ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜   作:小説設営隊隊長

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前回のあらすじ

ソマリア内戦の戦闘拡大により、世界各国の海洋学校から学生艦隊が派遣される中、日本政府からも横須賀・呉・舞鶴・佐世保女子海洋学校からも学生艦隊が派遣されることとなった。
曇り空の中、家族に見送られながら横須賀を出港した横須賀女子海洋学校 学生艦隊は、合流地点の沖縄港へ向かっていたが、艦隊がトカラ列島沖に差し掛かると、極めて異常な低気圧に突入。
瞬く間にてんじん・べんてんを除く護衛のブルーマーメイド艦隊が姿を消して、現在位置も見失ってしまった。
霧の中を航行していると、艦隊前方から1隻の大型艦が姿を表した。その艦は、正しく「大和型」であった。


第2話[ミッドウェー]

 

 

 

霧の中から現れた大和。

その場にいたもの全員が、言葉を失ったが……

 

航洋艦晴風:艦首上甲板

 

青木百々「あれって、大和じゃないの?!」

等松美海「でも、あの青い斜線は?!何処いったの?!」

和住媛萌「大発見っす!!スケッチのしがいがありますねぇ!!………あれ?発光信号っすよ!」

媛萌が、対向する大和からの発光信号を確認する。

 

晴風:艦橋

 

納沙幸子「大和…いえ、所属不明の対向艦からの発光信号です!”キカンノショゾクヲジョウコクシ、テイセンセヨ”です!」

岬明乃「返したほうが良いのかな?」

羽山陽介「無線封止をしている相手に、その必要はないな。状況が判明するまで、逃げの一手でいいだろう。進路そのまま!」

 

進路を維持して海域離脱を決めた晴風は、大和とすれ違い、そして霧の中へと消えていった。

 

艦隊旗艦 武蔵:艦橋

 

知名もえか「では、逃げるでいいんですね?」

宗谷真霜「えぇ。状況が判明するまでは、迂闊に手は出せないわ。見張り員、そっちは?」

吉田親子「……約1マイル先に大型艦!艦形状からして、長門型大型直接教育艦と思われます!」

宗谷真霜「大和だけじゃない、長門まで………これは一体…。」

宗谷真霜が不審に思っているとき、後衛の比叡から第1報が入る。

武蔵電信員《後衛の比叡から通信!右舷左舷から、吹雪型航洋艦2隻が接近!我が艦隊の進路を塞ぐ構えです!》

知名もえか「宗谷監督官!」

宗谷真霜「……発砲は駄目よ。」

知名もえか「では、真ん中を突っ切るしかありません。あの航洋艦の速度では、晴風の速度に追いつけません。晴風に連絡!」

 

知名もえかの知略に則り、晴風は行動に出る。

まず晴風が艦隊の進路をこじ開けるため、わざと取り舵を取って所属不明の航洋艦を右へ回頭させる。

 

晴風:艦橋

 

野間マチコ《右舷の航洋艦、面舵を取りました!距離300!》

羽山陽介「進路、開きました!」

宗谷ましろ「艦長、今です!!」

岬明乃「進路戻して!両舷全速で突っ切って!!」

知床鈴「了解!!」

 

所属不明の航洋艦がフェイントに引っかかったところを付け狙って、進路を戻して最大加速で突っ切る。そして、

 

武蔵:艦橋

 

武蔵見張り員「晴風!進路啓発成功!!航洋艦が足を止めています!」

知名もえか「今だ!!全艦単縦陣へ陣形変更!!比叡を先頭にして最大加速!!」

 

所属不明の航洋艦の足が止まっている間に、単縦陣へと陣形を変更、一気に最大加速で艦隊を振り切る。

 

 

現在位置が不明な上、学校からの連絡も途絶えてしまった横須賀の学生艦隊は、現在の状況を整理する為、旗艦武蔵に各直教艦の艦長と副長を招集した。

 

武蔵:艦橋

 

