タカトラ「貴様、何者だ!?何故この場所に…後ろの怪物は何だ!?」
怜雄「もー、そんないっぺんに聞かないでよ。こんがらがっちゃうじゃない」
怜雄の姿を確認するなりそう捲し立てるタカトラに、彼女は頭を抱えやれやれ、といった風に額をおさえる。
怜雄「まずは自己紹介ね。私の名前は火室怜雄。で?何から聞きたいって感じ?」
士「じゃ、お前がここで何をしてるのかを聞かせてもらおうか」
怜雄「あなたたちに奇襲を仕掛けるためねー」
あっけらかんとそう答える怜雄に、士とタカトラは唖然とする。
士「…なら、それはもう失敗したな」
怜雄「ほんと間が悪い人たち。あなたたちと戦っていたら本当に計画が失敗しそうで憂鬱ーって感じ」
タカトラ「何者かは知らないが、我々に仇名す敵ならば……ここで倒す!」
怜雄「それが二つ目の質問?ならその答えは………こうかな」
そう言うと怜雄は背負っていたディエンドライバーを構えると、カードを装填する。
《KAMEN RIDE…》
士「何!?あのカード、あの槍…まさか!」
怜雄「おそらくビンゴって感じね、ディケイド。変身」
《DELIGHT》
槍から放たれたいくつもの幻影が怜雄に重なり、仮面ライダーディライトへの変身が完了した。
タカトラ「変身だと!?その姿は……」
士「…だいたいわかった。まさか今になって海東みたいな新キャラに出会えるとはな」
士もディケイドライバーを装着し、ライドブッカーからカードを取り出す。
困惑していたタカトラもそれを見て落ち着きを取り戻し、戦極ドライバーを腰に装着する。
士「いくぞ、冴羽のお兄さん」
タカトラ「ああ…」
士&タカトラ「「変身!!」」
《KAMEN RIDE…》
《DECADE》
《メロン!ロック・オン!》
《ソイヤッ!メロンアームズ!天・下・御・免!》
士は仮面ライダーディケイドに、タカトラは仮面ライダー斬月へ変身し、ディライトと対峙する。
ディライトは槍で後ろの二体の怪人───アイビーイマジンとオーキッドアンデッドに突撃命令を下す。
アイビーイマジンとオーキッドアンデッドが同時に腕から蔦を伸ばし二人を捕縛しようとするが、ディケイドと斬月はそれぞれの得物で蔦を切り裂き、怯んだ隙に間合いを詰める。
ディケイドはオーキッドアンデッド、斬月がアイビーイマジンと戦う中、観戦していたディライトは新たなカードを取り出していた。
斬月「こいつらはインベスか!?」
ディケイド「いいや、こいつらは違う…イマジンにアンデッド。別世界の怪人だ」
ディライト「あら、よく知ってるわねー。んじゃ、これはなーんだ?」
ディケイド「何!?」
《KAIJIN RIDE…》
《SARRACENIAN》
《BASHOUGUN》
ディライドライバーに二枚のカードが装填され、新たに二体の怪人がディケイドと斬月の前に現れた。
召喚された怪人はサラセニアンにバショウガンだ。
ディケイド「ショッカー怪人にデストロン怪人まで…!」
ディライト「おー、当たり当たり。さすがディケイドって感じね」
ディケイド「だから何だっていうんだ!」
計四体の怪人が四方八方から繰り出す攻撃に翻弄されるディケイドと斬月。
四体の怪人が一斉に伸ばしてきた蔦をさばききれずディケイドが拘束されてしまったが、メロンディフェンダーを身代わりにして蔦から逃れた斬月が無双セイバーで蔦を切り落とし救出する。
ディケイド「助かった」
斬月「礼はいい、くるぞ!」
斬月はキャッチしたメロンディフェンダーでアイビーイマジンの鎌を防御し、無双セイバーで反撃する。
《ロック・オン!イチ!ジュウ!ヒャク!メロンチャージ!》
斬月「はあぁぁーっ!!」
吹っ飛ばされたアイビーイマジンは追い討ちの《無双斬》を受け爆散した。
ディケイド「負けてられないな…」
《ATTACK RIDE…》
《ILLUSION》
