ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜 作:小説設営隊隊長
哨戒活動中に米海軍空母ワスプの接敵を受けて、単身で戦うことを選んだ晴風。
米軍機40期の猛攻に果敢に孤軍奮闘するも、ドーントレスの体当たり攻撃を受けて中破してしまう。満身創痍の状態であった晴風に、哨戒艦てんじんからの第一報が入り、ワスプを沈めるか撤退するかの二者択一を迫られる。
米軍機ドーントレスの体当たり攻撃で中破してしまった晴風では、火災の消化と負傷者の搬送で混乱していた。
晴風:左舷第4通路
青木百々「すっごい燃えてるよ!!」
和住媛萌「早く消さないと、お陀仏っすよ!!」
晴風:機関室付近通路
柳原麻侖「畜生!!機械オイルに引火しやがったな!!延焼が馬鹿に速い!!」
駿河瑠奈「機関長!!消化器が持ちません!!」
柳原麻侖「わかってる!!広田!追加の消化器持ってきな!!」
広田空「了解!」
晴風:緊急医務室(食堂)
勝田聡子「衛生長!!万里小路はんが大怪我したぞな!!」
鏑木美波「いいか!ここを押えているんだ!!」
武田美知留「うぅぅぅ…………!!」
晴風の艦内はまさに阿鼻叫喚の真っ只中であった。外部の損害はそこまでではないが、衝撃と爆風で艦内の至るところが歪み、負傷者が続出していたのだ。
晴風:艦橋
勝田聡子《乗員の負傷者数が増加してるぞな!!死傷者がいないのが不思議ぞな!》
青木百々《左舷第4通路の消化完了!》
柳原麻侖《火災が機械オイルに引火しやがった!早く来てくれ!!》
宗谷雪「みんな落ち着いて!!慌てては駄目よ!!まずは火災の消化を優先して!!負傷者の手当は応急処置よ!!かすり傷や打撲程度なら死にはしないわ!!」
すでに混乱しかかっている状況を、宗谷雪は落ち着いてことに当たるように徹底させる。
宗谷ましろ「艦長……ワスプの件は、どうしますか……?」
岬明乃「どうしよう………どうしたらいいんだろう…。」
彼らはものすごく悩んでいた。
ワスプを沈めるか、それとも撤退するかを。
真っ先に声を出したのは、水雷委員の西崎であった。
西崎芽衣「ここは反撃しかないよ艦長!!こっちは瀕死の損害を受けたんだよ!やり返さないと私の気がすまないよ!!」
西崎の意見は最もであったが、それに待ったをかけたのが納沙であった。
納沙幸子「待って下さい!!もしワスプを沈めるにしても、仕留めきれる保証はあるんですか?!それに、ワスプに乗っているのは私達と同じ”人間”なんですよ!あれほどの規模の船です。乗員総数は1000名を余裕に下りません!もしワスプを沈めたら、1000名余りの人名が危機にさらされます!!もし大勢の命が失ったら、責任は取れるんですか?!」
西崎芽衣「それは……」
納沙の言うとおりであった。
このまま攻撃をしてしまったら、ワスプの乗員大勢の犠牲者が出るだけでなく、その責任は誰が負うのか。彼等にはとてもじゃないが負える代償ではないのだ。それに攻撃が成功しても、無事に仕留めきれる保証などどこにもない。打ち損じる可能性すらあった。
宗谷ましろ「だが、ここで悩んでいたら第2波攻撃が襲来する危険が!」
納沙幸子「やっぱり………沈めるしかないのですか……。」
皆が困り果てた時、岬はあることを提案する。
岬明乃「……警告を出そう。」
「………?!」
西崎芽衣「艦長……今、警告って…………」
岬明乃「つぐちゃん!通信の損傷具合は?!」
八木鶫《べんてんから供与された通信機器ならいけます!》
万が一に備えてとはこのことであった。
晴風は出港前にべんてんから、不要になった【通信機器】と【専用アンテナ】を密かに搭載させていたのだ。
これは、晴風の常設通信機器とは全く別の系統で動いていて、もし晴風の通信機器が壊れたとしても、予備として使用することも考慮に入れていたのだ。
岬明乃「送信だけなら、警告文を入れることはできる。」
宗谷ましろ「…………。」
納沙幸子「………。」
岬明乃「ワスプが警告を受け入れてくれたら、私達も苦しい思いをしなくて済む。やってみる価値はあるよ。」
西崎芽衣「……………。」
誰も反対しなかった。
いや、できなかった。
今の我々にできることは、可能な限り敵味方の被害を抑えること。これに尽きるからであった。
そんな中、電信室から空母ワスプからの通信を傍受したとの連絡が入る。
八木鶫《空母ワスプからと思われる通信を傍受!第1次攻撃隊は直ちに帰還せよが反復して流されています!》
野間マチコ《米軍機が撤退していきます!!》
宇田慧《レーダーがワスプと思われるグリットを捉えました!混乱している間に、こちらから接近していたようです。》
岬明乃「シロちゃん!ワスプに警告を打って!」
宗谷ましろ「…分かれました。」
