破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

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もうほんとシフトカーが可愛すぎておかしくなりそうです。
今度の休日はソーラーとおでかけかな…




第二十二話 魔神再臨

 

 

音楽ロボット・ラプソディには連れ子がいた。連れ子と言っても、ラプソディもその子もロボットであるため、複雑な家庭環境だとかそういう話は絡んでこない。

自分と同じく機械の体を持った少女。自分と同じく、一人の戦士に心まで救われた少女。その名を夢といった。

 

かつては二人旅だった。

居場所のなくなった遊園地を後にし、あてのない旅路の道連れ。決して楽な道のりではなかったが、それでも二人は艱難辛苦に立ち止まることはなかった。ロボットの身にも沁みるほどの質素な旅だった。

 

そんなある日、二人はネロス帝国の残党による急襲を受けた。

戦う力など持っていない二人。遁走の果て、夢は青いロボットの巨腕で粉砕されてしまった。

今際の際、旅の相棒に想いと激励を残した夢の姿は、ラプソディのプログラムに焼き付けられている。

 

 

ラプソディ「………」

 

 

一人旅になった。

外套に身を包んでいても隠しきれないその姿は、人を恐れさせてしまう。夢がいなくなってしまったことも大きかった。

自分が持つ唯一の武器であるバイオリンは、そんな人々との和解に大いに役立ってくれた。それでも、自分に心から素直な感情を向けてくれたのは子供たちだけだった。

機械仕掛けの心が少しずつ錆び荒んでいくのが自分でもよく分かった。

 

それからどれ程の時間が経ったのか。

ラプソディは辿り着いた霧が立ちこめる湖で、金髪黒服の少女と出会う。

 

少女の名はルナサ・プリズムリバー。

 

彼女との出会いは、希望を失いかけていたラプソディに二度目の変革をもたらした。

そして、ラプソディは己が既に“忘れ去られた存在”となっていたことを知ることとなる。

 

 

 

 

 

音楽ロボット・ラプソディの鋼の心臓が踊っていた。

人ならざる者が珍しくない世界。辿り着いた幻想郷は、誰も何も、自分を一切拒まなかった。だからこそ、夢の無念さを一層痛烈に感じた。夢の遺志は彼の中で生き続けている。

 

幸せな日常。ルナサ・プリズムリバーと、その姉妹たち。騒霊のプリズムリバー三姉妹とともに過ごす日々は、彼に希望を取り戻させた。

湖での合奏は毎日の日課。最近は彼女たちのライブにも出演するようになった。

 

今日も今日とて大合奏。霧の湖に音楽ロボットと騒霊三姉妹の音色が走る。

奏でられる旋律に合わせて、人魚が湖上を飛び跳ねた。

 

 

 

───向こうが、何やら騒がしい。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

たっぷりと休息をとった士たちは、朝日を迎えるなり博麗神社を出発した。士、海東、コウタ、霊夢、ルーミア、スプリンガーの五人と一匹が目的地の霧の湖に到着したのは、昼前の頃だった。

ちなみに紫は霊夢が一番に目を覚ました時には既にその姿はなく、文は出発前に士の頼みを受けカイトを探しに飛び立っていった。

士たちからしたらカイトは立派な行方不明者だが、幻想郷に来てからはいつも誰かいないのが当たり前のことになっていたので、誰も心配なんてしていない。

霧の湖は、文字通り霧が立ちこめる若干視界の悪い湖だ。遠くの方から心地よい音楽がかすかに聞こえてくる。

 

 

士「こんな所でF.o.Dは何をしようっていうんだ…?」

 

海東「だから、魔神を復活させるんだよ」

 

士「いや、どうやって魔神なんて大層なものを復活させようとしてるのか、って意味だ」

 

海東「ガドマは本来なら大地を吸収してその力を取り戻す。だが連中は何か別の方法を見つけたみたいだね」

 

霊夢「…ねえ、大樹さん」

 

海東「何?」

 

霊夢「貴方、湖に沈められた中枢を回収しようとは思わなかったの?」

 

海東「ああ、それならやってみたんだけど…水中に手強い番人がいてね。とても手が出せなかった」

 

ルーミア「負けたんだー」

 

海東「違うね」

 

