破壊者と幻想の道標   作:鉄線攻種

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何日ぶりの更新ですかね(白目)




幕間 出遅れた強者

 

 

ネロス帝国の軍勢は四つに分かれていた。

己を捨ててこそ浮かぶ瀬がある、そう掲げるのは精鋭揃いのヨロイ軍団。

クールな作戦とハードな戦闘で敵を追い詰める鋼の軍勢、戦闘ロボット軍団。

「口八丁手八丁卑怯未練恥知らず」勝つためならば手段を選ばないモンスター軍団。

世界を駆け巡りすべてを破壊する最新兵器、機甲軍団。

 

ゴブリットとデデモスは戦闘ロボット軍団に属していた軽闘士である。

かつての戦いで滅んだはずの我が身がまだ可動していることを不思議に思いながら、古明地こいしという妖怪少女の誘いを受けて地霊殿とやらを目指していた。

道中で吸血鬼フランドール・スカーレットと合流し、一際騒がしくなる。このこいし・フラン・ぬえの三人は、いつも一緒につるんでいる「友達」というものらしい。

ハードコアな歌詞をポップに歌い上げながら先導するこいしとフランの数歩後ろでは、ぬえがやれやれ、といった表情で歩いている。

その数十分後には彼女らの興味は歌から「今のチーム名」に移っていた。

 

 

デデモス「………」

 

ゴブリット「………」

 

こいし「TGクラブ、とかどうかな?」

 

ぬえ「ええ?なんだそのネガティブな名前…もっと前向きなのにしようぜ」

 

フラン「じゃあぬえも案出してよ」

 

ぬえ「じ、ジャック電撃応援団とか…」

 

フラン「強そうだけど」

 

こいし「応援団て」

 

ぬえ「ぐぬぬ…じゃあ今度はフランの番だ!!」

 

フラン「銀河戦隊」

 

ぬえ「弱そう」

 

こいし「使いっ走りみたいな名前だね」

 

フラン「うーん、こういうのって意外と難しいわねー」

 

ゴブリット「何か、俺たち……」

 

デデモス「そっちのけだな……」

 

 

落ちこぼれの自分たちに居場所をくれたこいしには感謝している。だがこの状況はいまいちいただけなかった。

チーム名、というからには自分たちもそれに含まれているのだろうか。正直、そこまで仲良くやっていける自信はない。

 

 

ゴブリット「デデモス。何か俺不安になってきた」

 

デデモス「奇遇だな、俺もだ。本当についていっていいのだろうか…」

 

 

そんなことを話していると、突然こいしが足を止めた。

きょろきょろと周囲を見回し、壁やら地面やらを蹴り、うーんと唸って、また見回す。

 

 

こいし「あれれーおかしいぞー?」

 

フラン「どうしたの?」

 

こいし「地底への入り口がなくなってるんだよ。どーしよー、これじゃ地霊殿に帰れない!!」

 

ぬえ「おい、それって結構な一大事じゃ…」

 

こいし「うー…このままじゃ二人に申し訳ないよ…」

 

 

こいしの言葉に、ゴブリットとデデモスは顔を見合わせる。

長く行動を共にしたことで性格という面がどうしても気にかかってしまっていたが、彼女はちゃんと考えていてくれたのだ。

かつて自分たちが付き従っていた上司を思い出す。

 

その名はクロスランダー。

戦闘ロボット軍団の暴魂だった男。

 

彼は同じく戦闘ロボット軍団のトップガンダーという男を憎み嫌っていた。それは一種の裏切りを受けたことからの嫉妬。

よく面倒を見ていたゴブリットとデデモスの二人がトップガンダーの「余り」から作られたと知ると態度を一変させ、横暴になった。

 

今思い返してみれば、そんなクロスランダーが可哀想だとも思えない。二人はクロスランダーのことが嫌いだった。

当然、恩もある。だが、身勝手で理不尽な扱いを受けてきた事実がそれを霞めていた。

 

 

ゴブリット「デデモス…俺やっぱりこの子についていこうと思う…」

 

デデモス「ああ、俺もそう思っていた…」

 

こいし「? 何の話?」

 

ゴブリット「いや、何でもない」

 

