破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

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いつもより短めですよ。

ドライブ第二話の変身シーンは完全にレスキューポリスシリーズのそれでしたね…
では第十話、スタート・ユア・エンジン!



第十話 盗人と、強者と

 

エル「まったく、あの馬鹿者…!!」

 

 

背後から聞こえてきたエルの言葉に踵を返したカイトは、その駆ける勢いのままエルの肩をがしっと掴んで揺さぶり始める。

 

 

カイト「おい!今の言葉はどういう意味だ!?」

 

エル「うああああ、き、聞こえてましたあぅぁっ!?」

 

カイト「何でもいい、教えろ!なんとか提督、とは何だ!?人里を襲っているとは一体…」

 

エル「は、話しますから離してください!!」

 

カイト「………」

 

エル「…無意識の駄洒落です」

 

カイト「…分かってる」

 

 

肩をがくがく揺さぶられていたエルが思わず発してしまった一言でカイトも沈黙する。

冷静になったカイトがふと気付くと、いつの間に現れたのかエルの隣に見知らぬ若い好青年が立っていた。青年はエルと同じく軍服に身を包んでおり、左目にはヤモリが描かれた眼帯を装着している。

 

 

カイト「…お前、いつの間に?」

 

エル「ああ、こちらはコルサ。私の部下みたいなものです」

 

コルサ「よろしく、カイト」

 

カイト「……お前も怪人だな?」

 

コルサ「ほう、一目で見抜くとはね。まあ、当然か……蔵間カイト、本来ならここで始末しておきたい人物だけど…」

 

カイト「………」

 

コルサ「今は勝手に行動を起こした馬鹿者を始末するのが先だからね。やめておくよ」

 

エル「そういうことです。それではカイト、お話をしましょうか。まず……魔神提督は、最近F.o.Dに加わった新戦力です。処刑されかけていたところをシシガケ様がひっそりと助け出しました」

 

コルサ「命を助けてもらったシシガケ様に対してもなぜか高慢だけどね」

 

カイト「…お前は黙ってろ」

 

コルサ「そんなこと言わないでよ」

 

エル「黙っていなさい、コルサ」

 

コルサ「ええ!?」

 

 

コルサはショックを受けつつも、エルに言われては仕方ないと素直に閉口する。

こほん、とひとつ咳払いをすると、エルは話を続けた。

 

 

エル「彼にはとある任務を与えられていたのですが、どうやら暴れたくて仕方ないみたいです。彼が真面目に任務を遂行していれば、人里に用などできるはずがありません。私たちはこれから彼をこらしめに行くところです」

 

カイト「…それだけか」

 

エル「それだけですよ?」

 

カイト「…分かった。少し焦りすぎた……それで、本当に今更なんだが、そのことを俺に教えてよかったのか?」

 

エル「貴方になら何でも教えてあげますよ?」

 

カイト「そうか。なら、俺も行かせてもらう。人里に急用ができたんでな」

 

エル「………」

 

カイト「…何か言いたそうな顔だな」

 

エル「…人里までならホールで一瞬ですけど、一緒に来ます?」

 

カイト「そうさせてもらう。世話になるな…今度はしっかりと勝負をつけるぞ。必ず俺が勝つ」

 

エル「は、はい…楽しみにしてます…」

 

 

ここ最近はカイトと奇妙な友情のシンパシーすら感じつつあったエルであったが、どうやらちょっとした勘違いであったようだ。

開いたホールに飛び込んでいくカイトの背中に遠い目を向けつつ、心の中で嘆く。

 

 

エル(反応が想像してたのと違う…)

 

コルサ「エルネード様、どうしました?」

 

エル「あ、いえ、別に何でもありませんよ…コルサ、報告ご苦労様」

 

コルサ「では、私はこれで」

 

 

一瞬コルサの存在を忘れていたため、無理に笑顔をつくって誤魔化す。

コルサがアナザーに帰還したのを見届けると、エルははあ、とひとつ深いため息をついてカイトに続いた。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

