ってわけで、ただでさえ遅い更新頻度が更に酷いことになりそうです。
なので想定していたものよりちょっとだけ展開を早めました。
いつまでも鎧武の世界にいるわけにはいかん…
鎧武「ここからは俺のステージだ!!」
鎧武の雄叫びを合図に四人ライダーが一斉に踏み出す。
ロシュオはクラックを開き、インベスの大群を呼び出してライダーたちへ仕向けた。
バロン「邪魔をするなッ!!」
斬月「雑魚は引き受けた!行け、コウタ!士!」
鎧武「分かった!」
ディケイド「行くぞ、コウタ!」
鎧武「おうッ!!」
インベスの群れを切り開きながら、ディケイドと鎧武はロシュオの元へと猛進する。
その前にはやはりと言うべきか、レデュエとシャムビシェが立ちはだかった。
ディケイド「うおらぁっ!」
レデュエ「フンッ!」
ライドブッカーを振り抜くディケイド。レデュエはその斬撃を跳躍して回避し、ディケイドの頭上から落下の勢いを乗せた突きで反撃する。
ディケイドはその一撃を受け怯みがらも、槍を掴んで振り回しレデュエを放り投げ壁に叩きつけた。
その間も絶え間なく襲いかかってくるインベスたちに鋭い蹴りを入れて撃退する。
《ATTACK RIDE…》
《SLASH》
ディケイド「はあああぁぁッ!!」
威力を増したライドブッカーによる斬撃《ディケイドスラッシュ》で周囲のインベスを薙ぎ払う。
切り裂かれたインベスたちは悲鳴を上げて爆散した。
レデュエ「悪あがきもここまでだ」
ディケイド「そういうあんたには悪いが、さっさと終わらせてもうらぜ!」
《KAMEN RIDE…》
《KIVA》
ディケイドキバ「もうひとつ」
《FORM RIDE…》
《KIVA BASSHAA》
レデュエ「ム…?その姿は…」
ディケイドキバ「お前と同じ色さ」
レデュエ「それがどうしたっていうんだ!」
爆風を利用して不意を突いてきたレデュエの攻撃を軽くいなし、ガンモードのライドブッカーでレデュエを撃ち抜き引き離す。
その間にディケイドキバへとカメンライドし、続けてバッシャーフォームへとフォームチェンジする。
レデュエが放った光の散弾をバッシャーマグナムでひとつずつ正確に、すべて撃ち落とした。
レデュエ「何!?」
ディケイドキバ「次はこっちの番だ」
《FINAL ATTACK RIDE…》
《KI KI KI KIVA》
ディケイドキバ「喰らえ!!」
レデュエ「こんな水玉……ムッ!?」
ディケイドキバの周囲に水の竜巻が現れ、それが収束される形でバッシャーマグナムに集まり、《バッシャー・アクアトルネード》が放たれる。
凄まじい勢いでレデュエに襲いかかる水球をレデュエは跳躍して回避するが、水球はカーブを描いてレデュエを追尾する。
レデュエ「こざかしい!!」
ディケイドキバ「…やるね」
レデュエは水球を槍で貫き粉砕した。
着地したレデュエが槍を構え直して再びディケイドキバに襲いかかる。
ディケイドキバ「次はこいつで勝負だ」
《KAMEN RIDE…》
《RYUKI》
レデュエ「また変わったか…だが同じこと!」
ディケイドキバからディケイド龍騎へとチェンジし、ドラグセイバーでレデュエの槍を受け止める。
だがレデュエの猛攻にだんだんと押され始めていた。
ディケイド龍騎「ぐっ、重い…!」
レデュエ「どうした?もっと楽しませてくれないか」
ディケイド龍騎「な、にをっ…!!」
《ATTACK RIDE…》
レデュエの攻撃が更に勢いを増す。
ディケイド龍騎はドラグセイバーで無理矢理レデュエの槍を押しのけると、ディケイドライバーにカードを装填する。
だがその隙は大きく、バックルを戻しカードの効果を発動させる前にレデュエの槍による振り下ろし攻撃を受けてしまった。
ディケイド龍騎「がっ!!」
レデュエ「隙を見せたな!」
ディケイド龍騎「…お前もな!」
《ADVENT》
レデュエ「なっ、グオアァッ!」
仰け反り後退したその一瞬の余裕でバックルを戻しカードの効果を発動させる。
《アドベント》により呼び出されたドラグレッダーがレデュエを急襲し弾き飛ばした。
ディケイド龍騎「終わりだ!」
《FINAL ATTACK RIDE…》
《RYU RYU RYU RYUKI》
ディケイド龍騎「はぁぁぁ……はあああぁぁーーーッ!!」
跳躍しキックの体勢をとったディケイド龍騎をドラグレッダーが炎を吐いて後押しする《ドラゴンライダーキック》を放つ。
炎を纏った強烈な一撃は直撃したレデュエを吹き飛ばし、壁に激突させる。
レデュエ「グ、オ、ア……」
どさり、と地に落ちたレデュエは力を振り絞って立ち上がろうとするが、それもままならず再び地に倒れ伏す。
ディケイドはレデュエがそのまま沈黙したのを見届けると、カメンライドを解除し通常のディケイドに戻った。
そんな彼の前に圧倒的な威圧感を背負ったロシュオが立ちはだかる。
ディケイド「……次はお前か、王様?」
ロシュオ「滅びる時が来たのだ……力の限りを使い果たすがいい!!」
ロシュオが両手から念動力を放つ。
ディケイドはそれを真正面から受けながらも堂々たる立ち姿を崩さす、ケータッチを取り出しベルトに装着する。
《KUUGA》《AGITO》《RYUKI》《FAIZ》《BLADE》《HIBIKI》《KABUTO》《DEN-O》《KIVA》
《FINAL KAMEN RIDE…》
《DECADE》
ディケイドコンプリートフォームとロシュオが対峙する───。
~~~
一方、シャムビシェと交戦する鎧武。
鎧武が攻め、シャムビシェが受け流す、またはその逆、という一進一退の攻防が展開されていた。
鎧武「うおらああぁっ!!」
シャムビシェ「無駄だ!」
鎧武「無駄じゃねえええぇぇっ!!」
シャムビシェ「ヌッ…いつまで続けるつもりだ!?」
無双セイバーと大橙丸の柄同士を連結させたナギナタモードで果敢に攻める鎧武。
シャムビシェは錫杖で防ぎながら反撃の機会を待つが、鎧武の猛攻になかなかそのチャンスを見出せなかった。
そこにインベスをある程度の数減らしたバロンがバナスピアーを振りかざし鎧武に加勢する。
バロン「加勢する!一緒にいくぞ!」
鎧武「カイト、助かる!いくぜぇっ!」
《カモン!バナナスカッシュ!》
《イチ!ジュウ!ヒャク!セン!マン!オレンジチャージ!》
鎧武「いけえええぇぇっ!!」
バロンの加勢で勢いづく鎧武。
