結構歩き続けてきたが、景色がほとんど変わっていない。士の心中は知れないが、コウタは少し焦っていた。

 

 

士「……どうしたコウタ、顔色が悪いぞ?」

 

コウタ「え、いや…そんなことないさ」

 

士「そうか。なら、もう言ってもいいな」

 

コウタ「え?何が?」

 

士「完璧に迷った」

 

コウタ「うおおおいやっぱりかああああ!!」

 

士「言うタイミング探ってたんだが…」

 

コウタ「いや薄々気付いてたけどさ!!なんで自信満々なんだよ!!なんでドヤ顔でそんなこと言えるんだよ!!山の中だよ!!これ遭難だよ!!あっ降りようって提案したの俺だったよごめんね!!」

 

士「お、おう」

 

 

コウタの絶叫が山に響き渡った。

保っていた平常心が一気に崩れ落ちたコウタは、半ばヤケクソ気味に溜まっていたものを吐き出していく。その勢いに士も若干引いていた。

 

 

士「落ち着けコウタ」

 

コウタ「落ち着けないよ今の俺すっごい不安定だもん!!葛城コウタもう止まりません!!」

 

???「止まりなさい!!」

 

コウタ「だから止まれないって言ってんだろォ!!」

 

士「ん?」

 

コウタ「だいたいなんだよ!お前なんでいきなり声高くなって……」

 

士「は?」

 

 

突然割り込んできた三つ目の声の主に士とコウタの視線が釘付けになる。

声は上から聞こえたので必然的に上を向いた二人が目にしたのは、赤い頭襟に下駄、そして梵天袈裟という何ともわかりやすい出で立ちの少女だった。

 

 

士「………誰だ、お前」

 

コウタ「な、なんで浮いてるんだ!?」

 

???「私を知らない?ってことは、外来人ね?」

 

コウタ「…外来人?俺たちのこと?」

 

士「よく分からんが、まあそんなところだな」

 

???「では仕方ありませんね、教えてあげましょう。私は鴉天狗の射命丸文!私からは逃げられませんよ!」

 

コウタ「いや、逃げるなんてそんな……って、天狗!?冗談だろ!?」

 

文「冗談言っている目に見えますか?」

 

コウタ「まっすぐな目だ…すべて見透かされるような綺麗な…」

 

士「帰ってこい、コウタ」

 

 

文の目を見つめたままトリップしかけていたコウタを、士は頭を押さえ付けて元に戻す。

 

 

文「貴方は驚かないんですね?」

 

士「怪人なら見慣れてるからな」

 

文「怪人?何の話ですか?」

 

士「いや、気にするな」

 

文「まあいいです。では本題に入りましょうか」

 

コウタ「本題?」

 

文「先ほどから様子を伺っていれば、素直に山を降り始めたので、今回は見逃してあげようと思いましたが…あの咆哮!あれは宣戦布告と捉えますよ!私は!」

 

コウタ「いや、咆哮って…そんな…」

 

士「悪かったな。不安定なんだこいつ」

 

コウタ「不安定って何だよ!?あ、俺が自分で言ったのか!!こりゃいけねえや!!」

 

士「な?」

 

文「はあ」

 

 

文の表情がさらに険しくなる。

士は自分でネタを振っておきながら、少し後悔した。

 

 

士「で?お前は俺たちをどうしたいんだ?」

 

文「そうですね、とりあえず………痛い目にあってもらいましょうか」

 

コウタ「えっ」

 

士「おい、ちょっと待て。なんでそうなる?」

 

文「貴方たちは侵入者なんです!あ、やっと言えた!やった!おほん、と、とにかく!!何も知らない外来人といえど、この妖怪の山に部外者が踏み入ることは許されないんです!今回は特別に命ばかりは助けてあげますから大人しくコテンパンにされなさい!!」

 

コウタ「うわぁ無茶苦茶だ!!」

 

士「まさか本物の天狗と戦う日が来るとはな」

 

 

士がディケイドライバーを装着しカードを構えたその瞬間だった。

突如凄まじい突風が士たちを襲い、鴉天狗の文までもが地面に叩きつけられ転がった。

 

 

文「うっ…!?」

 

コウタ「何だ、今のは…!?」

 

士「この威圧感は……」

 

 

