破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

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第十七話 沢の白虎、里のドジっ虎

 

 

 

コウタ「お、お前は…確かF.o.Dの…」

 

にとり「ふぉっど?」

 

ジガキュール1号「この男が例の…?」

 

デミタス「F.o.Dって何ダ?」

 

 

突如コウタたちの前に現れたコテツに、河童のアジトが静まり返る。

コウタはルーミアたちを守るように下がらせると、一歩一歩と歩み寄ってくるコテツと対峙する。

 

 

コウタ「こんなところに何の用だ!?」

 

コテツ「……お前に用などない。どけ」

 

コウタ「俺にはある!そろそろ本気でお前らのこと、教えてもらうぞ!」

 

《オレンジ!》

 

コウタ「変身!」

 

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!オレンジアームズ!花道 オンステージ!》

 

ルーミア「コウタ!?」

 

河童1「あんたたち、逃げるよ!!」

 

ジガキュール3号「んなっ!?我々も戦うぞ!!」

 

ジガキュール2号「いーやここは逃げるべきだ!!」

 

ジガキュール1号「何を言う2ご…に、2号ッ!?河童ども何を…ッ」

 

デミタス「ちょ、ちょっと待ってヨー!!」

 

 

鎧武に変身し、それを見たコテツも怪人態「トラフォッダー」としての姿に変身する。

それと同時にアジトにいた河童たちが逃げ出し、鎧武に加勢しようとしたジガキュールたちも悲鳴と共に連れ去られていった。

そのを様子を横目で見届けた鎧武は、無双セイバー・ナギナタモードでコテツに躍りかかるが、前の戦闘で受けた傷が痛みだしたために無双セイバーを振り下ろす勢いが弱まり、鋭い爪による反撃をもらってしまう。

倒れた鎧武にも、水の底へ沈んだ大橙丸にも目もくれず、コテツは残ったにとりたちの元へと向かっていく。

 

 

鎧武「ま、待て…!」

 

コテツ「………」

 

魔理沙「誰だか知らないが、危害を加えようっていうんなら容赦しないぜ?」

 

鎧武「ダメだ、魔理沙…逃げろッ!!」

 

魔理沙「な、え…?」

 

 

魔理沙が八卦炉を取り出そうとした次の瞬間には、その体が宙を舞っていた。

投げ飛ばされたと理解した時には既にその体躯が地面に叩きつけられ、魔理沙は意識を手放した。

 

 

魔理沙「………」

 

ルーミア「魔理沙!?」

 

コテツ「……邪魔をするな」

 

鎧武「やめろォォッ!!」

 

 

歩みを止めようとしないコテツの背中に、立ち上がった鎧武が無双セイバーを振り下ろす。

だがコテツはそれを脅威の反応速度で防ぐと、鋭い蹴りで鎧武を川の中へ吹っ飛ばした。そしてまた、河童たちへとその足を進める。

 

 

コテツ「お前か…河城にとりとかいう河童は…」

 

にとり「…!?」

 

ルーミア「に、にとりに、何の用!?」

 

コテツ「………」

 

鎧武「ま、待てッ…みんな、逃げろ!!」

 

コテツ「……しつこい奴だ。連れてきておいて正解だったか」

 

鎧武「な、ぬぉッ!?」

 

 

川から上がろうともがく鎧武。その足が何者かに引っ張られた。

必死に振り払おうとするが、ガッシリと組み付かれており、それもままならない。

 

 

鎧武「な、何だ…!?」

 

コテツ「……しばらくそこで沈んでいろ」

 

鎧武「んな、ちょ、ま……うおわぁッ!?」

 

 

グン、と力一杯引っ張られ、鎧武が水面下に消える。

水中に引きずり込まれた鎧武が見たのは、己の足に組み付いた、魔化魍カッパの姿だった。

 

 

カッパ「クオォォーーッ!!」

 

鎧武「ゴボボッ!?」

 

 

カッパが吐き出した謎の液体を間一髪、上体をずらして回避する。

それによって一瞬だけ拘束が緩んだのを見逃さず、足を引き抜き、ダンデライナーを展開して水中から脱出する。

 

 

鎧武「そーこーまーでーだーッ!!」

 

コテツ「………」

 

ルーミア「コウタ…!!」

 

 