二人が放った同時必殺技を、シャムビシェは錫杖から巨大な光弾を撃ち出して相殺する。
シャムビシェ「フン…何人で来ようが同じだ!!ハアァッ!!」
シャムビシェが錫杖を地に突き刺すと、鎧武とバロンの足元から青いエネルギーの触手が突き出し二人に襲いかかった。
鎧武は触手を切り落としていくが、切られた触手はすぐに再生する。
目の前の触手を対処することに精一杯だった鎧武は背後から襲いかかった触手に締め上げられてしまった。
それを助けようとしたバロンも触手に締め付けられる。しかも触手から放出される強力なエネルギーが鎧武とバロンを苦しめていく。
鎧武「ぐああぁっ…!!」
バロン「ぐ、こ、こんなもの…!!」
シャムビシェ「苦しいだろう…すぐに楽にしてやる!!」
シャムビシェが錫杖を握る手に力を込める。すると触手が鮮やかな光を放ち爆発した。
動けない状態で超至近距離の爆発を受けた鎧武とバロンは力無く地面に倒れる。
鎧武「う、あ…」
バロン「ま、まだだ…まだ…!!」
シャムビシェ「うん?」
鎧武「か、カイト…」
バロンがバナスピアーを杖代わりに立ち上がり、ふらつく足取りでシャムビシェに向かっていく。
シャムビシェ「大した奴だ。あれを直に受けてまだ立ち上がるとは…」
シャムビシェが錫杖をバロンに向ける。錫杖の先端にエネルギーが溜まり、鮮やかな青色の光が増大していく。
バロンはバナスピアーを構え、迎え撃つ体勢をとった。
シャムビシェ「次の一撃で楽にしてやろう…死ぬがいいッ!!」
バロン「うおおおおおぉぉぉっ!!」
錫杖から光弾が放たれた。エネルギーの凝縮された光の弾丸がバロンに襲いかかる。
そしてそれはバロンに直撃し───青い爆炎に包まれた。
鎧武「カイトオオオォォッ!!」
コウタの絶叫が響く。
爆炎が晴れた後には塵以外、何も残っていなかった。
コウタ「そ、そんな…カイト……」
シャムビシェ「跡形もなく消し飛んだか…随分とあっけない最期だったな!ハァッハッハッハッ!!」
シャムビシェが高笑いを上げる。
ひとしきり笑い続けた後、冷静さを取り戻したシャムビシェは呆然とカイトのいた場所を見つめる鎧武に視線と錫杖を向けた。
シャムビシェ「次はお前の番だ。すぐにあいつの元へ送ってやる」
鎧武「…おおおッ……おおおおおおおおぉぉぉぉぉッ!!!!」
シャムビシェ「───ッ!?」
鎧武の凄まじい絶叫にシャムビシェが身をすくめる。
その慟哭に、ディケイドと刃を交えるロシュオさえもたじろいだ。
鎧武「絶対許さねぇ…!!」
《カチドキ!》
《ロック・オン!》
《ソイヤッ!カチドキアームズ!いざ、出陣!エイエイオー!!》
君臨したカチドキアームズにわずかに気圧されるシャムビシェ。
錫杖で地をかつん、と叩くと、鎧武へと躍りかかっていく。
鎧武「うおおおぉぉッ!!!」
シャムビシェ「哀しいか、忌々しいか、猿!怒りに身を任せ己も破滅するがいい!!」
鎧武「ぐっ、うっ、うおおおあああぁぁッ!!!!」
《ロック・オン!》
《カチドキチャージ!》
火縄大橙DJ銃から放たれる火炎弾をシャムビシェは錫杖で弾きながら鎧武に接近する。
一気に間合いを詰め、錫杖で鎧武を何度も打ち据える。何度も、何度も。
鎧武は全身を走る激痛にうめき声を上げながらも怯むことなく、火縄大橙DJ銃にカチドキロックシードをセットしエネルギーを充填させていく。
そして耐え続けながら溜めた凄まじいエネルギーが、まるで体の内側に燃え上がる怒りの炎ごとぶちまけるかのように放出される。
鎧武「はあああああぁぁぁ───」
シャムビシェ「こ、こいつッ…!?」
鎧武「セイハアアアアアァァァッッ!!!」
シャムビシェ「グオアアアアアァァァッ!!」
シャムビシェの腹部に押し付けられた銃口から、凄まじいエネルギーの波動が放たれる。
それはシャムビシェを吹き飛ばし、0地点の厚い壁を突き破ってようやく消沈した。
鎧武「はあ、はあ……」
火縄大橙DJ銃を持つ腕をだらん、と垂らし、壁に開いた大穴をただ見つめる鎧武。
そこにシャムビシェの姿は既になかった。
~~~
ロシュオ「……何ということだ」
ディケイド「残るはお前一人か」
斬月「士、あと一押しだ!」
ディケイド「ああ、一気にいくぜ!!」
レデュエとシャムビシェを倒し、勢いづくディケイド。そこにインベスを殲滅した斬月も加勢する。
ロシュオは大剣で二人の剣戟を受け止め、空いた片手で念動力を放つ。
ディケイド「ぐうっ!?」
斬月「ぐっ…なんという力だ…!」
ロシュオ「最後に残ったのが私ならば…最後まで責務を成し遂げよう」
ロシュオが大剣を振り上げる。
すると周囲に蔓延っていた無数のヘルヘイムの植物が二人に襲いかかった。
ディケイド「またこの植物か!」
斬月「捌き切れない…!」
二人は植物を切り払っていくが、その数は減るどころか増すばかり。
更に足元から伸びてきた植物が二人の足を拘束する。
斬月「どうにかならないのか!?」
ディケイド「刈って駄目なら、焼き払うまでだ!援護頼む!!」
斬月「ああ!」
《RYUKI》
《KAMEN RIDE...》
《SURVIVE》
ケータッチの「龍騎の紋章」をタッチし、ディケイドの隣に龍騎サバイブが召喚される。
その間も植物が襲いかかってくるが、斬月がひとつひとつ的確に対処していく。
《FINAL ATTACK RIDE...》
《RYU RYU RYU RYUKI》
ディケイドと龍騎サバイブの動きがシンクロし、同時に放った《バーニングセイバー》が周囲の植物を焼き払った。
ロシュオ「ムウ…!?」
斬月「今だ!!」
《ロック・オン!》
《イチ!ジュウ!ヒャク!メロンチャージ!》
斬月「はああぁぁーっ!!」
ロシュオ「ぐおおぁっ…」
植物をすべて焼き払われ一瞬の焦りを見せたロシュオに、その隙を見逃さなかった斬月による《無双斬》がヒットする。
決定打にはならなかったものの、仰け反り、地面を転がった。
ディケイド「これで…終わりだッ!!」
《KABUTO》
《KAMEN RIDE...》
《HYPER》
ディケイドの隣にカブトハイパーフォームが召喚され、ハイパーゼクターを構える。
《FINAL ATTACK RIDE...》
《KA KA KA KABUTO》
ディケイド「喰らえぇッ!!」
ディケイドとカブトによる《ハイパーライダーキック》がロシュオに襲いかかる。