ぬえ「で、これからどうするんだ?」

 

こいし「うーん、入り口がなくなってる理由が気になるけど…入れないんじゃ仕方ないし、とりあえず紅魔館行こう」

 

フラン「え?別にいいけど…地霊殿に帰れなくても大丈夫なの?」

 

こいし「どーともなるでしょ、一時的に閉じてるだけかもしれないし」

 

デデモス「割と適当だな!」

 

 

一行の進路は紅魔館へと変わった。回れ右をして再び歩み出す。

ゴブリットとデデモスの二人も、道中でのチーム名考案に加わっていた。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

ガドマとの激闘から数十分後。

ようやく霧の湖に辿り着いたカイトと文は、ただ呆然と立ち竦んでいた。

 

 

カイト「………」

 

文「あ、あの、カイトさん。もう帰りましょう?皆さん先に帰っちゃっただけですって…」

 

カイト「………」

 

 

文の言葉に、カイトは何も返さない。ただ腕を組み、湖をじっと見据えていた。

 

 

文「あのー、カイトさーん…」

 

カイト「…言っておくが俺は決して拗ねているわけではない」

 

文「えっ」

 

 

カイトの意外な返答に文は目を丸くする。

 

 

カイト「ここまで来て、俺だけ戦いに参戦できなかったのが気に食わないだけだ」

 

文「拗ねてるんじゃないですか。っていうかどんな拗ね方ですかそれ」

 

カイト「何でもいい、俺はここで待つ。待っていれば強い奴が必ずここへ来る」

 

文「確証あるんですか?」

 

カイト「勘だ」

 

 

それっきり再び黙してしまったカイトに文はため息を吐き、座り込む。

生まれてこの方、勘なんてものは霊夢のそれしか信じたことはない。彼女の勘は当たる。

奇妙な嫉妬の仕方をするこの蔵間カイトという男に付き合わされることになった文は、脳内で事の発端を探し出し、少しだけ怨んだ。

 

その、直後だった。

 

 

カイト「………!!」

 

文「!? こ、この気配は…!?」

 

 

圧倒的な、気。振り返った二人の視界に、シシガケとジェネラルシャドウの姿が映った。

 

 

カイト「……大物が来たな」

 

 

カイトがバナナロックシードを構えるのを見て、シシガケは鼻を鳴らす。

 

 

シシガケ「蔵間カイト…姿が見えないと思ったら……そうか、ハブられていたのか」

 

カイト「黙れ。そんな挨拶などいらん」

 

シシガケ「やる気は十分、か。だが今はお前の相手をしているほど暇じゃあないんでな」

 

シャドウ「貴様の相手は俺が務めよう」

 

カイト「邪魔をするな…変身!!」

 

《バナナ!》

《ロック・オン!》

《カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!》

 

 

バロンに変身し、バナスピアーでシャドウを押しのけ、一直線にシシガケへと向かっていく。

だがすぐに背後の殺気を感じ取り、振り返ってバナスピアーを払う。弾き落とされたトランプが地面に散らばった。

 

 

バロン「……チッ」

 

シャドウ「とっとと用を済ませろ、エイジ」

 

シシガケ「そっちも任せたぞ……変身」

 

《エイジ!》

《ロック・オン!》

 

 

そう言ってシシガケは仮面ライダーエイジに変身すると、湖へと向かっていく。

 

 

エイジ「こいつなら調査もしやすそうだ」

 

《X!》

《ロック・オン!》

《Xアームズ!ミスターカイゾーグ!》

 

 

Xアームズになったエイジが湖へと飛び込んだ。

それを見届ける暇もなく、バロンはシャドウの剣を受け止める。

 

 

バロン「貴様はオーバーロードでもF.o.Dらしくもないな…」

 

シャドウ「その通り。我が名はジェネラルシャドウ……調査のついでで悪いが貴様には死んでもらう!!」

 

バロン「そんな理由では俺は殺せないぞ!!」

 

《カモン!バナナオーレ!》

 

シャドウ「ムッ…!?」

 

 