宗谷真霜「極東海域でのオーロラ、極めて異常な低気圧、護衛艦隊のロスト、そして、あの所属不明の大艦隊…………明らかに私達の身の回りで、理解不能な超常現象が起こっているわ。」

宗谷真冬「理解不能?冗談よせよ。あれは誰がどう見たって、大和型超大型直接教育艦だ!46cmのどでかい主砲を3基9門!」

古庄薫「しかし問題なのは、何故ストライプ塗装を剥がしたのか、ですね。」

現在の状況を出したうえで、考えられる事態を話し合った。

天津風艦長:高橋千華「アメリカのハリウッドが、大金賭けて映画でも作ってるのかしら?」

天津風副長:山辺あゆみ「それだったら、無線封止なんてしませんよ?」

明石艦長:杉本珊瑚「少しいいかな?あたし等のところには、戦艦扶桑と山城、それに巡洋艦妙高に那智にも対向したけど、これって偶然なのかな?」

偶然、そうであって欲しかったが、晴風で随一の記憶力を持つ野間マチコが、驚愕の事実を話す。

野間マチコ「だといいのですが。もしかしたら、偶然ではないのでは?」

時津風艦長:榊原つむぎ「え?どういうことですか?」

野間マチコ「古庄教官。12月11日の月齢、覚えてますか?」

古庄薫「え、えぇ。12月11日の月齢は”新月”のはずよ。それが一体………。」

野間マチコ「…………たった1日で、変わるものでしょうか?」

その問いに答えるが如く、艦隊に月光が照らす。

月を確認していた見張り員の1人が、目を丸くしていた。

不審に思った彼等は、防空指揮所へ上がる。

そこで見た光景は、彼らに驚愕の事実を突きつけた。

 

武蔵:防空指揮所

 

高橋千華「う、嘘…………でしょ?」

榊原つむぎ「そんなことって……。」

宗谷真冬「おいおい………こいつは、悪い冗談か?」

古庄薫「………夢なら、とっくに覚めてるわ………。」

宗谷真霜「……半月………そんな。」

野間マチコ「つまり、あの艦隊が迷い込んだのではなく、我々が、異世界へと現れたんです。」

異世界転生。

彼等は正に、その異世界へと迷い込んでしまったのか?

それを知るものは、誰ひとりいなかった。

宗谷ましろ「………姉さん、指示を。」

宗谷真霜「……今は情報収集が先決よ。てんじん・べんてんからバルーンを出して、周辺海域の情報収集に務めて!」

「はい!」

そして、横須賀艦隊は情報収集のため、未知の海域を進む。

時は経ち、海原に朝日が昇り始める。

 

現在位置不明 0600

 

朝日が海原を照らす中、前衛の晴風が正体不明の飛行物体の接近を確認する。

 

晴風:前部マスト見張台

 

野間マチコ「?………あれは?」

 

晴風:艦橋

 

野間マチコ《本艦の前方に、正体不明の飛行物体を確認!》

岬明乃「え?飛行船かな?」

宗谷ましろ「電測室、詳細を!」

宇田慧《右35度、距離20マイル、時速100ノット、高度200から降下中です!》

その報告を聞いた明乃達は驚愕した。

知床鈴「100ノット?!」

西崎芽衣「魚雷の最大速度じゃないかー!!」

宗谷ましろ「100ノットで飛行するバルーンなんか、あったのか?!」

立石多摩「ない……。」

納沙幸子「そもそもの話、小型の飛行船でも80ノットが限界です!!」

岬明乃「でも、あの形は………飛行船じゃないような……。」

羽山陽介「見張り員!飛行物体を確認出来るか?」

 

晴風:前部マスト見張台

 

脅威の視力を有する野間は、20マイル先の物体を目視で確認する。

野間マチコ「目標を目視で確認!」

羽山陽介《飛行船か?》

野間マチコ「飛行船、じゃない!小型のプロペラ機です!エンジン部分から黒煙と炎を確認!炎上しながら降下中!!」

 