ロシュオが念動力を放つため右手を翳そうとしたその瞬間、ロシュオの前にひとつの影が立ちはだかった。
─────レデュエだ。
ディケイド「なっ…」
ロシュオ「何…!?」
レデュエ「お…王よ……私は…ここまで、です……ぐ、うあああぁぁっ───」
まだ息の残っていたレデュエは、最後の力を振り絞ってロシュオの盾となった。
レデュエはただそれだけ言い残すと、ゆっくりと崩れ落ち爆散した。
ロシュオ「レデュエ…!」
亡きレデュエの焼け跡を前に片膝をついて小さく震えるロシュオ。
ディケイドと斬月、そして鎧武もこの状況に唖然として立ち尽くしていた。
ロシュオ「何故だ…何故私を…」
ディケイド「………」
鎧武「ロシュオ…」
意を決したかのように鎧武がロシュオに歩み寄る。
ロシュオ「………」
鎧武「もう、いいだろ。これ以上は、もう………」
ロシュオ「………」
ただ一点を見つめたままのロシュオだったが、長い沈黙の末にやっと口を開いた。
ロシュオ「…何故、レデュエは私を庇った……?」
ディケイド「あいつにとってお前は己を投げ出してでも助けたかった命だった…ただそれだけだ」
ロシュオ「…今になって、失うことをここまで恐れることになるとはな……」
ロシュオの口調はひどく弱々しいものだった。
鎧武は亡き跡に残っていたレデュエの髪飾り───千切れ、ヒビが入っていたが───を拾うと、ロシュオに手渡す。
ロシュオはそれをそっと握り締めた。
鎧武「これで終わりだ。もう、戦わなくていい」
ロシュオ「だが…残された私の責務は…」
ディケイド「またそれか」
ディケイドはふう、とため息をつく。
ディケイド「俺たちの勝ちだ。お前はもうこれ以上責務を果たそうとしなくていい」
ロシュオ「私は…どうすればいい……?貴様は私が憎くないのか…?」
鎧武「憎かったさ…でも今はもう、そんな気持ちどっか行ったよ」
ロシュオ「ならば…私は、この森の奥で…」
ディケイド「愛する者のため、愛してくれた人のため、ヘルヘイムで暮らしていけばいい」
ロシュオ「…最後に私を変えてくれたのは…レデュエと、お前たち人間だ……」
ロシュオが立ち上がり、ディケイドたちの方へ向き直る。
そして─────
王のその無防備な背中を、一筋の青い閃光が貫いた。
ロシュオ「……なっ───」
鎧武「えっ……?」
がくり、と力無く膝から崩れ落ちるロシュオ。ディケイドたちの仮面の下も驚愕の表情に固まっていた。
閃光の飛んできた方を向くと、そこに立っていたのは───シャムビシェだった。
シャムビシェ「哀れな王よ……ずっと…この時を、待ち侘びていたのだ!!ついに、ついに知恵の実が我が物に…!!」
シャムビシェはロシュオの胸部に開いた風穴に手を突っ込み、光輝く知恵の実を引きずり出すと、抵抗する力すら失くした白い体躯を無造作に投げ捨てる。
うめき声を上げて仰向けに転がるロシュオの元に鎧武が駆け寄り抱き起こす。必死に呼びかけるが、その声はもはや届いてさえいなかった。
鎧武「おい、ロシュオ!おい!?しっかりしろ!!」
ロシュオ「……わ、私は…愛する、者の、元へ…と……────」
虚空へと向かって手を伸ばす白亜の王。
直後にその体が輝き始め、やがて光の粒子となって消滅する。跡には彼が握っていたレデュエの髪飾りだけが残っていた。
鎧武「ロシュ、オ……」
鎧武は直前までオーバーロードの王が横たわっていた己の手を見据える。その手で受け止めたにも関わらず、ぬくもりすら感じることができなかった。
ただ一つあった冷たい余韻が、鎧武の心を煮え滾らせていく。
シャムビシェ「古き王の最期にして、新たな王の誕生である!ハァーッハッハッハッハッハッハッハァッ!!」
鎧武「シャムビシェ……お前は、絶対許さねえ!!」
シャムビシェ「…何故怒る?貴様らの世界を滅ぼさんとした敵の親玉が死んだのだぞ?」
怒りを爆発させシャムビシェに躍りかかる鎧武。それを悠々とかわしながら、シャムビシェが問いかける。
鎧武「俺は……仲間を平気で裏切るような奴が一番許せねえ!!」
シャムビシェ「分からんな、貴様という男は…本当に!!」
強烈な打撃を叩き込み鎧武を吹っ飛ばすシャムビシェ。
追い討ちをかけようとする彼の前にディケイドと斬月が立ちはだかる。鎧武は体に鞭打って立ち上がり、シャムビシェに火縄大橙DJ銃を向けた。
ディケイド「お前、何故こんなことをした!?」
シャムビシェ「知恵の実だ…知恵の実を手に入れるためにこの時を…フェムシンムが王ただ一人になるその時をずっと待っていたのだ!!」
斬月「王ただ一人になる時だと…?一体どういうことだ!」
斬月の問いにシャムビシェは乾いた笑い声とともに答えを返す。
シャムビシェ「簡単なことだ。知恵の実を手に入れるためには王を倒さねばならない。だがその力は強大だ…悔しいが真っ向から挑んでも勝つことなど不可能。だから私は時間が掛かってでも確実な方法を選んだのだ」
鎧武「確実な、方法…!?」
シャムビシェ「そうだ。私はまず人間の社会に紛れ込んだ。フェムシンムの民には『人間たちの動向を探るための内通者』と偽ってな」
斬月「人間の社会に…だと?そんな馬鹿な!」
シャムビシェ「言っていなかったが、私は人間をはじめとした様々な生物に姿を変える力を持っている───こんな風に、な」
斬月「………!!」
シャムビシェが己の力を証明するため変身した人物。それは紛れもなく───
鎧武「…戦極、凌馬……!?」
斬月「ま、まさか…!」
凌馬「さすがに貴様は気付いたようだな冴羽タカトラ。そうだ、私は本物の戦極凌馬を殺害し入れ替わったのだ」
斬月「そんな、馬鹿な…まさか…!!」
ディケイド「おい、しっかりしろ!タカトラ!!」
ショックのあまり崩れ落ちる斬月をディケイドが慌てて支える。
無理もない、親友がいつの間にか怪物に入れ替わられていたのだから。
斬月「性格が変わってしまったのは…そのためか…」
凌馬「気付くのが遅かったな?」
斬月「き…貴様ァァッ!!」
鎧武「タカトラ!!」
斬月が戦極凌馬───否、シャムビシェに無双セイバーで斬りかかる。
だが地面から伸びた青いエネルギーの触手にメッタ打ちにされ吹っ飛び、変身が解除されてしまった。
タカトラ「ぐ、あ……」
シャムビシェ「話を続けよう。戦極凌馬となった私は戦極ドライバーを開発し、適当な人間をかき集めて人類にヘルヘイムへの対抗手段を与えた。それによって生まれたビートライダーズがフェムシンムと戦い、少しずつ数を減らさせ…そして今!ついに!私が最後の一人となった!!」
