破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

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最初に言っておく!特に言うことはない!

てなわけで第十四話、どうぞ。




第十四話 再会、遭遇、邂逅

 

 

???「………」

 

 

己の存在が意味を失くしてから、どれだけの時間が経ったのだろうか。旅路の先に新しい居場所はあるのだろうか。

白い外套に身を包んだ帽子の男は、霧の立ちこめる湖をただ一人で歩いていた。

うつむいたまま歩き続ける。湖の方から現れた青い髪の少女が何か言っているが、男の耳には届いていない。

やがてそれも消え、さらに歩いた先、男はようやく顔を上げた。

 

目の前に立つ、短い金髪の少女。自分の纏う外套とは対照的な黒い服。

 

湖のはずれに住む騒霊(ポルターガイスト)三姉妹の一人。鬱の音の奏者、ルナサ・プリズムリバーだ。

 

 

ルナサ「…貴方、こんなところに何の用かしら?」

 

???「………」

 

ルナサ「道に迷ったとか?」

 

???「………」

 

ルナサ「何とか言ってくれないと分からないじゃない」

 

???「……私は…」

 

 

男は何かを言いかけたが、また閉口してしまう。

訝しむルナサだったが、ふと視線が男の持つ「あるもの」に注目する。男が持っていた黒いケース。その形状に、その中身に、ルナサは強い親近感を持った。

 

 

ルナサ「…貴方、バイオリンを引くの?」

 

???「…!!」

 

 

男の顔がはっ、と上がる。それと同時に、忘れられるはずもない、脳裏に焼き付いたある記憶が駆け巡る。

 

 

 

 

心優しく勇敢な戦士の姿。

男は一度、その戦士と命を懸けて戦った。

 

 

『貴様の首を帝王に献上する!』

 

『切り刻まれる心地はどうだ!?』

『俺はロボットだ。人間の精神をインプットされたロボットだ!それが俺の誇りなんだ……誇りだ!!』

『誇りを持って冥土へ往くがいい!!』

『負けないッ!!』

 

『戦闘回路は断たれた…私はもう戦えない…せめて音楽回路だけは残してくれ…頼む…』

『…いいだろう』

『もう一つ頼みがある…私の演奏を聞いてくれ。周囲に音楽を理解できる奴は一人もいなかった。帝王は音楽を戦いに利用したに過ぎない…だがお前は違った。心を込めて聞いてくれた!頼む!聞いてくれ…!』

『…ああ』

『…恩に着る』

 

『素晴らしい演奏だったぞ…』

 

 

 

 

喪失感からすっかり存在が抜け落ちていたバイオリン。

それでも失くすことがなかったのは、彼の“性質(アイデンティティー)”故か。

 

 

???「これは、私の…」

 

ルナサ「…とりあえず、私たちの家に来なさい。ボロい廃洋館だけど……少し、話を聞きたいから」

 

???「………」

 

ルナサ「貴方、名前は?」

 

???「私は…私の名前は…」

 

 

男の名はラプソディ。

辿り着いた廃洋館で、彼はもう一度人生を変える出会いをする。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

コウタがルーミアに連れ去られた後、残された士たちはというと……

 

 

士「…おい。今誰か、何か、見たか?」

 

カイト「何の話だ」

 

海東「さあ?」

 

 

大して気には留めていなかった。正体不明の黒い球体と共に消えたコウタの身を案じる者は一人としておらず。

「あいつの心配ならするだけ無駄だ」だとか「あいつはそう簡単にくたばる奴じゃない」だとか、別にそんなことも思っていなかった。

むしろ「連れ去った方に同情する」である。士は半分冗談だが、カイトは本気でそう思っていた。

 

 

文「…萃香さん、あれってやっぱり……」

 

萃香「何か心当たりあるの?」

 

文「へ?いや、あの能力はどう考えてもルーミアさんでは…?」

 

萃香「そんな奴いたっけ」

 

