ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜 作:小説設営隊隊長
ガダルカナル島撤退作戦が実行されて、設営隊総数2500名中700名の救出に成功する。
そんな中、軍令部からの要請により哨戒活動に協力することになった学生艦隊。
晴風はサイパン島沖を哨戒中に、米海軍の空母[ワスプ]の偵察機に見つかり、攻撃隊40機の接敵を受ける。
岬明乃は意を決して、米海軍攻撃隊と戦う事を選んだのだ。
マリアナ諸島サイパン島上空
空母ワスプ所属航空隊[VB-6] 隊長機 コックピット
偵察機からの第一報を聞いた空母ワスプは、自艦所属の航空隊40機を発進させ一路、晴風へと向かっていた。
機銃手「右下方にウェーキ[航跡]!!」
攻撃隊隊長「………ふっ、間違いねぇ……奴だ!!」
雲の上で海上の様子は見えなかったが、雲と雲の切れ目から、航行中の晴風を発見する。
攻撃隊隊長「よーし!攻撃態勢に入るぞ!雷撃隊は高度50フィートまで降下!!艦爆隊は俺に続けぇ!!」
VB-6隊員達《ラジャ!!》
晴風を発見したVB-6は、直ちに攻撃態勢に入るが、晴風もまた攻撃態勢に入りつつあった。
マリアナ諸島サイパン島沖
晴風:艦橋
岬明乃『各部対空戦闘、急いで!!』
宗谷雪「艦内全防火・防水扉の閉鎖を確認!!」
西崎芽依「魚雷準備完了!!てか、相手が航空機じゃあ魚雷なんて意味ないけどね!」
立石志摩「主砲…準備良し。」
柳原麻侖《機関室、配置良し!!》
知床鈴「こっちも大丈夫です!」
攻撃態勢の準備完了は晴風の方が早かったが、高速で近づく航空機に、どうやって対処するか悩んでいた。
岬明乃「なんとか雷撃隊は仕留めたいけど、通常弾じゃ効き目は……」
するとそこに、納沙幸子が対処法を持ち込んでくる。
納沙幸子「艦長!これ、使えないでしょうか?」
そう言うと、明乃とましろにある兵装のデータを見せてきた。
宗谷ましろ「近接砲弾?」
納沙幸子「明石に積んであったので、なにかに使えるんじゃないかと思って余分に搭載してもらったんです!」
岬明乃「近接砲弾は、対高速艇迎撃用の砲弾の筈………これをうまく使えば……」
宗谷ましろ「危険が大きすぎますが………」
岬明乃「それでも、今はやらないと……シロちゃん!」
宗谷ましろ「……わかりました!砲術長!1番砲塔に近接砲弾を装填!信管作動は磁気探知!」
立石志摩「うぃ!」
迎撃準備が行われると、電測室からさらなる報告が上がる。
宇田慧《敵攻撃隊、3隊に分かれました!12機が高度50mから!!15機が高度200以上、レーダーの探知距離外から!!残りは戦闘機かと!!》
野間マチコ《本艦の左右前方、高度50mから6機接近!雷撃機と思われます!》
岬明乃「砲撃用意!!」
かくして、学生艦隊初の対空戦闘が始まろうとしていた。
晴風後方海中
伊号第十九潜水艦:発令所
水測員「海上から騒音あり。米軍機と思われます。」
副長「木梨艦長!」
木梨鷹一少佐「サイパン島の基地に詳細報告!!本艦はこれより、敵攻撃隊の母艦を叩く!!」
副長「艦長!!ここは晴風を支援すべきでは?!」
木梨鷹一「こちらには貧弱な機銃しかないよ。だったら母艦を叩くほうに専念するしかない。」
そう言いつつも、木梨の心は断腸の思いでいっぱいであった。
木梨鷹一(すまん、晴風…………無事でいてくれ!)
そう願いつつ、ワスプ追撃に向かう伊−十九潜水艦。
そして……
海上
米軍パイロット「全機、アタックポイント確保!ターゲットまで5マイル!!」
VB-6が晴風に対して攻撃を仕掛けようとしていた。
迎撃準備が整った晴風は、1番砲塔を右舷前方から接近する雷撃機に照準を合わせる。
米軍パイロット「っふ!たかが1門の砲で、何ができる!!」
これでもかと晴風を煽る米軍パイロットであったが、数秒後に地獄を見ることになろうとは死ぬ瞬間まで知らなかった。
晴風:艦橋
米軍雷撃機が射程距離に入ると、明乃は攻撃指示を下す。
岬明乃「対空戦闘!目標、雷撃機!!撃ち方始め!!」
立石志摩「ぅてぇーーー!!」
砲術長の号令がくだされると、晴風の主砲が火を吹く。
砲弾が雷撃機へと迫る。
刹那!