鴉天狗の射命丸文に案内され無事に山を降りた士とコウタの二人は、彼女の提案でまず博麗神社と呼ばれる場所を訪れることにした。

そこに住まう巫女なら何か知っているかもしれない、と文は言うが、士は心に靄をかける不信感を拭い切れずにいた。

 

 

士「…本当にこんな場所に神社があるのか?」

 

文「私が嘘を吐くような人に見えますか?」

 

コウタ「人じゃないだろ…ああ、疲れた…」

 

文「情けないですね。引っ張ってあげましょうか?」

 

コウタ「それさっきもやっただろ」

 

 

先ほど無理矢理腕を引っ張られ、引っこ抜けそうな恐怖を体験したコウタは、文が差し出した手を突っぱねる。

経験したことのない痛みと感触はコウタの歴史ノートに必要ない一文として書き加えられていた。

 

 

士「だいぶ歩いたな」

 

コウタ「しばらく景色が変わってないんだけど…」

 

文「もうすぐそこですよ、私にはもう神社が見えてます」

 

コウタ「本当か!?」

 

士「空飛んでるからだろ」

 

文「あ、バレました?」

 

コウタ「嘘だろぉっ!」

 

 

コウタの絶叫がむなしく響いた。

それからまたしばらく歩き続け、すっかり口数の少なくなった士とコウタ。コウタは疲労からくるものだが、士にはまた別の理由があった。

 

 

士「………」

 

文「…士さん」

 

士「…ああ。見られてるな、『何か』に」

 

コウタ「え?」

 

文「私も感じたことのない気配です」

 

コウタ「え?」

 

士「気付かないのか?何かに見られてるぜ、俺たち。どこか無機質なものだけどな」

 

コウタ「疲れててそれどころじゃない」

 

文「本当に情けないですね…」

 

 

すっかり枯れ果てた様子のコウタに落胆する文。

仕方ない、と彼女がコウタの手を引っ張ろうと腕を伸ばしたその瞬間だった。

 

 

文「…!」

 

士「伏せろ!」

 

コウタ「え、えぇっ!?」

 

 

士の掛け声でとっさに地面に転がる三人。その直後に三人の頭上を何かがかすめ、側の大木に直撃した。

凄まじい轟音と共に大爆発が起こり、大木が吹っ飛ばされる。飛んできたのは砲弾だった。

 

 

文「こ、これは…!?」

 

士「走れ!」

 

コウタ「うおおおおおお嘘だあああああ!!」

 

 

間髪入れずに次々と撃ち込まれる砲弾。それらは駆け出した三人を確実に狙っていた。

文は低空を飛行し、風を起こして砲弾の軌道を逸らしていく。

 

 

コウタ「何だこれえええぇぇ!!」

 

文「速度を落とさないでください!!死にますよ!!」

 

コウタ「無理だってぇぇーー!!」

 

士「少し黙ってろ!!」

 

コウタ「無理だってぇぇーー!!」

 

 

悲鳴を上げつつ必死の形相で走り続けるコウタと、表情には出さずともさすがに苦しそうな士。文は砲弾の軌道を逸らすことに神経を集中させる。

止むことのない砲弾の雨に追われ続ける三人。目の前に石段が現れる頃には、見えない敵からの攻撃は止んでいた。

 

 

コウタ「はあ、はあ…」

 

士「逃げ切ったな…」

 

文「さすがに私も、少し、疲れました…」

 

 

石段の上でぐったりと横になり、荒い息をつく三人。

砲撃を行った者の正体は分からなかったが、ともかく神社には辿り着けたようだ。

 

 

文「よかったですね、ここが目的地の博麗神社ですよ」

 

コウタ「よかねえやい!」

 

文「この石段を上がれば到着です」

 

士「………」

 

コウタ「………」

 

文「…休んでから、行きましょうか」

 

士「…そうだな」

 

コウタ「くたびれた」

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

???1「ぬうう…始末に失敗した…」

 