コウタ「手強い番人って、今もいるのか…?」

 

海東「調べてきたらどうだい?」

 

コウタ「えっ…いや、俺…?」

 

海東「早くしたまえ」

 

 

海東はそれ以上は何も言わず、湖を調べ始める。コウタは海東に流されるまま、鎧武に変身して水中に飛び込んだ。

霊夢たちも周囲に怪しいものがないか調べる中、士は湖を見つめたまま立ちすくんでいるスプリンガーに気付いた。

 

 

士「どうしたワン公?」

 

スプリンガー「……流星のことだ」

 

士「ま、そうだろうな」

 

スプリンガー「あいつが今もあの気色悪いヘビ男にいいように利用されてると思うと……」

 

士「…あのメタルダーって奴はどういう男なんだ?」

 

スプリンガー「語りきれないぜ。あいつが背負ってきたものは」

 

士「そうか…ますます興味がわいてきたな。次に現れた時には───」

 

 

ザバァァァンッ!!

 

 

鎧武「うおおおおおぉぉッ!?」

 

 

士がそこまで言いかけたところで突然湖から水柱が上がり、打ち上げられた鎧武が陸へ叩きつけられた。

続いて飛び出してきた影が仰向けに倒れる鎧武の上に着地する。

F.o.Dの上級怪人、スミィであった。イカの姿をした怪人態・スキッドフォッダーに姿を変えている。

スミィは鎧武を蹴っ飛ばすと、いかにも気だるそうに首を鳴らす。

 

 

スミィ「ふー…ったく、面倒くせぇなぁ…」

 

鎧武「おごご…」

 

ルーミア「こ、コウタ、大丈夫…?」

 

スミィ「ったくよぉ、サボ…休憩中に来やがって。もうすぐアレを拝めるってんで油断したかなぁー」

 

 

スミィの漏らした愚痴を聞き取った士と海東は顔を見合わせる。

 

 

士「アレ、か」

 

海東「間違いなくガドマのことだろうね」

 

霊夢「じゃ、あいつ倒して中枢を回収すれば解決かしら」

 

スミィ「あーん?馬鹿言うなよ、私は強ぇぞ?返り討ちだぜオイ!!」

 

スプリンガー「……凶暴な女だな」

 

士「海東、コウタ、いくぞ。何としても中枢を回収する。霊夢たちは下がってろ!!」

 

 

その言葉に霊夢とスプリンガーが頷き、ルーミアは鎧武を助け起こしてから退避した。

 

 

海東「三対一だ。一気に決められるかな」

 

鎧武「おおお…みぞおちがぁぁ…」

 

士「………」

 

海東「…二対一、かな」

 

鎧武「だだだ、大丈夫だぜこれくらい…」

 

士「…お前も少し下がってろ」

 

 

口ではそんなことを言いつつも苦しそうな鎧武を、士は無理矢理後ろに下がらせる。

しりもちをついた鎧武は力なく頭を下げた。

 

 

スミィ「はん、腰抜けめ」

 

士「そうか?あいつは結構やるぜ?一人でもお前程度には勝つさ」

 

スミィ「ヘッ、そうかよ。ま、何でもいいや。今頃来ても手遅れだっつの。すぐにボスたちが来る。それまでアンタらで少し遊ばせてもらうぜ」

 

海東「その前にすべて終わるかもしれないけどね。変身」

 

《KAMEN RIDE...》

《DIEND》

 

士「変身!」

 

《KAMEN RIDE...》

《DECADE》

 

 

口火を切ったのはスミィだった。触手状の両腕を振るって生み出した水の刃が地を走り二人を襲う。

二人は直線的なそれを横に飛びのいて躱し、標的を外した水の刃は段々と勢いを失い、地面にその鋭利さを体現する傷跡を残して消滅した。

 

 

ディエンド「さっきも言ったけど、一気に決めさせてもらうよ」

 

《KAMEN RIDE...》

《RIOTROOPERS》

 

ディケイド「うおッ!!」

 

 

召喚された三体のライオトルーパーが、スミィと斬り合っていたディケイドを押し退けてアクセレイガンを振り回す。

三方向から振り下ろされたアクセレイガンを伸縮自在の触手で器用に防ぐと、触手から電撃を放出してライオトルーパーを瞬殺してしまった。

 

