ドライブはタイプワイルドお披露目回だったのに……死にたくなりますね。
でも録画していた友人が見せてくれることに!やはり持つべきものは友です。
で、この流れどっかで見たことあるなーと思ったら夢喰いメリーでした。
どうでもいいね。本編どうぞ。
とある夜のこと。
???「ふーふーふーん♪ふふふふんふんふーん♪ふーんふふふふんふんふんふんふーん♪(ラストリモート)」
鼻歌を奏でながら、黒い帽子に銀髪の少女がどことも知れぬ道をのんびりと歩いていた。その幼い体躯の胸の位置には青く巨大な閉じた瞳が鎮座している。
少女の名は古明地こいし。瞳を閉ざした覚妖怪である。普段は「地霊殿」と呼ばれる地下のお屋敷に住んでいるが、姉の目を盗んで脱走してきたところだ。
こいし「ふんふふー……お?」
晴れやかだった少女の表情がさらに明るさを増す。面白そうなものを見つけた、と言わんばかりに。
その視線の先には、こちらに背を向けて何かと対峙している二つの人影。その影の向こうには、鋭い牙をぎらつかせて巨大な口を開く四つ足の怪物の姿があった。
普通の人間ならば腰を抜かしているだろうに、目の前の二人はそんな様子を一切見せていない。むしろ、こちらのほうが優勢だとでも言うような。
こいし(面白いから様子見しよーっと)
無意識の力を持つこいしは、彼らに気づかれることもない。真後ろで堂々と見学することにした。
???1「…何なんだこいつ」
???2「さあ。だが俺たち相手にずいぶんと威勢張ってるぞ」
???1「舐められちゃたまらん。やるか、デデモスよ」
???2「ああ、少しこらしめてやろうぜ、ゴブリット」
二人はゴブリットとデデモスというらしい。二人が構えているのは銃だが、こいしにとっては見たこともない武器である。
デデモスという方の青いロボットは左腕の先がクロー状になっていた。
怪物「ゴオオォォッ!!」
ゴブリット「へへへ、怖がらせてるつもりか?」
デデモス「可愛いもんだ」
こいし(………)
こいしには彼らの言っていることがよく分かっていなかった。それはあの怪物もきっと同じだろう。
自分自身異常なのは自覚しているこいしも、ずいぶんと肝の座った二人の言動に首を傾げた。
怪物「ガアアアオオオオォォッ!!」
デデモス「そいやッ!!」
怪物「ギャオッ!?」
デデモスが左腕のクローを伸ばし、怪物を捕縛する。
その瞬間、こいしの視界では怪物の姿が見る見るうちに消滅し、一人の黒髪に赤青の翼を持った少女に変わっていた。
こいし(ほほう…やっぱぬえか…)
ぐんぐんと、こいしの好奇心が二人に惹かれていく。
先ほどまで怪物だった少女───ぬえは、涙目だった。
ぬえ「うう…どうして私の正体不明の力が…」
デデモス「正体…」
ゴブリット「不明?」
ぬえ「くそー…今に見てろよ、必ず報復を…っていうかこれ外せー!!」
デデモス「いや、そんなこと言われても」
ゴブリット「いきなり知らない女の子に攻撃しかけられたこっちの尊厳とかな」
ぬえ「ええ!?最初から見破られてたの!?」
デデモス「何の話だ?」
ゴブリット「さあ…」
ぬえ「ど、どういうこと…!?」
こいし(……助けてあげよーかなーでもあの娘に貸しとか作りたくないなー)
ぬえ「こいしー!!いるのは分かってるぞ助けろー!!」
こいし「ちょっ!?」
突然ぬえに助けを求められたこいし。ギョッとして顔を上げると、二人もこちらに気付いたようだった。
ゴブリット「なんだお前は!?」
デデモス「この娘の仲間か?」
こいし「あー…私は通りすがりの…って、あれ?」
こいしはそこまで言いかけて、ようやく気付いた。
こいし「私のこと認識できてるの…?」
ゴブリット「目の前にいるだろう」
