破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

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MOVIE大戦フルスロットルの児童誌バレが来てましたね。例のあの人は最後の最後まで笑わせてくれます。
一番気になるのは戒斗さんがどういう形で登場するのかってことです。まさか強者パワーで完全復活……ないか。

そしてドライブ!!キャブの復帰に喜ぶベガス!!二人(?)ともかわいすぎですよ!!
りんなさんの裏切り、タイプワイルド、安田大サーカス…次回は見どころいっぱいなのに一週お休みなのが悲しいです。闇が生まれそう。



第十三話 葛城・イン・ザ・シャドウ

 

士たちが去った戦いの跡。倒されたはずのコルサが、上半身だけの状態で岩陰に隠れていた。

その瞳に怨みの炎を宿らせ、アナザーに戻るためずりずりと地を這って進む。そんな彼の前に、一人の袖なし革ジャンの男が立ちはだかった。

 

 

コルサ「グゥ、オオオ…ァァ…」

 

???「苦しそうだなぁ…コルサ…」

 

コルサ「…!! オ、オマエェ…ガ、ラ………」

 

???「ガラクだ。人の名前くらい最後まで言えよ」

 

 

ガラクというらしい男は、コルサを冷たい眼で見下ろしたまま、その頭を踏みつける。

 

 

ガラク「しぶとく生き延びてるだろうから、もう一度だけチャンスをやれってさぁ。ボスの心の広さに感謝しろよぉ?」

 

コルサ「グゥゥ…」

 

ガラク「…ま、俺の傀儡としてだがなぁ?」

 

コルサ「!!」

 

 

ガラクの間延びした口調から発せられたその言葉に、コルサの表情が豹変する。

必死に逃げ出そうともがくコルサの頭に───正確には脳に、怪物の姿となったガラクが放った「鱗」が突き刺さった。

すると見る見るうちにコルサの肉体が再生し、千切れた触手以外が元通りの姿になる。だが、その瞳からは生気が感じられなかった。

 

 

コルサ「………」

 

ガラク「ま、せいぜい頑張りな。連中を誰か一人くらい倒してくれたら、解放してやるからさぁ」

 

 

コルサがふらふらとした足取りで森の中へ進んでいく。

後には、ガラクの不気味な高笑いが響くのみであった。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

鎧武「………」

 

 

葛城コウタ=仮面ライダー鎧武は困惑していた。

 

 

鎧武「………」

 

???「………」

 

鎧武「………あの、なんかゴメンな…?」

 

???「………」

 

 

というか、幻滅されていた。

話は数時間前に遡る。

 

 

 

 

 

萃香の持つ「ガドマの中枢」を奪いに現れた怜雄たちを追い払ったすぐ後のことだ。

結局ガドマの中枢は奪われてしまった。いつまでも悔やんでいては仕方ない、と人里への道を再び歩み出そうとしたその瞬間。

 

 

文「さて、では休息はこの辺にして出発しますか?」

 

コウタ「そうだな、日も暮れてきたし───」

 

 

そこまで言いかけて、突然コウタの口は塞がれた。

突如飛来した謎の黒い球体が、一瞬のうちにコウタを取り込んで飛び去ってしまったのだ。

残された士たちは、何が起こったのかも把握できず、ただ互いの顔を見合わせて呆然と立ち尽くすだけであった。

 

 

 

 

 

コウタ「………はっ!?こ、ここは…!?」

 

 

一切の光を通さない闇に包まれ、いつしか気を失っていたコウタが目を覚ましたのは、暗い森の奥深く。

どうやら、気絶している間に陽は完全に沈んでしまったようだ。辺りは得体のしれない不気味な鳴き声に包まれている。

 

 

コウタ「えぇ…なにこれ…俺、一体何を…」

 

 

必死に記憶を思い起こす。

ようやくガドマの中枢が奪われたところまで思い出したコウタの前に、黒い服に金髪を携えた少女が姿を現した。

 

 

???「………」

 

コウタ「え?お、女の子…!?え、えーっと…君、何でこんなところに…?名前は?」

 

???「名前?ルーミア」

 

 

ルーミア、というらしい少女は、相も変わらずコウタのことをじっと見つめている。

その澄んだ瞳には、何かしらの「期待」が込められているように思えた。

 

 

コウタ「ルーミアちゃんか。で、ルーミアちゃん。何でこんなところに───」

 