ディケイドは《ディケイドイリュージョン》を発動し、三体の分身体を生成した。
分身に怪人たちの相手を任せると、自身は別のカードをディケイドライバーに装填する。
ディケイド「こいつで勝負だ!」
《KAMEN RIDE…》
《BLADE》
ディケイドブレイドへとカメンライドし、分身が消滅。
手にしたブレイラウザーでサラセニアンとオーキッドアンデッドを斬り捨てる。
すぐに立ち上がり襲いかかってきた二体の攻撃を受け止め、回避しながら、ディケイドブレイドはカードを取り出す。
《ATTACK RIDE…》
《TACKLE》
《ボアタックル》を発動し、強烈な突進攻撃を繰り出すディケイドブレイド。
だが二体の怪人にあっさりとかわされ、ディケイドブレイドは壁に激突した。
その様子を見ていたディライトは思わず吹き出してしまう。
ディライト「君、何してるの?」
ディケイドブレイド「…やり直しだ!」
《ATTACK RIDE…》
《THUNDER》
ディケイドブレイド「はあッ!!」
今度は《ディアーサンダー》を発動し、ブレイラウザーから放たれた電撃がサラセニアンとオーキッドアンデッドに直撃する。
倒れた二体の怪人の元へ斬月のシールドバッシュで吹っ飛ばされてきたバショウガンが重なった。
ディケイドブレイド「今だ!」
《FINAL ATTACK RIDE…》
《B B B BLADE》
ディケイドブレイドが必殺技《ライトニングブラスト》を放つ。
電撃を纏った強力なキックが三体の怪人をまとめて粉砕した。
ディライト「あらららら…」
ディケイド「…次はお前を倒す」
斬月「知っていることすべて聞かせてもらう」
通常のディケイドに戻り、ライドブッカー・ソードモードをディライトに向ける。
ディライト「んー、やっぱりこれくらいの雑魚じゃ倒せないかー…」
ディライトはディライドライバーを構えると、先程とは一転、極めて冷淡な声で言った。
ディライト「…じゃ、見せてあげる。私の力」
~~~
一方、0地点生活スペース。
士とタカトラが席を外してから数十分後、突然0地点が大きな揺れに襲われた。
ザック「なんだ、地震か…?」
コウタ「…なんか嫌な予感がする。士とタカトラは!?」
ミツザネ「まだ戻ってきてないみたいですね」
ヒデヤス「二人もそうだけど、揺れも気になるな」
残っていた六人は顔を見合わせる。
リョウジ「…まさか、オーバーロードが攻めてきたとか」
ヒデヤス「ちょっ、不吉なこと言わないでよ!?」
コウタ「…俺は二人を探してくる。カイト、行くぞ!」
カイト「なぜ俺が……ちっ、仕方ない」
ミツザネ「あっ、コウタさん!?気をつけてくださいね!」
コウタ「ああ!」
コウタとカイトが捜索を始めたのを見届けると、ミツザネは向き直る。
ミツザネ「僕たちにも出来ることをしましょう」
ザック「じゃ、一応見回りとかしておくか」
リョウジ「そうだな」
ヒデヤス「…ちょ、ちょっと待ってくれ」
突然情けない声を出したヒデヤスに、皆が注目する。
リョウジ「なんだお前、ビビったのか?」
ヒデヤス「違ぇって!あれ、あれ見ろよ!」
ザック「あれ?」
リョウジ「あれってなんだよ」
ミツザネ「あれ………」
ヒデヤスが指差した先には、どこから湧き出したのか、0地点に侵入してきたインベスの大群だった。
それらは薄暗い通路を走り抜け、まっすぐにこちらへ向かってきている。
「「「「あれえええええぇぇぇ!?」」」」
四つの絶叫が見事に重なった。
リョウジ「おい、どういうことだよあれ!」
ミツザネ「分かりません…でも、今やるべき事は一つです!」
最初は取り乱していた四人だったが、ミツザネの言葉ですぐに事の重大さに気付き、それぞれが戦極ドライバーを装着する。
《ブドウ!》
《ドングリ!》
《マツボックリ!》
《クルミ!》
《ロック・オン!》
「「「「変身!」」」」