狂ったように猛り笑うシャムビシェ。
対照的に、ディケイドと鎧武は湧き上がってくる怒りに身を震わせていた。
シャムビシェ「長かった……だが、ようやく私のものになった!!黄金の果実よ、今こそ私に神の力を!!」
鎧武「させるかッ!!」
鎧武が火縄大橙DJ銃のトリガーを引いた。
だが既に遅い。シャムビシェは知恵の実をその体に取り込んでいた。
火炎弾は知恵の実から放たれる黄金色の光に阻まれ霧散する。
シャムビシェ「力が…力が湧き上がってくる…これが知恵の実の……すべてを支配する神の力!!」
シャムビシェの体がヘルヘイムの植物に包まれたかと思うと、その植物を食い破る形で再び姿を現す。
その姿はあまりにも凶悪で禍々しいものへと変わっていた。
シャムビシェ「私の世界だ!私が世界を手に入れたのだ!!」
鎧武「ふざけるなぁぁっ!!」
ディケイド「ああ…お前のおふざけに付き合うのももう飽きた!!」
鎧武とディケイドがシャムビシェの前に立ちはだかる。
シャムビシェ「ならば、私を倒すか?神である私を?笑わせるな!!それにもう遅い!!この世界は既にヘルヘイムと同化している!!仮に私を倒しても……ヘルヘイムの森は暴走を起こし、この世界は瞬く間に滅びるぞ!?」
ディケイド「たとえ世界そのものが敵に回っても、それに抗えるだけの力はまだ残っている!」
シャムビシェ「なんだと?」
ディケイド「…今、分かった。この世界で俺がするべき事……ただ世界を救うだけじゃない、知恵の実を手に入れることだ!!」
シャムビシェ「……何をッ!!」
その直後、ライドブッカーから三枚のカードが飛び出しディケイドの手に収まる。空白だったカードに絵柄が現れ、その力を取り戻したのだ。
《KAMEN RIDE GAIM》
《FINAL FORM RIDE GAIM》
《FINAL ATTACK RIDE GAIM》
カードにはそう描かれていた。
ディケイド「コウタ!!」
鎧武「ああ!!ここからは…」
「「俺たちのステージだ!!!!」」
シャムビシェ「神となった私の、最初の贄となるがいい!!」
シャムビシェが雄叫びを上げると、その姿が巨大な、禍々しい一輪の桔梗に変化する。
中央部にはシャムビシェが鎮座し、錫杖を構え二人を見下ろしていた。
鎧武「でけぇ!?」
ディケイド「安心しろコウタ。巨大化する奴は大抵負ける」
鎧武「そうなのか?」
ディケイド「俺は例外だけどな」
鎧武「えっ……いや、何だっていい!絶対負けねえ!!」
シャムビシェ「貴様らのステージではない!この世界そのものが私のステージだ!!」
ディケイド「どっちかと言えば、お前がステージだな」
シャムビシェの周囲から巨大な蕾がいくつも出現し、それらからこれまた巨大な種子が砲弾の如く射ち出される。
鎧武「うおおぉっ!!」
ディケイド「デカいのぶつけるぞ!!」
鎧武「おう!」
《FAIZ》
《KAMEN RIDE…》
《BLASTER》
《ロック・オン!》
《カチドキチャージ!》
《FINAL ATTACK RIDE…》
《FA FA FA FAIZ》
ディケイド「これで…」
鎧武「どうだあああぁぁッ!!」
シャムビシェ「無駄だァッ!!」
ディケイドが召喚されたファイズブラスターフォームと共に《フォトンバスター》を、鎧武が《カチドキチャージ》を、シャムビシェの本体に向けて発射する。
だが集まってきた蕾に阻まれ、その内の一つを破壊することしかできなかった。
シャムビシェ「私の力を越えることなどできない!!」
シャムビシェが放った種子が割れ、中からインベスが飛び出してくる。
鎧武「くそっ、またかよ!」
ディケイド「面倒だな…」
《HIBIKI》
《KAMEN RIDE…》
《ARMED》
《FINAL ATTACK RIDE…》
《HI HI HI HIBIKI》
押し寄せるインベスの波を迎え撃っていく二人。
鎧武は火縄大橙DJ銃をマシンガンモードに切り替え、インベスを打ち倒していく。
ディケイドもアームド響鬼を召喚し《音撃刃 鬼神覚声》でインベスを薙ぎ払うが、それでも一向に数が減らない。
インベスに加えシャムビシェの蕾による砲撃もあり、二人の消耗は激しかった。
ディケイド「底なしに沸いてくるぞこいつら!」
鎧武「インベスだけでも、何とかなれば…!」
ディケイド「っ、コウタ!上だ!!」
インベスを倒し続ける二人。その頭上にセイリュウインベス強化体が現れ、二人に向けて火炎弾を放とうとしていた。
鎧武が火縄大橙DJ銃を向けるが、襲いかかってきたライオンインベスの攻撃を受けままならない。
ディケイド「まずい!!」
鎧武「ま、間に合わない…」
今まさに火炎弾が放たれるその瞬間だった。
すぐ側のビルの崩れた場所から衝撃波が放たれ、セイリュウインベス強化体の頭部を直撃する。
大したダメージには至らなかったものの、それによって火炎弾が二人とはまったく別の方向へ吐き出された。着弾した場所にいたインベスたちが爆散する。
グリドン「危ないところだったな!」
鎧武「木島!」
グリドンが地上の二人に向けてサムズアップする。
そのグリドンの背後から現れたもう一つの影が、セイリュウインベス強化体に飛びかかった。
鎧武「相原も…!」
黒影「うおらあああああぁぁぁっ!!」
《ソイヤッ!マツボックリスパーキング!》
黒影が放った《マツボックリスパーキング》を受け、セイリュウインベス強化体が爆散する。
シュタッ!と華麗に着地した黒影とビルから降りてきたグリドンが二人に駆け寄る。
黒影「ここは引き受けるぜ」
グリドン「あのデカブツは頼んだ!」
鎧武「ああ…!いこう、士!!」
ディケイド「いいところで出てきたな…まかせた」
インベスの群れをグリドンと黒影に任せ、ディケイドと鎧武は群れを掻き分けながらシャムビシェの元へと走る。
その途中も撃ち込まれ続ける種子のひとつが二人の目の前に突き刺さった。
鎧武「おおっと!?」
ディケイド「なんだこの種は…?」
その種子は他のものと違い、どす黒い上に赤い筋が走っていた。その種子にヒビが入り、中から何かが飛び出してくる。
???「ガアアアァァッ!!」
ディケイド「こいつは…」
鎧武「で、デェムシュ!?」