???2「どうする?勘違いとはいえ攻撃を仕掛けた以上、奴らも黙ってはいないだろう」

 

???3「だからうかつな行動はよせと言ったんだ」

 

???2「お前何も言ってなかっただろう!黙って賛同してただけの奴が何を!」

 

???3「言ったさ!心の中で!」

 

???2「伝わるか阿呆!」

 

???1「ああもういい、喧嘩はよせ。勝手な行動に出てしまったのも素直に謝れば許してもらえるはずだ」

 

???3「仕方ないよな、俺たちの隠れ家に気付かれたのかと思ったんだから」

 

???2「お前はまたそうやって…」

 

???1「よせと言っているんだ!もういいだろう、奴らも大して気にしてる様子はない」

 

???3「…それはそれで危ない気がする」

 

???2「分かった、戻ろう。これ以上何もなければそれでいいんだ」

 

???1「奴らの気が変わる前に引き上げるぞ」

 

???2&3「「了解!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

???3「許してもらえなかったぞ!」

 

???2「当たり前だ!」

 

???1「うかつな行動は死を招く…いい教訓になったな!」

 

???2「お前が一番阿呆なんだと思う」

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

魔神提督「………」

 

 

一方、数体の怪人を引き連れた魔神提督が姿を現した人間の里では。突如現れた魔神提督たちに、里はパニック状態に───陥っていなかった。

魔神提督が連れている怪人はネオショッカーのガメレオジン、カマキリジン、戦闘員アリコマンド数体。そしてシャチの姿をしたフォッド怪人のオルカフォッダーだ。

狙って揃えた面子ではないが、一般人を恐怖させるのには十分なはずだった。魔神提督の脳内に疑問符が浮かぶ。

 

 

魔神提督「………」

 

男1「ずいぶん個性的な連中だなぁ」

 

男2「妖怪なんだから当たり前だろ」

 

男1「それにしたって異様だぜ」

 

魔神提督「よ、妖怪、だと?」

 

アリコマンド「ま、魔神提督様…」

 

魔神提督「…どうやらこの世界の連中にはワシらの常識が通用しないようだ」

 

アリコマンド「なんか納得いきませんね!」

 

???「常識だって?君がそれを言うのかい?」

 

アリコマンド「だ、誰だ!?どこにいる!?」

 

???「ここだよ」

 

 

魔神提督たちが声の出所を探す。

ようやくそれを見つけるが、視界に映ったのは───ズボンの裾が木の枝に引っかかって逆さまに宙吊り状態になった海東の姿だった。

 

 

海東「………」

 

魔神提督「………」

 

海東「本当はこんなこと頼みたくないんだけど……下ろしてくれない?」

 

魔神提督「…何が何だかよく分からんがちょうどいい。ひとつ聞かせてもらうが、貴様は今オーガドライバーを持っているか?」

 

海東「…持ってるけど」

 

魔神提督「かかれーっ!!」

 

海東「あっしまった」

 

 

完全に無防備な海東にアリコマンドたちが群がっていく。

それと同時に他の怪人たちも里の破壊活動を始め、人里に住人たちの悲鳴が響いた。

 

 

魔神提督「そうだ、その反応が欲しかったのだ!」

 

海東「さすが、本物は違う」

 

アリコマンド「魔神提督様、こいつオーガドライバー持ってません!」

 

魔神提督「何!?」

 

海東「下ろしてくれたこと、礼を言うよ」

 

魔神提督「き、貴様…!」

 

海東「変身」

 

《KAMEN RIDE…》

《DIEND》

 

 

うまいこと宙吊り状態から開放された海東はディエンドに変身し、そのエフェクトで周囲のアリコマンドを吹っ飛ばす。

オーガドライバーを神社に忘…置いてきて正解だったようだ。

 

 

魔神提督「ええい、もう何だって構わん!叩きのめしてしまえ!!」

 

ディエンド「…その様子だと、ただ暴れたかっただけみたいだね。僕の知っている魔神提督はそんな性格じゃなかったと思うけど」

 