《ハイーッ!ブドウアームズ!龍・砲・ハッハッハッ!》
《カモン!ドングリアームズ!ネバーギブアップ!》
《ソイヤッ!マツボックリアームズ!一撃 イン・ザ・シャドウ!》
《クルミアームズ!ミスターナックルマン!》
ナックル「行くぜ!!」
仮面ライダーナックルに変身したザックが、その巨大な拳を振り回し、先陣を切ってインベスたちに殴りかかった。
ナックルに背後から襲いかかったコウモリインベスを龍玄がブドウ龍砲で撃ち落とす。
その隙にヤギインベスに間合いを詰められた龍玄を、黒影が影松で文字通り横槍を入れ吹っ飛ばした。
そしてグリドンがドンカチで初級インベスをまとめて殴り飛ばし、その先で待ち構えていたナックルが《クルミスカッシュ》で粉砕する。
助け合いの連携プレーでインベスをあっという間に殲滅した四人は、新手が来ないか警戒体制をとる。
グリドン「数は多くなかったみたいだね」
黒影「あっさり片付いちまったな」
龍玄「油断は禁物ですよ」
ナックル「なあ、ところで…凌馬は?」
ナックルの言葉に三人が「忘れてた」と言わんばかりにはっとする。
黒影「おーいプロフェッサー!無事かー!?」
黒影が二階の研究スペースに呼びかけるが返事はない。
四人の思考が悪い方向へシフトした。
龍玄「奥に避難したのかもしれません。とにかく行ってみましょう」
龍玄の言葉に頷き合うと、四人は二階へと上がって行った。
~~~
刹那の出来事だった。
気付いた時にはディライトの一撃を受けた斬月が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられていた。
斬月「がっ…!」
ディケイド「何っ!?」
一瞬、何が起きたのか理解できなかったディケイド。それほどまでに高速の一撃だった。
すぐさま斬月に駆け寄り安否を確かめる。
ディケイド「おい、しっかりしろ!」
斬月「平気だ…ぐっ、攻撃が、見えなかった………っ、門矢、後ろだ!」
ディケイド「なっ…ぐああっ!」
斬月がはっとなってディケイドに警告する。
意識が斬月に向いていたディケイドはディライトの突き上げをまともに喰らい打ち上げられた。
ディライト「ずいぶんと余裕があるみたいね。なら、もう少し痛めつけても大丈夫かな」
背中を叩きつけ息が詰まるディケイド。そんな彼にディライトは容赦のない猛攻を仕掛ける。
ディケイド「ぐ、くそっ…」
ディライト「さっきの威勢はどうしたの?」
ディケイド「まだまだ…!」
立ち直ったディケイドが取り出したのは…携帯端末型強化ツール『ケータッチ』。
ディケイド「俺の本気は、まだこれからだ!」
《KUUGA》《AGITO》《RYUKI》《FAIZ》《BLADE》《HIBIKI》《KABUTO》《DEN-O》《KIVA》
《FINAL KAMEN RIDE…》
《DECADE》
斬月「その姿は…!?」
ディケイドはコンプリートフォームへと強化変身した。額と肩にライダーカードがずらりと並ぶ。
ディライト「…それが噂に聞くコンプリートフォームね?面白そうっ」
ディケイド「お気に召すといいがな」
ディライドライバーを振りかざしディケイドに猛進するディライト。ディケイドはその高速の一撃をライドブッカーで受け止める。
コンプリートフォームとなったディケイドはその動きに合わせられるようになっていた。
ディケイド「自慢のスピードはどうした?」
ディライト「ふふっ…あれが最高速度だと思ったの?」
ディケイドから一旦離れたディライトがさらにスピードを上げてディケイドに斬りかかる。
だがその一撃も受け止められると、ディライトに焦りが見え始めた。
ディライト「…ッ!?」
ディケイド「遅い!」
ディライト「ぐ、あっ!」
呆気にとられているその隙を突かれ、ディライトはライドブッカーの一撃を受けて弾き飛ばされる。