中から飛び出してきたのはインベスではなく───オーバーロードの一人、デェムシュであった。だがその様子からは知性を感じられない。
鎧武「オーバーロードを複製したのか!?」
ディケイド「厄介そうだ。突破するぞ!」
鎧武「わ、分かった!」
ディケイドがライドブッカー・ガンモードをデェムシュに撃ち込む。
デェムシュはそれを剣で防御するが、続けて撃ち込まれた火縄大橙DJ銃の砲撃は防ぎきれず仰け反る。
デェムシュ「ガアァッ!!」
立ち昇る煙が晴れるとそこにはもう二人はおらず、シャムビシェの元へ向かって走る二人の姿が映った。
その後を追いかけようと足を踏み出したデェムシュに突如銃撃が襲いかかる。振り返ったデェムシュに巨大な拳が炸裂した。
デェムシュ「グガアアアァァッ!?」
龍玄「行かせませんよ!」
ナックル「俺たちが相手だ!」
デェムシュ「グ、ガアアァッ!!」
龍玄とナックルがデェムシュに躍りかかる。
鎧武とディケイドは二人の加勢を見届けると、シャムビシェに向かって進むその足を早めた。
~~~
インベスの群れと交戦を続けるグリドンと黒影。
種子が撃ち込まれなくなり数が増えることはなくなったが、それでもまだ数は途方もなく多い。
ビートライダーズとしてはまだ未熟な上に、レデュエ戦での負傷。実はセイリュウインベス強化体を倒した時点で既に消耗し切っていた。
黒影「ここは引き受けた、なんて言っちまったけど…結構ピンチだぜこれ…」
グリドン「よ、弱音なんてらしくないね?俺たちは…まだ、これからでしょ…!」
黒影「…そうだな……俺たちのステージはまだこれからだ!!」
《ソイヤッ!マツボックリスカッシュ!》
《カモン!ドングリオーレ!》
「「うおおおおおぉぉぉ…!!」」
カッティングブレードを倒して必殺技の構えをとる二人。
迫りくるインベスに向けて今まさに放とうとしたその瞬間───
《FINAL ATTACK RIDE...》
《DE DE DE DELIGHT》
グリドン「えっ」
突然光の刃が飛んできてインベスたちを一掃してしまった。
必殺技の構えをとったまま硬直する二人。
ディライト「あーあ、不本意、不本意……」
黒影「お、お前は!?」
直前までインベスで埋まっていた場所に、ディライドライバーを肩に担ぎ退屈そうにするディライトがいた。
グリドン「誰だお前?」
黒影「ディケイドの仲間か!?」
ディライト「うるさいなぁー…あいつと一緒にしないでよ」
グリドン「助けてくれたんじゃないのか?」
ディライト「進路を塞がれて邪魔だっただけって感じ」
グリドン「いや、でもさっき不本意って…」
ディライト「………」
グリドン「はい、すいません」
無言で威圧するディライトにグリドンは何故か謝ってしまう。
黒影「お前、ディケイドの邪魔しに行くのか!?」
ディライト「違う違う。お別れの挨拶しに行くの」
黒影「お別れだと…?やっぱり倒しにいくんだな!?そうはさせねえ!俺がここで」
ディライト「………」
黒影「はい、すいません」
ディライト「じゃ、私急ぐからー」
棒立ちで固まる二人を一瞥すると、ディライトはその足をシャムビシェのいる方へと向けた。
グリドン「………」
黒影「………」
グリドン「……俺たちも行こうか」
黒影「……おう」
~~~
俺は、生きている?
カイト「…ここは……」
カイトが目を開ける。見渡してみると、どうやら小さな廃ビルの屋上のようだ。
シャムビシェの攻撃を受けたはずの自分が何故こんな場所に?
そんな彼にひとつの気配が近付いてくる。とっさに身構えたカイトの視界に映ったのは───エルだった。
エルは帽子を脱いでぺこり、とお辞儀をし、またかぶる。
カイト「お前は…!」
エル「危ないところでしたね」
カイト「……お前が俺を助けたのか?」
エル「はい。あれは危ないと思いまして…ホールでちょちょい、と」
カイト「何故助けた?お前に俺の命を守る理由などないだろう」
カイトのその質問にエルは顎に手を置いてうーんと唸る。
エル「実は、それが……私にもよく分からないんです」
カイト「は?」
エル「そうですね、強いて言うのならば……『もっとあなたと戦いたいから』でしょうか?」
カイト「……よく分からんがまあ何でもいい。俺は一度お前に負けたが……次は必ず勝つと誓った!今ここで俺の力を───」
エル「助けてあげたのにお礼の一つもないのですか?」
カイト「おん!?」
自分の台詞を遮られた上に、思わぬ言葉を投げかけられたカイトが素頓狂な声をあげる。
エルはそんなカイトをからかうように催促する。
エル「ほら。はやく、はやく」
カイト「………」
エル「礼の一つも言えないあなたでは、一生を賭けても私に勝てませんよ?」
カイト「………礼は、言う」
エル「何ですかそれ」
カイト「う、うるさい!とにかく、俺の再戦を受けろ!」
エル「そんな傷で、何をするっていうんですか?」
可笑しそうにくすくすと笑うエルにカイトが吠える。
エルはそんなカイトに歩み寄り、彼の胸にそっと手を当てる。戸惑いを見せるカイトを尻目に、エルは何やら聞いたことのない言語の、呪文のようなものを唱える。
すると、カイトの体中の傷がみるみるうちに塞がっていき、やがて完治してしまった。
治癒が完了すると、エルはそっと手を離す。
カイト「こ、これは…!?」
エル「行きましょう。あなたの仲間はまだ戦い続けています」
そう言ってエルは歩き出すが、数歩進んだところで足を止めた。
エル「…あなたを助けた理由、もう一つ教えてあげます」
カイト「何…?」
エル「こんなところであなたに死なれては困るから」
カイト「それは……どういう意味だ?」
エル「さあ。私にもさっぱり」
カイト「…本当に何なんだお前は」
はぁ、とため息をひとつついて、カイトはエルの後に続いた。
~~~
鎧武「うおおおおおぉぉぉっ!!」
シャムビシェ「…小賢しい猿どもめッ!!」
シャムビシェの元までたどり着いた二人。
蔓を伸ばして攻撃してくるが、それらを防ぎ、切り落とし、あるいは飛び乗って上っていく。
やがて二人はシャムビシェの本体が待ち構える花冠の元へと到着した。
ディケイド「やっとここまで来れたな」
鎧武「これで最後だ、シャムビシェ!!」
シャムビシェ「最後…?笑わせるな!!最後を迎えるのは貴様らのほうだ!!」
シャムビシェが錫杖を振ると、花弁から青いエネルギーの触手が無数に生え、二人に襲いかかる。