文「あやややや…弱き者は眼中になし、ですか…」

 

カイト「………ッ」

 

士「強い弱いに反応するな」

 

カイト「……何の話だ」

 

 

カイトはそっぽを向きそれ以上何の反応も示さなくなった。

 

 

文「ええと…コウタさん、大丈夫…なんでしょうか…?ルーミアさん、一応人喰い妖怪なんですが…」

 

士「あいつなら大丈夫だろ。上手くやり過ごしてるさ。どこへ行ったのかも分からないからな、今は博麗の巫女とやらに会うほうが先だ」

 

文「そう…ですか、そうですね!」

 

海東「やれやれ。霊夢君と会うのにこんな手間と労力がかかるなんて」

 

 

海東のその一言がきっかけになって、各々が里への道に向く。

そんな一向の前に───

 

 

 

 

霊夢「───あなたたち、こんなところで突っ立って何してんのよ」

 

 

 

 

紅白の巫女、博麗霊夢が現れた。

いい意味でも悪い意味でも思い通りに進まない現実に、士は思わず目頭を抑えて唸る。

 

 

文「霊夢さん!!よかった、ようやく会えました!!」

 

霊夢「ずいぶんと珍妙な面子ね。あなたは…」

 

士「お前が博麗の巫女、博麗霊夢か」

 

霊夢「初対面なのにお前とはご挨拶ね。そういうあなたは門矢士……仮面ライダーディケイド、かしら?」

 

士「…よく知ってる」

 

 

士はちら、と海東を見る。

その視線に気づいてか、海東は口笛なぞを奏でてそっぽを向いていた。

 

 

士「…ま、自己紹介の手間が省けていいか」

 

萃香「ところで霊夢はこんなところで何してるんだ?」

 

霊夢「何って、神社に帰るところよ。それくらい分かるでしょ?あ、そうだ。大樹さん、あなたに聞きたいことがあるんだけど」

 

海東「ちょうどいい、僕たちも君を探してここまで来たんだ。一度神社に戻ろう」

 

萃香「えー、せっかくここまで来たのに……」

 

文「まあまあ、たまにはこう、運動になりますし…」

 

萃香「必要ないだろ」

 

文「ところで霊夢さん」

 

霊夢「何?」

 

萃香「あれ、スルーか!?」

 

文「先ほどから気になっていたのですが、その犬は一体…?」

 

 

文が指差したのは霊夢が抱きかかえていたドーベルマンだ。意識がないのか、ぐったりとしている。

 

 

霊夢「ああ、この子?怪我してたみたいでね」

 

萃香「へぇ、あんたが動物に慈悲をかけるなんて…何か悪いこと企んでんじゃないだろうね?」

 

霊夢「あんたに言われたくないわ!そうじゃなくてね、この子、少し変なのよ」

 

文「変…と、いいますと?」

 

 

なんて問うてみたが、何が変なのかは大体の想像がついている。気になったのは、そのドーベルマンの体に何か機械らしきものが装備されていること。

士やカイトはどちらかというと、その決して軽くないであろう大きな犬を軽々と持ち上げている霊夢に興味を抱いていたが。

 

 

霊夢「何て言うのかな……生きているのは間違いないんだけど、生命力をほとんど感じられない…そんな感じ?」

 

海東「何を言っているのかさっぱり分からないね」

 

霊夢「私にも分からないわ」

 

士「…大丈夫なのか?こいつは…」

 

霊夢「命には別状ないみたい。拾った時は意識があったみたいだから」

 

士「いや、そうじゃなくてな…」

 

霊夢「?」

 

士「…気にするな」

 

霊夢「? そ、そう?とにかく、神社に戻ってよく診てあげなくちゃ。さ、帰るわよ」

 

士「いいのか?前から世話になってるらしい海東はともかく、俺たちは…」

 