魔神提督「黙れ!黙って死ぬがよい!」

 

ディエンド「おお、怖い怖い」

 

 

魔神提督の合図で破壊活動を続けていた怪人たちが一斉にディエンドに踊りかかる。

ディエンドは銃撃でそれらを牽制し、こちらの攻撃に最適な距離を取る。

 

 

ディエンド「ちょっと数が多いな…ここは───」

 

ガメレオジン「させん!」

 

ディエンド「ッ!?」

 

 

ディエンドがカードを取り出すのを見たガメレオジンは、咄嗟に長い舌を伸ばしてディエンドの手を弾き妨害した。

カードを取り落とし焦ったディエンドをアリコマンドたちが包囲し、カマキリジンが飛びかかる。

 

 

カマキリジン「必殺、カマキリブーメラン!!」

 

ディエンド「ぐうっ…」

 

 

カマキリジンは体を回転させ、鋭利なカマでディエンドを何度も斬りつける。

回避しようにもアリコマンドにしがみ付かれそれもままならなかった。

 

 

ディエンド「邪魔だ!」

 

アリコマンド「ギャアッ!」

 

 

無理矢理引き離されたアリコマンドの一体がカマで切り裂かれ消滅した。

体の自由を取り戻したディエンドは、未だ回転を続けているカマキリジンの足に鋭い蹴りを入れ転ばせる。

 

 

魔神提督「何をしている、貴様も戦わんか!」

 

オルカフォッダー「………」

 

魔神提督「連れてくる奴を間違えたか…」

 

 

何をするでもなくただボーッと戦闘を眺めていたオルカフォッダーは、魔神提督の一喝でようやく動き出す。

だがその足取りは重い。のそのそとディエンドたちが戦っている場所へと進んでいく。

 

 

ディエンド(新しく手に入れたカードを試してみようと思ったらこれだ…)

 

カマキリジン「もう一度だ!カマキリブーメラン!!」

 

ディエンド「…!!」

 

ガメレオジン「死ね、ディエンドォ!!」

 

ディエンド「…二度も喰らわない!」

 

ガメレオジン「うおっ!?」

 

カマキリジン「んなっ!?」

 

 

ガメレオジンの伸ばしてきた舌を掴んだディエンドは、それを思い切り引っ張りガメレオジンを引き寄せ、カマキリジンにぶつける。

カマキリジンのカマとガメレオジンの伸びきった舌が両者を打ち据え、もつれ合うように転んだ。

 

 

ディエンド「今度はこっちの番だ」

 

《FINAL ATTACK RIDE…》

《DI DI DI DIEND》

 

ガメレオジン「ええい、どけ、カマキリジン!!」

 

カマキリジン「貴様の舌が絡まっているんだ!!」

 

ディエンド「さよなら」

 

ガメレオジン「ギャアアァッ!!」

 

カマキリジン「グウウウッ……負けん…まだ、死にたくないぃ…グアアアァァッ!!」

 

 

小競り合いを続けるガメレオジンとカマキリジンに《ディメンションシュート》が炸裂し、断末魔と共に爆散した。

 

 

ディエンド「再生怪人が何を」

 

魔神提督「おのれ…はよせい、オルカフォッダー!ディエンドを始末しろ!!」

 

オルカフォッダー「………」

 

ディエンド「…僕が言うのも何だけど、君やる気あるのか?」

 

オルカフォッダー「帰りたい」

 

魔神提督「最初に発した台詞がそれか!」

 

オルカフォッダー「………」

 

魔神提督「…勝手に連れ出したことに不満があるのなら詫びよう!だがそれは後だ、今はとにかくディエンドを始末しろ!!」

 

オルカフォッダー「………」

 

ディエンド「…調子が狂うな」

 

 