米軍パイロット「?!?!」
砲弾が雷撃機の手前で起爆して一瞬にして火達磨になり、海上へと墜落した。
晴風の主砲は勢いを衰えず、瞬く間に右舷から迫る雷撃機3機を撃墜する。
晴風:前部マスト見張り台
野間マチコ「……右舷前方から迫る雷撃機、3機撃墜を確認!」
晴風:電測室
宇田慧「新たな目標、2-1-0から3機!!」
晴風:射撃指揮所
小笠原光「砲身仰角そのまま!1番砲塔、2-1-0へ旋回!!」
武田美知留「砲塔回す!!……はい、回した!2-1-0!」
日置順子「バキュンと行くよ!!」
砲塔が左舷側を向くと、つかさず砲撃を加え、2分もしない内に雷撃機計6機を撃墜する。
その様子を上空で見ていた爆撃隊は驚愕するのであった。
隊長機 コックピット
機銃手「…………?!隊長ーー!雷撃隊がーー!!」
隊長「なぬ?!…………っ!!」
一瞬にして雷撃隊が壊滅するという事態に、米軍パイロット達は予想すらできなかったが、爆撃隊の1機が逆上して晴風に急降下爆撃を敢行する。
隊長「ま、待て!早まるな!!」
隊長の制止も虚しく、他の僚機も我先にと次々と急降下爆撃を敢行する。
晴風:電測室
宇田慧「敵攻撃隊!数機が急速接近中!!」
晴風:艦橋
岬明乃『速度このままで面舵一杯!!』
知床鈴「ヨ、ヨーソロー!!」
岬明乃「後部砲塔、用意!!」
岬明乃の柔軟な発想で、晴風を爆撃隊の後方へと回り込ませて、主砲の射線を確保する。
小笠原光《射線確保!!》
岬明乃『ぅてぇーーーー!!』
ここぞとばかりに主砲を撃つ。
爆撃隊は晴風の進路変更で、態勢を立て直していたが、先行した爆撃機の1機の真下で砲弾が炸裂!
直後、抱えていた80ポンド爆弾が誘爆を起こして機体諸共爆散する。
晴風の攻撃は留まるところを知らず、態勢が崩れた爆撃機に連撃を加え、1機、また1機と撃ち落としていく。
攻撃が病んだと安心しかけるが、黒煙を突き破って、隊長機の爆撃機が晴風に向かって猛進してきたのだ。
野間マチコ《敵攻撃隊1機、急接近!!》
宗谷ましろ「なんだと?!」
岬明乃「?!」
隊長機:コックピット
隊長「突入角度良好!!センターを捉えた!!80ポンドの火の玉を……喰らえぇぇ!!」
遂に、米軍の反撃が唸りを上げた。
爆撃機から放たれた80ポンド爆弾が、晴風へと迫る。
晴風:艦橋
山下秀子「敵攻撃隊!爆弾を投弾!!真っ直ぐこちらに来ます!!」
納沙幸子「爆弾?!」
岬明乃「主砲、迎撃!!」
立石志摩「装填後10秒!」
爆弾が晴風の目と鼻の先にへと迫り、誰もが戦慄を覚えると、秒差で主砲の装填が終わるやいなや発砲!
ガコンっと鈍い金属音が響き、近接砲弾が跳ね飛ばされるが、その箇所がへこんだ瞬間、80ポンド爆弾が炸裂した。
「うわぁぁ!!」
かつてない爆音と振動で悲鳴が上がる。
そんな中、宗谷雪は冷静になり被害を確認する。
宗谷雪「各部!!受け持ちの区画の被害を至急確認!!」
すると、これ以上にない被害が上がる。
八木鶫《通信アンテナ損傷!!長距離通信不能!!》
宗谷雪「……っ!!」
爆炎から姿を表すと、前部マストの通信アンテナが傷ついて火花を上げていた。
そして、戦いは佳境を迎えようとしていた。
野間マチコ《………!!敵機直上!!急降下ぁ!!》
宗谷雪「なに?!」
岬明乃「?!?!」
しかし、爆撃機は空域離脱をせず、真っ直ぐ晴風へと迫ってきたのだ!