突風が放たれた方向から凄まじい威圧感を放ちながら一歩、また一歩と何者かが近付いてくる。

地面が、踏みしめられる度に悲鳴をあげているかのような、そんな強大なオーラの持ち主は………

 

 

士「シシガケ…!」

 

シシガケ「よう。いつぶりかな、ディケイド」

 

 

たくましい金髪を風になびかせながら、シシガケが低く重い声で答える。

 

 

文「な、何者…!?こんな強大なオーラに、今まで気付けなかったなんて…」

 

シシガケ「誰か知らんが、娘。お前に用はない。どけ」

 

文「それはこっちの台詞ですよ!!」

 

 

文の周囲に無数の青い光弾が展開され、それらが一斉にシシガケに向かっていく。

シシガケはその弾幕を前にして尚、余裕の表情を浮かべていた。

 

 

《エイジ!》

《ロック・オン!》

 

シシガケ「変身」

 

文「へ、変身…!?」

 

エイジ「こんなもの…」

 

《エイジスカッシュ!》

 

 

仮面ライダーエイジに変身したシシガケはカッティングブレードを一回倒し《エイジスカッシュ》を発動。

ロックシードから供給されるエネルギーが蓄積された大剣の一振りで、弾幕を塵へと変えた。

 

 

文「な…」

 

エイジ「もう一度だけ言うぞ、そこをどけ」

 

文「冗談…!!」

 

 

再び文の周囲に弾幕が張られる。まるで山颪を模したような弾幕がエイジに襲いかかるが…それでも大剣の一振りでかき消されてしまう。

今度はエイジが反撃とばかりに大剣を振りかざし先ほどよりも凄まじい風圧で文を地に這い蹲らせる。

 

 

文「あ、くっ…」

 

エイジ「もういいだろう」

 

文「ま、まだまだ…」

 

エイジ「下がれ」

 

文「ぐっ!?」

 

 

エイジから発せられるオーラに文の足が一歩下がる。

 

 

文「こ、こんな人間相手に……私が、風に圧されるなんて…」

 

コウタ「えーっと、文!だっけ!?ここはもういい、後は俺たちに任せろ!!」

 

文「な、何ですって!?」

 

士「まあ見てろ。結構やるぜ、俺たち。変身!」

 

《KAMEN RIDE…》

《DECADE》

 

コウタ「変身!」

 

《オレンジ!》

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!オレンジアームズ!花道 オンステージ!》

 

文「変身…貴方たちまで…!?」

 

エイジ「そういうことだ。引け、娘」

 

鎧武「俺たちが何とかする!」

 

文「……不本意ですが、信じてみましょう…少しだけ」

 

ディケイド「任せろ」

 

鎧武「よっしゃいくぜー!」

 

エイジ「フン、ようやく退いたか。さあ…お前らは楽しませてくれよ!」

 

ディケイド「上等だ!」

 

 

開幕の合図とばかりにエイジが大剣を横薙ぎに払い、迫る二人を攻撃する。

ディケイドは咄嗟のバックステップで、鎧武は跳躍し大剣を踏み台にして更に高く跳ねる。

頭上をとった鎧武は無双セイバーと大橙丸を同時に振り下ろし、エイジの両肩にヒットした。

 

 

鎧武「どうだぁっ!!」

 

エイジ「フンッ!!」

 

鎧武「おわぁっ!?」

 

 

攻撃を受けたにも関わらずのけぞりすらしないエイジは凄まじいオーラを放って鎧武を弾き飛ばした。

地面を転がった鎧武の目の前に、手放してしまった無双セイバーと大橙丸が投げ落とされる。

 

 

エイジ「立て、まだまだこれからだぞ」

 

鎧武「こ、こんのぉー!」

 

《パイン!》

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!パインアームズ!粉砕 デストロイ!》

 

ディケイド「待て、コウタ!」

 

 

ディケイドの制止も聞かず、パインアームズにチェンジして再びエイジに斬りかかっていく鎧武。

パインアイアンを闇雲に振り回すがひょいひょいとかわすエイジにはかすりもしない。

 

 

ディケイド「焦るな葛城ミカン!」

 

鎧武「ブランドみたいに言うな!!」

 

エイジ「そい」

 

鎧武「うわっはぁー!?」

 

 

