特撮に限らず、創作作品では投げ捨てた武器は次の話でいつの間にか手元に戻ってきているものですが、ラアデュンシェは大鎌を本当に捨ててしまったようです。
決して大鎌の戦闘描写が書き辛くて挫折したわけではありませんよ。本当ですよ。
それにしてもまだ手探り感が拭えないなぁ…
ディエンド「じゃ、みなさんよろしく」
バロン「お前も戦え!!」
魔神提督「者共、かかれぇーッ!!」
ラアデュンシェ「貴様が仕切るな!!」
開戦の合図はあまりにもグダグダだった。
まるで事前に対戦相手を組み分けておいたかのように、ディケイドがディライトと、ディエンドが魔神提督と、鎧武がラアデュンシェと、バロンがコルサと衝突する。
ディケイドはツッコミたい衝動を堪えてディライトの振り下ろしたディライドライバーを受け止め、背後から躍りかかってきたソーシャークフォッダーを蹴りで牽制する。
ディケイド「俺の相手は、やはりお前か」
ディライト「うーん、ていうか…」
ソーシャークフォッダー「俺を忘れるなッ!」
ディライト「…正解は『お前たち』、って感じね」
ディケイド「おいおい、二対一は卑怯だろ…」
ソーシャークフォッダー「知るか!」
ソーシャークフォッダーが得物の巨大ノコギリを大きく一振りすると、風の刃が無数に生み出され、ディケイドを襲う。
ディケイドはそれらをライドブッカー・ソードモードで防ごうと構えるが、風の刃はライドブッカーの刀身をすり抜けディケイドを切り刻んだ。
ディケイド「ぐうッ…!!」
ソーシャークフォッダー「今です!!」
ディライト「オッケー、ソーシャーク!!」
《ATTACK RIDE...》
《SLASH》
ディライト「はあぁっ!!」
ディケイド「くっ…」
膝をついたディケイドは持てる力のすべてを使って飛び退き、ディライトの《ディライトスラッシュ》を回避する。
ディケイドの元いた場所に強化されたディライドライバーの切っ先が突き刺さり、小さなクレーターを穿った。
ディライト「さすがにまだやれそうね。そうこなくっちゃ」
ディケイド「とっておきを見せてやる。お気に召すかどうかは分からないがな!!」
《KAMEN RIDE...》
《WIZARD》
ディケイドが「仮面ライダーウィザード」にカメンライドする。
手にしたウィザーソードガンが太陽の光を反射して輝いた。
ディエンド「そろそろ教えてくれないか?君がF.o.Dに付き従う目的」
魔神提督「恩、ただそれだけだ!!」
ディエンド「…へぇ。僕の知っている魔神提督とは、ちょっと違うみたいだね」
魔神提督「ワシは正真正銘、本物の魔神提督だ。大首領に用済みとして処刑されかけたところを助け出されたのだ」
ディエンド「それが恩、ねぇ。やっぱり……君はどこか胡散臭い」
魔神提督「何が言いたいのかさっぱり分からん」
ディエンド「ま、いいや。とにかく…」
魔神提督「とにかく、貴様の持つオーガドライバーを渡してもらおう!!」
ディエンド「しつこいね、どいつもこいつも!!」
魔神提督が指から放ったミサイルをディエンドはひとつひとつ、正確に撃ち落とす。
爆風の中から奇襲を仕掛けてきた魔神提督の剣による一撃を後退して躱し、ディエンドライバーによる銃撃で反撃する。
ディエンド「また持ってないかもしれないよ?」
魔神提督「それなら、痛めつけて聞き出すまで!」
ディエンド「言っておくけど、僕の口は軽くない」
《KAMEN RIDE...》
《ORGA》
《OOO》
ディエンド「頼んだよ」
魔神提督「出たな…」
「仮面ライダーオーガ」と「仮面ライダーオーズ」が召喚され、オーズが魔神提督に飛びかかる。全体重を乗せた体当たりを受け、もつれ合いながら地面を転がった。
マウントポジションをとったオーズがトラクローで魔神提督を切り裂く。
魔神提督「ぐ…邪魔だ!!」
オーズ「!!」
魔神提督の腕が開き、毒ガスが放出される。真正面からそれを浴びたオーズは悶え苦しみ、剣で貫かれ消滅した。
立ち上がった魔神提督に、オーガストランザーを振りかざしたオーガが襲いかかる。後衛のディエンドが放つ銃撃とオーガの攻撃に押され、魔神提督は吹き飛ばされた。
魔神提督「ぬううッ」
ディエンド「諦めたら?」
魔神提督「何の、まだこれからよ!!」
魔神提督が剣を大きく振るうと、四方八方に赤い雷が放出され、ディエンドやその周囲で戦っていたライダーたちにも襲いかかった。
ディケイド「うおッ!?」
鎧武「うわあぁぁ!?」
バロン「…フン、こんなもの!」
ディライト「きゃぁっ!?ちょ、ちょっと!」
コルサ「おおう」
ソーシャークフォッダー「危ねぇだろ!」
魔神提督「避けられなかった者が悪い!」
ラアデュンシェ「愚か者め…」
ディエンド「無茶苦茶するね」
飛び交う非難も何のその。未だ放たれ続けている雷は、敵味方見境なし。
耐え切ったオーガが再び魔神提督に斬りかかったところでようやく雷の放出が止まる。だがオーガは魔神提督の剣で切り裂かれ消滅してしまった。
魔神提督「ハリボテは破った。次は貴様だ!!」
ディエンド「…さすが、大幹部なだけはある」
ディエンドの銃撃を剣で弾きながら、魔神提督が猛進する。
コルサ「あの新入りにも呆れたものだ」
バロン「……お前らの仲間だろ、何とかしろ」