脱出と同時にコテツの上空をとった鎧武。

ダンデライナーの機銃でコテツを狙い撃つが、コテツは素早い動きでそれらを回避する。

 

 

鎧武「速ッ───」

 

コテツ「フンッ!!」

 

鎧武「いッ!?」

 

ルーミア「あっ…」

 

 

一瞬でさらに上をとられた鎧武。

コテツの強烈な踵落としを受け、再び水中に叩き落とされた。

 

 

鎧武「ゴボハァッ!?」

 

カッパ「クオオオォォーッ!!」

 

鎧武「ゴボバボババ(またおまえか)!!」

 

 

水中で待ち構えていたカッパに再び組み付かれる。

ダンデライナーは陸に墜落し、ロックシードに戻った。先ほどのように無理矢理脱出するのは不可能らしい。

悪く言えば単細胞、良く言っても向こう見ず。そんなコウタのとった行動は一つ。

無理矢理、無理矢理を突破する。

 

 

鎧武「ゴボババアアアァァァーッ!!(解読不能)」

 

カッパ「クオォッ!?」

 

 

ザバババババッ!!

そんな轟音を立てながら、鎧武の搭乗するサクラハリケーン(カッパ付き)が水中から飛び出してきた。

 

 

ルーミア「うわぁ…」

 

コテツ「……なんて奴だ」

 

にとり「いいなぁ、アレ」

 

鎧武「セイッハァァァーーッ!!」

 

《ソイヤッ!オレンジスカッシュ!》

 

カッパ「クオォォーーッ!!」

 

 

振り落とされ落下するカッパに、サクラハリケーンから飛び降りた鎧武の《無頼キック》が炸裂し、爆散する。

着地と同時にサクラハリケーンを回収し、今度こそコテツとの勝負に望む。

 

 

コテツ「……無茶をする」

 

コウタ「それが俺だからな」

 

コテツ「……ならばその無謀さに死ぬがいい!!」

 

 

コテツが消えた。

そうとしか表現できない程のスピードから放たれた一撃は、戦う前から手負いだった鎧武を戦闘不能に陥れるには十分だった。

変身が解除され、うめき声すら上げられずに倒れる。

 

 

にとり「め、盟友!?」

 

ルーミア「コウタ!!」

 

コウタ「く、くそぉッ…」

 

 

倒れ伏すコウタに、ルーミアが駆け寄る。

コテツはそれを意に介さず、コウタにトドメを刺さんと進んでいく。

 

 

ルーミア「無理しちゃダメだよコウタ!!まだ治ったばかりなんだから…」

 

コウタ「う、ぐッ…まだ、まだぁ…」

 

コテツ「………」

 

にとり「……何さ?私への用事って…」

 

ルーミア「にとり!?」

 

 

治りきっていない傷と、新たに受けたダメージが重なり、ついにコウタは意識を手放した。

コウタへ歩み寄るコテツの前に、にとりが立ちはだかる。

 

 

コテツ「………?」

 

にとり「わ、私に用事があるんだろう?言ってみなよ…聞くだけ聞いてやる。それまで、盟友に手を出すな…!!」

 

コテツ「……分かった。最初からそう言えば良かったんだ…」

 

 

そう言って人間態に戻ったコテツは、懐から透明のケースを取り出した。

その中にはあの水色の機械の残骸が収まっている。

 

 

コテツ「……この機械を直せ。今すぐに」

 

にとり「ひゅい!?それ、一体どこで……」

 

 

にとりの表情が固まる。

コテツが見せたその機械は、以前にとりが拾い、ソギリに襲われた際に奪われた残骸、そのものであった。

 

 

コテツ「……部下が回収したものだ」

 

にとり「う…そ、それ…できればもう関わりたくないと思ってたんだけどなぁ。それに、奪い取ったものの修理を元の持ち主に頼むって、どういう神経して……」

 

コテツ「……交渉決裂」

 

にとり「待った!!分かった、やるだけやってみるから!!」

 

コテツ「……それでいい。修復が完了するまで……コイツは預かっておく」

 

にとり「!?」

 

 

にとりが残骸を受け取ると同時に、コテツは凄まじいスピードでコウタを人質に取っていた。

 

 

ルーミア「コウタ!?」

 

コテツ「……そっちの金髪でもよかったが…まあ、ここは戦力を削いでおくとしよう…安心しろ。修復が終われば返してやる」

 

 