思わずディケイドにツッコミを入れてしまった鎧武は、その隙にエイジの大剣で弾き飛ばされる。

再び地面に転がった鎧武は、今度はエイジではなくディケイドの方へ向かっていく。

 

 

鎧武「変なこと言うなよ!?」

 

ディケイド「集中力を乱すなと言ってるんだ!」

 

鎧武「だからってあんなこと言わなくても!」

 

ディケイド「ああでも言わないとお前は聞かないだろ!」

 

文「あ、あの…」

 

エイジ「…俺はそんなものを見に来たのではない!」

 

《エイジスカッシュ!》

 

 

言い争う二人に《エイジスカッシュ》が襲いかかる。文は思わず目を伏せるが、悲鳴などは聞こえてこなかった。

ディケイドと鎧武は瞬間的に見せたコンビネーションで《エイジスカッシュ》を打ち砕いていたのだ。

 

 

ディケイド&鎧武「「ちょっと黙ってろ!!!」」

 

エイジ「…そう、それでいい。そのペースで真面目にやってくれ」

 

文「えぇー…」

 

ディケイド「コウタ、連続攻撃で押し切るぞ!」

 

鎧武「任せろー!」

 

 

まず鎧武がパインアイアンを振り回しエイジに突撃する。先ほどのような闇雲な攻撃ではなく、エイジの動く先を予想して攻撃を放っていく。

それでもエイジは楽々とかわしていくが、後方から放たれるディケイドの銃撃には対処しきれず、何発か被弾した。

 

 

エイジ「まだだ、まだ足りない!」

 

ディケイド「なら、手法を変えるか」

 

《KAMEN RIDE…》

《W》

 

文「また変わった…わっ、か、風!?」

 

 

ディケイドは仮面ライダーW サイクロンジョーカーにカメンライド。変身と同時に吹き荒れた風が文の黒い髪と服をなびかせる。

鎧武と入れ替わる形でディケイドWがエイジの前に出て、風を纏ったキックを放つ。だがそれは片手で足を掴まれたことで防がれてしまった。

 

 

ディケイドW「くっ…」

 

エイジ「いい蹴りだ、だが───」

 

ディケイドW「はあぁっ!!」

 

エイジ「おっ」

 

 

掴まれたままの右足を強引に軸にして、空いた左足でエイジに蹴りを入れる。

思わぬ不意打ちを受けエイジはわずかだが仰け反り、掴んでいた足を放し、大剣も取り落とした。

 

 

ディケイドW「コウタ!」

 

鎧武「うおっしゃぁ!」

 

 

すかさず鎧武が躍りかかり、パインアイアンでエイジを拘束する。

身動きのとれなくなったエイジに鎧武が無双セイバーで斬りかかった。

 

 

《ソイヤッ!パインオーレ!》

 

鎧武「おらあああぁぁっ!!」

 

エイジ「…はぁっ!!」

 

鎧武「ぁぁぁうおあっ!?」

 

 

エネルギーを溜めた無双セイバーでエイジに斬りかからんとするが、気合いでパインアイアンの拘束を打ち破ったエイジの強烈な蹴りを受け三度吹っ飛ばされた。

エイジは無残に千切れたパインアイアンを蹴っ飛ばし、大剣を拾って倒れ伏す鎧武に迫る。

 

 

エイジ「もう少し遊ばせてくれ」

 

鎧武「ぐ、このぉ…」

 

ディケイドW「コウタ!」

 

《FORM RIDE…》

《CYCLONE METAL》

 

 

W サイクロンメタルにチェンジしたディケイドWがエイジの前に立ちはだかる。

シシガケが振り下ろした大剣をメタルシャフトで受け止めるが、凄まじいパワーに耐え切れず重い一撃を受けてしまう。

 

 

ディケイドW「ぐうっ…」

 

エイジ「…そういえばまだ試していないのが山ほどあったな。お前らの相手ついでに少し試してみるか」

 

《威吹鬼!》

《ロック・オン!》

《威吹鬼アームズ!烈風 レゾナンス!》

 

エイジ「はぁっ!!」

 

ディケイドW「ぐっ!?」

 

《威吹鬼オーレ!》

 

エイジ「はあああぁぁっ!!」

 

 

威吹鬼アームズとなったエイジが音撃管・烈風から圧縮された空気弾を放つ。

怯んだディケイドにすかさず風の刃を纏った蹴撃《鬼闘術・旋風刃》を叩き込んだ。

 

