ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜 作:小説設営隊隊長
今回の閑話は、本編が始まる3日前の【前日譚】です。
学生艦隊が海外派遣される理由が明らかになる一方で、色々とわからいところがあると思います。
万が一、意味がわからない事や不備があった場合は、感想にてご指摘いただけると幸いです。
間話1「学生艦隊、出撃用意!」
この話は、学生艦隊が1942年の世界へ転移する前のお話である。
2015年12月5日。
寒気が吹き付ける横須賀女子海洋学校にて、あることが伝えられた。
ブルーマーメイド派遣連絡員:羽山陽介「学生諸君!日々の実習、誠にご苦労である!今日本日、諸君らに伝えておくことがある!」
「伝えておくこと?」
「なんだろう?」
「抜き打ち検査とか?」
学生達がさまざまな意見を言うが、次の一言で雰囲気が一変する。
羽山陽介「日本政府及びブルーマーメイドは、2日後の12月8日に、戦雲渦巻くソマリア戦闘地区に対して、学生艦隊を派遣させることが決定された!」
「えぇぇ!?」
学生艦隊の内戦地区への派遣。
正に前代未聞の事態であったが、動揺の声より初めての遠洋航海のためか、楽しみな声があがった。
「ソマリアへの遠洋航海だって!」
「楽しみ〜!」
「観光する時間あるのかな〜?」
案の定の反応と捉えた羽山は、生徒達に忠告を入れる。
羽山陽介「予め言っておくが、本遠洋航海の主目的は”海外派遣”であり、観光目的ではないことを肝に命じておく!」
そう言うと、楽しみの声は鳴りをやめて、生徒達も気持ちを切り替えた。
羽山陽介「出港は3日後の0700の予定だ。そのため、今日から2日間は準備期間とする。主計科と炊事委員は各艦の備蓄品の在庫確認、機関科はエンジンとボイラーの最終点検、航海科は当日の航路と海図の最終確認を行ってもらう。」
「2日間で艦の最終点検?!」
「うちの船、戦艦なんだけどボイラーとエンジンの最終点検終わるかな〜?」
「中東の海図とかあったっけ?」
あちこちから不安の声が上がったが、無理もなかった。
通常、遠洋航海に向けての準備期間は余裕を持って行うものなのだが、今回に至っては政府機関のゴタゴタも相まって、通常より半日以下で準備を終わらせなければいけなかった。
羽山陽介「日数が限られているが、迅速に事を終わらすように、私からは以上だが、なにか質問は?」
「質問!シャンプーとかの個人で使う日用品とかの買い出しは出来るんですか?」
羽山陽介「私物等の消費する日用品に関しては、補給支援艦間宮で買い出し可能だが、準備期間での私物等の日用品の買い出しは許可する。ただし、娯楽品などの購入は極力避けるように。他には?」
「は〜い!寄港地での上陸許可は出るんですか?」
羽山陽介「その質問なのだが、寄港地での上陸許可は原則出ないと考えてくれ。寄港の目的はあくまで燃料と補給物資の積載であり、休息の目的で寄港するのではないからな。他には?」
しかし、これ以上の質問はなかった。
戦闘地区への派遣は、実習とは比較にならないほど、厳しいことだと理解したからだ。
羽山陽介「では、集会を終了とする。15分後に艦長会議を行うので、第1会議室へ集合せよ。」
集会は解散して、各艦の責任者は会議室へと集まる。
横須賀女子海洋学校校舎:第1会議室
羽山陽介「全員揃ったな?それでは、正式な艦隊編成を確認する。」
そう言うと、プロジェクターを起動して細かな艦隊編成を説明する。
古庄薫「我が横須賀女子海洋学校は、保有艦艇全艦での出撃となります。艦隊陣容は、超大型直接教育艦[武蔵]を旗艦とする先行艦隊は……」
艦隊編成は以下のようになった。
学生艦隊 先行部隊
艦隊旗艦:武蔵
超大型直接教育艦:大和・信濃・紀伊
大型直接教育艦:金剛・比叡・天城・土佐・山城・日向
大型巡洋直接教育艦:伊吹・鳥海・加古・衣笠・那智・足柄・最上・熊野
小型巡洋直接教育艦:長良・大井・北上・木曽・由良・鬼怒・神通・天龍