 

スミィ「雑兵が何匹たかろうが同じなんだよ!!」

 

ディエンド「まいった…」

 

ディケイド「もっといいヤツないのか!?」

 

ディエンド「…それじゃ、そろそろとっておきを使おうかな」

 

《KAMEN RIDE...》

《INVISIBLE》

 

スミィ「消えた!?」

 

ディケイド「か、海東!?」

 

 

透明化したディエンドはスミィに銃撃を数発打ち込むと、「後はよろしく」と残して何処かへ消えてしまった。

 

 

ディケイド「あ、あいつ…本当に自分勝手すぎる…!!」

 

スミィ「んだよ、アイツ怖気づいたのかぁ?ま、何でもいいがよ。オラ、アンタ一人でもかかってきなぁ!!」

 

ディケイド「くそ…あとで覚えてろよ海東!!」

 

《KUUGA》《AGITO》《RYUKI》《FAIZ》《BLADE》《HIBIKI》《KABUTO》《DEN-O》《KIVA》

《W》《OOO》《FOURZE》《WIZARD》《GAIM》

《FINAL KAMEN RIDE...》

《DECADE》

 

スミィ「何だその姿は…?」

 

ディケイド「これで三度目だ。一気に決めさせてもらう!!」

 

 

ディケイドはスミィの放つ水刃を躱しながらケータッチを入力していく。

ジェネレーションフォームとなったディケイドは残った一発の水刃をライドブッカーで弾き、スミィへ再び斬りかかる。電撃を警戒し、触手攻撃は受け止めず回避に徹底する。

触手を躱しつつ反撃を加え、スミィが怯んだ隙を見逃さず、ライドブッカーをガンモードに切り替えて至近距離からエネルギー弾を放った。吹っ飛ばされたスミィが湖の浅瀬に落ちる。

 

 

スミィ「グゥッ…」

 

ディケイド「こいつで決める!!」

 

《FOURZE》

《KAMEN RIDE...》

《COSMIC》

 

 

ディケイドの隣に「仮面ライダーフォーゼ コズミックステイツ」が召喚され、続けてカードを装填する動作がシンクロする。

 

 

《FINAL ATTACK RIDE...》

《FO FO FO FOURZE》

 

ディケイド「はあぁぁーッ!!」

 

スミィ「うおッ!?」

 

 

放たれたコズミックエナジーの斬撃《ライダー超銀河フィニッシュ》がスミィに襲いかかる。

スミィは跳躍して攻撃自体は回避したが、爆発に巻き込まれ空高く打ち上げられた。

 

 

スミィ「が、ち、畜生ッ…」

 

ディケイド「なら、もう一度───」

 

 

ディケイドがケータッチに手を伸ばしたその瞬間。

背後から放たれた斬撃エネルギーがディケイドを吹き飛ばした。

 

 

ディケイド「がはッ…」

 

鎧武「士ッ!!」

 

 

ようやく立ち直った鎧武が膝をつくディケイドに駆け寄る。

振り返るとそこには、ホールを背に、振り下ろした大剣を肩に担ぐシシガケ───仮面ライダーエイジの姿があった。

その直後には再び湖に水柱が上がり、ディエンドとガラクが飛び出してくる。ディエンドは逃げたフリをして湖に潜り、ガドマの中枢を奪おうとしていたのだ。だが突然現れたガラクの妨害を受けてこのざまだ。

 

 

ディエンド「くうッ…」

 

ディケイド「か、海東、お前…」

 

ガラク「スミィ、オメェ何してる!?危うく中枢を盗まれるところだったぜ」

 

スミィ「あぁ!?んだよ、畜生ッ…すいやせんでしたねー!!」

 

エイジ「いや、ガドマはもう湖の底で十分に大地を吸収している。盗まれたのならば取り返せばいいだろう」

 

スミィ「はー、さすがボスだぜ」

 

ガラク「チッ、調子のいい奴め…」

 

 

中枢の奪取は失敗した。ディケイド、ディエンド、鎧武はまだ戦う余力はあれど、今この状況でガドマ復活の妨害をするのは不可能だ。

エイジはガラクとスミィを三人に差し向けると、湖の浅瀬に足を踏み入れる。

 