 

ディケイドW「うああぁっ!?」

 

エイジ「次だ」

 

《スカイライダー!》

《ロック・オン!》

《スカイライダーアームズ!スカイ・変身・セイリングジャンプ!》

 

エイジ「喰らえ!!」

 

《スカイライダースカッシュ!》

 

 

エイジ・スカイライダーアームズが放つ《スカイキック》がディケイドWを襲う。

 

 

ディケイド「お前が喰らえ!!」

 

《FINAL ATTACK RIDE…》

《W W W W》

 

ディケイドW「でやああぁっ!!」

 

 

ディケイドは《メタルツイスター》でエイジを迎え撃つ。

《スカイキック》を《メタルツイスター》の一発目で打ち破ったディケイドはそのままの勢いで二発、三発、四発…と、疾風を纏ったメタルシャフトでエイジを打ち据える。

 

 

エイジ「ぐうっ…」

 

ディケイドW「やられてばかりじゃないぞ!」

 

エイジ「そうだ、それでいい。次は…こいつだ!」

 

《ナイト!》

《ロック・オン!》

《ナイトアームズ!ウイング・オブ・ダークネス!》

 

ディケイドW「ナイトか…なら、やっぱりこれだな」

 

《KAMEN RIDE…》

《KIVA》

 

 

ディケイドキバとエイジ・ナイトアームズが対峙する。

最初に動いたのはエイジだ。ウイングランサーによる突きがディケイドキバを捉えるが、ディケイドキバはそれを軽くいなしてエイジの腹にパンチを入れる。

一発目で怯んだのを確認すると二発、三発と連続で叩き込むが、ウイングランサーで弾かれる。

 

 

ディケイドキバ「くっ…」

 

エイジ「休んでいる暇はないぞ」

 

ディケイドキバ「タフな奴はパワーで押し破るに限るな」

 

《FORM RIDE…》

《DOGGA》

 

エイジ「さあ来い、もっとお前の力を見せてみろ!!」

 

ディケイドキバ「言われなくても見せてやる!」

 

 

豪快に振りかぶったドッガハンマーがぶおん、と唸りを上げてエイジを殴りつける。

だがエイジは常時発動していたガードベント「ウイングウォール」で防御し、大したダメージは入らなかった。

 

 

ディケイドキバ「せいっ、やっ、はぁっ!」

 

エイジ「うぐっ…!」

 

 

だが執拗に打ち付けられるドッガハンマーに耐えきれずウイングウォールが消滅。

それに気付いたエイジが咄嗟に防御態勢をとったことでダメージを軽減させるが、それでも勢いは殺せず吹っ飛ばされる。

 

 

ディケイドキバ「これすごい重たい」

 

文「じゃあなんでそれ選んだんですか」

 

ディケイドキバ「ノリ」

 

鎧武「い、いいのかそれで…」

 

エイジ「いいんだ、それで!!」

 

鎧武「いいんだ!?」

 

ディケイドキバ「…さすがにまだ倒れないか」

 

エイジ「もう十分だ。そろそろシメといこう」

 

《ナイトスカッシュ!》

 

ディケイドキバ「乗った」

 

 

ディケイドキバはドッガフォームからキバフォームに戻すと、エイジを迎え撃つべく最後のカードをディケイドライバーに装填する。

 

 

《FINAL ATTACK RIDE…》

《KI KI KI KIVA》

 

ディケイドキバ「はあああぁぁっ!!」

 

エイジ「うおおおおぉぉっ!!」

 

 

ディケイドキバの《ダークネスムーンブレイク》とエイジの《飛翔斬》が激突する。

大爆発が起き、爆風に包まれる二人のライダー。どうやら相打ちに終わったようだ。着地した二人は得物を手にしたままじっと睨み合う。

数秒の間の後、ディケイドが変身を解除され、膝をついた。

 

 

鎧武「つ、士!!」

 

士「ぐ…」

 

エイジ「……まあ、こんなところか。今回はこれで十分だ。次を楽しみにしているぞ、ディケイド。また会おう」

 

 

そう言い残してエイジはホールを開く。

だが再び闘志を燃やし立ち上がった鎧武がその後を追う。

 

 

鎧武「待て!俺はまだ戦えるぞ!」

 