コテツが言い終わると同時にホールを開き、コウタを抱えて消えていった。

 

 

ルーミア「コウタぁぁッ!!」

 

にとり「………」

 

ルーミア「うぅ……コウタぁ……」

 

にとり「…やろう。今すぐに」

 

ルーミア「…本当に、出来るの?」

 

にとり「デミタスの力も借りる。あの虎男、約束はちゃんと守りそうだから……今は、私たちに出来ることをやろう」

 

ルーミア「…私も手伝う!!」

 

にとり「頼むよ。とにかく、今はみんなに事情を話そう」

 

ルーミア「うん!!魔理沙、しっかりして!!起きてー!!」

 

魔理沙「ううん…わ、私はどうなったんだぁ…?」

 

 

魔理沙を叩き起こし、アジトを発つ三人。

コウタの命は、デミタスと河童たちの腕に預けられた。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

神社を発って数十分。

参拝客なんて来るのか、と思うほどに長い道の果て、ようやく人里に辿り着いたカイトにいきなり降りかかった災難。

 

 

カイト「………」

 

???「うう……」

 

カイト「…泣いていても見つからんぞ」

 

???「うええぇ……」

 

カイト「はぁ……」

 

 

大きな(人生の)迷い子。虎の如く黒と金の混じった髪を持つ少女。

出会ったきっかけは、里の入り口付近でキョロキョロと不審な動きをしている涙目の彼女に声をかけただけという些細なもの。それが今となっては何故話しかけてしまったのだろう、と後悔の念すら感じさせる。

落し物をしたらしい彼女は、探している間も「怒られる、怒られる」と嘆いていた。いかにも頼りなさそうなくしゃくしゃの顔と涙目で迫られてはカイトでも断りきれない。

少女の名は寅丸星。カイトはまだ知らないが、これでも毘沙門天の弟子である。

 

 

カイト「とにかく、その涙と鼻水を止めろ。誤解されたくない」

 

星「ぶぇぇ…すみません、本当に…うぅ…」

 

カイト「…何だこれは」

 

 

もう十数分の間はカイトなりに慰め続けていた。

ようやく涙と鼻水を引っ込めた星は、心底申し訳なさそうに頭を下げる。

 

 

星「ほ、本当にすみません…お忙しいでしょうに、こんなことに付き合わせてしまって…もう大丈夫です。後は私で探してみます。ありがとうございました…」

 

カイト「…こうなったら見つかるまで付き合ってやる」

 

星「そ、そんな、悪いですよ…!」

 

カイト「俺個人の勝手な行動だ。気にするな」

 

星「で、でも…」

 

カイト「行くぞ!あと探してないのはどの辺だ!?」

 

星「あっ、ま、待ってください~!」

 

 

カイトに続いて駆け出す星。

カイトの「もうとことん付き合ってやる」という意思に気付いた星は、彼にお礼と謝罪の言葉をありったけ吐き出しながら落し物の捜索を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後。

 

 

星「ううううううう」

 

カイト「悪化した」

 

 

そこには溢れんばかりの涙を湛えて落胆する星の姿があった。

 

 

カイト「………」

 

 

よく考えてみれば、何を探しているのかも聞いていない。

とんだ無駄な時間を過ごした、と心の中で愚痴りながら星を宥める。

 

 

星「あうあう」

 

カイト「おい、いい加減に……」

 

エル「あら、どうかしたのですか?」

 

星「ううう…」

 

カイト「…落し物をしたそうだ。一緒に探しているんだが見つからない」

 

エル「大変ですねぇ。そういう時は視野を広げてみるのが一番ですよ」

 

カイト「視野を…」

 

星「ひ、広げる…?」

 

エル「そうです。こんなところには無いだろう、って場所も念のため探ってみるべきです」

 

カイト「……ほう」

 

星「な、なるほど…!」

 

エル「お力になれましたでしょうか?」

 

星「も、盲点でした…よく考えてみたら至極単純なことですね…不覚です…」

 

カイト「それで、一つ聞きたいことがあるのだが」

 

エル「何でしょう?」

 

カイト「何ナチュラルに溶け込んでるんだ、お前は」

 

エル「あれ、気付いてたんですか?てっきり…」

 

カイト「当たり前だ…!」

 

星「え?し、知り合いなんですか!?」

 

 