コルサ「そんな義務はないよ。好きなだけ、好きなようにやる。それが我らF.o.Dさ」
バロン「…思いつきでくだらないことを言うな」
コルサ「バレたか」
壮絶なせめぎ合いを繰り広げながらそんな会話を交わすバロンとコルサ。
バロンがバナスピアーから繰り出す突きをコルサはすらりとかわし、僅かな隙を見つけては手にした鞭でバロンを打ち据え、少しずつダメージを蓄積させていく。
何度手の甲を打たれたか分からない。きっと真っ赤に腫れているだろう。
バロン「ぐうう…」
コルサ「仮面をしてても、しかめっ面になってるのがよく分かる」
バロン「……ッッッ!!」
怪人態なこともあってか余計にいやらしい笑みを浮かべるコルサに、バロンの怒りゲージがグングン上昇していく。
怒りを乗せ勢いを増した連続突きも、コルサは相変わらずの笑顔で躱してしまう。
コルサ「そんなんじゃだめだ。世界は甘くないぞ?」
バロン「何の、話だッ!!」
コルサ「我慢大会」
バロン「……うおおおおおぉぉぉッ!!」
《カモン!バナナスカッシュ!》
もはや我慢も限界寸前のバロンは打ち据えられる鞭も構わず、《スピアビクトリー》で無理矢理コルサを至近距離から貫く。
完全に意表を突かれたコルサはあえなく弾き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられた。
コルサ「あ、がぁッ…」
バロン「…俺の強さを思い知れ!!」
コルサ「いいだろう……思い知るのは、私の強さだがな!!」
コルサが雄叫びを上げると、その背中から二本の巨大な触手が突き出し、凄まじいスピードでバロンに襲いかかった。
バナスピアーで応戦するが、想像以上に硬化した触手の勢いを緩めることすら出来ず、ボディに強烈な一撃を受ける。
バロン「ぐッ…」
コルサ「あの一撃を受けてまだ立ち上がるのか。大した根性だ」
バロン「負けるわけには、いかない…!!」
《カモン!バナナスパーキング!》
地面から生やしたバナナ型エネルギーで襲い来る触手を弾き飛ばす。
破壊することまでは出来ずとも、重い触手に引っ張られ、コルサが大きく仰け反る。隙を作ることは出来た。
バロン「いくぞ!!」
《カモン!バナナオーレ!》
コルサ「うッ…!?」
バロン「はあああぁぁーーッ!!」
コルサ「ぐあぁッ!!」
無防備になったコルサに《バナナオーレ》を叩き込む。
ついに触手が切り落とされ、同時にコルサを真っ二つにした。
コルサ「ば、かな……」
バロン「これが俺の実力だ!!」
コルサ「ウ、グ…グオオオォォッ!!」
触手が萎れた花のように干からびて消滅する。触手を失い大ダメージを受けたコルサが、忌々しげにバロンを睨みつけたまま倒れ伏し、爆散した。
ラアデュンシェ「グオオォッ!!」
鎧武「ふッ、はぁッ!!」
ラアデュンシェと交戦する鎧武。鉤爪から繰り出される猛攻を無双セイバー・ナギナタモードで防いでいく。
隙を見て反撃を試みるが、同じく防がれる。代わり映えしない、堂々巡りの戦いが続いていた。
鎧武「くっ、これじゃ埒があかねぇ…」
ラアデュンシェ「もう音を上げたのか?」
鎧武「こなくそー!!」
もともと気が長くないコウタはラアデュンシェの安い挑発に乗せられ、この攻防から強引に抜け出そうと無双セイバーを大きく振るう。
当然その一撃は避けられ、鉤爪による切り裂き攻撃をまともに受けてしまった。
鎧武「うぐッ…」
ラアデュンシェ「立て、猿。まだこれからだぞ」
鎧武「ったりまえだ!!」
地面を強く殴りつけて気合を入れ直し、ラアデュンシェに立ち向かう。斬りかかる、と見せかけて急ブレーキをかけ横へ飛び退く。振り下ろされた鉤爪は空を切る。
次の攻撃が来るより早く、鎧武の無双セイバーがラアデュンシェを切り裂いた。怯んだラアデュンシェに続けて鋭いキックが打ち込まれ、地面を転がった。
ラアデュンシェ「…小賢しい真似を」
鎧武「俺のステージはまだこれからだぜ!!」
《ロック・オン!》
《イチ!ジュウ!ヒャク!セン!マン!オレンジチャージ!!》
ラアデュンシェ「だが、それが貴様の最後のステージだ!!」
鎧武「うおらあああぁぁッ!!」
無双セイバーを構えラアデュンシェへ突撃する。
それを迎え撃つラアデュンシェの鉤爪と、鎧武の放つ《ナギナタ無双スライサー》がぶつかり、爆発したエネルギーの奔流が両者の体を襲った。
鎧武「ぐあぁッ!!」
ラアデュンシェ「ヌグゥッ…」
鎧武「な、何のぉ…」
立ち上がり、再び駆け出すのは同時だった。
ナギナタモードを解除した鎧武は、無双セイバーと大橙丸の二刀流でラアデュンシェの鉤爪による攻撃を切り捌いていく。ナギナタモードで戦っていた時より上手く立ち回り、小さな隙に確実に反撃を加えていく。だがラアデュンシェもやられてばかりではない。鋭い角を使った頭突きで鎧武を怯ませると、鉤爪で大橙丸を弾き飛ばした。
鎧武「あっ!? …こ、このぉッ!!」
ラアデュンシェ「グオオオアアァッ!!」
手元に残った無双セイバー一本ではラアデュンシェの猛攻を防ぎきれない。
鉤爪で胸部を切り上げられた鎧武が宙を舞い地面に叩きつけられる。
鎧武「あ、ぐ…」
ラアデュンシェ「終わりだ!!」
鎧武「いや…まだだ!!まだ、これからだッ!!」
《カチドキ!》