 

ディケイド「ま、待てッ!!」

 

ガラク「させるかよ!!」

 

 

駆け出したディケイドにガラクのムチが炸裂する。

ディケイドを鎧武が助け起こし、ディエンドが銃口を二体のフォッド怪人に向ける。

 

 

ディエンド「ちょっとマズいかな、この状況…」

 

鎧武「何としてでもガドマの復活を阻止するんだ!!」

 

《カチドキ!》

《ロック・オン!》

《ソイヤッ!カチドキアームズ!いざ、出陣!エイエイオー!!》

 

鎧武「はぁぁッ!!」

 

ガラク「おおッ!?」

 

 

鎧武・カチドキアームズが火縄大橙DJ銃を、こちらに背を向けて何やら湖へ闇を送り込んでいるエイジに向ける。

呆気にとられるガラクをスルーして放たれた火炎弾は、エイジに直撃する寸前で、突然開いたホールから飛び出してきた仮面ライダーイクサに相殺された。

攻撃を防ぐなり、イクサは変身を解除してエルの姿に戻る。

 

 

鎧武「なッ…」

 

エル「まったく、貴方たちは油断が過ぎますよ」

 

ガラク「へいへい…」

 

エル「…おや、カイトの姿がありませんね。まあ、今回ばかりはそっちの方がいいんですけど………サリシア」

 

サリシア「……ああ」

 

 

エルに続いてホールから現れた銀髪紅眼の少女・サリシアが、彼女に続いてエイジの元へと向かっていく。

ディケイドたちは三人同時に銃撃を放つが、今度はガラクとスミィ、そしてガラクが呼び出したメタルダーによって防がれた。

 

 

スプリンガー「!! り、流星…!!」

 

ディケイド「…出たな」

 

メタルダー「………」

 

ディエンド「こいつがメタルダーねぇ…」

 

スプリンガー「た、頼む!!流星を…俺の相棒を頼む!!」

 

鎧武「任せとけ!!」

 

 

三人ライダーと二怪人+一ロボットが激突する。

その一方で、湖に闇を注ぎ終えたエイジは、手にした「メモリーメモリ」と「心臓の模型」を掲げる。

 

 

エイジ「頃合いだ…サリシア!!」

 

サリシア「………」

 

エル「サリシア」

 

サリシア「……ああ」

 

ディケイド「な、何をするつもりだ…!?」

 

 

メタルダーたちと刃を交えつつ、エイジらの様子を伺っていたディケイドが見たのは、エルの言葉に頷きをひとつ返し湖を進んでいくサリシアの姿だった。

サリシアが水面が胸のあたりまできたところで足を止め、祈るように両手を組み合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───しかし、何も起こらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイジ「………お?」

 

エル「あの、これは一体…?」

 

ガラク「どうしたぁ…?」

 

ディケイド「…で、その魔神とやらはいつになったら現れるんだ?」

 

エイジ「おかしい…方法は完璧のはずだが…」

 

 

エイジがはて困った、と頭を抑える。湖の中のサリシアも、何が起こったのかと困惑の表情をこちらへ向けていた。

 

 

???「ぷはぁー!」

 

エイジ「…うん?」

 

 

不可解な空気の中、湖から一人の少女が顔を出した。青い髪の少女。霧の湖に住む人魚だった。

彼女はこちらの様子に気付くと、状況を把握できないのか不思議そうに小首を傾げる。

 

 

ルーミア「わ、わかさぎ姫!?」

 

 

こちら側で最初に反応を示したのはルーミアだった。どうやらあの人魚、わかさぎ姫と知り合いらしい。

 

 

わかさぎ姫「あ、ルーミアさん…あの、何ですかこの珍妙な面子は…?」

 

霊夢「に、人魚!!あんた、水中に変なもの沈んでない!?汚らしい十字架みたいなやつ!!」

 

わかさぎ姫「えぇ!?」

 

エル「!?」

 

 

霊夢の言葉にわかさぎ姫はさらに訳が分からない、といった表情になる。

 

 

わかさぎ姫「あの、え、えーっと…もしかして、さっき拾ったこれのことでしょうか…」

 

 