デデモス「この小娘といいお前といい、変な奴らばかりだな」
こいし「ありゃま。そりゃ驚いた」
ぬえ「いいから助けろー!!」
こいし「あー…その残念な娘は実は鵺っていう妖怪でね、本人は怪物に姿を変えて驚かしてるつもりだったんよ。それが彼女の生き甲斐だから責めないであげてね?」
ゴブリット「…何かよく分からんが」
デデモス「…まあ、いいか」
ぬえ「ぅわっ!?」
デデモスがクローを回収し、解放されたぬえがしりもちをついて地面に落ちる。
こいし「で、貴方たちはこんなところで何してるの?」
こいしは何気なく尋ねたつもりだったが、二人の表情が───といってもロボットの彼らに表情などないが、少し影を落とす。
デデモス「いや…それが…」
ゴブリット「俺たちにも分からない。気付いたらここにいた」
こいし「へぇー。じゃ、きっと俗に言う外来人ってやつだね」
ゴブリット「外来人?」
ぬえ「ここじゃ何らかの理由で外の世界から来た奴のことをそう呼ぶんだよ」
すっかり持ち直したらしいぬえがこいしの代わりに答える。
ぬえは自分の言葉に困惑する二人を改めて見て、自分も見るからに変な奴らに喧嘩を売ったもんだと少しブルーになった。
デデモス「でも俺たち確か…こう…」
ゴブリット「死んだはずだよな…二人揃って…」
こいし「奇跡的に生きてたんじゃない?」
ぬえ「奇跡て…」
こいし「行く当てないなら地霊殿に来れば?私は歓迎するよー」
ゴブリット「へ…?」
ぬえ「お、おい、いいのか!?」
こいし「じゃあ命蓮寺にする?」
ぬえ「嫌だよ!いや、そうじゃなくて…」
ゴブリット「…こんな落ちこぼれの俺たちでも居場所があるなら……」
デデモス「是非とも…!」
こいし「けってーい!んじゃ、早く行こーぜー」
ぬえ「いいのかなー…」
こいし「ぬえー置いてくぞー」
ぬえ「ええ!?私も行くの!? …し、仕方ないな…」
頭をボリボリ、と掻きながら三人に続くぬえ。
こうして、ロボットと妖怪の奇妙なチームが結成された。この出会いが後に幻想郷を脅かす───とか、しないとか。
~~~~~
カイト「………」
蔵間カイトは後悔していた。
あの時無理矢理にでも星を振り切って、適当な店で朝食を済ませて、神社に戻っていればと。
カイト「………」
目の前で起きた惨状は、カイトに改めて幻想郷の人妖の恐ろしさを思い知らさせた。
カイト「何だこれは…」
命蓮寺。
人間の里付近に建てられたお寺である。元々は飛倉だったり聖輦船という宝船になったりしたそうな。
カイトの本来の目的であった空腹は満たされた。お寺の連中も、事情を知ったら暖かく迎えてくれた。そこまではよかった。
食事を終えて、お暇しようとカイトが立ち上がったその直後、命蓮寺に火炎弾がぶち込まれた。
咄嗟に白蓮が超人的なスピードで打ち返し事なきを得たが、奇襲を仕掛けてきた少女───物部布都一派と壮絶な戦闘が始まってしまったのだ。
超次元的な戦いを繰り広げる白蓮と布都の流れ弾を、寺を守らんと必死に弾く命蓮寺の面々。カイトもそれに付き合わされた。
だがさばききれなかった弾幕に襲われダウン。現在、縁側で大の字である。
青娥「生きてる~?」
カイト「…何とか」
物部布都一派の一人、青い髪の女性、霍青娥が心配そうにカイトの顔を覗き込む。
「心配そうに」と言ったが、それは口調の話で、その表情は実に愉快そうだった。
青娥「ごめんなさいね、奇襲仕掛けるつもりなんてなかったのよ。本当は別の用事があったのだけど、あの娘一人でヒートアップしちゃって」
カイト(胡散臭い…)
青娥「それよりも貴方、頭にゴミが付いていてよ」
カイト「………」
青娥「今取り除いて…」
カイト「待て。なんだその札は」