バナナ型オーラを纏ったバナスピアーでシャドウの剣を強引に押し破る。

シャドウは咄嗟に跳び退き、マントを翻してその姿を消した。シャドウがいた場所にバナスピアーが振り下ろされ、地面を轍のように穿った。

 

 

バロン「消えた…?」

 

 

バナスピアーを構え直し、周囲を警戒する。

バロンの背後でトランプが舞った。気付いた文が呼びかけるが、遅い。

 

 

シャドウ「はぁッ!!」

 

バロン「ぐッ!?」

 

 

シャドウ剣がバロンを一撃する。振り向きざまにバナスピアーを振るうが、再び姿を消したシャドウには当たらず空振った。

また一撃を喰らい、バナスピアーを空振り、また喰らい、空振りが繰り返される。

 

 

バロン「くッ…ならば…」

 

《カモン!バナナスパーキング!》

 

バロン「これでどうだッ!!」

 

シャドウ「ッ!!」

 

 

地面にバナスピアーを突き刺し、無数のバナナ型エネルギーを生やす。

広範囲の攻撃は姿を消していたシャドウにも直撃した。

 

 

シャドウ「なかなかやるようだな…ならば次は…」

 

 

シャドウの姿が陽炎のように揺らめいたかと思うと、次の瞬間にはバロンの周囲を五人のシャドウが囲んでいた。

 

 

バロン「今度は分身か…無駄に芸が多いな」

 

シャドウ「お楽しみはこれからだ…トランプショット!」

 

 

五人のシャドウがシンクロした動きで一斉にトランプを構える。

一斉に投げられたそのトランプが逃げ場のないバロンに襲いかかった。

 

 

バロン「フン、こんなもの…」

 

シャドウ「弾け飛べ、ライダー!!」

 

バロン「ッ!?」

 

 

飛来したトランプがシャドウの合図で爆発、バロンを吹っ飛ばした。

吹っ飛ばされた先で再びシャドウの分身に包囲される。

 

 

バロン「………悪いがその技はもう通じないぞ」

 

シャドウ「随分と強気だな?いや、強がりをしているだけか…」

 

バロン「強がりかどうか、試してみるか…?」

 

シャドウ「トランプショット!」

 

 

先程と同様、周囲のシャドウたちが一斉にトランプを投げる。

バロンはそれよりも速く、真っ直ぐに一体のシャドウの眼前まで駆け寄った。

 

 

シャドウ「…ッ!!」

 

バロン「どうした…トランプを爆破したらどうだ…?」

 

シャドウ「な、何故俺が本物だと…」

 

バロン「ただの勘だ!!」

 

《カモン!バナナスカッシュ!》

 

シャドウ「ぐおぉぁぁッ!!」

 

 

至近距離からの《スピアビクトリー》が炸裂しシャドウを吹っ飛ばす。

バロンは張り付いたトランプを倒れ伏すシャドウに投げ返した。

 

 

シャドウ「む、無茶苦茶な奴だ…だが俺の本気はここからだ!!」

 

バロン「………」

 

 

すうさま立ち直ったシャドウは剣を構えバロンと対峙する。

 

 

シャドウ「トランプフェイド」

 

バロン「!!」

 

 

舞い散るトランプの中にシャドウが消える。

 

 

バロン「またそれか…その技は既に破っている!!」

 

 

バロンが戦極ドライバーのカッティングブレードに手を伸ばした直後、突然飛来した巨大トランプがバロンを弾き飛ばした。

突然の襲撃に対応できず、起き上がろうとしたバロンに再び巨大トランプが襲いかかる。休みのない巨大トランプの攻撃にバロンは立ち上がることすらままならなくなり、バナスピアーも取り落としてしまった。反撃もできず巨大トランプに翻弄される。

 

 

バロン「ぐ、うぐぅッ…!!」

 

文「か、カイトさん!!」

 

 

バロンに呼びかける文の視界に、ふと湖から上がっていたエイジの姿が映る。

変身を解除したシシガケのその顔には、怒りとも諦めとも言えるような表情が張り付いてた。

 

 

文「わ、私は私にできる事を…!!」

 

 

意を決した文は自慢のスピードでシシガケに接近する。

風と一体化した文は一瞬でシシガケの腰の戦極ドライバーに収まっていたエイジロックシードを奪い取った。

 