航洋直接教育艦:初春・子日・初霜・若葉・有明・夕暮・白露・時雨・村雨・夕立・五月雨・江風・海風・山風・春雨・涼風・陽炎・不知火・雪風・黒潮・初風・親潮・早潮・夏潮・天津風・磯風・時津風・浦風・嵐・萩風・谷風・野分・秋風・晴風Ⅱ・浜風・舞風・秋雲・夕雲・巻雲・風雲・長波・巻波・高波・大波・清波・玉波・鈴波
先行艦隊だけでも戦艦10隻、重巡8隻、軽巡8隻、駆逐艦47隻の計73隻の大艦隊である。
古庄薫「そして、宗谷校長指揮の本艦隊は、我が先行艦隊が沖縄から出港してから、横須賀・呉・舞鶴・佐世保各港から出港します。本艦隊の陣容は………」
本艦隊の陣容は以下のように公表された。
学生艦隊 本艦隊
校長座乗兼艦隊旗艦:赤城
大型直接教育艦:榛名・霧島・扶桑・山城・伊勢・長門・陸奥・加賀・高雄・愛宕
大型巡洋直接教育艦:摩耶・古鷹・青葉・妙高・羽黒・生駒・三隈・鈴谷
小型巡洋直接教育艦:五十鈴・名取・球磨・多摩・阿武隈・川内・那珂・龍田
航洋直接教育艦:磯波・東雲・薄雲・白雲・吹雪・白雪・初雪・叢雲・深雪・浦波・敷波・綾波・朝霧・天霧・夕霧・狭霧・曙・朧・潮・漣・雷・電・暁・響・朝潮・大潮・満潮・荒潮・山雲・夏雲・朝雲・峯雲・霰・霞・藤波・早波・浜波・朝霜・岸波・沖波・早霜・秋霜・清霜・妙風・清風・村風・里風・山霧・海霧・谷霧・川霧
戦艦11隻、重巡8隻、軽巡8隻、駆逐艦51隻の計78隻で、先行艦隊と合わせて151隻の前代未聞の大艦隊であった。
また増援艦隊として、東舞校所属の【伊号第四百型大型潜水直接教育艦】4隻にヴィルヘルム・ハーフェン校派遣の【ビスマルク】・【ティルピッツ】・【ヴェルテンベルク】・【ドイッチュラント】・【アドミラル・シェーア】・【アドミラル・グラーフ・シュペー】、護衛として航洋艦 秋月・冬月・照月・涼月・島風、護衛艦隊旗艦に超甲巡 吾妻の計16隻の動員をも決定された。
古庄薫「又、ブルーマーメイドからは第12、第69戦隊が同行して、ホワイトドルフィンからは第76戦隊が随行します。」
岬明乃「なんか………凄い編成だね…。」
高橋千華「なんたって、空前絶後の出兵だからね!これくらい出して当然よ?」
榊原つむぎ「とにかく、時間がないから準備にかからないと……!」
羽山陽介「そうだな。とりあえず、艦隊編成についてはクラス全員に伝えておくように!解散!」
艦隊編成の全容を伝えて艦長会議は終わり、各艦の出港準備に掛かった。
横須賀女子海洋学校:会議室
この日の夜、宗谷真霜と羽山陽介が校長である宗谷真雪に呼び出される。
宗谷真霜「お呼びですか?」
宗谷真雪「少し情勢が厳しくなってきてね。」
羽山陽介「情勢が?」
そう言うと、モニターに映し出されている緊急特番を見る。
ニュースキャスター5《引き続きお伝えします。10月15日にソマリアで発生した内戦は、政府軍の不利が続き、政府軍の首都モガディシュ郊外10キロまで反乱軍が迫っており、ジブチ近郊の都市ボラマが11月に陥落しまして、ジブチ国内では緊急が高まっています。》
ニュースキャスター3《これにより鷹村内閣総理大臣はジブチの防衛強化の為、海洋保安法第7条に基づき、学生艦隊の海外派遣を提言。今夜、緊急国家で正式に可決されることになります。》
ニュースキャスター4《それにより国会前では、学生たちの出兵に反対する国民達がデモ行進を行っており、機動隊との間でにらみ合いが続いています。》
その映像には、”学生を戦争の道具にするな!” ”鷹村内閣は総辞職しろ!” ”艦隊派遣、断固反対!!”などと書かれたプラカードを掲げて国会に向かって怒号や罵詈雑言を叫んでいるのであった。
宗谷真霜「酷いわね………私だって、こんな事はしたくないのに……。」
羽山陽介「人間ってのは、頭に血が上ると正常な判断ができなくなるのがよく分かる例だな…。」
ニュースキャスター5《更に、横須賀女子海洋学校前にもデモ隊が集合しつつあり、機動隊が防備にあたっており、一触即発の状態が続いています。》
羽山陽介「こいつは………下手したら、トンデモ事態に発展するな……。」
宗谷真霜「出港を早めたほうがいいのでは?」