霊夢「もう陽が傾いてるわ。夜はいろいろと危険なの。こうなったら一人も三人も一緒よ、神社に来なさい。あ、でもお賽銭は頂こうかしら?」

 

士「…それならもう入れておいたぞ」

 

霊夢「本当!?よーし急いで帰るわよー!!」

 

士「あ、おい…」

 

 

お賽銭、その事実一つでこうも底抜けに喜べるのか。

すっかり上機嫌の巫女の周囲に音符記号を幻視しつつ、士たちはその後に続いた。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

紫「あ、お帰りなさーい♪」

 

士「…おい、何かいるぞ」

 

紫「何かとは失礼ね」

 

 

神社に帰り着いた一向がまず最初に驚いたのは、誰もいないはずの神社に出迎えの言葉があったこと。

勝手に上がり込み、縁側で茶を飲んでいた八雲紫は、神社の本来の主よりもその空間に馴染んでいた。

 

 

霊夢「紫!あんたそこで何して…てか、どこ行ってたのよ!?」

 

紫「まあまあ、落ち着きなさい。ほら、お茶でも飲んで」

 

霊夢「ありがと……って、私んちのじゃないこれ!」

 

萃香「こいつぬらりひょんだったっけ?」

 

文「…さあ?」

 

霊夢「…もう何でもいいや。紫、ちょっとどいて」

 

紫「?」

 

 

強引に紫を押しのけ、縁側にドーベルマンを寝かせる。

その犬の異質さに紫も感づいたようだ。そのたくましい体躯を撫で、感じた違和感の正体を探る。

 

 

紫「………」

 

霊夢「紫?何か分かるの?」

 

紫「………そうね」

 

 

紫はふう、とため息を一つつくと、ドーベルマンを撫で続けながら違和感の正体を語った。

 

 

紫「この犬は『ロボット』ね」

 

萃香「ロボットだって?」

 

紫「そう、ロボット。ロボット犬ね。霊夢、この子神社で飼うの?なら名前は『てつ』がいいと思うわ」

 

霊夢「何訳の分からないこと言ってるのよ。まあとにかく、ロボットなら面倒ごとにはならなそうだし、一安心ね」

 

文「ロボットじゃなかったらどうするつもりだったんですか?」

 

霊夢「妖怪かもしれないし、退治してたかも」

 

士「…結構恐ろしい思考してるな、お前」

 

霊夢「世界の破壊者とか呼ばれてるあなたには言われたくないわね。あーあ、いろいろあって疲れたー」

 

 

そう言うと霊夢はロボット犬を縁側の端っこに押し寄せ、縁側に横になる。ロボットとわかるや否や犬の扱いがぞんざいになった。

 

 

カイト「……おい、お前」

 

霊夢「あによー」

 

カイト「この男に聞きたいことがあったんじゃないのか?」

 

海東「あ、そうだ。僕も君に聞きたいことがあって…」

 

霊夢「んー…今日はもう疲れたわ。明日にしましょう」

 

海東「自由だなぁ」

 

士「お前ほどじゃないだろ」

 

 

次の瞬間には既に小さな寝息をたて始めていた霊夢。

よく考えてみれば、士たちもずっと戦ってきたため疲労が溜まっている。なんだかんだと言う前に、全員の意見は一致した。

 

 

士「じゃ、世話になるか」

 

萃香「文、あんたは戻らなくていいのか?」

 

文「戻りますよ、億劫ですが。今日のところはお別れです。あ、そうだ、士さん」

 

士「何だ?」

 

文「いろいろあったので拾ったのを言い出せずにいたんですが…これ、預けておきます。きっと奴らが探しているものの一つですよ」

 

士「何だって?」

 

文「では、明日また!」

 

士「お、おい…?」

 

 

士にある物を押し付けて飛び去っていった文。士はそれを見届けた後、渡された物を確認する。

 

 

 

カイト「…何だ、それは」

 

士「いや、俺にも分からん」

 

海東「お宝…には見えないね」

 