 

シシガケ「………」

 

文「風力ちょっとだけ全開!!」

 

 

シシガケの反撃に若干怯えつつも、突風を巻き起こし、巨大トランプを吹き飛ばす。

巨大トランプがシャドウの姿に戻り、よろめきながら着地した。

 

 

文「カイトさん、お願いします!!」

 

バロン「……無茶をする」

 

 

文が投げ渡したエイジロックシードを受け取ったバロンは、彼女を一瞥し、ロックシードを確認する。

 

 

バロン「……これはどう使うんだ?」

 

 

エイジロックシードは自分たちが使うものと同様、左側面に解錠用のスイッチが備わっていた。普通のものと違うのは右側面にもスイッチがあることだ。

バロンは左のスイッチを押そうとするが、固くて作動しなかった。代わりに右側面のスイッチを押す。

 

 

《オーズ!》

 

バロン「…右のスイッチでアームズを選ぶのか」

 

《ロック・オン!》

《カモン!オーズアームズ!タトバタトバー!》

 

 

頭上のホールから降りてきた「仮面ライダーオーズ」の顔が展開し、バロンに装着される。

オーズアームズとなったバロンの手に長剣「メダジャリバー」が現れた。

 

 

バロン「いくぞ!!」

 

シャドウ「…ッ、トランプフェイド!!」

 

 

シャドウが再び姿を消すが、バロンはお構いなしに、セルメダルを装填したメダジャリバーを振るった。

 

 

《スキャニングチャージ!》

 

バロン「セイヤーッ!!」

 

シャドウ「ぐおぉぉッ!!」

 

 

空間ごと切り裂く《オーズバッシュ》で見えないシャドウを斬りつける。

その一撃は危険を察知し身を引こうとしたシャドウを逃さず斬り捨てた。

 

 

シャドウ「ぐ、ま、まだ終わらん…俺はまだ死なん…ッ!!」

 

 

再びトランプが舞い、シャドウの姿が消える。

バロンは身構えるが、攻撃が来ないのを確認すると、今度はシシガケにメダジャリバーを向けた。

 

 

バロン「ジェネラルシャドウとやらは撤退したようだな…次は貴様の番だ」

 

シシガケ「………」

 

文(こ、これはひょっとしてチャンスでは…!?)

 

 

シシガケはバロンに視線だけを向けたまま、微動だにしない。

バロンは数秒考えた後、エイジロックシードを外しシシガケに投げ渡した。

それを受け取ったシシガケは変身が解除されたカイトを無表情で眺める。

 

 

文「か、カイトさん!?何やってるんですか、今悪の根源を倒す絶好のチャンスだったじゃないですかぁ!!」

 

カイト「生身の貴様とやり合うつもりはない。貴様は俺が全力で倒す。貴様も全力でかかってこい」

 

シシガケ「……今の言葉は、エルの奴にでも言ってやれ」

 

カイト「…何?」

 

 

シシガケはどこか余裕のなさそうな表情を残してホールへと消えていった。

それを見届けたカイトは、不機嫌そうにそっぽを向く文に帰るぞ、と呼びかける。

 

 

文「もー…私死ぬ気で頑張ったのに…」

 

カイト「…俺も、少しお前を見縊っていたのかもしれん」

 

文「何ですかそれ」

 

 

神社への帰路についた二人。

日が傾き始めた頃に帰り着いた二人が神社に誰もいないことを知り二度目の落胆を味わったのは、また別の話。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

クレストに帰還したシシガケは、まず最初に壁を殴りつけた。拳が穿った壁から、瓦礫と砂埃がこぼれ落ちる。

シシガケが初めて見せる姿に、スミィ、ソギリ、魔神提督の三人は竦み上がった。

 

 

シシガケ「やってくれたな、エル……怜雄……!!」

 

スミィ「そ、それはどういう意味で?」

 

ソギリ「え、エル様が何を?」

 

 

恐る恐る尋ねてくる二人に、きっ、と鋭い眼光を向け、シシガケは調査の結果を語った。

 

 

シシガケ「……奴らは、あの死にぞこないに力を与えるためにガドマを利用した……」

 