オルカフォッダーは相変わらずの鈍い動きでディエンドに向かっていく。

まるでスロー再生にでもされているかのようだ。そんなことを考えているうちに目の前にまで迫っていたオルカフォッダーが、ゆっくりとヒレ状の腕を振り上げる。

そして振り下ろす。振り下ろす、その瞬間だけは、凄まじいスピードだった。ビュン、と風を切って振り下ろされたヒレが地面を抉り取ったのを見て、ディエンドは咄嗟に危険を予知できた自分の神経に感謝する。

 

 

ディエンド「…ッ」

 

オルカフォッダー「外した」

 

魔神提督「…やればできるではないか」

 

オルカフォッダー「今度こそ」

 

ディエンド「まずい…!」

 

 

再び猛烈な勢いで振り下ろされたヒレをかわす。

地面に新しく作られた攻撃の傷跡がその一撃の威力を如実に現していた。

 

 

オルカフォッダー「避けるな」

 

ディエンド「無茶言うな」

 

オルカフォッダー「生意気」

 

ディエンド「どっちが!」

 

 

ディエンドが銃撃を撃ち込む。銃弾が体に突き刺さっているにも関わらず、オルカフォッダーは表情ひとつ変えずにヒレで反撃する。

ダメージは通っているはずだが、決して怯むことはなかった。ディエンドは銃撃を続けつつ、オルカフォッダーから距離を取る。攻撃を続けていればそのうち怯みぐらいするはずだ。

 

 

ディエンド「押してダメでも押し破るってね…」

 

オルカフォッダー「ならオレは泳ぐ」

 

ディエンド「はっ?」

 

 

オルカフォッダーが背ビレを震わせる。するとオルカフォッダーの体がずぶずぶと地面に沈んでいき、ついに全身が埋まってしまった。

 

 

ディエンド「何だ…!?」

 

魔神提督「ほう、これは…」

 

オルカフォッダー「とうっ」

 

ディエンド「ぐっ…!!」

 

 

気の抜けた声と共に地面から飛び出してきたオルカフォッダーが鋭いナイフのように変形したヒレで一撃する。

地面を掘り進んでいるのではなく、オルカフォッダーの周囲だけが液状化していた。先ほどとは段違いの素早さで地中を泳ぎ、攻撃の時だけ飛び出してくるオルカフォッダーに対応しきれず、ディエンドは翻弄される。

 

 

ディエンド「厄介、な…」

 

オルカフォッダー「てーい」

 

ディエンド「ぐああぁっ!!」

 

 

勢いを乗せた全力の体当たりを受けたディエンドが吹っ飛ばされ、家屋をぶち破って叩きつけられる。

背中を強く打ち付けたことで息が詰まり、立ち上がれなくなってしまった。

 

 

魔神提督「これまでだ、ディエンド!!」

 

ディエンド「く…」

 

魔神提督「死ぬがよい!!」

 

 

魔神提督が長剣を引き抜き、赤い雷を放つ。赤い雷はディエンドに一直線に飛んでいき───目の前で弾け飛んだ。

ディエンドの足元に黒焦げになった紙切れのようなものが落ちる。拾い上げてみると、黒焦げでよく分からないが、どうやらトランプのようだった。

 

 

カイト「まったく…お前もライダーならもう少し根性を見せたらどうだ?」

 

魔神提督「む…?」

 

ディエンド「…君は?」

 

カイト「アーマードライダー、バロンだ!」

 

 

トランプで雷を弾いたカイトと、その後ろで口元を抑え笑い声を漏らしているエル。

無茶苦茶な現れ方をした二人に、ディエンドと魔神提督は呆気に取られる。

 

 

魔神提督「バロン?貴様も仮面ライダーか…!!」

 

カイト「そして蔵間カイト。覚えておくがいい」

 

エル「名乗る順番逆じゃないですか?」

 

カイト「黙ってろ」

 

ディエンド「ああ、君がバロンか。話は聞いたことがある」

 

カイト「ほう、俺も名が上がってきたか」

 

エル「えっ?今、何と?」

 

カイト「もう本当に黙っててくれ」

 

 

カイトは先ほどから心底楽しそうに笑うエルを視界から外し、ディエンドたちに向き直る。

 