だが浅かったようで、大したダメージもない様子でディライトは着地する。
ディケイド「俺はまだまだギアを上げられるぜ」
ディライト「なっまいきー…ま、そういうの嫌いじゃないけどね?」
ディライトは再びディケイドに飛びかかった。
今度は直接攻撃を仕掛けるのではなく、ディケイドの周囲を飛び回り、撹乱する。
ディケイド「くっ…まだスピードが上がるのか…!」
ディライト「まだ限界だなんて言ってないもの。それじゃ、そろそろ───」
斬月「俺がいるのを忘れたか!」
ディライト「なっ!」
復活した斬月が投げたメロンディフェンダーが直撃し、ディライトは落下した。
ぐえ、と短い悲鳴を上げて地面に叩きつけられたディライトは恨めしそうに斬月を睨む。
ディライト「い、今の戦い見てて割り込でくるかな、フツー…空気読んでよね…」
斬月「知ったことか」
ピシャリと言い放つ斬月にディライトも仮面の下で呆れ顔を見せた。
斬月「ディケイド」
ディケイド「ああ、分かってる」
《AGITO》
《KAMEN RIDE…》
《SHINING》
ディケイドがケータッチに表示されている「アギトの紋章」をタッチすると、ディケイドの隣にアギト シャイニングフォームが召喚される。
《FINAL ATTACK RIDE…》
《A A A AGITO》
脇のディケイドライバーにカードを装填し、《シャイニングクラッシュ》を発動。
アギト シャイニングフォームとシンクロした動きで光の剣を放ち、ディライトを切り裂いた。
ディライト「ぐ、うああぁッ!!」
強烈な一撃を受けディライトは吹っ飛ばされる。
だがそれでも変身解除にすら至らなかった。
斬月「なんてタフな奴だ…」
ディライト「まだ、まだぁ…!」
ディライドライバーを杖代わりに立ち上がり、ディケイドに矛先を向けるディライト。
だがそこに物音を聞き付けたらしいコウタとカイトが現れた。
コウタ「士、タカトラ!ここにいたのか!さっきすごい揺れが…って、え!?」
カイト「…誰だ、貴様は」
ディライト「あ、最悪のパターン……ここは引いた方がいいかも、ね………」
ディライトはそう言い残すと、ホールを開きその中へと消えた。
それを見届けると、ディケイドと斬月は変身を解除する。
士「逃げたか…」
タカトラ「思わぬ邪魔が入ってしまったな。ここは今すぐにでも封鎖したほうがいい」
士「そうするか」
そんな会話をする二人の元にコウタとカイトが降りてくる。
コウタ「おい、何だったんだよ今の…」
士「俺にもよく分からん」
タカトラ「はっきりと言えるのは、我々の敵である……それだけだ」
カイト「逃したのか」
士「お前らのせいでな」
コウタ「おい士…」
士「冗談だ」
指で作った鉄砲でバーン、とコウタを撃ち抜き不敵に笑う士。
コウタはもうツッコミも面倒だ、という顔でため息をつく。
士「ところで揺れがどうとか言ってたな」
コウタ「ああ、そうだった。なんか嫌な予感がしたから探しに来たんだよ」
タカトラ「原因は分かったのか?」
カイト「別行動中のミツザネたちが調査している」
士「…ただの地震じゃないのか?」
コウタ「だといいんだけどな…」
タカトラ「とにかく、ここを閉鎖してすぐに戻ろう」
タカトラの言葉に頷いた三人が階段を上がり地下通路を出ようとしたその時だった。
通路の奥から足音を響かせながら青いオーバーロード…シャムビシェが現れた。
???「ふむ…あの女、所詮口だけだったか」
コウタ「お前は…シャムビシェ!?」
シャムビシェ「久しぶりだな、人間諸君」
そう言うと、シャムビシェは手からエネルギーの弾丸を放った。
カイト「っ、避けろ!」
コウタ「うおっ、わあぁっ!?」
エネルギー弾は士たちの足場を破壊し、四人は通路に転落する。
シャムビシェ「仲間がずいぶんと世話になったな」
カイト「驚いたな…お前らにも仲間意識なんてものがあったのか」