そう言ってわかさぎ姫が掲げたのは、紛れもない───ガドマの中枢であった。

復活寸前で水中を遊泳していたわかさぎ姫に拾われたらしい。中心の赤いコアが点滅しており、今にも復活しそうだ。

 

 

鎧武「それだーッ!!」

 

ルーミア「お手柄姫!!」

 

ディケイド「人魚!!それをこっちに渡せ!!」

 

わかさぎ姫「え、えぇ!?」

 

ディエンド「幻想郷の危機だ!!早く渡したまえ!!」

 

わかさぎ姫「は、はい!!よく分かりませんが!!霊夢さんに任せます!!」

 

エイジ「お前ら、奪い取れ!!」

 

ガラク「へい!!」

 

ディケイド「!! させるかッ!!」

 

 

目をぐるぐる回したわかさぎ姫が中枢を霊夢に向かって投げる。

それをキャッチした霊夢にガラクが襲いかかるが、ディケイドによって阻まれた。同じくして、スミィとメタルダーもディエンドと鎧武に止められる。

 

 

ガラク「チィッ、どけぇッ!!」

 

ディケイド「中枢は俺たちが手に入れた!!諦めろ!!」

 

鎧武「霊夢、頼んだぞ!!」

 

霊夢「ええ、私に任せ───」

 

エイジ「ウオオオオォォォォォァァァッ!!!」

 

霊夢「───ッ!?」

 

 

それはまさに獣の咆哮だった。

エイジの雄叫びは霊夢やディケイド、エルやガラクたちをも怯ませ、その身を竦ませた。

 

 

エイジ「………」

 

霊夢「な、に、これ…」

 

ディケイド「ッ、霊夢!!逃げろ!!」

 

霊夢「へっ…?」

 

 

一瞬で距離を詰められていた。

眼前に迫っていたエイジが振りかざした大剣が霊夢を両断せんと唸りをあげる。だがその一撃は間に割って入ったディケイドによって防がれた。

 

 

ディケイド(お、重いッ…!!)

 

エイジ「こういう茶番は好きではない…どけ!!」

 

 

エイジの左拳が振り抜かれ、ディケイドを殴り飛ばす。

吹っ飛んだディケイドに、再び一瞬で距離を詰めたエイジの大剣による一撃が加えられた。

 

 

鎧武「つか───」

 

 

次の一撃は、鎧武に。

 

 

ディエンド「なッ───」

 

 

最後は、ディエンドに。

目にも止まらぬスピードから放たれたエイジの攻撃が、三人のライダーを一瞬で撃破した。

 

 

ディケイド「が、くそッ…」

 

鎧武「速、すぎる…」

 

エイジ「………」

 

霊夢「…ッ!!」

 

 

目の前でその圧倒的な力を見せつけられても、霊夢は屈しなかった。

ガドマの中枢を握り締め、エイジをきっと睨みつける。

 

 

エイジ「いい眼だ。できればそれを保ったまま死んでくれ」

 

霊夢「……!!」

 

 

エイジの大剣が霊夢を捉えたその瞬間。

両者の間に割って入ったエルが、霊夢の手から中枢を奪い取った。

 

 

霊夢「えっ……?」

 

エイジ「……エル、何の真似だ?」

 

エル「ディケイドたちならともかく…この子は無関係です。殺すことはありません。シシガケ様のその剣も悲しみます」

 

エイジ「……まあ、いいだろう」

 

 

エイジは大剣を下ろすと、エルが差し出したガドマの中枢を奪い取るように受け取り、再び湖へと沈めた。

 

 

ディケイド「ま、マズい…!!」

 

エル「ディケイド」

 

ディケイド「……!?」

 

 

蓄積されたダメージを引きずりつつも立ち上がったディケイドに、歩み寄ってきたエルがそっと耳打ちする。

エルが紡いだその言葉にディケイドは目を丸くさせ、直後に怪訝な表情になるが、エルの真っ直ぐな瞳を見ると無言で頷いた。

 

 

ディケイド「………お前」

 

エル「………」

 

サリシア「…っくしゅん!」

 

エル「…っと。早く始めましょう、シシガケ様」

 

エイジ「ああ…」

 

 

ずっと湖に浸かっていたサリシアのくしゃみが、魔神復活の儀式再開の合図となった。

 