鎧武が火縄大橙DJ銃・大剣モードを振り回して切り落とし、ディケイドがライドブッカーをシャムビシェに撃ち込む。
それを錫杖で防ぎ、光弾を放って反撃する。光弾は鎧武に叩き斬られ霧散した。
錫杖を握る手が強くなる。それに呼応するかのように触手が更に出現し、二人に一斉に襲いかかった。
鎧武「がっ!!」
ディケイド「うあああぁっ!!」
鎧武「やっ、やべえ!!」
触手の勢いに押され、ついに花冠から落下してしまう。
鎧武は咄嗟にダンデライナーを展開し搭乗、ディケイドを拾って花冠へ突っ込んでいく。
ディケイド「助かった」
鎧武「リベンジだ!!」
シャムビシェ「グッ……おのれ!!」
シャムビシェの頭上をとり、ダンデライナーの機銃で触手を一掃する。
二人はダンデライナーから飛び降り、シャムビシェに再度立ち向かっていく。
シャムビシェ「素晴らしき執念だ…だが、これまでよ!!」
シャムビシェが錫杖を頭上に掲げると、その切っ先から青い波紋が広がる。
その次の瞬間、二人の体に凄まじい衝撃が走った。まるで体の内側から直接攻撃を受けたかのような衝撃に膝をつく。
ディケイド「なっ…!?」
鎧武「が、はぁっ……」
シャムビシェ「無駄な抵抗もこれまでだ」
鎧武「まだ、まだぁ……!!」
シャムビシェ「まだ立ち上がるというのか…!?」
ディケイド「言っただろ……『ここからは俺たちのステージだ』ってな!!」
鎧武「お前なんかに負けはしない!!」
《FINAL ATTACK RIDE…》
《DE DE DE DECADE》
《ロック・オン!》
《イチ!ジュウ!ヒャク!セン!マン!オク!チョウ!無量大数!カチドキチャージ!!》
シャムビシェ「この……死にぞこないがあああああぁぁぁッッ!!」
鎧武「うおおおおおおッ!!」
ディケイド「はあああぁぁッ!!」
ディケイドが跳躍し、いくつもの光のカードが出現しシャムビシェを捉える。
シャムビシェは再び波紋を放つがディケイドの《強化ディメンションキック》に打ち消され、さらに鎧武の《火縄大橙無双斬》との同時攻撃を受け爆散した。
二人はシャムビシェの消滅した花冠に着地する。
鎧武「いよっしゃぁ!!」
ディケイド「待て…様子がおかしい!」
鎧武「え………おわぁっ!?」
直後、二人が乗っている花冠が大きく揺れ始めた。鎧武はバランスを崩し花冠から落ちそうになるも何とか踏みとどまる。
揺れが収まったかと思うと、突然花冠の中央部から茎が伸び、新たなキキョウの花が咲いた。
その中央には───シャムビシェの姿があった。以前よりも更に禍々しさが増し、その眼には明確な殺意と怨嗟が宿っていた。
鎧武「なっ…!?」
ディケイド「復活した…!?」
シャムビシェ「第二ラウンドダ!!」
低くくぐもった声でシャムビシェがそう叫ぶと、シャムビシェの居座るキキョウの花弁が高速で回転し、光の刃を射ち出した。
二人は咄嗟にそれぞれの得物で防ぐが、光の刃は着弾と同時に炸裂し二人を爆風で包み込んだ。
今度こそ倒した。そんなシャムビシェの確信は次の瞬間へし折られる。
ディケイド「なら、俺たちも第二ステージに行くとするか」
鎧武「ああ…俺たちのステージはまだ続いてる!!」
ディケイドがライドブッカーから一枚のカードを取り出す。《FINAL FORM RIDE GAIM》のカードだ。
ディケイドはそのカードをディケイドライバーに装填する。
《FINAL FORM RIDE…》
《GA GA GA GAIM》
ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ」
鎧武「な、なんだよ…?」
ディケイドは鎧武に無理矢理背中を向かせると、その背に両手を突っ込む。
鎧武「のおおおぉぉーッ!?」
ディケイド「………ん?」
しかし、なにもおこらなかった。
ディケイドは引き抜いた両手を訝しげに見つめる。
鎧武「お、お前…」
ディケイド「もう一回」
鎧武「こんな時になにすぎょえええぇぇーッ!?」
しかし、なにもおこらなかった!
ディケイド「どういうことだ……?」
鎧武「俺の台詞だよ!?何だよ今のめっちゃ痛ぇ!!」
鎧武のお怒りの言葉にも耳を貸さず、ディケイドはディケイドライバーからカードを引き抜く。
鎧武のファイナルフォームライドカードに描かれていたのは、見知らぬアームズを装備する鎧武と……サクラハリケーンだった。
ディケイド「なるほど、そういうことか」
鎧武「話聞けよ……」
ディケイド「コウタ、サクラハリケーンを出せ」
鎧武「えぇ?もうなんなんだよ、いきなり…」
鎧武は不審を抱きながらもホルダーからサクラハリケーンロックシードを取り出し、解錠する。ロックシードが空中でバイクに変形しサクラハリケーンが完成した。
ディケイドはもう一度バックルにカードを装填し、今度は鎧武ではなくサクラハリケーンの方へ向かう。
《FINAL FORM RIDE…》
《GA GA GA GAIM》
ディケイド「ターゲットはこっちだ」
ディケイドがサクラハリケーンのトレードマークである桜の花びらをぺし、と小突く。
するとサクラハリケーンがロックシード形態に戻り、鎧武の頭上に移動した。
鎧武「うおっ!?なんだこれ!?」
ディケイド「そして、こう!」
ディケイドが鎧武のベルトのブレードを倒す。
すると鎧武のカチドキアームズが消滅し、頭上のサクラロックシードが代わりに被さった。
《ソイヤッ!サクラアームズ!花道 フルブルーム!》
鎧武「うおおおおおおぉぉぉぉ………なんだこれぇー!?」
ディケイド「こういうカードもあるのか…」
サクラアームズとなった鎧武。手には桜の木を模した薙刀「サクラ旋刃」が握られていた。
シャムビシェ「ナンダソノ姿ハ…!?ソンナ力、私ノベルトニハ……」
ディケイド「最後を飾るに相応しい衣装だ」
鎧武「何かよく分からないけど……いっくぜえええぇぇ!!」
シャムビシェ「ソンナコケオドシガ通用スルカ!!」
サクラ旋刃を振りかざしシャムビシェに飛びかかる。シャムビシェは光の刃を放つが、それらをすべて切り払い突き進む。
シャムビシェ「何故ダッ…止マレッ!止マレェッ!!」
鎧武「おおおおおぉぉぉッ!!」
《ソイヤッ!サクラスカッシュ!》
鎧武「セイハーーーッ!!!」
シャムビシェ「ガアアアアアァァァッ!!!」
サクラ旋刃の刀身が輝く。その輝く剣がシャムビシェを一刀両断した。