隊長機:コックピット
隊長「進入角度OK!………経験したことがないこの角度でも俺は、まだ……正気だ!!……このハリネズミめ!!お前の呻きを聞かせてみろぉ!!」
接近しつつ、機銃を掃射して艦橋の天井に打撃を加える。
晴風:艦橋
ドーントレスの機銃が命中して、窓ガラスにヒビが入る。
宗谷ましろ「………?!日、引き起こさないのか?!」
岬明乃『回避!急いで!!』
宗谷雪『面舵一杯!!右停止、左一杯急げぇ!!見張り・射撃指揮所は総員退避、急げぇ!!』
知床鈴「お、面舵一杯!!」
岬明乃が指揮を出して、宗谷雪が的確な指示を出すが、既に敵のパイロットは脱出して、ドーントレスがすぐそこまで迫っていた。
岬明乃「ぶ、ぶつかる!!」
宗谷ましろ「艦長!危険です!!」
宗谷雪「ふたりとも、伏せて!!」
宗谷雪がふたりに覆いかぶさると、ドーントレスと晴風が追突。
次の瞬間、翼端の爆弾も共に爆発して振動が晴風を襲う。
晴風:機関室
柳原麻侖「おわぁぁぁ!!」
黒木洋美「な、何が起きたっていうの?!」
その直後、メーターのいくつかが壊れ、バルブの1基が壊れて蒸気が漏れ出す。
若狭麗緒「バルブ破損!蒸気漏れ発生!!」
伊勢桜良「非常弁を閉めて!!破損箇所の応急処置を!!」
そこへ、瑠奈が血相を変えて機関室へと飛び込んでくる。
駿河瑠奈「き、機関長!!すぐそこで火災が!!」
柳原麻侖「何だとぉ?!クロちゃん!和住と青木を呼んで来てくれぇ!!広田!消化器もってこい!!」
晴風:烹炊所
ドーントレスの体当たりで、食器は棚から落ちて割れ、調理器具も倒れて大惨事になっていた。
杵崎あかね「な、何?!いまの!!」
杵崎ほまれ「食器が割れちゃったよ……!」
伊良子美甘「ふたりとも!大丈夫?!」
晴風:艦橋
宗谷雪「………っく!まさか、米軍がこんな狂った攻撃をするなんて……!」
岬明乃「うぅ…………。」
宗谷雪「...!ふたりとも、大丈夫?!」
宗谷ましろ「な、なんとか……。」
ふたりの無事を確認すると、直ぐに各部の被害状況を確認する。
宗谷雪「各部!損害報告を確認!!」
野間マチコ《敵爆撃機!艦橋左舷に衝突!!》
青木百々《機関室付近・第3運用倉庫、火災発生!》
和住媛萌《左舷第7・第4通路で延火災!!現在消火作業中っす!!》
宇田慧《水上レーダー損傷!!長距離索敵不能!!》
八木鶫《通信アンテナ完全損傷!!艦内全無線機、動力断線!!》
黒木洋美《動力メーター数基破損!!蒸気漏れ発生!!現在応急修理中!!》
小笠原光《射撃指揮所大破!!第1砲塔、揚弾装置破損!射撃不能!!》
最早、満身創痍の状態であった。
主砲は損傷して射撃指揮所は大破。
更に通信アンテナも破壊されて、レーダー機能も低下。
これだけの損害をうけても浮いていられるとは、まさに奇跡であった。
岬明乃(どうしよう………通信できないんじゃあ………救援も呼べない!)
明乃が悩んでいると、緊急のメールが納沙幸子のタブレットに届く。
納沙幸子「...!メールです!!」
宗谷ましろ「内容は?!」
納沙幸子「……伊−十九潜水艦が敵空母を発見。晴風の魚雷有効射程圏内にあり!撃沈のようありとのことです!!」
岬明乃「撃沈?!」
彼等は今、運命の決断を迫られたのだ!
ワプスを”沈めるか”、それとも”逃げるか”……
第11話「魚雷攻撃!目標、ワプス!」に続く…
次回のヒントは、【決断】です!
評価や感想もお待ちしています!
後ほど、今後の活動についての報告を上げます!
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