青娥「いいからいいから」
カイト「よくない!!」
ガバッ、と勢いよく起き上がり、悲鳴を上げる肉体に苦痛を漏らしてまた倒れる。
カイトは自身に迫る絶体絶命のピンチを何とかして乗りきろうともがき続けた。
一方で白蓮と布都の戦いを止めさせようと呼び掛け続けるのは雲居一輪と村紗水蜜である。
一輪「このッ…もういいだろ道教娘!!」
村紗「聖ーッ!!もうやめろーッ!!」
しかし二人の声は届かない。ひっそりとかつての信仰合戦を思い出していた二人。
よもやこのタイミングでその再来を味わうことになろうとは思ってもいなかった。
星と名目上の部下・ナズーリンも、流れ弾をあしらいつつ制止の声をかけるが、これも意味をなさない。
星「ど、どうしましょう!?どうしましょうナズーリン!!」
ナズーリン「…もう私の手には負えない事態になってるね」
星「カイトさーん!!ネバーギブアッ───」
縁側の恩人を助け起こそうと振り返った星が見たのは、謎のお札を貼り付けようとする青娥の腕を痛みに耐えながら必死に押さえつけるカイトの姿だった。
星「カイトさぁーん!?」
青娥「ず、ずいぶんと力が余ってるのね…?」
カイト「こんなところで死んでたまるか…」
青娥「人聞きが悪いわ。私はそんなつもりじゃ…」
カイト「この札は何だ…!?」
星「青娥さん!!」
青娥「もう…仕方ないわねぇ」
カイト「どの口が…ガフッ…」
星「カイトさぁぁぁん!?」
青娥の魔の手からは逃れたものの、遂に限界を迎えたカイトはぱたり、と気絶。
星の絶叫。そして、相変わらずの外野。
命蓮寺は過去最高のカオス期を迎えようとしていた。
カイト「………」
どれ程の時間が経ったのか。ふと目を覚ましたカイトは命蓮寺の畳の上、布団の中。
障子を隔てた向こう側の空は真っ暗だった。
カイト(…傷が治っている)
溜まりに溜まったダメージはすっかり全快していた。
伸びをしてみてもちょっとストレッチをしてみても、どこも痛まない。
カイト「………」
これ以上の長居は無用か、とカイトは枕元に丁寧に畳まれていた服に着替え、障子を開く。
夜明けまで待っていたらまたあの騒動に巻き込まれるかもしれない。その一心がカイトを行動に移させた。
命蓮寺は静まり返っている。おそらく皆、既に寝床に着いているのだろう。
カイト「世話になったな…」
一応、そう口に出して命蓮寺の境内に降りる。
人間が夜道を、それも一人で歩くのは危険だというが、カイトはそんなものに屈する人間ではない。
カイト「………」
境内を歩く足を一度だけ止め、振り返る。
もう関わり合いになることはない、というか関わりたくない。そう思っているはずなのに何故だか後ろ髪を引かれた。
そして前を向き直り、その足を再び踏み出したその瞬間。
???「うらめしやぁぁぁーーーッ!!」
カイト「ッ!?!!!??!?」
古典的台詞と絶叫。目の前で左右に揺れる唐傘お化け。
いつものカイトなら鼻で笑って一蹴するその児戯が、今の精神状態の彼にはクリティカルヒットした。
一輪「な、何の騒ぎ!?」
村紗「敵襲かッ!?」
騒ぎを聞きつけた村紗と一輪が命蓮寺から飛び出してくる。
彼女たちが駆けつけた時にはカイトは地に両手をついて震えていた。
???「あの…ご、ごめんなさい…」
カイト「何も言うな…お前は悪くない…」
???「ううう…ごめんなさい…よく分からないけどごめんなさい…」
夜更けの境内に人妖だかり。
命蓮寺を発とうとしたカイトを驚かせ、彼の計画をぶち壊した張本人・多々良小傘は、心底申し訳なさそうに何度も頭を下げる。
村紗「許してやってよ。この娘、人を驚かすのがアイデンティティーの妖怪だから」
カイト「ぁぁ…」