シャムビシェの絶叫が響き渡る。だがまだ息絶えてはいなかった。
シャムビシェ「グ、ガ…マダダ……私ノ力ヲ甘ク見ルナ…!!」
鎧武「さ、再生してやがる!!」
真っ二つにされたその体が徐々に結合を始める。
ディケイド「コウタ、一気に決めるぞ!!」
鎧武「おう!!」
《FINAL FORM RIDE…》
《GA GA GA GAIM》
ディケイド「ちょっとくすぐったいぞパート2!」
鎧武「ぬぎゃーっ!?」
ディケイドが鎧武の背中に手を突っ込む。すると鎧武の体がサクラハリケーンに変形し、空中へ飛び上がる。
ディケイド「はあっ!!」
その後を追うようにディケイドが跳躍し、鎧武サクラハリケーンの後方に位置取る。
《FINAL ATTACK RIDE…》
《GA GA GA GAIM》
ディケイド「はあああぁぁーッ!!」
シャムビシェ「グ、ウゥ…ウオアアアアアァァァッ!!!!」
凄まじい勢いで横回転し桜のエフェクトを纏うサクラハリケーンを、ディケイドは押し出す形でキックを放つ。
必殺の《ディケイドブルーム》が炸裂し、シャムビシェは再び悲鳴と共に爆散した。
それに伴い巨大なキキョウの花が急速に枯れ始め、崩れ落ちる。
残ったのは、巨大な風穴のみであった。
~~~
龍玄「喰らえッ!!」
ナックル「うおらぁッ!!」
デェムシュ「グガァッ!!」
デェムシュの剣がナックルを捉えるが、龍玄・キウイアームズのキウイ撃輪による攻撃に阻まれ失敗。そこにナックルが巨大な拳で追撃を加える。
吹っ飛ばされたデェムシュはすぐに起き上がり、剣を振り回して唸り声を上げる。
デェムシュ「ガァァッ!!ガァァァァァッ!!」
龍玄「どうやら残っているのは恨みの感情だけみたいですね」
ナックル「だったら、すぐに解放させてやらねえとな!」
《クルミオーレ!》
龍玄「そうですね……これで決めましょう!!」
《ハイーッ!キウイオーレ!》
デェムシュ「ガアアアァァッ!!」
突進してくるデェムシュにナックルがクルミボンバーによる《クルミオーレ》で強烈なアッパーを叩き込み高く打ち上げる。
無防備に宙を舞うデェムシュに龍玄の《スピニングフープ》が炸裂しデェムシュは空中で爆散した。
龍玄「終わりましたね」
ナックル「ああ」
グリドン「おおーい!」
黒影「こっちは片付いたぜー!」
デェムシュを倒した二人の元に、グリドンと黒影が駆け寄ってくる。
ナックル「おう、こっちも今終わったとこだ」
龍玄「妙にタイミングがいいですね」
グリドン「えっ!?いや、そんなことないと思うけどなぁ?」
黒影「そ、そうだぜ。別にデェムシュが怖かったわけじゃないからな」
グリドン「それ言っちゃダメ!!」
龍玄「ああ…はい…」
ナックル「何でもいいさ。とにかく急いでコウタたちの援護に───」
龍玄「あ、あれは…」
ナックル「え?」
龍玄が指差したのはシャムビシェの変化したキキョウ。
それが今まさに枯れ果て崩れ落ちるところだった。
ナックル「やったんだな、コウタたち!」
龍玄「行きましょう!」
黒影「おうよ!」
グリドン「二人とも無事だといいなぁ」
四人はキキョウのあった場所へ向かって走り出した。
~~~
崩れ落ちるキキョウからダンデライナーで地上に降りたディケイドと鎧武は跡形もなく消滅した花の爪痕である大穴を眺めていた。
鎧武は通常のオレンジアームズに戻っている。
鎧武「…終わった、のか…これで…」
ディケイド「ああ。これで、俺の役目も───」
その言葉を遮り、大穴の中から放たれた青い光弾が二人を襲った。
爆風に吹き飛ばされ、地面を転がる。何とか起き上がり大穴の方を見ると、そこには倒したはずのシャムビシェが立っていた。
その姿は禍々しく変貌したものではなく、最初に出会った時のものに戻っている。
シャムビシェ「………」
鎧武「そ、そんな…まだ生きてるのか…!?」
ディケイド「なんて奴だ……」
シャムビシェ「返せ…私の、知恵の実を……返せ…ッ!!」
ディケイド「知恵の実だと?」
ディケイドと鎧武が顔を見合わせる。知恵の実はシャムビシェが持っていたはずだ。
シャムビシェ「返せ!!」
シャムビシェが再び光弾を放つ。
今度はライドブッカーで防御し、弾き飛ばした。
鎧武「こいつ、何を…」
ディケイド「…コウタ。お前、それ……」
鎧武「え?……えぇっ!?」
ディケイドが指差したのは鎧武の右手。
そこにはしっかりと知恵の実が収まっていた。
鎧武「あ、あれ!?何で!?」
シャムビシェ「返せェッ!!」
錫杖を振り上げ鎧武に襲いかかるシャムビシェ。
鎧武はそれを大橙丸で弾き、反撃にシャムビシェの胴を切り裂く。
シャムビシェ「ガッ……」
シャムビシェがふらふらと後ずさり膝をつく。
きっ、とこちらを睨むその眼はあらゆる負の感情が混ざったかのように黒く淀んでいた。
鎧武「知恵の実が何で俺のところに…」
ディケイド「……選ばれたから、じゃないのか?」
鎧武「俺が知恵の実に…!?」
鎧武は手の中の知恵の実を見る。
知恵の実は眩い光を放つと、その姿を一つのロックシードに変化させた。
鎧武「何だこれ!?」
ディケイド「知恵の実がロックシードに…?」
シャムビシェ「馬鹿な……私の、知恵の実が……」
鎧武「これは……鍵、なのか……?」
知恵の実が変化したロックシードを掲げる鎧武。側面のスイッチを押すと『鍵』らしきパーツが飛び出した。
鎧武はその鍵を見て、ある考えに思い至る。
鎧武「まさか…!」
《カチドキ!》
《ロック・オン!》
《ソイヤッ!カチドキアームズ!いざ、出陣!エイエイオー!!》
カチドキアームズとなった鎧武は『鍵』を戦極ドライバーに近付ける。
するとフェイスプレートが外れ、カチドキロックシードの側面に鍵穴が現れた。
鎧武「やっぱり…!!」
シャムビシェ「返せッ!!返せッ!!返せエエエェェッ!!」
鎧武「これならどうだぁっ!!」
《フルーツバスケット!》
シャムビシェが狂ったように光弾を乱射する。
だがそれらはすべて、鎧武の頭上に開いたクラックから現れたいくつものアームズによって防がれてしまう。
そしてそのアームズたちは鎧武の元にひとつに集まり、カチドキアームズの重い鎧を弾き飛ばした。
《ロック・オープン!》
《極アームズ!大・大・大・大・大将軍!!》
鎧武「これが…俺の新しい力…!?」
