ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜   作:小説設営隊隊長

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前回のあらすじ

苦渋の決断の末、ワスプ撃沈を敢行した晴風。
空母ワスプは任務を達成できずマリアナ諸島沖の海深くに沈んでいった。
満身創痍の状態である晴風は、横須賀港へと無事帰投するはずであった………




第13話「晴風、大改装計画を始動せよ!」

 

 

6月20日 20:35 横須賀港内

 

空母ワスプの航空攻撃により、満身創痍になりながらも横須賀へと辿り着いた晴風。

入港するその様子を埠頭にて宗谷真霜らが見ていた。

宗谷真霜「かなりやられたわね……。」

古庄薫「見たところ、射撃指揮所と通信アンテナが損傷してるわ……生徒たちは無事だといいけど………。」

晴風が減速を始めた次の瞬間!

ズゴォン!っと鈍い音とともに晴風の煙突から火花と共に黒煙が吹き出して、晴風の行き足が急に止まり全電力が喪失した。

宗谷真霜「晴風の行き足が止まった?!」

古庄薫「一体何が?!」

 

晴風:艦橋

 

一方、晴風では大騒ぎであった。

副長:宗谷ましろ「何があった?!状況を報告!!」

宗谷雪「機関室!!何があった!!」

機関助手:黒木洋美《機関、圧力弁大破!!動力喪失!!》

納沙幸子「そんな!!」

 

晴風:機関室

 

黒木洋美「もうちょっとの所でへたばるなんて!!麻侖!!そっちは!!」

柳原麻侖「………っ!!駄目だ!!ボイラーごと圧力弁がイカれちまった!!もう直せねぇ!!」

 

晴風:艦橋

 

宗谷ましろ「陸地へ発光信号!!タグボートとドッグの用意を!!」

宗谷雪「機関室は総員退避!!急いで!!」

 

晴風からの信号を受けるや否や、横須賀港内は一斉に大騒ぎとなり、急いで晴風を造船ドッグへと入渠するが翌日になって宗谷真冬からの報告により、横須賀市内は一晩中大騒ぎとなって自警団まで出動してしまうほどであった。

 

 

1942年6月24日 13:41

 

 

横須賀海軍工廠:第1ドッグ

 

米内光政「それで、晴風は大丈夫かね?」

整備班長「晴風の機関は、通常のロ号艦本式缶ですので、爆発の危険性がありません。」

米内光政「そうですか。で、修理にはどのくらいかかりますかね?」

整備班長「そこですが………この船はもう駄目ですね。」

米内光政「そんなにひどいですか……」

整備班長「酷いも何も、艦内外のフレームが歪んでますし、竜骨の一部が折れかかっています。それに、機関も修理不能にまで損傷しています。これでは、廃艦にするしか……」

第1ドッグに入渠していた晴風は、衝突箇所の損傷がひどく、その他にも艦底にまでダメージが入り一部が大きくへこみ後部甲板は大きくめくれ上がっていた。

完全に修復するのであれば、前部マストは予想以上に損傷していて取り換えが必要となり、第1砲塔はもはや新しいのに換えたほうがいいと結論が出た。

 

 

本港埠頭 超大型直接教育艦[大和] 会議室

 

 

宗谷真霜「これは…………酷いわね……。」

横須賀鎮守府から提出された晴風の損傷状態の書類を見て、今後の晴風クラスについて協議していた。

古庄薫「艦の損傷甚大なり………竜骨の一部にも損傷あり…………現状での修復工事は絶望的である……」

宗谷真冬「こりゃ………廃艦にするしか……」

開始早々、晴風を廃艦にすべきの声が上がるが、羽山陽介が待ったをかける。

羽山陽介「自分は反対です!ここで晴風を廃艦処分にしてしまったら、彼ら晴風クラスはどうするのですか?」

宗谷真冬「いやぁ…………まだ廃艦処分にするって言ってないから……」

古庄薫「ですが、早急に対策を検討しなくは…………」

議論は遅々として進まず、停滞を見せていた。

 

横須賀海軍基地 第1官舎(学生仮宿舎)

 

一方晴風クラスは、昨日の疲れを鑑みてゆったりとした1日を過ごしていた。

昨日のことは誰一人言葉にせず、ラジオで放送された大本営発表もあまりいい気では聞けなかった。

 

ラジオ放送《大本営発表!さる6月23日、マリアナ諸島沖で米海軍空母と駆逐艦晴風が接敵!晴風は果敢に立ち向かい、これを撃滅せり!》

黒木洋美「大本営発表………聞いて呆れるわね……。」

宗谷雪「自軍の戦果を誇張で公表した結果、ミッドウェーでの大敗ですべてが狂ったのよ……。」

そこへ、柳原麻侖が方眼紙を持ってやって来る。

柳原麻侖「おうおうおう!!どいつもこいつも湿気た顔しやがって!」

黒木洋美「麻侖?…………ってか、まさか徹夜したの?!」

柳原麻侖「晴風の為なら、喜んで徹夜してやんよ!!それに、もしかしたら”直せるかも”しれねぇからな!!」

麻侖が放った最後の言葉に、疑問が残るがそれ以上に晴風の修復工事に目処が立ちそうであった。

柳原はその足で、大和へと向かった。

 

大和:会議室

 

議論は中々進まず、時間だけが過ぎていった。

そこへ、柳原麻侖が参入(訳:アポ無し参入)してきた。

柳原麻侖「邪魔するぜ!」

羽山陽介「き、機関長?!何でここへ?」

古庄薫「生徒には屋内待機を命じていたはずよ?」

柳原麻侖「それがなんだ!!あたいは野暮用と喝を入れに来たんだ!!」

そこへ柳原が論破してくる。

柳原麻侖「ったく!いつもの威勢は何処に行っちまったんだ?揃いも揃って不景気な顔しやがって!情ねぇとは思わないのか?」

宗谷真冬「そ、それは………」

柳原麻侖「大体、昨日の戦闘なんざ向こうが先におっ始めたんだ!うちらは自衛のためやむを得ず戦ったに過ぎねぇんだ!なのに、今更になって自分達だけで抱え込みやがって。」