いつの間にやら、にこにこ笑顔で二人の間に入り込んでいたエル。

カイトが咄嗟に戦極ドライバーを取り出すが、今いる場所が人里であることを思い出し、手が止まる。

 

 

カイト「……今日は何の用だ?」

 

エル「新しい力を手に入れたので、その試用にと」

 

カイト「そんな理由でわざわざこんなところまで…」

 

エル「貴方のいる場所なら何処へでも」

 

カイト「ふざけろ…!里の外でやるぞ!」

 

エル「望むところです。あ、寅丸星さん。貴女はどうします?」

 

星「わ、私は…ええと、お二人の仲に水を差したくないので…」

 

カイト「どういう意味だ」

 

エル「そういう意味でしょうねぇ」

 

カイト「…まあいい。ところでお前、頭の上のそれは…」

 

エル「? これですか?さっき団子屋の前で拾ったんです」

 

星「え?頭の上……

 

 

あああああぁぁぁーーーッッ!!!!??」

 

 

星の絶叫が里に響き渡る。それを聞いて里の人々が何だ何だと集まってきた。

…どうやら、エルが何故か頭に乗せている「それ」が星の探していた落し物らしい。

 

 

星「そそそ、そ、それれれ、それ、わわわわたしの」

 

カイト「落ち着け、星。おい…さっさと外に出るぞ」

 

エル「そうしましょう。衆人環視の中で戦うのは好きじゃありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里を抜けて、少し向こうに寺らしき建造物がちらっと見えるほどの場所まで移動した三人。

カイトとエルが対峙する。星は相変わらずオロオロとしていた。

 

 

エル「そうですねぇ…私に勝てたら返してあげますよ」

 

星「か、カイトさん!応援してますから絶対に勝ってくださいね!?」

 

カイト「簡単に言ってくれるな…とにかく、下がってろ」

 

《バナナ!》

 

星「は、はい!」

 

バロン「変身」

 

《ロック・オン!》

《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》

 

 

今度こそ、カイトは戦極ドライバーを装着してバロンに変身する。

対するエルは、イクサナックル───ではなく、緑色のボール、「シュリケンボール」を手に取った。

 

 

エル「さあ、勝負ですカイト。私の新しい力をお見せしますよ!」

 

バロン「それが新しい力とやらか…」

 

エル「いきます!天空・シノビチェンジ!」

 

 

エルがシュリケンボールを胸の前に構えると、光と共にその姿が緑色の忍者のようなスーツに包まれた。

その姿こそ「天空忍者シュリケンジャー」であった。

 

 

シュリケンジャー「えーっと…緑の光弾!天空忍者、シュリケンジャー!参上ッ!」

 

星「手裏剣…?」

 

バロン「忍者…?」

 

シュリケンジャー「おおっ、何だかアメリカンな気分です!」

 

バロン「何だか分からんがすごい気合いだ…」

 

シュリケンジャー「いきます!!」

 

 

シュリケンジャーが背中の「シュリケンズバット」を引き抜き、バロンの振りかざすバナスピアーを迎え撃つ。

バロンがバナスピアーから繰り出される突きを軽くいなして、シュリケンズバットで反撃を加えていく。

 

 

バロン「く、荒削りだが…ッ」

 

シュリケンジャー「ソーリー。初めて使うので、不慣れなもので」

 

バロン「言ってくれるな…」

 

シュリケンジャー「えーっと、こうですかね?ファイヤー剣、プリーズ!」

 

バロン「なッ!?」

 

 

音声入力と同時に、シュリケンズバットから火炎放射が放たれる。

至近距離から受け炎が燃え移ったバロンは、慌てて地面を転がって消火する。

 

 

シュリケンジャー「焼きバナナには…」

 

バロン「ならん!!」

 

シュリケンジャー「残念です。次は…プラズマ剣、プリーズ!」

 

バロン「またかッ…」

 

 

シュリケンズバットから放たれたプラズマ光線をバロンは飛び退いて回避する。

プラズマ光線はバロンがいた地面に焼け焦げた痕を作った。

 

 

シュリケンジャー「これは使い辛いですね…今度は…」

 

バロン「させるかッ!!」

 

《カモン!バナナスカッシュ!》

 

シュリケンジャー「れいと…ッ!? ぐぅッ!!」

 

 