 

手のひらサイズの、銀色の筒状の何か。ずっしりと重いその銀筒は、F.o.Dの求めている「アーツ」だとは到底思えない。

きっと文も拾った時は同じことを思ったのだろうが、それでも念のためにと回収しておいたものだ。

士はそれを内ポケットにしまうと、博麗神社に足を踏み入れる。

 

 

紫「霊夢、風邪ひくわよ?」

 

霊夢「………」

 

紫「ふぅ…仕方ないわね。ディケイドー」

 

士「普通に名前を呼べないのか?」

 

紫「じゃ、士。霊夢運ぶの手伝って頂戴」

 

士「はぁ…」

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

ルーミア「迷った」

 

コウタ「嘘だろ」

 

 

士たちが博麗神社に到着した頃、コウタとルーミアは絶賛迷子中であった。

ルーミアに手を引かれ意気揚々と出発したはいいが、数分と経たずにこの有様である。

 

 

ルーミア「…よく考えてみたら私、里の場所知らない…」

 

コウタ「嘘だろ」

 

ルーミア「ええと……ごめんなさい、コウタ」

 

コウタ「……俺こんなんばっかだな…」

 

ルーミア「…ごめんなさい」

 

コウタ「いいって。別に怒ってないよ」

 

ルーミア「うー……」

 

 

歩く、とにかく歩く。だが一向に森から出られない。ルーミアと一緒だからか、他の妖怪に襲われることがなかったのが幸いか。

ただ、無性に───

 

 

コウタ「腹減った…」

 

ルーミア「私もー」

 

 

疲労と空腹が重なってどんどん足取りが重くなっていく。

それでも歩く。歩けど歩けど、己の身が危うくなるばかり。でも歩かなければこの身が危ない。

 

 

コウタ「うがあああ「ギャアアアーーッ!?」ああぁぁぁーッ!!」

 

ルーミア「うひゃあぁ!?」

 

 

我慢の限界を迎えての絶叫。

周囲を包んでいた獣や虫たちの鳴き声がピタリと止んだ。

 

 

コウタ「……あ?」

 

ルーミア「へ?」

 

 

コウタの感じた違和感。自分の絶叫に何かが被さったような…

周囲を見渡してみる。ちょうど真後ろだった方向で、そそり立つ「柱」が左右に揺れていた。

 

 

コウタ「………」

 

ルーミア「………」

 

???「まったく、いきなり大声出しやがって……ハッ!?」

 

 

「柱」が振り返る。

デザート迷彩の重厚なボディ。「柱」の正体は背中に構えた“砲塔”。一目でそれが「ロボット」だと分かった。

 

 

コウタ「な、何だお前…?」

 

???「……撤収!!」

 

コウタ「あ、待て!!」

 

 

コウタは回れ右して逃げ出したロボットを追いかける。

ルーミアがコウタの背中に飛び乗りスピードが落ちるが、ロボットの逃げ足の方も元々速くないので大した障害ではなかった。

 

 

???「ムウッ!!なぜ付いてくる!?」

 

コウタ「ま、待て、待てって…話がしたいだけでッ…」

 

???「俺は待てと言われて待つようなポンコツではない!!」

 

コウタ「待てーッ!!」

 

 

へろへろばてばてのコウタ、全力疾走しているにも関わらず歩いていると言われても違和感のない速度のロボット。

何とも緊張感のない追跡。いや、もはやただの追いかけっこだった。

 

 

 

 

 

コウタ「ハァ、ハァ…」

 

???「な、なんてしつこい奴…!」

 

ルーミア「……何だろうこれ」

 

 

追いかけっこの末、辿り着いたのは“玄武の沢”と呼ばれる場所。いつの間にか森を抜けていた。

玄武の沢に存在する無数の空洞の一つ、その前でコウタと謎のロボットは対峙する。

 

 

???「くうう…“隠れ家”がバレてしまった…」

 