《カチドキ!》

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!カチドキアームズ!いざ、出陣!エイエイオー!!》

 

エイジ「…もう興味はない。失せろ」

 

士「こ、コウタ…」

 

 

鎧武がカチドキアームズにチェンジしエイジに挑む。

だがすっかり興味を失ったエイジは、鎧武を一瞥だけすると立ち去ろうとする。

 

 

鎧武「今の俺は一味違う!!」

 

《フルーツバスケット!》

 

エイジ「…!? その力、まさか……」

 

《ロック・オープン!》

《極アームズ!大・大・大・大・大将軍!!》

 

鎧武「ここからは俺のステー───」

 

エイジ「知恵の実かッ!!」

 

鎧武「じぃうえぇぇっ!?え、い、いやぁ、まあ、そうだけど…」

 

エイジ「反応が消滅したから諦めていたが…なるほど、それでも代用が利くかもしれんな」

 

鎧武「な、何言ってんだよお前…」

 

エイジ「その力、渡してもらう」

 

《エイジオーレ!》

 

鎧武「うおっ!?」

 

《メロンディフェンダー!》

 

 

エイジは《エイジオーレ》を発動し、大剣の刀身に充填されたエネルギーをビームのように放つ。

鎧武・極アームズは咄嗟にメロンディフェンダーを呼び出して防御する。

 

 

エイジ「それこそ鎧武の世界のアーツに違いない。思わぬ収穫だ…さあ、渡してもらおう」

 

鎧武「何、勝手なこと…」

 

エイジ「答えは聞いていない」

 

鎧武「がっ!?」

 

《エイジスカッシュ!》

 

エイジ「終わりだ」

 

鎧武「うああぁぁっ!!」

 

 

振り抜かれた大剣が鎧武を打ち上げ、そこにすかさずエイジが鋭いパンチを叩き込む。

《エイジスカッシュ》がフィニッシュブローとなり、地面に叩きつけられた鎧武は変身を解除された。エイジも着地と同時に変身を解除する。

 

 

シシガケ「悪いな」

 

コウタ「く、くそっ…まだ、まだ……あ、あれっ!?」

 

シシガケ「探し物はこれか?これだろうな?」

 

コウタ「あっ…」

 

 

シシガケの手に握られていたのは紛れもなく極ロックシードだった。

それを懐にしまうと、シシガケは開いたままだったホールから去ろうとする。

 

 

コウタ「ま、待て…返せ!!」

 

シシガケ「なんだ、返して欲しいのか」

 

コウタ「返してくれるのか!?」

 

シシガケ「返すか阿呆」

 

コウタ「うおおぉぉ絶対取りかえーす!!」

 

士「お、おい…」

 

文「元気そうですね」

 

シシガケ「ま、アーツじゃなかったら返してやるさ」

 

コウタ「絶対返せよー!!」

 

 

エイジはくくく、と不敵に笑うと、唖然とするコウタたちを残してホールの中へと消えていく。

残された三人はしばらく沈黙に包まれていたが、それを最初に破ったのは士だった。

 

 

士「さて…文、といったな。分かっただろ、俺たちが戦っている相手は強大だ。俺たちはあいつを追わなければならない。素直にこの山から降りさせてくれ」

 

文「…『追う』って。あいつらの居場所や目的を知っているんですか?」

 

士「それはまだ分からん。だが唯ならぬことを企んでるのは確かだ。それを突き止めるまで俺たちはやられるわけにはいかない」

 

文「………」

 

士「………」

 

コウタ「………」

 

文「…ふぅー、仕方ないですね。今回だけはその話、聞いてあげます……あー、報告すること増えたなぁ…」

 

士「変な間を取るなよ」

 

コウタ「そういうタイプか」

 

文「何の話です?」

 

士「もういい…早く山を降りさせろ」

 

文「案内しますよ」

 

士「何だ、やけに素直だな」

 

文「私はあの男を叩きのめしてやります。だから、その…協力しなさい!」

 

コウタ「えっ」

 

士「…おいおい、正気か?」

 

文「正気も正気、大正気です!」

 

 

あさっての方向に怒声を発する文は空に浮かび、二人を先導するように飛行する。

士とコウタは疑問を抱きつつも、その後に続くことにした。

 

 