晴風:艦橋

 

羽山陽介「プロペラ機?!」

岬明乃「旗艦へ報k…」

その瞬間、被弾して大破した正体不明のプロペラ機は、黒煙を巻き上げながら晴風へ急接近してきて、30マイル手前で燃料タンクに引火して、胴体が爆発。破片を晴風へ撒き散らしながら、海面へ墜落した。

「キャアア!!」

宗谷ましろ「は、爆発したのか?!」

羽山陽介「見張!報告を!」

野間マチコ《正体不明のプロペラ機が、本艦前方30マイル手前で爆発しました!燃料タンクに引火したものと思われます!》

岬明乃「浮遊物は?!生存者は?!」

内田まゆみ「何も浮遊してきません!気泡と燃料のみです!!」

証拠なしと落胆したのもつかの間、甲板へ上がってきた和住から報告が入る。

和住媛萌《前部砲塔の天井に、さっきのプロペラ機の翼の残骸を確認したっすよ!》

宗谷ましろ「本当か!」

和住媛萌《原型を留めていますけど、どうするっすか?》

羽山陽介「後で明石に送るから、後部甲板に移動させておいてくれ。」

和住媛萌《了解っす!》

 

工作支援艦 明石:艦橋

 

明石見張員《艦長!!本艦の右舷前方50マイルの海面に、不時着水したと思われる小型のプロペラ機を確認しました!》

明石副長「艦長、どうしますか?」

杉本珊瑚「今は情報がほしいからね。回収しに行くよ!旗艦へ報告しといて。」

明石副長「は、はい。」

 

武蔵:艦橋

 

武蔵電信員《明石より入電。小型のプロペラ機を確認。これより回収に向かうとのとこです!》

知名もえか「監督官。」

宗谷真霜「えぇ。護衛に、鳥海・浜風・舞風を向かわせて!」

 

明石が正体不明のプロペラ機の回収に向かったのと同時に、比叡の見張り員が、ある光景を目撃した。

 

武蔵電信員《比叡より入電!我が艦隊の前方、水平線上に、多数の黒煙を確認とのこと!》

その報告を聞くやいなや、すぐに双眼鏡で確認する。

知名もえか「高角砲による弾幕のようですね。」

宗谷真霜「えぇ、それも駆逐艦や巡洋艦のものじゃない。飛行船支援艦のものね。」

知名もえか「では、他の学生艦もこの海域に?」

宗谷真霜「その可能性はあるわね。速度を落として!」

 

艦隊が速度を落として距離を取ろうとしたとき、長距離水上レーダーを搭載した航洋艦 時津風の電信員が、小型機の大群の接近を告げた。

 

時津風:艦橋

 

時津風電測員《レーダーに感あり!!所属不明の小型プロペラ機、多数接近!》

長澤君江「艦長!!」

榊原つむぎ「旗艦へ報告!!迎撃用意、急いで!!」

 

武蔵:艦橋

宗谷真霜「所属不明のプロペラ機が?!」

知名もえか「数は!」

武蔵見張り員《概算で40機!内10数機は、低空から急速接近中!!》

宗谷真霜「迎撃用意!!急いで!!」

知名もえか「全艦戦闘態勢!近接戦闘の用意!!」

 

晴風:艦橋

 

岬明乃「戦闘、近接戦用意!」

宗谷ましろ「応急班、即時待機!」

宇田慧《所属不明のプロペラ機5機!高度250から急降下!》

羽山陽介「両舷第4せんそーく!!ジグザグ運動開始!!」

知床鈴「りょうかーーい!!!」

 

横須賀学生艦隊に突如として襲いかかった所属不明のプロペラ機は、低空からの雷撃、高空からの急降下爆撃の攻撃は、対空戦闘に慣れていない為、牽制射撃をしつつの回避運動に徹していた。