ルーミア「美味しそう」

 

コウタ「おいしそ…え、何が…?」

 

ルーミア「あなた、美味しそう」

 

コウタ「は…!?」

 

 

一瞬わけがわからない、と思ったコウタだったが、この世界では妖怪の存在が当たり前だということを思い出し、一気に恐怖感が湧き上がった。

一歩、また一歩と近付いてくるルーミアに、コウタは後ずさりするが、その背中が大きな岩にぶつかり、逃げ場が失われる。

 

 

ルーミア「美味しそう…」

 

コウタ「いや、ちょっと待て。俺は食べても美味しくないぞ!?」

 

ルーミア「美味しそうな……」

 

コウタ「ひぇぇっ!?」

 

 

コウタが死を覚悟し始めたその直後。

ルーミアは、コウタに飛びかかり─────抱きついた。

 

 

ルーミア「オレンジー!!」

 

コウタ「…はい?」

 

ルーミア「あなた、美味しそうなオレンジ持ってるでしょ!おっきいの!」

 

コウタ「…えっ?」

 

ルーミア「私見たよ。あなたが大きなオレンジを丸飲みにして変な姿に変わったの!」

 

コウタ「…はぁ」

 

 

どうやらこの少女にはコウタの命まで奪って喰らおうという気はないようだ。ひとまず、コウタは胸をなでおろす。

だが問題はルーミアのいう「大きなオレンジ」だ。きっと、いや、言うまでもなく「オレンジアームズ」のことだ。

きっとあの戦闘を見られていたのだろう。

 

 

コウタ「えーっと…あれはだな…」

 

ルーミア「私お腹空いてるんだー」

 

コウタ「おおう」

 

 

ルーミアの口から除いたいかにも鋭そうな歯…いや、牙。先ほどの恐怖が一瞬ぶり返す。

 

 

コウタ「…その前に聞いておきたいことがあるんだけどさ…」

 

ルーミア「なーに?」

 

コウタ「ルーミアちゃんは…妖怪、だよね?」

 

ルーミア「そーだよ?」

 

コウタ「その…人間を襲って食べたりは…」

 

ルーミア「食べるよ?あ、もしかしてあなたは食べてもいい人類?」

 

コウタ「だ、違う!!食べちゃダメ!!メッ!!」

 

ルーミア「じゃーオレンジちょーだい!!」

 

コウタ「え、えぇー…」

 

 

期待の眼差しでコウタの顔を覗き込むルーミア。

動悸が激しくなっていくのは、目前に迫る死の恐怖からか、ルーミアがはじけるような可愛らしい笑顔を向けてくるからか。

 

 

コウタ「えーっと…俺、気がついたらここにいたんだよね。帰り道とか───」

 

ルーミア「私が連れてきたんだよ」

 

コウタ「えっ!?じゃあ、俺はオレンジ食べたいって理由で連れ去られたの!?」

 

ルーミア「そーなのかー」

 

コウタ「いや、そーなのかーって…」

 

ルーミア「もーっ!!オレンジくれないとオレンジにするぞー!!」

 

コウタ「わけわかんねぇ!!余計に怖いわ!!」

 

 

ルーミアに我慢の限界が近付いているのを察したコウタ。

ここは「あのオレンジ」が食べられないものであると証明しさっさと逃げたほうがいい、そう判断した。

 

 

コウタ「ルーミアちゃん、落ち着いて聞いてくれ。残念だけど、あれは食べられるものじゃないんだ」

 

ルーミア「嘘だぁ」

 

コウタ「よーし今からオレンジ出してやる!!そしたらあれが食べられないものだって分かるはずだ!!」

 

ルーミア「やった!!」

 

 

ルーミアには後半部分は聞こえていなかったらしい。完全に「やっとあの大きいオレンジを食べられるぞ」モードに入っていた。

コウタはオレンジロックシードを取り出すが、向けられる期待の眼差しに少し心を痛める。

 

 

コウタ「…何か心苦しいなぁ。俺悪くないよな…?」

 

《オレンジ!》

 

ルーミア「ふおお…!!」

 

 

コウタの頭上に開いたクラックからオレンジアームズが出現すると、ルーミアの瞳が一層輝きを増す。

それと同時にオレンジアームズに飛びつき歯を突き立てるが───当然、通るわけもなく。

鎧武の変身音が虚しく響いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、冒頭に戻る。

 