コウタ「ところで…シシガケは何でいきなり俺たちに襲いかかってきたんだろうな?」

 

士「なんてことないだろう。よく考えてみたらあいつとはまだ戦ったことがなかったからな。ご挨拶程度にまずはひとつ手合わせをと、とでも思ったんじゃないか?」

 

コウタ「そんな…そんな理由で文のプライドを傷つけたのか!」

 

文「うっ」

 

コウタ「なんて酷い奴だ!」

 

士「お前が一番酷い」

 

コウタ「えっ!?嘘ぉ!?」

 

文「………」

 

コウタ「あっ…で、でも、文もそのくらいのことじゃヘコたれないよな…!?」

 

文「少しは配慮というものを知ってください」

 

コウタ「怒ってたぁ!!」

 

 

ジト目でコウタを睨みつける文に、コウタの心は大ダメージを受ける。

まだ麓は遠い。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

カイト「………」

 

 

一方、二人とはぐれたカイトはただ一人で山中を彷徨っていた。

 

 

カイト「…俺ははぐれたわけではない」

 

 

一体誰に言い訳しているのかは知らないが、二人との合流は諦めとにかく麓を目指して進む。

 

 

カイト「………

 

 

覗き見されるのは気分がいいものではないな」

 

 

カイトは自分を監視するいくつもの目に向かってそう言い放つ。

その言葉で監視の視線が消え失さったのを確認するとカイトは再び歩み出す。

 

 

カイト「………」

 

「………」

 

カイト「…お前、何故俺についてくる?」

 

「………」

 

 

いつの間にか現れ、数歩後ろをのそのそと歩いていた巨大なカメにカイトは声をかける。

巨大カメはぐわぁ、と口を大きく開けてカイトを睨む。どうやら威嚇しているようだ。

 

 

カイト「…一体何を食べたらここまで育つんだ?」

 

 

不穏な影の正体がカメと分かって拍子抜けしたカイトはこれ以上関わりは持たん、と巨大カメを無視して歩き続ける。

相変わらず口を開けたままの巨大カメだったが、次の瞬間、突然開いた口から緑色の酸弾を吐き出し、カイトを攻撃した。

 

 

カイト「ッ!! な…」

 

 

間一髪で酸弾を回避する。酸弾は勢いを失って地面に落ち、小さなクレーターを作った。髪の毛の先が少しだけ焦げて嫌な臭いが漂う。

巨大カメは二本足で立ち上がると、人型に変身する。巨大カメの正体はF.o.Dの刺客、ワニガメフォッダーだった。

 

 

カイト「こいつ……」

 

《バナナ!》

《ロック・オン!》

《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》

 

 

カイトがバロンに変身し、ワニガメフォッダーにバナスピアーを振り下ろす。

ワニガメフォッダーは咄嗟に背中を向け、その堅牢な甲羅で防御する。鈍い金属音と共にバナスピアーは弾かれ、バロンの腕を痺れさせる。

バロンは腹に狙いを絞って立ち回ろうとするが、意外に素早く動くワニガメフォッダーはそれを簡単には許さなかった。

すべての攻撃を甲羅で防がれ、その度にバロンの腕が悲鳴を上げる。ワニガメフォッダーも受身に徹しているわけではなく、時には打撃と酸弾で反撃し、バロンを苦戦させた。

 

 

バロン「ちっ…これでは通用しないか…ならば!」

 

《マンゴー!》

《ロック・オン!》

《カモン!マンゴーアームズ!ファイト・オブ・ハンマー!》

 

バロン「はあぁっ!!」

 

 

マンゴーアームズにチェンジし、マンゴパニッシャーでワニガメフォッダーを思い切り殴り飛ばす。

甲羅に防がれるが、マンゴパニッシャーの重い一撃は受け止めきれず甲羅が砕け散った。ワニガメフォッダーが短い悲鳴を上げて倒れる。

 

 

バロン「もらった!」

 

《カモン!マンゴーオーレ!》

 

 

必殺の《パニッシュマッシュ》が放たれ、ワニガメフォッダーを押し潰す。

マンゴーのエフェクトが散り、ワニガメフォッダーは───甲羅が再生した状態で立ち上がっていた。

 

 

バロン「何!? …ならばもう一度だ!」

 

《カモン!マンゴースパーキング!》

 

 