シュリケンジャーが音声入力に気を取られた一瞬の隙を突いて、バロンが《スピアビクトリー》を放つ。

咄嗟に必殺技の使用から防御へと切り替えたために大したダメージは与えられなかったが、バロンは断片的に聞き取れた彼女の言葉を逃さなかった。

 

 

バロン(今あいつが言いかけたのは…)

 

シュリケンジャー「浮かれてました……油断禁物、いい言葉です。次はこうはいきませんよ…!」

 

バロン「ああ、こっちもだ!!」

 

《マンゴー!》

《ロック・オン!》

《カモン!マンゴーアームズ!ファイト・オブ・ハンマー!》

 

 

マンゴーアームズにチェンジし、シュリケンジャーと再度激突する。

振り下ろす度に小さなクレーターを穿つマンゴパニッシャーを、シュリケンジャーは難なく躱し斬撃で返していく。

パワータイプのマンゴーアームズに切り替えたことで、先ほどよりも劣勢になった。連続斬りを受けてついに膝をつくバロン。

 

 

バロン「……ッ」

 

シュリケンジャー「だらしないですね。次でフィニッシュですよ!!」

 

バロン「くッ…」

 

シュリケンジャー「覚悟してください。冷凍剣、プリーズ!」

 

バロン「!! そこだッ!!」

 

 

「冷凍剣」が使われるその瞬間こそ、バロンが待ち構えていたチャンスにして、ちょっとした賭けだった。

バロンはシュリケンズバットから放たれた冷凍エネルギーに投擲したマンゴパニッシャーをぶつける。

それと同時に跳躍し、凍りついたマンゴパニッシャーを踏み台にして冷凍エネルギーの回避と同時にシュリケンジャーの上をとった。

 

 

シュリケンジャー「なッ!?」

 

バロン「喰らえッ!!」

 

《カモン!マンゴースカッシュ!》

 

シュリケンジャー「キャアァッ!?」

 

 

マンゴー型オーラを纏った《キャバリエンド》を受け、シュリケンジャーが悲鳴と共に吹っ飛ばされた。

 

 

シュリケンジャー「いいですね…それでこそ、そうこなくては…!!」

 

バロン「まだ戦えるようだな」

 

シュリケンジャー「当然。まだ奥の手がありますから!!」

 

バロン「何…?」

 

シュリケンジャー「大逆転ッ フェイスチェンジ!」

 

 

そう言って、シュリケンジャーがプロテクターを脱ぎ捨てる。

それと同時にマスクを180度回転させ、手裏剣を模したものから炎を模したものに変わった。

脱ぎ捨てられたプロテクターはあまりの重量に、地面に埋まっていた。

 

 

バロン「お前、ずっとそんな重いものを…!?」

 

シュリケンジャー「シュリケンジャー、ファイヤーモードでぇい!!」

 

バロン「!?」

 

シュリケンジャー「おおう!?何だか心の奥から燃え上がってきたぁぁーッ!!」

 

バロン「ど、どうした…?」

 

 

様子が豹変した彼女に、若干引き気味のバロン。ともかく、オーラは物凄い。相手は己のライバルなのだ。

バロンは凍結したマンゴパニッシャーが深々と地面に突き刺さって使い物にならないのを確認すると、別のロックシードを取り出した。

 

 

バロン「力が戻っているな……こいつで勝負をつける!!」

 

《スイカ!》

《ロック・オン!》

《カモン!スイカアームズ!大玉 ビッグバン!》

 

シュリケンジャー「んなえれぇデカさのスイカがあるもんか!!叩き割ってやらぁ!!」

 

バロン「……やり辛い」

 

 

スイカアームズ・ヨロイモードとなり、槍形態のスイカ双刃刀を構える。

巨大な機動兵器を前にしてもシュリケンジャーは臆さない。鞘に収めたことでバットのような形となったシュリケンズバットを、ホームラン予告が如く大玉スイカに向ける。

 

 

バロン「…もういい。いくぞッ!!」

 

シュリケンジャー「ズバッとこいやぁぁーッ!!」

 

バロン「ああ、くそッ!!」

 

 

バロンが振り回すスイカ双刃刀を、プロテクターを脱ぎ捨てたことで更に身軽になったシュリケンジャーはひょいひょいと躱していく。

だがスイカアームズは巨大かつ重厚な鎧。シュリケンジャーもうかつに反撃は仕掛けてこなかった。

 

 

バロン「くッ、速い…!!」

 