シャムビシェ「そ、そんな……そんな馬鹿な…私の…私の知恵の実を、よくも……!!」
シャムビシェがきっ、と強い憎悪の宿った眼でディケイドたちを睨み、懐から赤いベルトとクリアブルーのロックシードを取り出した。
赤いベルト───ゲネシスドライバーを腰に装着し、ロックシードを解錠する。
シャムビシェ「私を…本気で怒らせたな…!!」
《レモンエナジー!》
鎧武「なんだ、そのロックシードは…!?」
シャムビシェ「貴様らを殺すための、奥の手だ…!」
《ロック・オン!》
シャムビシェ「変、身…!!」
《ソーダァ… レモンエナジーアームズ!》
《FIGHT POWER! FIGHT POWER! FI FI FI FI FFFF FIGHT!!》
頭上に開いたクラックから降りてきたレモンを象ったアーマーがシャムビシェに被さり展開する。
電子音声が流れ───シャムビシェは『仮面ライダーデューク』へと変身した。
デューク「私の力は絶対だ!それを越える者など許さない……知恵の実は返してもらう!!この世界を手に入れるのは貴様らを始末してからでも遅くない!!」
鎧武「そんなこと、俺が絶対にさせない!!」
デューク「滅びるのは貴様らの方だ!!」
デュークがソニックアローから光の矢を放つ。凄まじいスピードで放たれたそれを鎧武はマントで防ぎ、一歩一歩デュークに歩み寄っていく。
極ロックシードを二回捻ると、大橙丸とメロンディフェンダーが召喚される。
《大橙丸!》
《メロンディフェンダー!》
ディケイド「あれは…!?」
デューク「……私の
鎧武「らああぁっ!!」
デューク「グアァッ!!」
鎧武に向けてソニックアローを撃ち込むがメロンディフェンダーで防がれ、一気に距離を詰められたデュークは大橙丸による流れるような連続斬りを受ける。
デューク「グ、ウウゥ…」
《バナスピアー!》
《ブドウ龍砲!》
ディケイド「他のアームズの武器を召喚できるのか…」
今度はバナスピアーとブドウ龍砲を構える。
バナスピアーでデュークを打ち据え、貫き、吹っ飛んだところにブドウ龍砲による追撃が入る。
デューク「長い時を、待ち続けた…!!こんな、ところでェ…!!」
《ロック・オン!》
デュークがレモンエナジーロックシードをソニックアローのソケットにセットする。
デューク「私の夢は……潰えない!!」
《レモンエナジー!》
《マンゴパニッシャー!》
鎧武「うおらああぁっ!!」
ソニックアローから強力な光の矢《ソニックボレー》が鎧武に放たれる。
だが鎧武はそれをマンゴパニッシャーで弾き、ハンマー投げのように投擲しデュークに叩きつけた。
デューク「ば、馬鹿な……」
鎧武「これで…最後だ!!」
《無双セイバー!》
《火縄大橙DJ銃!》
《極オーレ!》
鎧武「はああああぁぁぁ……セイハーーーッ!!」
デューク「グッ…アアアアアァァァッ!!」
火縄大橙DJ銃を大剣モードに変形させ、ブレードを二回倒す。
虹色のオーラを纏った大剣でデュークを一撃。悲鳴と共に爆発し、変身が解除される。
シャムビシェ「ガ…ハァッ…」
ディケイド「…諦めろ。お前の夢は潰えたんだ」
シャムビシェ「ふざ、けるな…!!まだだ…まだ諦めんぞ……!!」
鎧武「!! まだ、やるのか…!!」
ゲネシスドライバーとロックシードを拾ってふらつきながらも立ち上がるシャムビシェ。だがその手に銃撃を撃ち込まれ、取り落としてしまう。
振り返ったシャムビシェが見たのは、こちらに無双セイバーの銃口を向けて佇む斬月の姿だった。
鎧武「タカトラ!?」
斬月「……俺が、トドメを刺す」
ディケイド「タカトラ…」
鎧武「……分かったよ」
鎧武とディケイドが、そして集まってきた龍玄たち四人も、シャムビシェと対峙する斬月を見守る。
シャムビシェににじり寄る斬月が、無双セイバーを構える。
シャムビシェ「私の…私の、夢がぁ……」
斬月「無念を晴らすぞ……凌馬……」
《ロック・オン!》
《イチ!ジュウ!ヒャク!メロンチャージ!》
斬月「はあああぁぁーーーッ!!」
シャムビシェ「私の夢が、消えてゆく……グ、ガアアアァァッ!!」
怒りと哀しみを乗せた《無双斬》がシャムビシェを一閃する。
シャムビシェは断末魔の叫びを上げて爆散、ついに跡形もなく消滅した。
斬月「また会おう……凌馬…」
それを見届けた斬月は無双セイバーを収め変身を解除する。ディケイドたちも変身を解除し、駆け寄った。
戦いの終結を喜び合う。
コウタ「…あ!?」
ザック「どうした?コウタ…」
コウタ「見ろよ、あれ…」
コウタが指差した先には、ヘルヘイムの植物。だがそれらは見る見るうちに枯れ果て、やがて完全に消滅した。
他のヘルヘイムの植物も同様に萎れ、消滅する。沢芽市に蔓延っていたヘルヘイムはすっかり消え去ってしまった。
ヒデヤス「えっ、これどういうこと!?」
リョウジ「すげぇ…跡形もなく消えちまいやがった!」
ザック「…勝ったんだ、俺たち……ヘルヘイムに……」
ミツザネ「よかった、兄さん…」
タカトラ「ああ…これで本当に全部終わりだ」
士「一件落着、か」
だがコウタの表情は暗いままだった。
ザック「どうしたんだよ、コウタ?」
コウタ「全部終わった……けど、カイトが……」
ヒデヤス「カイト?そういえば見ないな…」
士「カイトは……」
涙ぐむコウタに代わり士が真実を打ち明けようと口を開こうとしたその瞬間。
士の台詞を遮ってどすのきいた低い声が響いた。
シシガケ「一足遅かったか…」
シシガケとコテツ、怜雄、エル。
行方不明だったラアデュンシェ。
そして───蔵間カイトが、コウタたちの前に姿を現した。
ペース配分を疎かにしたせいでシャムビシェが異常にタフな奴になってしまったでござる。
花の知識は皆無です。正直に言います、ググりました。
桔梗シャムビシェは御神木と融合した蓮華座武神鎧武ほど巨大ではありません。
それにしてもこのレデュエちょっと気持ち悪いですね。自分で書いておいてなんですが。
やっぱりレデュエは腹黒い野心家であるべきだ…
あと今作では極アームズにオーバーロード化の危険性はありません。
作者自身、鬱展開が苦手なので、そういったものは極力含まない方向で進めていきます。
鎧武も身をギチギチに固めながらかろうじて見れてるってレベルなので…昔はそんなことなかったのになあ。
(( ::X::))「本当に腑抜けになってしまったようだなぁ?使えないなぁ?」