ルーミア「隠れ家?」

 

???「あッ!!」

 

コウタ「お、お前……ひょっとして、バカなんだろ…」

 

???「バカとは何だ!お前なんか向こう見ずバカだ!ただのバカより酷いやつだ!バーカ!」

 

コウタ「な、んだ、とぉ…?」

 

???「やるかぁ…?」

 

 

息を整えたコウタとロボットがじりじりと互いの距離を詰めていく。

だがそこに、騒ぎを聞きつけたのか、空洞の中から二つの人影が姿を現した。

その姿は、二人とも……いや、コウタが追ってきたロボットを含めて「三体」とも、全く同じ姿をしていた。

 

 

???1「一体何の騒ぎだ!」

 

コウタ「………えっ?」

 

ルーミア「わあ、そっくり!兄弟?」

 

???2「ムッ!?貴様ら、何者だ!?」

 

???1「あッ!き、貴様、よく見たらあの時の…!」

 

コウタ「え?えーっと…俺たち、どこかで会った?」

 

???1「我々の隠れ家を突き止められたのか!?」

 

???2「これはどういうことだ3号!?」

 

???3「1号、2号…これにはいろいろと事情がだな…」

 

 

コウタたちが追ってきた3号、と呼ばれたロボットが空洞から出てきた1号、2号というらしいロボットに弁解する。

 

 

1号「くっ、あの時の迂闊さが我々の首を絞めたか…!」

 

コウタ「あのー」

 

1号「こうなれば、始末するしかない…!」

 

2号「この隠れ家はどうするんだ!?」

 

1号「3号!貴様はラステルガ様たちの元へ報告に行け!ここは我ら1号と2号が食い止める!」

 

3号「ま、まかされたー!!」

 

コウタ「………」

 

ルーミア「………」

 

 

こちらの言葉などまったく届いていない。

ちらちらと聞こえてくる不穏な単語がコウタとルーミアを焦らせた。

 

 

コウタ「え、えーっと…」

 

ルーミア「コウター、これって結構…」

 

コウタ「ヤバイ、よな…?」

 

 

空洞の奥に消えた3号を見送った1号と2号がコウタとルーミアの前に立ちはだかる。

 

 

???1「というわけだ、悪いが秘密を知った貴様らには消えてもらう!!先に名乗っておこう、我らはジガキュール!!私こそがジガキュール1号!!」

 

???2「同じく2号!!そして3号…は先ほどより不在!!」

 

ジガキュール1号「我らが!!」

 

ジガキュール2号「我らこそが!!」

 

ジガキュール1号&2号「「我らこそがネロス帝国が残党兵、機甲軍団・爆闘士ジガキュール!!」」

 

 

1号と2号がポーズを決める。

数秒の間があってから、コウタが口を開いた。

 

 

コウタ「……ネロス帝国とか残党とか、それ言っちゃってよかったのか…?」

 

ジガキュール1号「………」

 

ジガキュール2号「………」

 

コウタ「………」

 

ルーミア「………」

 

ジガキュール2号「………は、」

 

ジガキュール1号「はめられたぁぁッ!?」

 

コウタ「お前ら三人揃ってバカか!!」

 

 

今度はジガキュール1号・2号の絶叫。

ボリューム大のそれはコウタとルーミアの鼓膜を劈いた。

 

 

ルーミア「耳痛いー」

 

コウタ「こいつら滅茶苦茶だ…!!」

 

ジガキュール1号「ええい、どうだっていい!どうせここで始末するんだ!」

 

ジガキュール2号「ああ、それでこの一件はすべて解決だ!」

 

ルーミア「コウタ、来るよ!!」

 

コウタ「やるしかないのか…!」

 

《オレンジ!》

 

コウタ「変身!」

 

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!オレンジアームズ!花道 オンステージ!》

 

ジガキュール2号「ムッ!?変わった!?」

 