シュリケンジャー「ええいまどろっこしい!!一気にフィニッシュ決めさせてもらうぜ!!」

 

バロン「それはこっちのせり───」

 

シュリケンジャー「超忍法・分身魔球ッ!!」

 

バロン「!!」

 

 

シュリケンジャーが、いつの間にか握っていた黄色いボールをバロンめがけて全力投球する。

ボールはバロンの目の前で無数に分裂し急加速。マシンガンが如くの勢いで襲いかかった。

 

 

バロン「ぐ、くそッ!!」

 

《大玉モード!》

 

シュリケンジャー「ほー、やるじゃねえか!!」

 

 

咄嗟に大玉モードになり、回転してボールを弾いていく。

同時にシュリケンジャー目がけて体当たりを仕掛けるが、ジャンプで簡単に躱され、反撃の蹴りを受けてあらぬ方向へと転がってしまう。

 

 

バロン「おおう…」

 

《ヨロイモード!》

 

シュリケンジャー「レッツ、スイカ割りショー!!翼忍剣技・天空斬!!」

 

バロン「く……はああぁぁッ!!」

 

《カモン!スイカオーレ!》

 

 

シュリケンジャーの《翼忍剣技・天空斬》を、バロンはスイカ双刃刀に赤いエネルギーを纏わせて放つ突き攻撃《スイカオーレ》で迎え撃つ。

だが《スイカオーレ》は空中前転で華麗に躱され、隙だらけの懐に飛び込んだシュリケンジャーが放った縦一閃の斬撃を受け、スイカの鎧は崩れ落ちた。

スイカアームズからバロンが転げ落ちると同時に、その鎧がロックシードに戻る。スイカロックシードは灰色に変色し力を失った。

 

 

バロン「うおぉぉ……」

 

シュリケンジャー「ほれほれ。私はまだまだいけるぜ?」

 

バロン「…もはや面影がないな……だが俺は、負けない!!」

 

《バナナ!》

《ロック・オン!》

《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》

 

バロン「うおおおぉぉッ!!」

 

シュリケンジャー「そうこなくっちゃなぁ!!」

 

 

何度でも立ち上がってくるバロンに、シュリケンジャーの炎も更に燃え上がる。

バロンの繰り出すバナスピアーを迎え撃つシュリケンジャーだったが、圧倒的な強い意思が乗せられたその一撃に気圧され、回避行動を取れずに直撃してしまう。

蓄積されたダメージは決して軽いものではないのに、バロンは何度でも立ち上がってくる。その強い意思こそ、彼女の、エルネード・バラドリエーフの求めていたもの。

 

 

バロン「はぁぁぁ……」

 

シュリケンジャー「………憧れ、か」

 

バロン「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉッッ!!」

 

《カモン!バナナオーレ!》

 

シュリケンジャー「プラズマ剣、プリーズ」

 

 

《バナナオーレ》と、プラズマを纏ったシュリケンズバットが激突する。シュリケンジャーはまた、気圧された。それでも強引にシュリケンズバットを振り抜く。

バロンが《プラズマ剣》を、シュリケンジャーがバナナ型エネルギーを纏ったバナスピアーの一撃を同時に受け、互いに吹っ飛ばされた。

両者同時に、変身が解除される。そこに圧倒されつつも固唾を呑んで戦いを見守っていた星が駆け寄ってきた。

 

 

星「わぁーっ!?だ、大丈夫ですかお二人とも!!」

 

カイト「はぁ、はぁ……」

 

エル「ふぅー…さ、さすがですね、カイト…」

 

カイト「………」

 

エル「な、何か言ってくださいよ…」

 

カイト「……お前、何でF.o.Dについている?」

 

エル「言えませんねぇ」

 

カイト「正直、お前がただの興味や支配欲でF.o.Dについているとは思えない。何か理由があるだろう」

 

エル「ありませんよ。私は今に忠実なんです。強いて言うなら───」

 

カイト「………?」

 

エル「いえ、この話はやめておきましょうか」

 

星「あのッ!!」

 

エル「…どうかしましたか?」

 

星「よ、よく分かりませんが、カイトさんも…ええと、エルさん?貴女も悪い人ではありませんよ!!絶対!!」

 

エル「はえ?」

 

 

星の唐突な言葉にエルが目を丸くする。

二人の会話の節々から自分なりに汲み取った結果がこれらしい。

 