小傘「私ってどうしてこうも間が悪いのかな…」
一輪「人を驚かす妖怪が間が悪いとか言ってちゃ駄目だと思う」
村紗「ところでカイト」
カイト「………」
一輪「何か…何…何だ?この表情…」
カイトの表情は諦めとか絶望とか達観とか、色々入り混じって何ともいえない絶妙なものになっていた。
一輪がその表情を形容する言葉を探るが見当たらず、結局諦めた。
小傘「あの、カイト、さん? …」
カイト「………」
村紗「しゃきっとしろよー」
カイト「…何かもうどうでもよくなってきた」
一輪「まずいわね。このままじゃ生を放棄しかねない」
小傘「そんなに!?」
村紗「小傘。原因は(多分)お前なんだから気付けの一喝でもふっかけてやれ」
小傘「わ、私が!?」
カイト「………ザーック…ペコー…ん?ペコとは一体…うごごご…」
村紗「早く!!帰ってこれなくなる!!」
小傘「わ、わかった!!」
小傘がカイトの眼前に座り込む。
すう、と息を吸い込んで、大喝。
小傘「す、すっごくいい驚き方だった!!私もビックリしちゃった!!」
カイト「───!!」
カイトが白目を向いてひっくり返った。
小傘の一喝は気付けどころかトドメの一撃になってしまったようだ。
一輪「ちょ、何してんの!?」
小傘「ええ!?駄目だった!?」
村紗「カイトォー!!」
???「カイトォー!!」
カイト「………」
一輪「これはもう駄目かもしれない…」
村紗「って、何で響子ちゃんが!?」
響子「こんばんは!!」
いつの間にか輪に加わっていたのは、犬のような獣耳と小さな尻尾をぴこぴこ動かして弾けるような笑顔を向ける山彦少女・幽谷響子である。
命蓮寺で修行中だが時折抜け出しては「鳥獣伎楽」なるユニットでストレスを発散させているらしい。恐らく、今はその帰路だったのだろう。
一輪「また抜け出したね、響子」
響子「あの、お客さんみたいです」
村紗「お客さん?こんな時間にそんなわけ───」
シュンッ!!
風を切る音と共に、咄嗟に飛び退いた村紗たちのいた場所に茶色の鱗が突き刺さる。
その攻撃の主───言うまでもなく、怪人態のガラクが命蓮寺の門前で、夜影で隠された体を腰の下あたりまで晒していた。
カイト「…!!」
響子「きゃあっ!?」
村紗「な、何だお前!?妖怪か…!?」
小傘「何か、違う気がする…でも、この感じ…どこかで…」
一輪「いきなり攻撃してきて、一体どういうつもりだ!?」
ガラク「……ちぃーっと、な?」
この緊急事態ではさすがに寝転がっているわけにもいかず、カイトは起き上がる。
歩み出たガラクの醜悪な全貌が明らかになった瞬間、小傘の血の気がサッと引いた。
小傘「あ、あいつ…!!」
一輪「小傘、どうしたの!?」
ガラク「あん?お前…どこかで会ったかぁ?」
小傘「わ、私…この前あいつに襲われて…それで、私が持ってた緑色のボールを奪っていって…」
カイト「何?」
ガラク「あー…あん時の妖怪小娘か…ま、思い出したところでどうでもいいことだがなぁ。それよりも……今回はお前に用が会って来たんだ。仮面ライダーバロン」
カイトが小傘たちを下がらせ、ガラクと対峙する。
戦極ドライバーを装着し、戦闘態勢を整えた上でガラクに問う。
カイト「俺に何の用だ?それもこんな時間に?」
ガラク「ま、まずは自己紹介。俺はガラクだ、よろしくなぁ。で、お前に見せたいものがあるんだと」
カイト「他人事だな」
ガラク「そりゃそうよ。俺ぁ別に来たくてここに来たわけじゃねえ」
カイト「何を言っているんだお前は?」
ガラク「まあ今に分かるっての。んじゃ、お二人さん。後はよろしく」
そう言ってガラクが後方へ下がり、代わりに暗がりに隠れていた二つの影が前に歩み出た。