スミィ「はえ?なあ、それどういう意味だよボス?私にゃさっぱりだ」

 

シシガケ「エルはサリシアに情が移っていた。“故郷が同じ少女”にな…」

 

スミィ&ソギリ「「はっ?」」

 

 

スミィとソギリが顔を見合わせる。

 

故郷が同じ少女。

 

サリシアのことを言っているのだろう。それ以上彼女らの素性を知らない二人は首を傾げることしかできなかった。

 

 

シシガケ「エルの世界は既に滅んでいる。滅んだと思っていたその世界に、新しい生き残りがいた。奴にとってはどれだけ嬉しい事実か分かるか?だが助け出したその同胞は秘める魔力の高さが災いし、魔神復活の依代に選ばれてしまった。サリシアを助けたい一心で、エルはガドマ再生計画を利用することにした。復活の儀式を効率よく進ませるための道具としてメモリーメモリが必要だと俺を唆した。

計画は上手いこと進んだ。依代にされたサリシアに戦う力を授けるための道具に作り替えられていたガドマが倒されたことで、すべてエルの思惑通りに終わったというわけだ」

 

スミィ「…やっぱりよく分からねぇや」

 

シシガケ「奴は捨てたはずの情を取り戻していた…今になって人間に戻ったアイツが…こんな簡単なことに気付けなかった俺自身が……クソッ、気分が悪い…!!」

 

スミィ「ぼ、ボス、気を確かに…」

 

ソギリ「エル様がそんなことを…」

 

スミィ「おいソギリ、てめえ変な気起こすなよ?てめえも私も、ボスに命握られてること忘れんなよ!!」

 

ソギリ「わ、分かってるつーの!!」

 

シシガケ「……奴の好きにさせてたまるか…!!」

 

 

バルコニーに出たシシガケが文字通り獅子のような雄叫びを上げる。

揉めていた二人も静観していた魔神提督も、再び竦み上がった。

 

 

ラアデュンシェ「……何の騒ぎだ?」

 

魔神提督「帰っていたのか、ラアデュンシェ」

 

スミィ「腹は満たされたのかよ?」

 

ラアデュンシェ「………」

 

ソギリ「ああ、ダメだったんだな…」

 

 

無言で目を背けたラアデュンシェの心中を察し、それ以上食べ物の話題は上がらなくなった。

 

 

スミィ「…ん?てめえ、何持ってんだ?」

 

 

ふと、ラアデュンシェが何かを握っているのに気付いたスミィが尋ねる。

ラアデュンシェが掲げたそれは、ガドマ復活の儀式に用いた“心臓”だった。

 

 

ラアデュンシェ「湖に立ち寄った時に回収したものだ」

 

シシガケ「………」

 

 

シシガケは無言でそれを奪い取る。その表情に、わずかだが光が戻っていた。

 

 

魔神提督「今更そんなもの回収したところで、一体何になるというのだ?」

 

シシガケ「……これはこれで役に立つ。まあ、今に見ていろ…魔神提督、お前に預けておく」

 

 

シシガケから手渡された“心臓”を受け取った魔神提督は、それを掲げてまじまじと眺める。

得体の知れないエネルギーを秘めているが、それがどんな影響を及ぼすものかはまだ分からなかった。

 

 

ラアデュンシェ「あと、これも拾った」

 

シシガケ「……うん?」

 

 

続いてラアデュンシェが差し出したのは、こげ茶色の鱗。一見するとただの鱗だが、発せられるオーラは凄まじく邪悪なメロディ。

そのメロディを感じ取ったシシガケとスミィが目を見開いてその鱗に釘付けになった。

 

 

スミィ「ッ、ボス、こいつぁ…」

 

シシガケ「……ああ、間違いない。ガドマの邪悪なメロディが染み込んだガラクの鱗だ」

 

ソギリ「えっ!?」

 

 

今度こそ、完全に、シシガケの表情が明るくも邪悪なものに変わる。

 

 

シシガケ「ガラク…奴は最後まで役に立ったな。ガドマは失ったが、まだ手はある……今度こそ、邪魔などさせん……!!」

 

 

シシガケの高笑いが、クレストに響き渡った。

 

 

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