 

ディケイド「…シシガケ!!一つ聞かせろ!!」

 

エイジ「…何だ?」

 

ディケイド「ガドマを蘇らせて、何が目的だ!?」

 

エイジ「目的か。それはこの幻想郷を作り替えることさ。一度滅ぼしてからな」

 

鎧武「なッ…」

 

霊夢「何ですって…!?」

 

エイジ「俺の野望を叶えるためには、この『幻想郷』という世界そのものが必要なんだよ。だが邪魔なものが多すぎる。故に一度滅ぼして、幻想郷という世界の成り立ちを保ったまま、俺の望み通りに作り替える」

 

ディケイド「何だと…!?」

 

霊夢「そんなこと、私がさせない!!」

 

エイジ「お前に何ができる?力無き者が出しゃばるな。助かった命を無駄にするなよ」

 

霊夢「ぐッ…!!」

 

 

悔しいが、自分の力はあの男に通用しない。

霊夢はただ唇を噛み締め、拳を握り締め、エイジの背中を睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───直後、大地が振動する。

 

湖の底から浮上したガドマの中枢がサリシアの眼前で一度制止し、直後には彼女と共に再び上昇、空中で制止する。

 

 

エイジ「今こそ蘇れ!!大地の魔神ガドマよ!!」

 

《MEMORY》

 

 

エイジがメモリーメモリのスイッチを押すと、ガイアウィスパーが鳴り響く。

虚空でサリシアを捕らえるガドマの中枢にメモリーメモリと心臓の模型が吸い寄せられ、それらを取り込んだ中枢が黒い閃光を放つ。

湖を取り巻く霧を吹き飛ばし───遂に、大地の魔神ガドマが君臨した。

 

 

ゴゥーン。ゴゥーン。

 

 

不気味で無機質な鐘の音。

ガドマは湖に足首まで浸かった状態で陸地のディケイドたちを目視する。

 

 

ディケイド「あれが、大地の魔神ガドマ…!!」

 

鎧武「デカすぎる…!!」

 

ガラク「ヘヘッ…ついにこの時が来たなぁ!!」

 

スミィ「やっちまいなぁ、ガドマ!!」

 

 

ガラクたちの声に反応してか、ガドマが黒いエネルギー波《墓射光線》を乱射する。

敵味方見境なしのその攻撃が、ディケイドたちを焼き払った。

 

 

ディケイド「ぐあああぁぁッ!!」

 

ディエンド「うぅッ…!!」

 

ガラク「や、やりすぎだバカ野郎!!」

 

スミィ「なんて暴れ馬だよ…」

 

エイジ「あとはガドマに任せておけばいい。エル、スミィ、退くぞ。ガラク、お前は幻想郷の最期を見届けろ」

 

ガラク「へいへーい」

 

メタルダー「………」

 

 

エイジ、エル、スミィの三人がホールへと消える。

残されたガラクは、こちらに得物を向けるディケイドたちを一瞥し、メタルダーと共に茂みの中へと消えた。

 

 

ルーミア「ね、ねえ!!どうすればいいのこれ!?」

 

霊夢「どうするったって…」

 

ディエンド「僕たちの全力をぶつける。それしか方法はない」

 

鎧武「ああ、そうだな…最後まで…」

 

ディケイド「俺たちの力を信じろ」

 

霊夢「…力になれなくてごめんなさい………頼んだわ、仮面ライダー」

 

ディケイド「…ああ」

 

わかさぎ姫「あ、あの!!助けてください~!!」

 

ルーミア「あっ…そういえば、わかさぎ姫…」

 

鎧武「ルーミア、霊夢、あの子を頼む!!」

 

ルーミア「う、うんっ!!」

 

霊夢「分かったわ!!」

 

わかさぎ姫「す、すみませぇん…」

 

 

わかさぎ姫は霊夢とルーミアに抱えられ、霧の湖を離れていく。スプリンガーもそれに続いた。

残ったディケイド、ディエンド、鎧武が、迫り来るガドマと対峙する。

 

 

ゴゥーン。ゴゥーン。

 

 

人の恐怖心を煽るガドマの鐘の音が、霧の湖を支配した。

 

 

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