羽山陽介「だが、補給の件もある。やはり予定通り、12月8日に出港すべきだ。」
宗谷真雪「とにかく、ブルーマーメイドには早めに集結してもらう必要があるわね。」
こうして、不測の事態に備えてブルーマーメイドには、早めに集結してもらい学校の周辺海域を警備してもらう事になった。
12月6日。
事態は急速に悪化の一途をたどった。
ニュースキャスター5《只今速報が入ってまいりました!!反乱軍が遂に、政府軍の首都モガディシュを陥落させたようです!反乱軍の声明によりますと、モガディシュでの市街戦で外国籍の市民数名が戦闘により死亡したと公表しました!》
ニュースキャスター4《政府軍は、首都をモガディシュからベルベアに移して、徹底抗戦の意思を表明しました!》
ニュースキャスター5《これにより鷹村内閣総理大臣は先程会見を開き、”これ以上の情勢悪化を防ぐためにも、学生艦隊のソマリア遠征を急ぐ所存であります”と声明を出して、各海洋学校に出港日程を繰り上げるように指示を出したとのことです。》
横須賀女子海洋学校 大会議室
呉女子海洋学校 校長「やれやれ、鷹村内閣総理大臣は………いつも無茶な指示を出される…。」
ソマリアの情勢悪化に伴って、横須賀女子海洋学校では緊急の校長会議が行われていた。
宗谷真雪「政府と海上安全整備局には、検討すると回答をしてあるけど……」
舞鶴女子海洋学校 校長「正直のところ、明日出港なんて無理だ。榛名と陸奥の入渠明けが明日なのよ。」
宗谷真雪「佐世保と呉は?」
佐世保女子海洋学校 校長「無理難題だね。デモ隊が校舎を占拠したものだから、うちの学生達は佐世保湾内で待機中だ。いま出たら、地元の漁協関係が妨害してくるわ。呉の方は?」
呉女子海洋学校 校長「こちらも無理ね。大和と金剛の入渠明けが明日で、弾薬の積載がまだ。いくら急いでも、12月8日でないと無理ね。」
宗谷真雪「東舞校の方は?」
教頭「既に伊−400以下派遣艦隊が舞鶴を出港。一路、ヴィルヘルム・ハーフェン校からの派遣艦隊がランデブーする、対馬沖へと向かっているとのことです。」
佐世保女子海洋学校 校長「せめて、増援艦隊だけでも沖縄に向かわせないと……。」
この校長会議で、増援艦隊を予定より早めに出港することとなった。
22:00 瀬戸内海 呉沖
超甲巡 吾妻 艦橋
副長:平賀倫子二等保安監察官「護衛艦隊全艦、出港準備整いました!!」
艦長:福内典子「了解。護衛艦隊、出港します!」
そして闇夜に紛れて、護衛艦隊は瀬戸内海を出港したが、翌日ヴィルヘルム・ハーフェン校派遣の艦隊と合流したあと対馬沖で突如消息不明となるが、彼らの所へと情報が入ることはなかった。
そして、学生艦隊出港前日。
武蔵:防空指揮所
宗谷真霜「団結式をやらなくて大丈夫なのかしら?」
羽山陽介「団結式をやろうものなら、好戦派の議員が乗り込んで来るからな。それに、ここぞとばかりに保護者が来ているからな。」
宗谷真冬「家族団欒、水入らずってか?」
羽山陽介「既に親無しの俺に聞かれてもなぁ…」
羽山には元々、両親がいた。
母はブルーマーメイドの隊員で、父はホワイトドルフィンの哨戒艦の艦長であった。
だが、羽山が高校2年のときに父を事故で亡くしてしまい、1年後には母も病で病床についた。彼はブルーマーメイドになる道を選ぶが、遂には親孝行も出来ずに両親をなくしてしまってたのだ。
宗谷真霜「お墓参りは?」
羽山陽介「既に済ましてあるよ。このところ、事務仕事で籠りっきりだったからな。」
ふと空を見ると、雲一つなく太陽の光がさしていた。
宗谷真霜「今日は珍しく快晴ね。」
宗谷真冬「それにしては、恐ろしく不気味だな…。」
羽山陽介「何も起らなければいいが……。」
その言葉が、意外な形で現実のものになるとは誰も思わなかった。
そして、12月8日………
学生艦隊は突如、その姿を消したのだった……
どうでしたか?
次回は、【宗谷雪の初めての挑戦】です!
お楽しみに!
感想と評価もお待ちしています!
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