 

カイト「お前が魔神提督だな。暴れたくて仕方ないのなら、俺が相手になってやる!」

 

《バナナ!》

 

魔神提督「ハッハハハハ!!貴様にワシの相手が務まると──」

 

エル「魔神提督。私はとても怒っています」

 

魔神提督「ここは引こう!」

 

カイト「逃げるのか!?」

 

《ロック・オン!》

《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》

 

魔神提督「逃げるのではない、用が済んだから帰るのだ!」

 

バロン「俺からすれば同じだ!」

 

エル「カイト、そんなのでも私たちの戦力です。どうかお手柔らかに」

 

バロン「そんな頼みが聞けるか」

 

エル「ですよねー」

 

魔神提督「ええい、オルカフォッダー!ライダーどもを始末しろ!」

 

オルカフォッダー「……了解」

 

エル「あれ…?お、オルカフォッダー!?魔神提督、貴方フォッド怪人まで連れ出していたんですか!?」

 

魔神提督「暇そうにしていたから連れてきたまでだ」

 

ディエンド「うわぁ…」

 

エル「再生怪人や怜雄の呼び出した怪人ならまだしも…フォッド怪人は貴重な戦力です!無闇に連れ出さないでください!」

 

魔神提督「ならば貴様が先だって戦えばよい」

 

エル「あ、貴方という人は…!!」

 

魔神提督「さらばだ!」

 

エル「待ちなさい!!」

 

 

ホールを開いて逃げて行った魔神提督にエルが続く。

閉じかけたホールの向こう側から聞こえてきたイクサの変身音が残響を残した。

 

 

バロン「…あいつ意外と短気だな」

 

オルカフォッダー「命令実行」

 

バロン「くるか…」

 

 

オルカフォッダーが再び地中にダイブし、撹乱するようにバロンの周囲を高速で泳ぎ回る。

時折飛び出してはヒレで斬りつけるが、バロンはバナスピアーでそれらを受け流していく。

 

 

ディエンド「力を貸そう」

 

バロン「いらん。こいつは俺一人で倒す!」

 

ディエンド「君は働きすぎだ。僕にも活躍の場を与えてくれないか?」

 

バロン「…何の話だ」

 

ディエンド「こっちの話」

 

《FINAL FORM RIDE…》

《BA BA BA BARON》

 

ディエンド「痛みは一瞬だ」

 

バロン「ぐおぅっ!?」

 

 

《ファイナルフォームライド バロン》の効果で、背中を撃ち抜かれたバロンが巨大なバナスピアー《バロンバナスピアー》に変形した。

ディエンドはそれを担ぎ上げ、次のカードを装填する。

 

 

オルカフォッダー「ん…?」

 

ディエンド「ずいぶんとオーバーだね…」

 

オルカフォッダー「何か知らないけど…」

 

ディエンド「これで終わりだ」

 

《FINAL ATTACK RIDE…》

《BA BA BA BARON》

 

オルカフォッダー「砕け死ね!」

 

ディエンド「そうはいかない」

 

 

飛び出してきたオルカフォッダーがバロンバナスピアーの柄で殴られ、再び地中に逃げる。

ディエンドがバロンバナスピアーを地面に突き刺すと、極太のバナナ型エネルギーが飛び出し地中のオルカフォッダーを突き上げた。

 

 

ディエンド「とどめだ!!」

 

 

無防備に宙を舞ったオルカフォッダーがバナナ型エネルギーを纏ったバロンバナスピアーに貫かれ、鈍い金属音と悲鳴を残して爆散した。

投げ捨てられたバロンバナスピアーがバロンの姿に戻り、地面を転がる。

 

 

バロン「…何だ今のは」

 

ディエンド「手品さ。君も得意だろう」

 

バロン「………」

 

ディエンド「じゃ、僕はこれで」

 

バロン「待て」

 

 

変身を解除し、未だ倒れたまま背中をさすっているバロンを一瞥して立ち去ろうとする海東を呼び止める。

 

 