マンゴパニッシャーを構えワニガメフォッダーの懐に飛び込むバロン。

エネルギーを纏ったマンゴパニッシャーによる一撃《マンゴースパーキング》がワニガメフォッダーを襲う。

だがワニガメフォッダーはマンゴパニッシャーを甲羅で受け止め、今度はヒビすら入らずに完全に防ぎ切ると、目の前で無防備になったバロンに頭突きをお見舞いする。

怯んだところに今度は酸弾を浴びせ、焼けるような痛みに悶絶するバロンに甲羅でタックルをかまし吹っ飛ばした。

 

 

バロン「硬くなっている…!? く、こんなところで…!!」

 

 

倒れ伏すバロンにワニガメフォッダーが歩み寄ってくる。

バロンは冷静だった。あの甲羅は再生する度に強靭になる。そのことに気付いていたバロンはワニガメフォッダーを一気に倒し切るための手段を探した。

吹っ飛ばされた衝撃で地面に転がったロックシード。その中の一つに、逆転の鍵…ならぬ、錠前があった。

沢芽市を旅立つ前、コウタから餞別として譲り受けていたスイカロックシード。結局そのコウタも一緒に来てしまったので、後で返そうと思っていたものだが…

勝機を見出せた。

 

 

バロン「ここからは…俺のステージだ」

 

《スイカ!》

《ロック・オン!》

《カモン!スイカアームズ!大玉 ビッグバン!》

 

 

クラックから巨大なスイカが出現し、バロンがその中に飛び込む。

突如目の前に現れた巨大スイカにワニガメフォッダーも困惑を隠せないでいた。一発、二発と殴ってみるがびくともしない。

すると突然スイカが高速回転し、ワニガメフォッダーを弾き飛ばす。すぐに立ち直ったワニガメフォッダーが酸弾を吐きつけるが、それでもスイカには傷一つ付かなかった。

 

 

《ヨロイモード!》

 

バロン「はあっ!!」

 

 

巨大スイカが鎧に変形し、それを操るバロンが手にした大槍でワニガメフォッダーを貫く。

凄まじい威力の一撃にワニガメフォッダーは容易く吹っ飛ばされた。砕け散った甲羅がまた再生を始める。

 

 

バロン「させん!」

 

《スイカスカッシュ!》

 

 

巨大なスイカ型エネルギーがワニガメフォッダーを閉じ込める。

身動きの取れなくなったワニガメフォッダーにさらに威力を増した大槍による一撃が炸裂し、爆散した。

 

 

バロン「………俺の勝ちだ」

 

 

大槍を掲げて宣言する。

いざ変身解除を、というタイミングでバロンに銃撃が撃ち込まれた。

 

 

バロン「誰だ?」

 

イクサ「お待たせしました。私ですよ、バナナさん」

 

バロン「ッ…! お前…!!」

 

 

ガンモードのイクサカリバーをバロンに向けて立ちはだかるエル───仮面ライダーイクサ。

追い続けていた宿敵の登場にバロンの闘志が再び燃え上がる。

 

 

バロン「バロンだ!」

 

イクサ「ああ、そんな名前でしたか。失礼しました」

 

バロン「…それで、何の用だ?」

 

イクサ「分かってるくせに」

 

バロン「なら、これ以上前振りはいらんな……いくぞ!」

 

 

バロンが大槍を構えて突撃する。

イクサは連続で繰り出される突きを軽々とかわしながら、スイカアームズの鎧ではなく操縦しているバロン本体を狙って銃撃を撃ち込んでいく。

強固な鎧を誇るスイカアームズも、操縦者を直接狙われてはひとたまりもなかった。蓄積されたダメージに耐えきれずスイカアームズが解除される。

スイカロックシードは灰色に変色し、機能停止した。

 

 

イクサ「なかなか楽しいスイカ割りでしたよ」

 

バロン「…なめるな」

 

《バナナ!》

《ロック・オン!》

《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》

 

バロン「本当の戦いはこれからだ!」

 

イクサ「いいですね、そうこなくては!」

 

 

イクサはイクサカリバーをカリバーモードに変形させ、バロンを迎え撃つ。両者が激突し、金属音が鳴り響く。

ワニガメフォッダーと戦う前に追い払ったはずの視線が復活していたが、今は気にしている場合ではなかった。

 