《ロック・オン!》
《ソイヤッ!カチドキアームズ!いざ、出陣!エイエイオー!!》
ラアデュンシェが鉤爪を一振りし、爪痕型のエネルギーを放つ。
鎧武は展開されたカチドキアームズでそれを防御すると、背中からカチドキ旗を抜き取る。
ラアデュンシェ「…シャムビシェから聞いたことがある。人間は敗北を認めた時に旗を掲げると」
鎧武「それは白旗だ!!」
ラアデュンシェ「何が違うんだ? まあ、いい…まだ戦えるみたいだな…!!」
鎧武「お前を倒すまでは、俺の旗は折れねぇ!!」
カチドキ旗が唸りを上げてラアデュンシェを打ち据える。
想像以上の衝撃にラアデュンシェは一瞬顔をしかめるが、すぐに立て直し鉤爪で旗をへし折ってしまった。
鎧武「折れたッ!?」
ラアデュンシェ「どうした…俺を倒すまで旗は折れないんじゃなかったのか…?」
鎧武「ッ… 心の旗の話だ!!」
ラアデュンシェ「………」
鎧武「すまん。今のは俺も意味不明だった」
ラアデュンシェ「ふざけるな!!」
ラアデュンシェの容赦ない攻撃が鎧武を襲う。旗と一緒に自尊心がへし折られた鎧武はその一撃を喰らって我に返った。
火縄大橙DJ銃を構え、ラアデュンシェの攻撃をかわして至近距離から火球を放つ。高威力の火球を受けたラアデュンシェが吹っ飛ばされる。
ラアデュンシェ「ちぃ…その武器は厄介だな…」
鎧武「一気に決める!!」
火縄大橙DJ銃に無双セイバーを差し込んで大剣モードに変形させ、ラアデュンシェに斬りかかる。
大剣モードの攻撃は鉤爪では防ぎきれず、押し破られて重い斬撃を叩き込まれた。その攻撃で左角が切り落とされ、地面に落ちる。
ラアデュンシェ「グゥァァッ!!ジュファション…アビリェファ…アビリェファ、ジュファション!!」
鎧武「お前はここで倒す!!」
《ロック・オン!》
《イチ!ジュウ!ヒャク!セン!マン!オク!チョウ!無量大数!!カチドキチャージ!!》
ラアデュンシェ「ウグルオオオォォッ!!」
鎧武「セイハァァーーッ!!」
怒りに我を忘れて真正面から鎧武に迫るラアデュンシェ。
当然鎧武が放った《火縄大橙無双斬》が直撃する。異常なタフさ故に倒しきることは出来なかったが、右側の角と左腕の鉤爪も破壊された。
ラアデュンシェ「グ、ガ…」
鎧武「何て奴だ…」
ラアデュンシェ「グゥゥ……くそッ、ここまでか……」
満身創痍のラアデュンシェはホールを開くと、その中に消えていく。
何とか勝利した鎧武であったが、達成感は欠片も感じなかった。
《ATTACK RIDE...》
《WAVE》
ディライト「はぁッ!!」
ディケイドウィザード「これか…」
《ATTACK RIDE...》
《DEFEND》
ディケイドウィザード「どうだッ!!」
ディライドライバーから放たれたエネルギーの刃《ディライトウェイブ》がディケイドウィザードを襲う。
ディケイドウィザードは《ディフェンド》で生み出した燃え盛る炎の盾でそれを防御しながら、ウィザーソードガンから銃弾を放つ。銃弾はディケイドウィザードのコントロールで正確にディライトと、背後から奇襲を仕掛けようとしていたソーシャークフォッダーを撃ち抜いた。
ディライト「うっ…ちょ、ちょっと、それ反則じゃない?」
ディケイド「怪人召喚するお前が言うな」
ソーシャークフォッダー「ちぃぃっ!!」
奇襲に失敗したソーシャークフォッダーは、諦めて正面からノコギリで攻撃を仕掛ける。
ディケイドウィザードはディライトとソーシャークフォッダー、二者の同時攻撃を華麗に捌いていく。
ディライト「うぐぐ…動きが無駄に華麗で余計イライラする…!!」
ディケイドウィザード「ああそうか。俺は最初からイライラしてるけどな!!」
《FORM RIDE...》
《WATER》
ソーシャークフォッダー「また変わりやがった!」
ディケイドウィザード「やっぱり二対一は戦い辛いからな…まずはお前を倒す!」
ディライト「あっ!?」
ディケイドウィザードはウォータースタイルにチェンジし、体を液状化させてソーシャークフォッダーを捕らえると、空中に連れ去ってから解放する。
ソーシャークフォッダー「な、何を…ッ」
《FINAL ATTACK RIDE...》
《WI WI WI WIZARD》
ディケイドウィザード「はああぁぁーッ!!」
ソーシャークフォッダー「ウガアアアァァッ!!」
落下するソーシャークフォッダーに《スラッシュストライク・ウォータースラッシュ》が炸裂する。
そのまま地面に叩きつけられたソーシャークフォッダーは、まだ存命であった。それを目視したディケイドウィザードはため息とともにカメンライドを解除し通常のディケイドに戻る。
ソーシャークフォッダー「な、何の…これしき…」
ディライト「大丈夫ー?」
ソーシャークフォッダー「大丈夫に見えますか…」
ディライト「目的はあくまであのオブジェ。ここは私に任せなさい」
ソーシャークフォッダー「しかし…」
ディライト「私、ディケイドに仕返ししなくちゃいけないから」
ソーシャークフォッダー「…分かり、ました…」
ディケイド「うん…?」
ホールの中に消えていくソーシャークフォッダー。
それを見たディケイドが疑問符を浮かべる。
ディケイド(やけにあっさり引いたな…どういうことだ…?)