その姿は、あのロボット───メタルダー。そしてもう一つの影は───
カイト「……コウタ!?」
コウタ「………」
生気がまるで感じられないコウタの姿にカイトは狼狽する。
メタルダーは頭部に、コウタは首筋に茶色い鱗が突き刺さっていた。
鱗はガラクのもので、恐らくそれで支配されているのだろう。カイトは瞬時に理解する。
カイト「やる気か…コイツら…」
《バナナ!》
小傘「か、カイトさん…?」
カイト「…下がっていろ。変身」
《ロック・オン!》
《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》
小傘「か、変わった!?」
村紗「そ、それが星の話してた…」
一輪「仮面、ライダー…?」
バロンに変身したカイトに、一同が動揺を見せる。
だがその意識もすぐ、こちらへ向かってきたメタルダーと、コウタが変身した鎧武に向いた。
村紗「ね、ねえカイト。あいつら何なの…?ただの知り合い、って関係じゃないよね…?」
バロン「…お前らは避難しろ。あと、寺で寝てる連中を起こさないようにしてろ」
村紗「う…わ、分かったよ。もう起きてたらごめん…とにかく、何かよく分からないけど任せた!!」
響子「あ、あの!?私のせいでしょうか!?」
一輪「いや、響子は悪くない。いいからアンタも行くよ!!」
響子「は、はいっ!!」
小傘「置いてかないでぇー!!置き傘は嫌ー!!」
バロンは小傘たち四人が命蓮寺へ戻っていくのを横目で見届けると、目前まで迫っていたメタルダーと鎧武の攻撃をバナスピアーで受け止める。
バロン(あの鱗を引き抜けば何とかなるか…?だが二対一で分が悪い。あのガラクとかいう奴も、今は外野にいるが何をしてくるか分からない…)
ガラク「鱗なら引き抜いても無駄だぜ。支配の効果は俺が死ぬまで続くからな。ま…ロボット君にはその効果がないようだが」
バロン「…それをわざわざ教えるとは、ずいぶんと余裕だな。後悔するなよ!!」
バロンは振るったバナスピアーで容赦なく二人の傀儡を打ち払い、ガラクへ突撃する。だが、鎧武が無双セイバーから放った銃弾が無防備な背中に撃ち込まれた。
怯んだところへガラクの鞭が伸びる。
ガラク「こういうの何て言うんだっけなぁ?“出鼻ナ”を挫かれる、か?」
バロン「………は?」
ガラク「悪かった。今のはないな、うん」
バロン「…分かればいい」
バナスピアーと鞭を打ち合いながらの会話である。
バロンはガラクをとにかく押して傀儡と化した二人からできる限り遠ざけようとするが、強豪二人相手にそうそう上手くいくはずもなかった。
すぐに追いつかれて、三対一の劣勢に追い込まれる。
メタルダー「………」
鎧武「………」
バロン「くッ…コウタ!!目を覚ませ!!俺が分からないのか!!」
ガラク「無駄よ、無駄。オメェをぶちのめしたら、すぐお仲間にしてやるからよ」
バロン「ふざけるなッ…!!」
《カモン!バナナスパーキング!》
ガラク「うおッ…!?」
バナスピアーを地面に突き刺し、足元から大量のバナナ型エネルギーを出現させる。
地中から不規則的に突き出してくるバナナに対応しきれず、ガラクと鎧武が吹っ飛ばされた。
バロン「よし、そこ───グァァッ!?」
メタルダー「………」
メタルダーがバナナを回避していたことに気付けなかったバロン。
完全な意識外から放たれた《Gキック》が直撃し、大きく吹っ飛ばされる。
バロン「がッ…く…な、なんてパワーだ…」
ガラク「ふー、助かった…やれば出来るじゃねえか、オイ」
メタルダー「………」
治ったばかりの体に再び刻まれていく傷。
先ほど受けた一撃は、バロンの戦意を削ぎ落とす程の威力であった。
バロン(やはり分が悪い…だが、俺は…!!)