 

 

鎧武「………」

 

ルーミア「………」

 

《ソイヤッ!オレンジスパーキング!》

 

鎧武「か、怪人オレンジ男ー…」

 

ルーミア「………」

 

鎧武「そ、空飛ぶオレンジ!」

 

ルーミア「………」

 

鎧武「仮面ラッパー!!」

 

《ソイヤッ!ソソイソソイヤッ!ソイソイソイソイソイソイヤッ!ソイソイソイヤッソイソイヤッソイヤッ!》

 

ルーミア「………」

 

鎧武「…お願いだから無反応はやめてくれ……」

 

 

それはもう、お手本のように綺麗な体育座りで落胆するルーミア。

先ほどまでのテンションの落差に鎧武も困惑し、なんとか励まそうと一発ギャグなんて披露してみるが、全く効果はなかった。

 

 

鎧武「困った」

 

ルーミア「………」

 

鎧武「うーん…こんな時、士ならどうするんだろうな…あいついろんなライダーに変身できるからな…いや、この場合はむしろ海東か?ライダーを召喚して、《アタックライドゥ!マンザァイ!》とか───」

 

???「ドギャアアアアアア!!」

 

鎧武「ドギャーーーッス!?」

 

 

あまりにも突然に、奇声と共に現れた怪物に鎧武が絶叫する。さすがのルーミアも顔を上げ、同じ驚愕の表情を張り付けていた。

鎧武はなぜか前立を両手で掴んだ謎ポーズで怪物と対峙する。

 

 

鎧武「あっ…お、お前…たしか、F.o.Dのコルサ!!」

 

コルサ「グルオオオオォォ!!」

 

鎧武「うおぁっ!?い、生きてたのか…!?」

 

 

涎をまき散らしながら奇声を上げ続けるコルサ。理性が欠片も残っていないのが一目で分かる。

背中からは千切れたままの触手が力なくだらりと垂れていた。

 

 

ルーミア「…お、お兄さん……」

 

鎧武「…大丈夫だ、ここは俺にまかせろ」

 

ルーミア「…うん」

 

 

妖怪すら怯えさせるコルサの迫力。

鎧武はルーミアの頭を優しく撫でて安心させると、近くの岩陰に隠れさせ、無双セイバーと大橙丸の二刀流でコルサに立ち向かう。

 

 

鎧武「いくぜ…もう一度、俺のステージだ!!」

 

コルサ「ゴアアァァッ!!」

 

鎧武「うおわあぁッ!?」

 

 

コルサが力任せのパンチを繰り出す。大振りのそれを無双セイバーで往なし、すれ違いざまに大橙丸で胴を横一閃する。

あっさりと膝をつくコルサ。鎧武が追撃を加えようと無双セイバーを振りかざしたその直後、背から生えた触手が躍動し、鎧武を上空へ打ち上げた。

 

 

コルサ「ゴアァッ!!」

 

鎧武「やべっ…」

 

《ソイヤッ!オレンジスカッシュ!》

 

鎧武「どりゃぁー!!」

 

コルサ「グルゥッ…!!」

 

 

咄嗟に放った《大橙一刀》でコルサの伸ばした舌を切り落とす。そのままコルサの頭上にエネルギーが充填された大橙丸を振り下ろすが、躱された。

 

 

鎧武「スイカ…はカイトに預けてたんだっけ…んじゃ、これだ!!」

 

《イチゴ!》

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!イチゴアームズ!シュシュッと スパーク!》

 

ルーミア「わぁ!!」

 

鎧武「く、食えないからな!?」

 

ルーミア「うー…」

 

 

イチゴアームズの登場に再び目を輝かせるルーミアに、一応の警告を入れておく。

そんなやりとりをしてる間に飛びかかってきたコルサに押し倒された。マウントポジションをとり、奇声を上げながらただひたすら鎧武を殴り続けるコルサに若干気圧されながらも、イチゴクナイで腹を切り裂き何とか脱する。

 

 

鎧武「うおお…いってぇ…」

 

コルサ「ギャオオオォォッ!!」

 

鎧武「っと…もう二度は喰わねぇ!!」

 

 

もう一度押し倒さんと飛びかかってきたコルサを無双セイバーで往なし、銃撃で怯ませる。蓄積されたダメージに響いたのか、コルサが転倒した。

 