 

バロン「あのカメを仕向けたのもお前か?」

 

イクサ「はい。あの程度でやられるようでしたら私の見込み違いだったと諦めていたところです」

 

バロン「笑わせるな、俺はお前を倒す男だ!」

 

イクサ「その割には苦戦していたようですが」

 

バロン「ッ、見間違いだ!!」

 

イクサ「…本当、面白い人」

 

 

くすくす、と心底楽しそうに笑うイクサと馬鹿にされて更にヒートアップするバロン。

バナスピアーから繰り出される攻撃の重みが増したが、イクサは相変わらず余裕といった態度だ。

 

 

イクサ「ところでカイト」

 

バロン「何だ!!」

 

イクサ「私は強いですか?」

 

バロン「突然何を…俺を油断させる作戦か?」

 

イクサ「純粋な疑問です」

 

バロン「………」

 

 

イクサから投げかけられた問いに一瞬戸惑うも、イクサが剣戟から離脱しイクサカリバーを下ろしたのを見てバロンもそれに応じる。

イクサはただじっとバロンを見据え、返答を待っていた。

 

 

バロン「俺を負かせた女だ。強いに決まっている」

 

イクサ「心の底からそう思っていますか?」

 

バロン「思っていなかったらここまで根に持ったりはしない」

 

イクサ「……ふはっ じ、自覚あったんですか……く、くく…」

 

バロン「わ、笑うな!!」

 

 

堪えきれずに笑い声を漏らすイクサ。

すっかりペースを崩されたバロンは変身を解除してイクサに背を向ける。それを見たイクサも変身解除した。

 

 

カイト「馬鹿馬鹿しくなってきた。今日はここまでだ」

 

エル「く、ふふふ……い、いいんですか…うくくっ…?」

 

カイト「……………まずは笑うのを止めろ」

 

エル「………」

 

カイト「………」

 

エル「………う、くふぅっ」

 

カイト「笑うな!!」

 

エル「無理ですよぉ」

 

カイト「……もういい、俺は行く」

 

エル「あ、お気をつけて」

 

 

にこやかにカイトを送り出すエル。

この場はもうこれ以上関わりたくない、と神経をひたすら前に進むことに向けるが、どうしても後ろが気になってしまう。そんなカイトの耳にエルの言葉が飛び込んでくるのは必然だった。

 

 

エル「魔神提督が人里を襲っている!?」

 

 

カイトの足は踵を返していた。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

シシガケ「…まだ、足りないか……」

 

 

F.o.Dの本拠地、クレスト。そのとある一室にシシガケの姿があった。

その部屋は壁に掛けられた松明によってオレンジ色に照らされていた。中央には闇を塗りたくったかのような漆黒の台座が鎮座し、その周囲にはいくつもの白く小さい台座が並んでいる。台座の数はまるで増えたり減ったりしているようにはっきりとしない。いくつかの台座の上には何かが置かれており、その中には極ロックシードも確認できる。

 

 

シシガケ「………」

 

コテツ「シシガケ様」

 

シシガケ「何の用だ?」

 

コテツ「火室怜雄から『アーツ』と思われる物を見つけた、と報告が」

 

シシガケ「…で、その肝心の怜雄は?」

 

コテツ「『見つけただけでも十分お手柄だし、回収は別の人に任せまーす』、と」

 

シシガケ「あの阿呆…」

 

 

コテツからその「アーツらしきもの」を収めた写真を受け取ったシシガケはひとつ大きなため息を吐くと、腰を上げて台座から下り、指を鳴らす。

すると部屋の壁からノコギリザメのような怪人───ソーシャークフォッダーが湧き出すように現れた。

 

 

シシガケ「回収はお前に任せる」

 

 

ソーシャークフォッダーは写真を受け取るとこくん、と頷き、シシガケが開いたホールの中に消える。

 

 

シシガケ「…まだ足りない。もう少し外の世界を漁ってみるか……」

 

 

シシガケの二度目のため息が虚しく溶けていった。

 

 






文ちゃんかませになるの巻。
ごめんなさいと謝りたいけど、謝るくらいなら最初からやるなと言われそうなのでチョチョーの名言でごまかす。


「だが私は謝らない」


極アームズも一時退場です。いつ取り戻すのか、そもそも戻ってくるのかはまだ謎。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。