海東「…何か用かい?」

 

カイト「お前が何者なのか、ここがどういう世界なのか……聞かせてもらうぞ」

 

海東「僕は通りすがりの仮面ライダーさ。それだけ」

 

カイト「…待てと言っているんだ!」

 

海東「しつこいなぁ」

 

カイト「お前が真面目に答える気になるまで付いていくぞ」

 

海東「どうぞご勝手に」

 

 

二度とは歩みを止めない海東の後を追うカイト。

そんな彼らの背中に突き刺さるのは里の人間たちからの好奇心やら畏怖やら、とにかくそんな視線の数々だった。その中のひとつ、特に強い警戒心を持った視線が、去りゆく二人を捉えていた。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

一方、シシガケからアーツの回収を命じられたソーシャークフォッダーは、目的のアーツを回収し終えたところであった。

その手に収まっていたのは水色の機械らしきものの残骸。失くさないよう透明なケースに保管されたそれは、残骸でありながらも底知れない力を感じさせた。

 

 

???「う、うぅ…」

 

ソーシャークフォッダー「チッ、弱いくせに抵抗しやがって…」

 

 

か細いうめき声を漏らして倒れ伏す青髪の少女を尻目に、吐き捨てるようにそう愚痴る。

そんなソーシャークフォッダーの元に、怜雄とラアデュンシェがホールを開いて現れた。

 

 

ソーシャークフォッダー「怜雄様、回収したアーツです」

 

怜雄「おつかれー。ところでこれ、本当にアーツなのかな」

 

ラアデュンシェ「…そんな曖昧な判断でこんな大胆に行動してよかったのか?」

 

怜雄「へーきへーき」

 

ソーシャークフォッダー「はぁ」

 

ラアデュンシェ「だといいがな」

 

 

暢気な怜雄に怪人二名が呆れ顔になる。

 

 

ラアデュンシェ「しかし、この有様ではアーツとして機能するかどうか」

 

怜雄「修理すればいいじゃない」

 

ソーシャークフォッダー「そんな簡単に言われましても」

 

怜雄「…ま、何であれクレストに戻って報告するのが先ね」

 

ラアデュンシェ「………」

 

ソーシャークフォッダー「あ、そういえば…ここに来る途中、妙な連中から攻撃を受けまして」

 

怜雄「え? …妙な連中って、どんなの?」

 

ソーシャークフォッダー「背中に巨砲を背負った奴らです。わずかに見えただけなので正体はよく分かりませんが、少なくとも三体…三体とも同じ姿をしていました」

 

ラアデュンシェ「F.o.Dの怪人か、それとも貴様が呼び出した怪人じゃないのか?」

 

怜雄「背中に巨砲で、同じ姿の奴が三体でしょ?そんな特徴のある奴ら知らないけど」

 

ソーシャークフォッダー「このことも一応報告しておきましょう」

 

怜雄「そーね。んじゃ、よろしく」

 

ソーシャークフォッダー「よろしく、って…怜雄様は?」

 

怜雄「私は別の用事があるから。んじゃ、頼んだよー」

 

ソーシャークフォッダー「あ、ちょ、怜雄様!?」

 

ラアデュンシェ「………」

 

ソーシャークフォッダー「………」

 

 

手をひらひらさせて軽快な足取りで去って行った怜雄の後ろ姿をただ呆然と眺めるソーシャークフォッダー。

残されたラアデュンシェとの間に気まずさと微妙な距離感を感じつつ、彼が開いたホールを通って幻想郷から姿を消した。

 

 

倒れていた少女は、手放しそうになる意識を気合と根性で維持させてそれを見届ると、彼らの姿が消えたと同時にふっと意識を失った。

 

 






ドライブ第二話にしてようやく、自分が「ロイミュード」のことを「ミューロイド」と呼んでいたことに気付きました。
そんな間違いする年齢じゃないのにね!メタロイドあたりと混ざったのでしょうか。

ロイミュード、ロイミュード。もう間違えんぞ…
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