目を醒ます轟音と、次々に襲いかかるプロペラ機の攻撃は、遂に横須賀艦隊を散り散りにさせてしまった。

そして、プロペラ機との激闘約3時間。

敵の攻撃が止んで、攻撃は再集結をしていた。

 

武蔵:艦橋

 

知名もえか「各部、損害報告!!」

武蔵応急員:角田夏美《右舷バルジに魚雷3発、左舷バルジに魚雷5発が直撃!!右舷左舷中央部側面エリアから浸水多発!!》

武蔵機関長《第4缶室出力低下なるも、航行に支障なし!》

武蔵副給養員:小林亜衣子《備蓄倉庫にも爆弾の攻撃で、半日分の食糧が吹き飛びました!!》

吉田親子「第3副砲大破!第1砲塔の自動給弾装置の一部が全損!第2、第3砲塔直下に直撃弾多数、砲撃不能!!速射砲のいくつかも直撃を受けて損傷!」

宗谷真霜「他の学生艦は!!」

知名もえか「晴風・天津風・時津風・明石・間宮・比叡・べんてん・てんじんのビーコンを確認!!他はわかりません!状況混乱!」

宗谷真霜「……っ!!!!!」

 

僚艦をロストしただけでなく、旗艦である武蔵も手負いの状態であった。

これ以上の戦闘は、かえって生徒に殉職者を出しかねなかった。

 

吉田親子「晴風より通信です!!」

宗谷真霜「内容は?」

吉田親子「”前方に、大破炎上中の飛行船支援艦4隻を確認し、周辺に漂流者を多数確認!救助活動の用意を求む!”です!」

知名もえか「ミケちゃん……!」

晴風のこの決断は、宗谷真霜に【二者択一】を迫られた。

もしここでこの世界に介入すれば、それは[=歴史の改変]を行うことにもなるし、[生徒達を危険に晒す]事になる、仮にここで人命救助をしなかったら、[何千人もの助けられる命を見捨てる=悪魔に魂を売る]事になる。

真霜は判断に迷った。

それは、生徒達も同じであった。

これ以上、戦うのは嫌だ。

演習と実戦の違いは、彼らに異常な疲れを与えてしまった。

しかし、ブルーマーメイドの一人であり、実質的な現場指揮官である宗谷真霜は、敢えて前者の選択を選んだ。

宗谷真霜「全艦に通達!!乗員を総動員させて、漂泊者の救出を開始せよと!責任は、私がとります!」

たとえ歴史の流れを変えてしまうことになっても、ブルーマーメイドとして、一人の人間として、海の仲間を見捨てはしなかった。

 

晴風:後部甲板

 

晴風にて救出活動が進む中、航海科の勝田聡子がある一人の女性士官を救出した。

勝田聡子「また1名、救出したぞな!」

砲雷科 第1魚雷発射管担当:松永理都子「これで59名だね。」

砲雷科 第2魚雷発射管担当:姫路果代子「そうだね〜………あれ?その女性士官の服、名前の刺繍がついているよ?」

砲雷科の姫路果代子が、救出した女性士官の服に、名前の刺繍がついていることに気づく。

松永理都子「あ!ほんとだ!」

勝田聡子「一応、確認するぞな!もし死んでたら遺族に………………ふぇえ?!」

松永理都子「?どうしたの?」

勝田聡子「あわわわわ…………じ、女性士官の名前が…………」

姫路果代子「名前がどうかしたの?」

勝田聡子「苗字が…………副長とおんなじぞな!!」

それを聞いて、名前の刺繍を確認した。

そして、名前はこう書かれていた、【宗谷 雪】と。

 

 

次回、「海中からの刺客」に続く

 




ということで、連続で2話も投稿してみました!
よかったら、感想や評価の方もしてくれたら嬉しいです!

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  • 空母いぶき(原作)
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  • ストライクウィッチーズ(RtBあたり)
  • 第3飛行少女隊(独自設定)
  • BATTLE SHIP
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