ディライト「そんじゃ、本番といきますか」
ディケイド「…ああ、楽しもうぜ」
考えている暇はない。再びディケイドとディライトが刃を交える。ライドブッカー・ソードモードとディライドライバーがぶつかり合い、火花を散らした。
ディライトは長物のディライドライバーで巧みにディケイドの攻撃を弾きながらも、腰のホルダーからカードを抜き取る。
ディケイド「…器用な奴だ」
ディライト「ありがと」
《ATTACK RIDE...》
《INVISIBLE》
ディケイド「くそっ…」
《ディライトインビジブル》を発動し姿を透明化させるディライト。
ディケイドはじっと身構えてディライトの攻撃を待つ。背中に一撃を受け、体を襲う衝撃に呻き声を漏らしつつも、背後にライドブッカーを振り抜いて見えないディライトに反撃した。
攻撃を受けたことで透明化が解除され、ディライトの姿が露になる。
ディライト「…一発で見破られるとは」
ディケイド「どうせ背後から攻撃してくるんだろうと思っただけだ」
ディライト「やっぱ、生意気!」
今度は真正面から攻撃を仕掛けてくるディライト。
目にも留まらぬ素早さでディライドライバーを持ち替え、石突でディケイドの腕を打つ。ライドブッカーを取り落としたディケイドはディライドライバーで一突きされ、膝をついたところに再び石突で殴られた。
追撃を入れんと飛び込んできたディライトを咄嗟に放った後ろ蹴りで引き離し、ライドブッカーを拾って再度対峙する。
ディケイド(少しずつだが確実に押されている…ここで一気に決めるか…)
ディライト「来ないなら、こっちから行くよ」
ディケイド「はぁッ!!」
ディケイドはライドブッカーをガンモードに変形させ、銃撃でディライトを牽制する。
銃弾を防ぎつつ前進するディライトが繰り出す攻撃を回避しながら、カードをディケイドライバーに装填する。
《ATTACK RIDE...》
《BLAST》
ディケイド「はあぁッ!!」
ディライト「くッ…」
ディケイド「本気でいくぞ!!」
《KUUGA》《AGITO》《RYUKI》《FAIZ》《BLADE》《HIBIKI》《KABUTO》《DEN-O》《KIVA》
《FINAL KAMEN RIDE...》
《DECADE》
ディライト「…!!」
至近距離から放たれた《ディケイドブラスト》は防ぎきれず、ディライトはエネルギーの弾丸に打ち上げられる。
ディライトが空中で一回転して着地するその間に、ディケイドは取り出したケータッチによるコンプリートフォームへの強化変身を完了していた。
ディライト「…そういえば私、その姿のディケイドに負けたんだっけ……じゃ、リベンジ戦って感じね」
ディケイド「ああ、次も俺が勝つがな!!」
ディライト「いくぞぉッ!!」
ディケイドとディライトが同時に駆け出し、今まさに両者の得物が交わろうとしたその瞬間。
突如二人の間に『スキマ』が現れ、その中から伸びた華奢な腕が二人の武器を押さえつけた。
ディケイド「なっ…」
ディライト「何これ…!?ホ、ホール…?」
???「残念。ただのスキマでした」
文「ああっ!?あの方は…」
萃香「…何やってんだ、あいつは」
虚空に生じたスキマの中からにゅっ、と現れた金髪の女性───八雲紫が、二人の間に割って入る。
扇子で隠した口元に作った笑みは、相変わらずの胡散臭さを漂わせていた。
紫「ちょいと御免なさいな。戦うのは一旦お休みということで」
ディケイド「お前は…?」
紫「私は八雲紫。以後、お見知りおきを」
ディケイド「お、おう」
ディライト「…邪魔しないでくれるかな?」
紫「まあまあ。貴女も、“もっと強いディケイド”と戦いたいでしょう?」
ディライト「えっ?」
ディケイド「はっ?」
突然現れた紫の突然の提案。
「もっと強いディケイド」などという胡散臭さMAXのワードだが、ディライトの心を高ぶらせるのには十分だった。
紫「というわけで、ディケイドの強化アイテムを用意したのだけれど…」
ディケイド「そんなもん信用できるか」
紫「貴方に足りないものは、寛大さかしら?何でもすぐに否定しない素直な心は、好い関係を築くための大切な要素よ?」
ディケイド「知るか!もういい、さっさと───」
紫「鳴滝」
ディケイド「…!?」
紫「便利な名前ね……この強化アイテムは鳴滝という男から預かったもの。受け取る気になった?」
ディケイド「………」
ディライト「受け取っちゃいなよー」
ディケイド「…何で肯定的なんだお前」
ディライトがほれほれ、とディケイドを促す。
ため息をついて渋々手を差し出したディケイドに紫が握らせたのは、ケータッチ専用のカードだった。以前の物と違うのは、新たに《W》《OOO》《FOURZE》《WIZARD》《GAIM》の紋章が追加されているということ。そしてカードの裏側には何やら意味深な『眼』が描かれていた。
ディケイド「…なるほど。新たに出会ったライダーが追加されているのか」
ディライト「で、あんたはどうするの?今からディケイドと一緒に倒される?」
紫「私はこれを届けにきただけ。用は済んだし、もう帰るわ………大変だったんだから」
ディケイド「うん?何か言ったか?」
紫「いえ、何も。では、お邪魔虫はここで。ごきげんよ~う」