ジガキュール1号「こけおどしだ!!」

 

鎧武「もう何でもいい、かかってこぉぉぉい!!」

 

 

二刀流でジガキュールを迎え撃つ鎧武。狭い玄武の沢で切られた激闘の火蓋。

騒ぎを聞きつけて集まってきた河童たちが、不安そうにそれを見守っていた。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

人里のはずれに立つお寺。その名を命蓮寺という。

その門前で、一人の女性が、少女を庇うようにして立っていた。女性は───命蓮寺の僧侶・聖白蓮は、紫と金のグラデーションがかった髪を風に靡かせ、少女に危害を加えようとした男と対峙する。

その男こそガラク。そしてガラクの後ろには、一人の───いや、一体というべきか、赤い左と青い右、人の形をした「何か」が控えている。

幻想郷に生きる白蓮は、その異形を形容する単語を知らなかった。

 

 

白蓮「この子に危害を加えて…何が目的ですか!?」

 

ガラク「おいおい、そいつ妖怪って言うんだろぉ?何で庇うんだぁ?」

 

白蓮「関係ありません。私は弱き者の味方です!」

 

ガラク「そうか。ま、どーでもいいや。目的はその子の持ってるソレだよぉ。渡してくれりゃあ別に危害なんて加えんよ」

 

白蓮「信用できませんね」

 

ガラク「そうかい。そんなら、仕方ねえなぁ……おい、やれ」

 

???「………」

 

白蓮「…!!」

 

 

ガラクの冷たい言葉に、異形が一歩、二歩、と歩み出す。

相変わらずの無言。その体躯からは生気を感じ取れなかった。

 

 

???「………」

 

白蓮「…いいでしょう、あなたが弱き者、正しき者たちに仇なす存在ならば、この私がここで───」

 

???「………」

 

白蓮「───…ッ!!」

 

 

突然異形の右腕が青色に発光する。異形とはある程度の距離を置いているが、溢れ出すその凄まじいエネルギーは白蓮の肌を粟立たせた。

あれを受け止めてはいけない。白蓮は咄嗟にそう判断し、一瞬で距離を詰め腕を振り下ろしてきた異形の手刀を回避する。

目標を外し空振った異形は一瞬動きを制止させた後、すぐに白蓮に向き直り手刀を振るう。

 

 

白蓮「速いッ…!!」

 

???「………」

 

 

絶え間なく繰り出される手刀攻撃。スタミナには自信のある白蓮だが、目の前の異形はそもそもスタミナなんて概念が存在しないかのように猛進してくる。

躱すのが精一杯だ。反撃する暇などない。

 

 

白蓮(くッ…これでは…)

 

???「………」

 

白蓮(何か策は───)

 

少女「きゃああぁぁッ!?」

 

白蓮「はっ!?」

 

 

攻撃を回避しながら思考を張り巡らせていた白蓮は、突然聞こえてきた少女の悲鳴にはっとなる。

振り返れば、いつの間にか少女に接近していたガラクが、少女の手から「緑色の球体」を奪い取ったところだった。

 

 

白蓮「い、いつの間に…!?」

 

ガラク「しっかり頂いたぜ。周りはよく見ろよ、尼さん」

 

白蓮「何をッ…」

 

 

異形の存在も忘れてガラクに飛びかかろうとしたその直後、背後から聞こえてきた妙な「金属音」。

振り返ると、動きがピタリと制止していた異形がゆっくりと膝をついたところだった。

 

 

???「…グ、ガッ……」

 

白蓮「これは…!?」

 

???「─────ッッ ぼ…ぼ、くは……」

 

ガラク「チッ、またか……やはり生身の人間以外には効きが悪いか…?」

 

 

震える両腕に釘付けになったまま動かなくなった異形に、苛立ったガラクが蹴りを入れる。

がしゃん、と、また妙な金属音を立てて倒れた異形。その頭蓋に、ガラクの鱗が突き刺さった。

すると異形の震えは止まり、また生気の感じられない状態となる。

 