バロン「俺は、決して屈しない!!」
ガラク「おう…?」
バロン「お前の企みは知らんが…すべて食い止めて、俺が勝つ!!」
ガラク「やってみせろ!!」
ガラクが鱗をマシンガンの如く射ち出し、メタルダーと鎧武がその後に続く。
バロンは飛び退きつつローズアタッカーを展開させ、三体の周囲を旋回する。
バロン(朝に余計な戦闘を吹っ掛けられたせいで、スイカはまだ使えない…ならば…)
バロン「コウタ…お前のロックシードを借りるぞ!!」
バロンがアクセルを踏んで急接近し、振りかざされた鎧武の大橙丸を躱すと同時にバナスピアーで反撃。同時に鎧武の腰のホルダーに下がっていたロックシードを奪い取る。
バロン「はっ!!」
《イチゴ!》
《ロック・オン!》
《カモンッ!イチゴアームズ!シュシュッと スパーク!》
ローズアタッカーに乗ったまま、イチゴアームズにチェンジする。
撹乱を続けつつ、イチゴクナイを投擲。メタルダーと鎧武は正確に撃ち落としていくが、鱗を放ち続けるガラクは対応できず直撃を受けた。
ガラク「しゃらくせぇッ!!」
バロン「勝負だッ!!」
《カモン!イチゴスパーキング!》
ガラクの鱗マシンガンと、バロンの《イチゴスパーキング》によるクナイ型エネルギーの波状攻撃が衝突する。
つばぜり合いの末に《イチゴスパーキング》が打ち勝ち、クナイの雨がガラクを貫く。大爆発がガラクを、近くにいた鎧武とメタルダーを巻き込んで吹っ飛ばした。
ガラク「グウウアァァッ…!!」
バロン「ハァ、ハァ…」
ガラク「…チィッ、こんなハズじゃあなかったんだがな…」
バロン「お前の負けだ…!!」
ガラク「あぁ?何言ってんだぁ?勝負はこれからだろうがッ!!」
バロン「…ッ!!」
ガラクが雄叫びを上げる。あの攻撃を受けていながら、まだ余力を残していた。
ガラク「オイッオメェらぁッ!!死ぬ気でかかれやぁぁッ!!」
鎧武「………」
メタルダー「………」
ガラクの一声で鎧武とメタルダーが起き上がり、バロンに向き直る。
まだ終わっていない。バナナアームズに戻ったバロンがバナスピアーを構えた。
その、直後。
ドォンッ!!
爆音一つ。
急襲した光弾が鎧武に直撃し、吹っ飛ばす。
唖然とするバロンの隣に、紫と金のグラデーションヘアの女性───聖白蓮が並び立った。
白蓮「なるほど。そちらの鎧武者には私の攻撃でも通じるみたいですね」
バロン「お、お前…何故ここに…!?」
白蓮「貴方は恩人ですよ?相手が相手なので、微力となりますが…私も戦います」
バロン「…その意志は覆りそうにないな。分かった……だが危なくなったらすぐに退避しろ」
白蓮「貴方がそうならないことだけを祈っていますよ」
バロン「言ってくれる…」
ガラク「何だぁ?あん時の尼さんまで出てきやがって…」
白蓮「この間はお世話になりましたね。そのお返しを、今ここでさせてもらいます」
ガラク「ハッ…オメェの攻撃なんぞ俺らには通用しねえんだよ!!オメェに何が───」
ヒュンッ。
そんな風切り音と共に、白蓮は一瞬でガラクとの距離を詰め、掌底を打ち込んでいた。
本来なら幻想郷の不思議な力を一切受け付けない怪人を、一瞬で遥か彼方へ吹き飛ばしてしまった。
バロン「………」
白蓮「さあ、次は貴方たちの番です」
さすがの迫力に気圧されたか、メタルダーと鎧武が後ずさりする。
狙いを鎧武に定め、次の一撃を打ち込もうとした白蓮を、バロンが引き止めた。
バロン「待て、そいつは敵じゃない。操られているだけで、俺の仲間だ」
白蓮「そうだったんですか……では、あちらの奇っ怪な者は」
バロン「知らん。だが、あいつも操られているようだ。攻撃しない方がいい」
白蓮「…では、どうするのですか?」
バロン「それは…」