そう言ってスキマの中へと消えていく紫。直後にはスキマが閉じ、まるでそこには最初から何もなかったかのように元通りになった。
ディケイド「………」
ディライト「………」
ディケイド「…いいんだな?」
ディライト「どうぞ。ってか、早く見せてくれる?」
ディケイド「…後悔するなよ!!」
《KUUGA》《AGITO》《RYUKI》《FAIZ》《BLADE》《HIBIKI》《KABUTO》《DEN-O》《KIVA》
《W》《OOO》《FOURZE》《WIZARD》《GAIM》
《FINAL KAMEN RIDE...》
《DECADE》
強化カードによってディケイド・コンプリートフォームの姿が変化する。
胸部のヒストリーオーナメントに新たな五人のライダーが追加され、ディヴァインスーツSt.の黒が僅かに赤みがかった色になった。
自分の姿をまじまじと眺めるディケイド。そして物陰では、いつの間にか現れた紫と鳴滝がディケイドの進化を見届けていた。
鳴滝「これぞディケイドの新たな姿、ジェネレーションフォーム!!その力で幻想郷も破壊されてしまうだろう…おのれディケイドォォォ!!」
紫「…名前って大事よ?」
鳴滝「はぁ、はぁ…何が、言いたい…?」
紫「…いえ、何も」
そんなやりとりは聞こえているはずもなく、知らないところで勝手に「ジェネレーションフォーム」と名付けられた新たなディケイドは、ライドブッカーを振りかざしディライトに立ち向かう。
コンプリートフォームよりも格段に威力の増した一撃はディライトの攻撃を容易く打ち破り、その胸部を切り裂いた。吹っ飛ばされたディライトも、ライドブッカーを振り抜いたディケイドも、同じ驚愕の表情を浮かべていた。
ディケイド「なんてパワーだ…」
ディライト「やば…ちょっとグッときた…」
ディケイド「さすがに、まだやれるか」
ディライト「これは…久々にギア入ったかも!!」
《ATTACK RIDE...》
《ASSAULT》
ディライトが《ATTACK RIDE ASSAULT》のカードを装填すると、ディライトとディライドライバーが紫色のオーラに包まれる。攻撃力強化のカードだ。
再び振り下ろされたライドブッカーを、今度は弾かれずに受け止め、追撃を受け流していく。
ディケイド「まだついてこれるみたいだな!!」
ディライト「当然!!むしろまだこれからって感じ!!」
ディライトはライドブッカーをディライドライバーで押さえつけると、ディケイドの腕を踏み台にして跳躍する。
頭上をとり、勢いを乗せたかかと落としがディケイドを襲う。咄嗟にライドブッカーで防御するが押し破られ、それでも何とか脳天を叩き割られることは免れた。
ディケイドは目の前に着地したディライトをライドブッカーで一閃して引き離し、後退してケータッチを取り外す。
ディケイド「新しい力、早速使ってみるか」
《W》
《KAMEN RIDE...》
《CYCLONE JOKER XTREME》
ディライト「げっ」
《W》の紋章をタッチすると、ディケイドの隣に「仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリーム」が現れる。
心底嫌そうな声を出したディライトにも構わず、続けてディケイドライバーにカードを装填する。
《FINAL ATTACK RIDE...》
《W W W W》
ディケイド「はあぁッ!!」
ディライト「まずッ…」
《ATTACK RIDE...》
《PROTECT》
ディケイドとW サイクロンジョーカーエクストリームがシンクロした動作で七色の光線《ビッカーファイナリュージョン》を同時に放つ。
ディライトは咄嗟に《ATTACK RIDE PROTECT》を発動させ、自身の周囲にバリアを展開させる。だがすぐに破られ、勢いを弱めることは出来たが大ダメージを受けた。
役目を終えたW サイクロンジョーカーエクストリームが消滅する。
ディライト「くぅッ…」
ディケイド「俺の勝ち、って感じか?」
ディライト「まだ負けてない…!!」
《FINAL ATTACK RIDE...》
《DE DE DE DELIGHT》
ディケイド「なら、これが最後だ!!」
《OOO》
《KAMEN RIDE...》
《PUTOTYRA》
《FINAL ATTACK RIDE...》
《O O O OOO》
ディライト「はあああぁぁーーッ!!」
槍を構えて跳躍したディライトが高速で回転し、ディケイドとの間に出現したカード型エネルギーを突き破りながら急降下する。
ディライトが放った必殺の《ディメンションブレイク》を、ディケイドは召喚したオーズ プトティラコンボと共に放つ《ストレインドゥーム》で迎え撃つ。
両者の必殺技が激突し、大爆発が起こる。あまりのエネルギーに、隠れていた文と萃香も突風に晒され身をすくめた。
結果は相討ち。《ディメンションブレイク》を打ち破ることはできたが、その際にディライトが一か八かで投げたディライドライバーがディケイドに直撃していた。
ディケイド、ディライト、共に満身創痍。倒れ伏す二人。先に立ち上がったのは、ディライトだった。
ディライト「はぁ、はぁ……」
ディケイド「…まだやるか?デンジャーガール」