宗谷真霜「…………。」

柳原麻侖「なにか悩んでたら、うちらにも相談してくれや。他のみんなをそう思っているはずだぜ?」

古庄薫「………柳原さん…。」

柳原麻侖「あたいはこう見えて、面倒見は良い方なんでな!っま、そういうことだ!」

羽山陽介「所で、機関長が持っている方眼紙は?」

柳原麻侖「ん?あぁ、これか?」

そう言うと、方眼紙を机の上に広げた。

方眼紙には、晴風の全体図と改装項目が記してあった。

古庄薫「これは?」

柳原麻侖「晴風の改装設計図だ!」

古庄薫「改装設計図?!」

宗谷真霜「まさか、晴風を直すというの?!」

柳原麻侖「おうよ!」

柳原が言うには直すというものの、取り替えが必要な船体を”帝国海軍の駆逐艦”の船体の一部と交換して、兵装と設備類も帝国海軍の物を流用するものである。

宗谷真冬「それじゃあ直ったとしても、テセウスの船になるじゃねぇか。」

柳原麻侖「この際、テセウスの船でも構わねぇ!今のあたしらには、晴風が必要なんでい!」

宗谷真霜「…………とりあえず、帝国海軍と協議する必要はあるわ。だけど、私達としてはこの計画案は賛成よ。」

晴風の改装計画案は、一度海軍軍令部の賛否を仰ぐこととなった。

 

 

6月25日 海軍軍令部 会議室

 

 

この日、海軍軍令部では晴風の改装計画案に関して、白熱した議論が交わされていた。

 

連合艦隊艦隊参謀長:宇垣纏少将「駄目だ!!断じて話にならん!!」

帝国海軍過激派将校4「現在建造中の島風型駆逐艦2番艦の船体の一部を流用するなど、言語道断だ!!」

連合艦隊総参謀長:黒島亀人大佐「では、晴風を解体して、学生たちの反感を買うのですな?」

帝国海軍過激派将校6「所詮は非力な学生集団だ!航空戦力を叩き込めば、一撃のもとで粉砕できるわ!!」

帝国海軍穏健派将校3「そんな暴挙を行えば、後世の歴史評論家から、”人道的配慮が欠けた残虐行為”と罵られますよ?」

晴風の改装計画案と言っても、現在建造中の島風型駆逐艦2番艦の船体の一部を流用する計画であったため、【今は1隻でも多くの艦艇を必要】と唱える過激派と【米国との講和のため、現有戦力で戦線を維持ないし縮小】を唱える穏健派との間で意見の相違が起こり、議論が沸騰していた。

連合艦隊第3戦隊司令官:栗田健男中将「しかし、彼らの実力は目を見張るものがありますぞ?」

連合艦隊第4戦隊司令官:小沢治三郎少将「はい。たった1隻で米海軍の正規空母と対峙して、これを撃沈したというのは、まさに偉業です。」

連合艦隊第5戦隊司令官:志摩清英少将「彼らは自らの意思で帝国海軍に協力をしてくれている。今度は、我々が彼らに協力する番だ。そうだと思わんかね?」

帝国海軍過激派将校3「そ、それは………。」

米内光政「まぁまぁ、ここには連合艦隊総司令官である山本長官がいらっしゃる。ここは、長官の判断を仰ぐとしよう。」

米内がここで、会議の実質的な決定権を持つ山本五十六にすべての判断を仰ぐように意見を出して、全員が山本五十六に注目する。

そして、山本五十六が出した結論は………

山本五十六「………私は晴風の改装計画案を支持する。」

宇垣纏少将「長官らしくありませんな。一体何故?」

山本五十六「我々が米国と開戦した時点で、我々は既に軍事力と国力全てにおいて負けているのだよ。そして我々は、ミッドウェーでの大敗で身を以て感じた。」

帝国海軍過激派将校4「長官といえども、我が帝国を批判するとは!!」

山本五十六「批判?君たちはそう言うが、実際にガダルカナル設営隊の増援要請を再三にわたって蹴り続けた君たちが言えたことかね?」

帝国海軍過激派将校3「そ、それは……」

山本五十六「それに軍内部はおろか、国民にも言論を統制していては、勝ち戦にも勝てぬであろう。かえって国民から反感を変えかねないぞ?」

山本五十六が過激派将校たちに対して、時代の変革を突きつけて机上の空論を黙らせて、今の軍の体制と政治の体制をも批判する。

黒島亀人大佐「まぁまぁ長官。その話は後日改めてということで、採決にかかりませんと。」

山本五十六「おぉ、そうでしたな。」

黒島亀人大佐「では、賛成の方は起立を願います。」

そして、採決の時。

山本五十六を始め、黒島亀人大佐・栗田健男中将・小沢治三郎少将・志摩清英少将・米内光政ら帝国海軍穏健派将校達と陸軍の派遣士官たちは賛成の意思を示したが、宇垣纏少将ら帝国海軍過激派将校達は反対の意思を示したが、最終的に軍令部総長が賛成の意思を示した為、賛成過半数で【晴風改装計画案】は正式に実行へと移された。

 

そして彼ら学生艦隊も、新たな決意を示すときが来ようとしていた……

 

 

次回、本編最終回「新たな決意を胸に」へ続く…

 

 




次回、本編最終回!

お楽しみに!

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