 

鎧武「いくぜ!!」

 

《ソイヤッ!イチゴオーレ!》

 

コルサ「グ、グウゥォォ…」

 

鎧武「セイッ!ハァァァ……セイハァァァーッ!!」

 

コルサ「グギャアアアァァァッ───」

 

 

赤いエネルギーを纏ったイチゴクナイを両手に構え、コルサの懐に飛び込む。

その胸に右手のイチゴクナイを突き刺し、左手のイチゴクナイで胴体を掻っ捌く。胸のイチゴクナイを引き抜き、すれ違いざまに両手のイチゴクナイでもう一度胴を裂き、トドメに投擲する。

思いつきの必殺技《イチゴオーレ》が決まると、コルサは悲鳴と共に爆散し、今度こそ完全に絶命した。

 

 

鎧武「うっし、終わり!」

 

ルーミア「…すごーい……」

 

 

安全を確認し、変身を解除する。

ルーミアが岩陰から出てくるなり、コウタに飛びついた。

 

 

コウタ「うおっ!?」

 

ルーミア「決めた!」

 

コウタ「決めた…って、何を?」

 

ルーミア「私お兄さんについてく!」

 

コウタ「えええぇぇっ!?いやダメだよ!!お家に帰らなきゃ…って、妖怪なんだっけ、この子…」

 

ルーミア「ついてくって言ったらついてく!」

 

コウタ「お、おい…えぇ…?」

 

 

ルーミアが一度言い出したら聞かないのは先ほどのやりとりで身に染みている。

困り果てたコウタは、周囲を見渡してみる。陽が落ちて真っ暗になった森は、土地勘のないコウタにとっては脅威でしかなかった。

 

 

コウタ「えーっと…じゃあ、こうしよう。俺を森の外…そうだな、人間の里ってところに案内してくれよ」

 

ルーミア「里に行くの?いいよ!案内してあげる!」

 

コウタ「そうか!ありがとな、ルーミア」

 

ルーミア「まかせて!」

 

 

そう答えると同時に、ルーミアがコウタを担ぎ上げる。コウタが声を上げるよりも早く空へ飛び上がったルーミア。

夜空を舞う二人の姿が月に照らされていたが、コウタの悲鳴が原因で別に幻想的な光景にはならなかった。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

コルサが鎧武に倒されたその頃、クレストのとある一室では、ガラクともう一人───露出度の高い黒のドレスを着た銀髪の女の姿があった。

 

 

ガラク「コルサの奴、やっぱダメだったか。ま、想定内だわなぁ。な、スミィ」

 

スミィ「今の私に話しかけんな!崩れんだろ!」

 

ガラク「…どっちかというと、オメェの声で崩れそうだけどな」

 

スミィ「うっさい!!」

 

 

チェスの駒を絶妙なバランスで積み上げ続けるスミィ。その高さは約2メートルに達していた。

だが、その脇には山積みにされたチェスの駒が残っている。まだまだ高みを目指して積み上げるつもりなのだ。

 

 

ガラク「新しく上級怪人になったソギリっているだろ?あいつかなり優秀らしいし、俺たちも何か功績上げなきゃ危なくねぇ?」

 

スミィ「今の私にとってはこれを天井まで積み上げることの方が大切だ」

 

ガラク「…相変わらずだな、オメェ」

 

スミィ「功績上げんのもアンタ一人で勝手にやりやがれ!私は知らねー!」

 

ガラク「そうかい。じゃ、遠慮しねーぜ」

 

 

ガラクが脇をちらり、と見やる。そこに佇む一つの影。

暗がりになっているため、姿ははっきりと見えない。

 

 

ガラク「まだまだ働いてもらうぜ…その、悪魔の宿ったコンピューターでな…」

 

 

微動だにしないその体躯。

その頭部には、ガラクの鱗が深々と突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミィ「……あっ…」

 

ガラク「ご愁傷様」

 

 




今回、イチゴアームズがクナイバースト以外の必殺技を本編で一度も使っていないことを初めて知りました。どうりで記憶にないわけだ。
なので勝手に妄想。いいよね?答えは聞いてない!
今回使った《イチゴオーレ》は電王ウイングフォームの必殺技《ロイヤルスマッシュ》をイメージしました。
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