ディライト「んー…じゃ、先に立った私の勝ちってことでいいなら」
ディケイド「もう、それでいい…」
ディライト「えっ、本当に!?ぃよっしゃー!!」
ディケイド「…まだそんな元気があるんじゃあ仕方ないな」
ディケイドに勝利したことで小躍りして喜ぶディライトは、決めポーズをとると同時に変身を解除し、その手に収まった三枚のカードをディケイドに見せつけた。
怜雄「よーし、そんじゃ用は済んだし、私もかーえろっと」
ディケイド「…ちょっと待て。その手に持ってるのは…」
怜雄「置き土産。んじゃ、頑張ってねーぃ」
《KAIJIN RIDE...》
《VOLCANCER》
《ZENOBITER》
《DISPIDER》
ディケイド「おい、マジか…あいつ…」
「置き土産」と称して召喚したボルキャンサー、ゼノバイター、ディスパイダーを残し、ホールへと消えた怜雄。
既に限界が近いディケイドに、三体の怪人が襲いかかった。
魔神提督「これまでの威勢はどうした!!」
ディエンド「くっ…」
ディエンドと魔神提督の戦闘は、魔神提督が優勢に立っていた。
元より接近戦の苦手なディエンド。遠距離からの銃撃で地道に攻めるが、魔神提督はそれを難なく防ぐ。
加えて魔神提督が剣から放つ雷は正確にディエンドを貫いてくるため、あっという間に劣勢になってしまった。
魔神提督「消耗する一方だなディエンド!!そろそろトドメを刺してくれる!!ホアァッ!!」
ディエンド「…仕方ない。上手くいくといいけど」
《ATTACK RIDE...》
《BARRIER》
魔神提督の放った雷を《ディエンドバリア》で防ぎ、続けざまにカードを装填していく。
ディエンド「今度は慎重にいこうか」
《KAMEN RIDE...》
《FAIZ》
魔神提督「ムッ…」
ファイズ「俺の仲間を傷つけるな…!!」
ディエンド「…あれ?何かいつもと違うような…ま、いいか」
召喚されたファイズの違和感に首をかしげながらも、共に魔神提督に立ち向かっていく。
ファイズの打撃が魔神提督を怯ませ、続けてディエンドの銃撃が打ち込まれる。ようやくまともなダメージが入った。
魔神提督「ええい、鬱陶しい!!」
ディエンド「そうはさせない…痛みは一瞬だ!」
《FINAL FORM RIDE...》
《FA FA FA FAIZ》
魔神提督が剣を振りかざし雷を放つ。
それを読んでいたディエンドはすかさず《FINAL FORM RIDE FAIZ》を発動させ、ファイズをファイズブラスターに変形させる。
巨大な銃身で雷を防ぐと、その銃口を魔神提督へ向けた。
《FINAL ATTACK RIDE...》
《FA FA FA FAIZ》
ディエンド「今度こそ、さよならだ」
魔神提督「ムォッ!?」
ファイズブラスターから《ディエンドフォトン》が放たれる。
魔神提督は剣で防御するが耐え切れず、その膨大なエネルギーを受け吹っ飛ばされた。
魔神提督「グ、クウゥ…」
ディエンド「しぶといね」
魔神提督「ちぃ……今日はここまでだ。覚えていろ!!」
ディエンド「あ、逃げた」
マントを翻してホールに消えていく魔神提督。
それを見届けたディエンドは、遠くから聞こえてきたディケイドの声に引き寄せられていくのであった。
ディケイド「くそっ…消耗していなければこんな奴ら…」
ディエンド「苦しそうだね、士」
ディケイド「本当にそう思ってるなら手伝え!!」
ディエンド「言われなくても」
ディエンドの銃撃がボルキャンサーの外殻に弾かれる。
大したダメージは通っていないようだが、ディエンドに意識を向けさせるには十分だった。
ディエンド「それにしてもその姿…君にまだ伸びしろがあったとはね」
ディケイド「ああ、俺もビックリだ!!」
《DEN-O》
《KAMEN RIDE...》
《LINER》
《FINAL ATTACK RIDE...》
《DE DE DE DEN-O》
ディケイド「でやあぁッ!!」
文「つ、士さんッ!!」
ディケイド「…何!?」
召喚した電王 ライナーフォームと共にオーラライナーを纏って放つ《デンカメンスラッシュ》でゼノバイターを撃破する。
だがディケイドがゼノバイターを倒し、ディエンドがボルキャンサーの相手をしている間に、いつの間にかディスパイダーが文と萃香に襲いかかっていた。
ディケイド「まずいッ…」
萃香「ふぅぅ……」
文「あ、あれ?萃香さん?」
萃香「はぁッ!!」
文「萃香さーん!?」
何を思ったか、萃香がディスパイダーに渾身のパンチを叩き込んだ。
流石は鬼というべきか、ディスパイダーもその一撃に怯んだが、すぐに持ち直し鋭利な脚で目の前を薙ぎ払う。文が咄嗟に萃香を抱えて飛び退き、回避した。
萃香「…私たちの力じゃ倒せないっていうのは本当みたいだね」
文「だからそう言ったじゃないですか…本当に殴りかかるとは…」
ディケイド「…よくやったと思うぞ、俺は」
萃香「そうかい。ま、後は任せたよ」
ディケイド「ああ!!」
《KIVA》
《KAMEN RIDE...》
《EMPEROR》
《FINAL ATTACK RIDE...》
《KI KI KI KIVA》
ディケイド「はあぁッ!!」
ディケイドとキバ エンペラーフォームの放った《ファイナルザンバット斬》がディスパイダーを真っ二つにする。