岬明乃「メイちゃん!15式磁気誘導魚雷の準備!」
西崎芽衣「わかった。」
15式磁気誘導魚雷。
これは、ソマリア遠征前にドイツのヴィルヘルム・ハーフェン校から供与された磁気魚雷【G7】を国内でライセンスした新型対艦魚雷である。
もともとはブルーマーメイドへと全弾配備される予定であったが、駆逐艦クラスからは好評だったため、試験運用も兼ねて学生艦隊にも供与された。
一方、ワスプでは……
空母ワスプ:レーダー室
通信士「艦長!!第1次攻撃隊から通信が!」
グレイ大佐「なに?」
米軍パイロット《こちら第1次攻撃隊!ターゲットにダメージを与えるも、撃沈に至らず!我が方の損害、隊長機を含めて約半数が撃墜され、中隊は壊滅状態!!》
グレイ大佐「……半数だと?!………馬鹿な!!」
まさかの事態にグレイ大佐は信じられなかったが、直ぐに第1次攻撃隊を呼び戻して、第2次攻撃隊の発艦準備に取り掛かる。
空母ワスプ:艦橋デッキ
飛行甲板にて第2次攻撃隊の発艦準備が進む中、先程の報告を反芻していた。
グレイ大佐(我がワスプが誇る精鋭部隊の一部が、HFの駆逐艦1隻に………まさか………)
航空参謀「艦長!あと10分で、発艦準備が完了します!」
グレイ大佐「うむ。整備ミスのないようにだ。」
なにか不吉な予感を感じていたドリス大佐であったが、それは考えすぎだと割り切った。
晴風:艦橋
ワスプ警告文を発信した晴風は、魚雷攻撃の準備を終えていた。
岬明乃「…………。」
明乃はここに来て、なにか後悔している様子であったが、あそこまで啖呵を切った以上は最後までやりきると思い直したのだ。
西崎芽衣「艦長。磁気誘導魚雷の発射準備、終わったよ。」
岬明乃「うん……。」
宗谷ましろ(艦長……。)
納沙幸子(本当に……ワスプに対して、魚雷を………。)
それぞれ複雑な気持ちになりながらも、明乃は決心して攻撃を開始する。
岬明乃「右、魚雷戦。磁気誘導魚雷、攻撃始め!」
岬明乃の号令の下、運命の矢は今放たれた。
4発の磁気誘導魚雷は、航跡を残さずワスプへと疾走する。
空母ワスプ:艦橋
グレイ大佐「ノイズ司令!遅れましたが、第2次攻撃隊全機、発艦準備が整いました!」
ノイズ少将「艦長。HFから、苦し紛れの電文が届きおったよ。」
そう言うとノイズ少将は、グレイ大佐に”ある電文”を手渡す。
グレイ大佐「………”空母ワスプに警告する。これ以上の戦闘の拡大は、我々も望んではいない。直ちに第2次攻撃を中止して、海域から離脱せよ。もし勧告を受け入れず第2次攻撃を敢行するのであれば、我が方はやむを得ず貴艦を撃沈するものである。どうか、誠意ある返答を期待する。”……警告文、ですか。」
ノイズ少将「恐らくな。君はどう見るかね?」
グレイ大佐「……………敵にもはや交戦の意思がないとなれば、ここで撤退しても良いと考えますが………」
グレイ大佐は第1次攻撃隊の壊滅の報を聞いた時点で、既にHFの戦闘能力は我々を超える能力ではないかと思い込んでいたのだ。
ノイズ少将「交戦の意思か…………だが、我々が受けた命令は”HFの正体の探り、そして殲滅”することだ。たとえ相手が、どのようなものでもだ。」
グレイ大佐「...!は!」
ノイズ少将「HFに返答を出す。内容は………」
ノイズ少将の判断により、第2次攻撃は実行することになった。このことは、返答文で晴風に伝わる。
晴風:艦橋
宇田慧《ワスプからの返答、来ました!!》
宗谷雪「内容は!!」
宇田慧《えっと……………”貴艦のご配慮には感謝するも、我が艦も偉大なるアメリカ合衆国海軍の戦士である。よってここに至って撤退する意思はない。アメリカ合衆国の戦士として、最後の一兵まで戦う所存である。……アメリカ合衆国海軍 第18任務部隊司令官、ノイズ少将”………交渉決裂です………。》
宗谷ましろ「………艦長…。」
岬明乃(…………どうして……。)
西崎芽依「磁気誘導魚雷!命中まで、後1分!」
晴風の警告文は虚しく拒絶され、ワスプ沈を余儀なくされた。
放たれた磁気誘導魚雷は、ワスプへと迫る!!
空母ワスプ:艦橋
グレイ大佐「………なっ?!」
ノイズ少将「………………おぉぉぉ!!」
磁気誘導魚雷が遂に、ワスプへと命中して激しく爆発する!!
果たして、勝敗はどちらに……
第12話「ワスプ、轟沈」へ続く…
次回のヒントは、【このワスプが……】です!
お楽しみに!
活動報告を更新しました!
今後の方針についてまとめましたので、目を通してもらえると嬉しいです!→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=306064&uid=443981
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