士「あの女もお前らの仲間か?」
シャムビシェ「火室怜雄…ディライト、ともいったな。私たちに協力したいと申し出てきたんだ。まあ結局負けてしまったようだがね」
タカトラ「彼女はオーバーロードではないみたいだな」
士「で?お前は何しに来たんだ?尻拭いか?」
シャムビシェ「まさか。異世界からの旅人に挨拶をしに来たんだ」
士「そういう態度には見えないけどな」
士の言葉にシャムビシェはくっくっく、と不気味に笑うと、もう一発エネルギー弾を放った。
エネルギー弾は士たちの目の前の地面に着弾し炸裂。爆風が四人を襲った。
コウタ「うおわっ!?」
士「オーバーロード共はいっつもこんな方法でコミュニケーションとってるのか!?」
シャムビシェ「ふふふ、ふふふふ……」
士たちの様子を眺め、心底楽しそうに笑い声を漏らすシャムビシェ。
コウタとカイトが戦極ドライバーを手に取ったところで、地下通路にミツザネたちが駆け込んできた。
ミツザネ「コウタさん!ここにいたんですね!」
コウタ「ミッチ!」
リョウジ「お前らそんなとこで何やってんだ?」
コウタ「ああ、今そこにシャムビシェが………あれ?」
四人がミツザネたちに気を取られたその一瞬で、シャムビシェは姿を消していた。
~~~
ミツザネ「シャムビシェがここに?」
コウタ「ああ。士に挨拶をしに来たんだとさ」
士「そういう態度じゃなかったがな」
生活スペースに戻ってきた士たちは、互いに起きたことを報告し合っていた。
カイト「あの女…貴様と似た姿をしていたな」
士「ああ、俺も驚いた。疑うなよ?俺はあいつとは今日が初対面だ」
コウタ「ああ、分かってるよ」
突如現れた謎の女、火室怜雄。
ディケイドによく似たライダー……「仮面ライダーディライト」に変身し、怪人を召喚する力を持っていた。
「召喚する」という点では士の腐れ縁である青年・海東大樹が変身する「仮面ライダーディエンド」が持つ能力に似ている。
ディエンドは仮面ライダーを召喚し、ディライトは怪人を召喚する。
士は火室怜雄の件を後で海東に聞いてみることにした。面倒事が増えたな、とため息をつく。
ヒデヤス「…で、何か忘れているような」
ザック「ああ、そうだ!凌馬がどこにもいないんだ!」
士「お前ら結構ひどいな」
士の冷淡なツッコミにザックがう、と言葉を詰まらせる。
コウタ「凌馬がいない?」
カイト「…あいつの事だ、奥の方にでも閉じこもってるんだろ」
ミツザネ「それが…地下通路以外の場所はすべて探したんですが……」
リョウジ「どこにもいなかったな」
ザック「隅々まで探したんだけどな」
タカトラ「凌馬の奴、何をしているんだ……」
付き合いの長い友人だからか、凌馬を深く心配している様子のタカトラ。
そんな兄の姿を見たミツザネが隣に腰かけ話しかける。
ミツザネ「兄さん、凌馬さんならそのうちひょっこり現れ───」
凌馬「呼んだかい?」
ザック「うおわあああぁぁ!!っだ、いってえ!?」
タカトラ「凌馬!?」
コウタ「ってか、ザック…」
突然ザックの背後から凌馬が顔を出した。
驚いたザックが椅子から転げ落ち、壁に頭をぶつけ、その衝撃で落ちてきた金ダライが脳天にクリティカルヒットする。
凌馬「ずいぶん愉快な反応をしてくれるね、ザック君」
ザック「いきなり出てくんな!てか今までどこ行ってたんだよ!」
凌馬「どこって、ずっと奥の第二研究室にいたよ」
リョウジ「俺たちが探した時はいなかったぞ!」
凌馬「いたさ。君たちが気付かなかっただけだろう。ちなみに私は部屋に入ってきた君たちに気付いていたよ」
ヒデヤス「嘘だろ……」
タカトラ「………心配して損した気分だ」
タカトラが頭を抱えて俯く。そんな彼をミツザネは苦笑いで慰める。
凌馬「ところで、さっきはずいぶんと騒がしかったみたいだけど何があったんだい?」
タカトラ「ああ、地下通路に侵入者が現れたんだ」