形容しがたい叫び声を上げながら吹っ飛んだディスパイダーが空中で爆散した。
ディケイド「こんなもんか」
文「流石ですね!」
ディケイド「まだ敵は残ってる。隠れてろ」
萃香「そうだね。倒したはずの化け蜘蛛とかね」
ディケイド「うん?」
萃香が指差した先では、巨大な蜘蛛のモンスターが雄叫びを上げているところだった。
倒したはずのディスパイダーがディスパイダー・リボーンとして蘇ったのだ。
文「あやややや…ふ、復活してますよ…!?」
ディケイド「ッ、下がれ!!」
ディスパイダー・リボーンが鋭いトゲを射ち出す。ディケイドはそれをライドブッカーですべて弾き落とすと、その背中に飛び乗った。
背中にライドブッカーを突き立てるが、硬い外殻には通らず、弾かれてしまう。ディスパイダー・リボーンは体を大きく揺らしディケイドを振り落とすと、糸を吐き出してディケイドを拘束、身動きをとれなくなってしまった。
ディケイド「な、なんだこれ…くそッ…」
ディケイドは抜け出そうともがくが、強靭な糸はビクともしない。そんなディケイドにディスパイダー・リボーンがじりじりと迫る。
そこに立ちはだかったのは、文と萃香だった。
ディケイド「お、お前ら、何を…」
萃香「んじゃ、よろしく」
文「はい!全力…の、ちょっと弱めで!」
ディケイド「……!!」
文が突風を起こしてディスパイダー・リボーンを足止めすると、その間に萃香がディケイドを拘束する糸を引き千切った。
助け起こされたディケイドは、仮面の下で小さな笑みを作り、したり顔の萃香の頭を一撫でしてディスパイダー・リボーンに再び立ち向かっていく。
文「…あれっ私には何もないんですか!?」
萃香「がっつくな、がっつくな」
文「うがー!!」
何やら文句を垂れる文、それをガン無視するディケイド。残念ながら今はそれどころではない。
巨大な腕を振り回して暴れ回るディスパイダー・リボーンだったが、ペースを取り戻したディケイドはそれを難なく躱していく。
ディケイド「そこだ!!」
《FINAL ATTACK RIDE...》
《DE DE DE DECADE》
タイミングを見極めて、ディスパイダー・リボーンの顔面を一閃する。悶え苦しむディスパイダー・リボーンに《強化ディメンションキック》が直撃し、爆散した。
それとほぼ同時に、ディエンドも《ディメンションシュート》でボルキャンサーを撃破する。
それを見届けると、ディケイドとディエンドは変身を解除した。
士「これで終わりか」
海東「さすがに疲れたね」
文「…お疲れさまでした!」
士「…なんで不機嫌なんだ?」
萃香「さぁね?」
にやにやといやらしい笑みを浮かべる萃香に、士は素直に疑問符を浮かべた。
敵を倒したコウタとカイトも合流し、しばしの休息をとる。
コウタ「そういえば士、何か姿変わってなかったか?何だあれ?」
士「…俺にもよく分からん」
カイト「よく分からないものをよく使う気になったな」
士「いろいろあったんだ。それより……何とか守りきれたみたいだな」
士が萃香に視線を向ける。だが、当の萃香はどこかばつの悪そうな表情で目を背けた。
士「…萃香?」
萃香「……本当にそう思うかい?」
士「…ん?」
コウタ「その口ぶりからすると…まさか…」
萃香「誰に奪われたのかも分からないよ。まあ、あの連中の誰かだろうけど。ちゃんと隠し持っていたのに、気付かないうちに持っていかれるとはね…」
萃香が心底申し訳なさそうに頭を垂れる。
十字架のオブジェ───ガドマの中枢は、既に萃香の手元から消えていた。
海東「何だって!?」
カイト「フン、とんだ失態だな…」
コウタ「ま、まあ、待てよカイト。あれが何なのかまだ分からないんだから…」
海東「あれは世界を滅ぼす力を持った恐ろしい魔神の中枢だ。敵に奪われたのなら、場合によっては今すぐにでも復活しかねない」
コウタ「萃香ぁぁぁ!?」
萃香「わ、悪かったよ…」
士「…奪われたものは仕方ない。鬼の萃香でさえも気づけなかったのなら尚更だ」
カイト「…観戦に夢中になってただけじゃないのか?」
萃香「それは断じて違う!!」
カイト「本当か…?」
文「鬼は嘘を嫌う種族ですから」
コウタ「カイト…な、もういいだろ…?」
カイト「……ならば、今すぐにでも取り返しにいくぞ」
海東「敵の居場所が分かるのかい?」
カイト「………」
カイトが閉口する。ついでに何もない方向を向き、遠い目までしてしまっている。
文「大樹さん、あのオブジェ…魔神の中枢、でしたっけ?それについてもっと詳しく教えてくれませんか?」
海東「ああ…あのオブジェの正体は『大地の魔神ガドマ』と呼ばれる巨大な怪物の中枢だ。とある世界に立ち寄った時にその力の一部を目撃したんだけど…僕も頂こうって気が失せたほどの代物だ」
コウタ「驚いたな…やっぱり世界って広いんだな…」
士「お前は世界を作り替える力と出会ってるだろ。というか海東、俺はお前がまだ泥棒を続けてたことのほうが驚きだよ」
海東「トレジャーハンターだ。間違えないでくれたまえ」
士「…ま、そういうことにしておくか」
文「さて、では休息はこの辺にして出発しますか?」
コウタ「そうだな、日も暮れてきたし───」
ギュウウゥンッ!!