 

???「────……」

 

ガラク「ま、いいか。目的の物は回収したしな…もう用はねえ。あばよ」

 

白蓮「ま、待ちなさい!!」

 

 

白蓮が引き止めようと駆け出すが、ガラクは背後に開いたホールの中へ異形と共に消える。

残された白蓮は、それを呆然と見届けることしかできなかった。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

シシガケ「………」

 

ソギリ「…ど、どうでしょう?」

 

 

ソギリが河童から強奪してきた「何かの残骸」。水色の機械のようなもの。

怜雄に命じられて回収したに過ぎないので、ソギリにはこれが何なのかはまったく見当が付かないが、シシガケには思い当たる節があるらしく、数十分も睨めっこを続けている。

 

 

シシガケ「…破損が酷すぎて使い物にならんな」

 

ソギリ「や、やはり…」

 

シシガケ「アーツではないが、これを修復できれば第一段階の進行を早められる……その点ではよくやった、と言えるな。コテツ、この件はお前に任せるぞ」

 

コテツ「…はっ」

 

 

透明ケースに戻された「残骸」がコテツに手渡されるが、そこにソギリが割って入った。

 

 

ソギリ「シシガケ様!ここは私が責任を持って…!」

 

シシガケ「いいや、お前には別の任務がある」

 

ソギリ「し、しかし…」

 

シシガケ「内容は怜雄に伝えてある。外で待っているはずだ。レディを待たせるなよ」

 

ソギリ「わ、分かりました…では!!」

 

 

コテツとソギリの姿が消えたのを確認すると、シシガケはふう、と一息ついてから、壁にもたれかかっていた白ずくめの男───ジェネラルシャドウに話しかけた。

それと同時に、台座の上に置かれた「ガドマの中枢」に自身の闇を注ぎ込む。

 

 

シシガケ「何か言いたそうだな、ジェネラルシャドウ」

 

ジェネラルシャドウ「……どうやら俺はF.o.Dの誰からも信用されていないようでな。ひとつばかり手柄を立ててやればと思っていたのだが」

 

シシガケ「焦るな、お前の実力は見知っている。それに…まだ、これからさ」

 

ジェネラルシャドウ「…うん?」

 

シシガケ「幻想郷を介して集結した『悪しき魂たち』による軍勢。F.o.Dが目指す形はそこにある」

 

ジェネラルシャドウ「そして、何を成す?」

 

シシガケ「次元をも越えたすべての世界、その征服」

 

ジェネラルシャドウ「フン、ずいぶんとわかりやすい。そしてありきたりな…」

 

シシガケ「忘れるなジェネラルシャドウ。俺たちF.o.Dは『悪の秘密結社』だ……目的などただ一つ、そうだろう?」

 

ジェネラルシャドウ「フ、フフフフ……そうだ。我らが限りなく求めてきた理想……世界征服!!」

 

シシガケ「お前のように強い感情を持つ者たちが必要だ。F.o.Dは怨恨の軍勢。まだ、足りない…!!」

 

 

シシガケの闇が一層強くなる。深い闇が魔神の中枢を満たしていく。

中央の赤い宝石から放たれた禍々しいメロディが石造りの部屋に響き渡った。

光を一切通さない音色は、正しき心をかき乱す旋律は、かつての比ではなかった。

 

 

 




今回詰め込みすぎた感がすごいですね。しかもまともな戦闘シーンがない。うわぁ頑張ろう。

戦極ドライバーにはロックシードから栄養分を摂取して空腹を満たすという重要な機能がありましたね。
劇中ではヒマワリ以外でその機能を使っている描写が無かったので、本作ではヒマワリ以外のロックシードでは不可能という設定にしました。
そうでもしないとルーミアが可哀想だからとかそういうんじゃないんだからね!


…また作者が勉強不足なだけかもしれませんが。
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