凌馬「ん?地下通路に侵入者?」
タカトラ「ああ。侵入者が現れたら警報が鳴り、防衛システムが作動するはずだろう」
士「そんなものがあったのか」
カイト「ああ。あの地下通路はユグドラシル・タワーに繋がっているからな」
ザック「じゃあなんで警報は鳴らなかったんだ?」
凌馬「そのことなんだがね…」
場合によっては最悪の状況に陥るかもしれない。凌馬の次の言葉を全員が固唾を飲んで待った。
凌馬「………いやあ、まさか点検のためオフにしてる時に襲撃されるとは」
ミツザネ「………は?」
コウタ「そんな理由かよ!?」
ヒデヤス「内通者だとか考えてた俺が馬鹿だった」
全員が呆れ返り、ため息をつく。そんな彼らの様子を凌馬は愉快そうに眺めていた。
凌馬「んじゃ、私はまた研究に戻らせてもらうよ」
コウタ「ああ、はいはい」
コウタの素っ気ない返事が凌馬を見送った。
~~~
ロシュオ「その様子では失敗したようだな」
怜雄「……バレちゃったって感じ?」
レデュエ「何だ、大見得切ってたくせにその程度なのか?」
ラアデュンシェ「所詮は猿か」
怜雄「言ってくれるね…結構傷つきやすいのに、私」
円卓の間に戻ってきた怜雄を出迎えたのはオーバーロードたちの辛辣な言葉だった。
シャムビシェ「見ていたぞ、女。無様に負けたな」
怜雄「……いつの間に」
怜雄の様子を観察していたシャムビシェも帰還した。
そしてやはり胸に突き刺さる言葉を投げかけられ、怜雄はがっくりとうなだれる。
怜雄「で、でもヘーキよ、次こそは負けないんだから……」
レデュエ「知ってるよ、それ。お前らの言葉で『負けフラグ』って言うんだろ?」
怜雄「うぐっ」
シャムビシェ「『かませ犬』とも聞いたことがあるな」
怜雄「ひうっ」
今渡こそ撃沈した怜雄に、オーバーロードたちはもはや興味など失っていた。
ラアデュンシェ「もうお前に用は無い。帰れ、猿」
怜雄「………あら、始末されるのかと思ったのに。結構優しいとこあるんだ」
ラアデュンシェ「殺す価値もないと言っている。さあ、元の世界へ帰るがいい」
怜雄「………元の世界、か」
ロシュオ「む…?」
ラアデュンシェの言葉を受け、怜雄の様子が変わる。
怜雄「言ってくれるね…ほんと、痛いこと言ってくれる……」
ラアデュンシェ「どうした?まさか帰る世界などない、そういうことか?ハッ、ハハハハハッ!もしそうなんだとしたら……どこまでみじめなんだ貴様は!」
ラアデュンシェの甲高い笑い声が部屋に反響した。
神経を逆撫でするようなその笑い声が、直後には悲鳴に変わっていた。
ラアデュンシェ「ガッ…アァッ!?」
怜雄「調子に乗るなよ、短小角野郎」
ラアデュンシェ「ガッ、な、何を…!」
石造りの椅子の背もたれごと、ラアデュンシェの腹部を貫いたディライドライバー。
それを血が滲むほどの力で握りしめる怜雄は、まさに鬼というべき表情を顔に張り付けていた。
怜雄「その気になればお前なんて敵じゃねえんだよ…それを今ここで証明してやろうか?」
ラアデュンシェ「何を、ふざけ…」
怜雄「死にたいんだってな?」
ラアデュンシェ「わ、分かった…悪かった!」
怜雄「ふん…どっちが猿なんだか」
視線だけでも人を殺せそうな様子の怜雄は既にラアデュンシェから興味を失っていた。
ディライドライバーを乱雑に引き抜くと、べっとりと付着した血を振り払い、オーバーロードたちを一瞥すると、ホールの中へと消えた。
最後に残したその眼差しは、まるで「お前らが全員束になっても私の敵じゃない」とでも言わんばかりのものであった。
……振り払った血がラアデュンシェに直撃したのは言うまでもない。
ボアたっくん!(唐突)
ラアデュンシェ、まだ戦ってすらいないのに小物化が深刻問題。
シャムビシェの外見は「仮面ライダー冠」をクリーチャー化させたような姿を想像していただければ。