一瞬の出来事だった。
突如横切った謎の黒い球体が、コウタを一瞬にして取り込み、飛び去っていったのは。
~~~
ラアデュンシェ「アファビリェ…!!アファビリェ…!!」
魔神提督「ええい、いい加減黙れ!!悔しいのは貴様だけではない!!」
怜雄「これだから、骨董品は当てにならないわ。ありもしない力に縋りついて」
ラアデュンシェ「…黙れッ!!帰り着く場所すらないくせにッ!!」
怜雄「…そう。学習能力もないみたいね」
ラアデュンシェ「ッ!!」
ラアデュンシェは怜雄の鋭い眼光に気圧される。
今すぐにでも殺してやる。そう訴えかけるその眼に、ラアデュンシェの心が恐怖に支配された。
ラアデュンシェ「…失言だったか。だが、そういう貴様も負けているではないか」
怜雄「私は敗北を演じたの…って、負けてないから!とにかく、今回の戦いは最初からある目的のためだったんだから。この子と協力してね」
ソーシャークフォッダー「おうよ」
ラアデュンシェ「何?」
ソーシャークフォッダー「混戦のどさくさに紛れて盗んできてやったのさ」
そう言ってソーシャークフォッダーが取り出したのは───ガドマの中枢だった。
ラアデュンシェ「まさか……」
怜雄「そのまさか。計画通りね、さすが期待のエリート」
ソーシャークフォッダー「フフフ、当然」
怜雄からの賛辞に、ソーシャークフォッダーは胸をどん、と叩いて誇らしげに笑う。
撤退する時に開いたホールは萃香たちの背後に繋がっていた。妖怪の眼すら欺くスピードでオブジェを盗み出していたのだ。
怜雄「大活躍ね、ソーシャーク。もしかしたら上級怪人に昇格かもねぇ」
魔神提督「フン、こんな奴が…」
ラアデュンシェ「………」
怜雄「コルサは、残念だったけど」
コルサの死を嘆く言葉はそれ以上は出なかった。
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クレストに帰還した怜雄たちは、シシガケの召集でいつものバルコニーに集まっていた。
シシガケ「集まったな。じゃ、早速聞くが…成果は?」
怜雄「バッチリ、大成功!って感じ」
ソーシャークフォッダー「目的の『魔神の中枢』、無事回収しました」
ソーシャークフォッダーが歩み出てガドマの中枢をシシガケに差し出す。
それを受け取ったシシガケはまじまじとそれを眺めると、満足そうに頷き、側に控えるコテツに預けた。
シシガケ「ご苦労。よくやったな」
ソーシャークフォッダー「怜雄様の作戦のおかげです」
シシガケ「いや、お前もよくやったと思うぜ……コルサの奴は、しくじったみたいだがな」
シシガケは前半は明るく、後半はひどく冷たいトーンでそう話す。
フォッド怪人は自身の闇から生み出した存在であるため、死した時もそれを感じ取ることができるのだ。
シシガケ「そうだな…ちょうど枠が空いたからな、お前の働きを評価して、上級怪人への昇格を認めよう」
ソーシャークフォッダー「こ、光栄です!」
シシガケ「これからお前は『ソギリ』と名乗るがいい」
上級怪人に昇格したソーシャークフォッダー改めソギリは、威勢のいい掛け声を返し長い一礼を済ますと、小さく鼻歌を奏でながら元の位置に戻っていった。
ラアデュンシェ「昇格が早すぎないか?」
シシガケ「アーツを二つも回収した。それで十分だ」
ラアデュンシェ「一体、どういう基準なんだ…?」
シシガケ「それと今回はもう一つあってな。お前らが留守の間に、新入りが一人加わることになった」
怜雄「新入りぃ?エル、そんな話聞いてた?」
エル「いえ、私も初耳です…」
シシガケ「入れ」
シシガケの言葉に続いて現れたのは、全身白一色の衣装とマントを纏ったマスクの男。
かつてはデルザー軍団大幹部だった改造魔人───ジェネラルシャドウであった。
F.o.Dの規模はどんどん大きくなっていきます。
ジェネレーションフォームにはまだ隠された力があるようで。
「ディメンションブレイク」がまんま飛翔斬じゃないかって?意識してるんだから当然です。