 

エル「教えてあげましょうか?私は悪の組織の幹部です。相当悪い奴でしょう?」

 

星「いいえ。私には分かります。貴女は実はいい人です!!」

 

エル「……へぇ。そんなこと言われたのは初めてです。何かよく分かってないみたいですけど」

 

 

そう言ってエルは満足そうな笑顔を二人に向けると、立ち上がってぱんぱんと軍服についた砂を払う。

 

 

エル「ふふふ、結構楽しめました。戦う度に強くなっていくのを感じます。これは返してあげますよ」

 

星「わ、私の宝塔!」

 

カイト「…いいのか?」

 

エル「最初から返すつもりでしたよ。どうせ持っていても使いませんし」

 

カイト「何だそれは…」

 

エル「ふふ。どうせ戦うのなら何か理由が欲しいでしょう?」

 

 

星が探していたという「宝塔」。

エルはその宝塔を星に投げ渡し、それでは私はこれで、とホールを開いた。

 

 

カイト「エル…」

 

カイト「はい?」

 

カイト「その腰の剣は…」

 

エル「ああ、これですか?これはまたの機会までお楽しみということで」

 

カイト「………」

 

エル「ではでは、よい一日を」

 

 

それだけ残してエルはホールへと消える。

彼女が虚空に消えたことに星が困惑するが、カイトが起き上がったのを見て意識をそちらへ移した。

 

 

カイト「………」

 

星「あの…カイトさん、ありがとうございました」

 

カイト「…気にするな」

 

星「あの、カイトさん…?」

 

カイト「………限界だ」

 

星「あ!!そういえばお腹空いてたんですよね……ぜひ私の暮らす『命蓮寺』へ寄っていってください!お礼もしたいですし…」

 

カイト「………」

 

 

空腹も限界に近いカイトは断りきれず、星の後に続いてその「命蓮寺」を目指すのであった。

その先でまた騒動に巻き込まれることなど、知る由もなく……

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

玄武の沢の隠れ家を廃棄したネロス帝国の生き残り、戦闘ロボット軍団・暴魂ラステルガと、同じく戦闘ロボット軍団・激闘士サンダー。

現在二体の姿は、鮮血よりも紅い洋館の前にあった。

 

 

サンダー「ラステルガよぉ…これからどうすんだ…?」

 

ラステルガ「存在を知られた今となっては、この狭い世界では隠れ家など意味を成さない。だが拠点は否応なしに必要となる。そのためにここへ来たのだ」

 

サンダー「どういう意味だぁ?」

 

ラステルガ「事前の調査は大切だ。ロコア!!」

 

ロコア「はっ、ここに!」

 

 

ラステルガの呼びかけの応じ、二人の前にネイティブ・アメリカン風の軽鎧を着込んだ男が現れる。

彼もまたネロス帝国の残党。その名を、ヨロイ軍団・雄闘ロコアという。

 

 

サンダー「ロコア!オメェどこ行ってたんだ!?」

 

ロコア「現在の拠点を廃棄することになった場合の『代わり』を探していた。貴様はフルーツ侍に酷い目に合わされたようだが?」

 

サンダー「あぁん!?んなわけねぇだろ!!どう見ても圧勝だったっつーの!!」

 

ラステルガ「やめろ、サンダー。それよりロコア、本当にこの場所でいいんだな?」

 

ロコア「はっ。この館……『紅魔館』と呼ばれているそうですが……女主にメイドしか住んでいないこの館ならば、制圧は赤子の手を捻るかのように造作もないことかと」

 

サンダー「なんだそりゃ。そんな珍奇な館が存在するのか?」

 

ロコア「目の前に」

 

サンダー「…そうかよ」

 

ラステルガ「そうと分かれば、あとは踏み込むだけだ」

 

 

ラステルガの両腕の錨が光を反射して輝く。

自らと、その守るべき対象である館が今まさに危機に晒されていることを、夢の世界にトリップしている門番娘はまだ知らない。

 

 

 




江戸っ子口調わからん。これでいいのかな……とりあえず「秘打・千本ノック」はまたの機会に。
エルVer.のシュリケンジャーは「アイアムニンジャオブニンジャ」を省略します。特に意味はありませんが。
シュリケンジャーアームズなんてものも考えましたがいい出し方が見つからなかったので没。慈悲はない。
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