バロンが答えを出すよりも早く、突然開いたホールがメタルダーと鎧武を回収して消滅した。
恐らく立ち直ったガラクが撤退を決断したのだろう。
白蓮「……一応は、一件落着ですかね」
バロン「………」
気圧されたのはあの二人だけではない。バロンも少しだけ、白蓮のあの迫力を恐れていた。
とにかく、危機は去った。バロンは変身を解除する。それとほぼ同時に、小傘たちが駆け寄ってきた。
村紗「聖、カイト!!大丈夫か!?」
一輪「奴ら、倒したの?」
カイト「…逃げられた。次こそ倒す」
小傘「あの二人は…?」
白蓮「操られているだけだそうです。あのガラクという者を倒せば元に戻るのでしょう」
カイト「話が早くて助かるな…」
白蓮「さて、色々話したいことはあるでしょうけど、全部夜が明けてからにしましょう」
響子「しましょー!」
白蓮「貴女へのお説教もね」
響子「うぐっ…」
カイト「……───」
ここ最近の無理が祟ったか。
限界を迎えたカイトは、境内の冷たい石畳で気を失うように深い眠りに就いた。
~~~~~
紅魔館。
ネロス帝国の残党に占拠された悪魔の住処。
その一室、大図書館にネロスの残党と、紅魔館の住人たちの姿はあった。
サンダー「しっかし、こうも簡単に乗っ取れるとはな」
ロコア「悪魔の名が廃るというものだ」
ラステルガ「これからどうしたものか…」
レミリア「………」
三体の異形が崩した本棚に座り込んで話し合う中、紅魔館の主、レミリア・スカーレットはただ黙り込んでいた。
自慢のパワーでも引きちぎることができない正体不明の縄で縛られていようとも、己の能力が彼らに通用しなくとも。
ただ、強い意志だけは瞳に残して、彼らを睨み続ける。
隣にはメイド長の十六夜咲夜、古い友人でこの大図書館の主パチュリー・ノーレッジとその使い魔である小悪魔の姿。
皆、異常に丈夫な縄で縛られている。あらゆる手を尽くしてもこの縄をどうにかすることはできなかった。
咲夜「お嬢様…やはり、ここは偶然外出中だった妹様に運命を託すしか…」
レミリア「………」
パチュリー「『私の運命はそう安くないわよ。本来ならこんな縄とっくに解いて、奴らなんてボッコボコのぎったんぎたんなんだから』って言いたいのね?」
レミリア「………」
小悪魔「パチュリー様、本当ですか…?」
パチュリー「レミィと私の付き合いよ。黙っていても何が言いたいのかくらい、眼を見れば分かるわ」
小悪魔「さすがパチュリー様!!」
小悪魔がキラキラと尊敬の眼差しをパチュリーに向ける。
だが、レミリアが静かに首を横に振ると、がん、とショックを受けた表情になった。
パチュリー「そういう時もあるわ」
小悪魔「えぇっ!?」
サンダー「うっせぇぞコラ!!」
小悪魔「ひぃっ!?」
咲夜「…怒鳴らないでくださいまし」
ロコア「そうだぞ、サンダー。皆淑女なのだ。貴様のような輩とは本来無縁のな」
サンダー「オメェなぁ…ったく、占拠したはいいがこうやかましい女がいたんじゃたまんねーぜ」
ロコア「一番やかましいのは貴様だサンダー」
ラステルガ「うむ」
サンダー「…わーったよ、少し黙るよ…」
それ以降、誰もが口を閉ざし、沈黙だけが流れる。
レミリアは相変わらずラステルガたちを睨み続け、咲夜は“妹様”の身を案じ。
パチュリーは暇つぶしとばかりに小悪魔をイジり続け。
門番少女、紅美鈴は図書館に連れ込むのを忘れられていた。
白蓮さんの肉体強化で怪人がピンチ。そういう理屈です。
そんなことより、ようやく大好きなみなみっちゃんを出せて、僕満足モード。
重要な役どころを与えたいところですがキャラ的に難しいのよね…
一輪さんは星蓮船Ver.と心綺楼Ver.どっちにしようか迷いましたが、今話を書いてた時は心綺楼モードだったので心綺楼一輪になりました。
まあ描写なんてしてないけどな!