ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜 作:小説設営隊隊長
航洋艦 晴風:艦橋
内田まゆみ「右舷、洲崎岬の通過を確認!!」
山下秀子「左舷、剣崎岬を視認!!距離400!」
晴風艦長(代理):羽山陽介「取り舵0.9!両舷減速赤15!」
知床鈴「取り舵0.9!両舷減速最微速!ヨーソロー!」
納沙幸子「進路戻して下さい!」
羽山陽介「舵戻せ!」
知床鈴「ヨーソロー!」
晴風:前部甲板
艦長:岬明乃「シロちゃん……わたしたち……帰ってきたんだ……」
副長:宗谷ましろ「はい………横須賀へと……帰ってきたんです……!」
シンガポールでの補給作戦を終えた晴風以下学生艦隊は、武蔵が待つ横須賀へ進路を取り、今まさに横須賀へ入港すべく浦賀水道へと突入していた。
10:22 浦賀水道 観音崎沖
野間マチコ《前方の岬に砲台を視認!観音崎です!》
勝田聡子「次回変針点まであと8.0!速度このまま!」
知床鈴「ヨーソロー!」
海峡特有の複雑な海流と、小刻みな波浪に煽られながらも、手慣れた操艦で浦賀水道を北上してゆく。
山下秀子「左舷、観音崎を通過!」
野間マチコ《前方から海防艦が接近!》
双眼鏡で確認すると、駆逐艦より一回り小さい艦艇がこちらへ接近していた。
納沙幸子「識別完了!占守型海防艦の占守です!」
羽山陽介「これはまたレトロなものを………」
自分達の世界では既に退役して解体された海防艦の姿を見ていると、発光信号を確認する。
野間マチコ《海防艦から発光信号!》
羽山陽介「読み上げろ!」
野間マチコ《 ...ワレ…コレヨリ…キカンタイヲ…ヨコスカコウヘト…ユウドウス……ワレニツヅケ……》
納沙幸子「道案内役でしょうか………」
すると、見張りから帝国海軍の水雷戦隊や重巡戦隊等が接近しているという報告が矢継ぎ早に出てくる。
内田まゆみ「右舷2時の方向!木更津方向から、軽巡旗艦の水雷戦隊が接近中!!」
山下秀子「左舷10時の方向からも、重巡摩耶以下駆逐艦4隻の戦隊が接近中です!」
西崎芽依「なんで重巡洋艦が………こっちは敵じゃないのに………!」
羽山陽介「やっぱり湾内を好き勝手彷徨かれると困るみたいだな………海防艦の指示に従え!」
知床鈴「了解!」
海防艦の指示に従い、横須賀へ向かう。
補給艦隊の最後尾が観音崎岬を通過すると、その後方から海軍航空隊が飛翔してきた。
宇田慧《艦隊後方から、飛行物体多数接近!!中型です!》
電測からの報告を聞いた宗谷雪は、双眼鏡で航空機の機種を確認する。
宗谷雪「あの形、一式陸上攻撃機……!」
津田一馬「方角からして、恐らく木更津基地所属の機体でしょう。」
晴風:前部マスト見張り台
晴風上空を通過した一式陸上攻撃機を野間は、その驚異的な視力で観察する。
野間マチコ「あの機体………腹に魚雷を抱いている...!こっちを完全に警戒してる…!」
海防艦の指示の下、浦賀水道を航行していると、遂に見慣れた風景を目にする。
晴風:艦橋
野間マチコ《見えました!!吾妻島です!!》
羽山陽介「…………!!」
全員が双眼鏡で確認すると、前方に吾妻島が見えており、左を向くとそこには、時代は違えど彼らの故郷【横須賀】が、そこにはあった。
西崎芽依「横須賀だ!!」
立石志摩「うぃ!うぃ!(遂に帰ってきたんだ!と言っている。)」
納沙幸子「やっと帰ってきたんですね!!私達!!」
知床鈴「これで、もう放浪しなくて済むんだ!!」
羽山陽介「あぁ………!!やっと…横須賀へ着いたんだ……!」
皆が感傷に浸っていると、吾妻島から大小様々なタグボートが向かってくる。
哨戒艦てんじん:艦橋
古庄薫「各艦へ伝達!タグボートの指示に従い、各自横須賀港へ入港せよ!」
古庄薫の鶴の一声により、艦隊は飛散してそれぞれの投錨位置へと向かった。
航洋艦 天津風:艦橋
山辺あゆみ「接岸地点に近づきます!」
高橋千華「両舷減速最微速!面舵一杯!」
航洋艦 時津風:艦橋
時津風航海長「艦回頭、終わりました!」
榊原つむぎ「微速後進!」
長澤君江「後進微速!」
大和:戦闘艦橋
大和見張り員「本港埠頭を肉眼で確認!」
大和航海長《両舷減速最微速!》
宮里十海「入港用意!」
能村進愛「入港用意!」
信濃:戦闘艦橋
信濃航海長《沖合投錨位置に到達!!》
阿部阿澄「両舷停止!投錨!」
河野燕「タラップを降ろせ!」
紀伊:戦闘艦橋
紀伊電測員「大和、本港埠頭へ接岸を始めました!」
千葉沙千帆「よぅし!大和の接岸が終わり次第、こちらも大和の右舷に接舷するぞ!」
野際啓子「了解!」
晴風:艦橋
野間マチコ《タグボート2隻、配置につきました!》
羽山陽介「入港用意!」
羽山の指示で入港用意の喇叭が音色を響かせる。
山下秀子「岸壁まであと10!」
羽山陽介「舫い綱渡せぇ!」
そう指示を出すと、上甲板で入港作業をしていた主計科の生徒たちが、埠頭に向かって舫い綱を投げ渡す。
投げ渡されたものを受け取った帝国海軍の作業員らがボラードに巻き付けて引っ張り、反対側からタグボートが押す。
山下秀子「岸壁まであと4.0……3.0……2.0!」
羽山陽介「機関停止!投錨!」
晴風が接岸したところで、機関を停止して、錨をおろして入港した。
晴風:前部甲板
前部甲板で横須賀の町並みを見ていた岬たちの所に羽山は岬に艦長権限を返還する。
羽山陽介「横須賀への入港が終了しました!艦の指揮をお返しします。」
岬明乃「うん、ありがとう!」
埠頭からタラップの接続を確認すると宗谷雪と津田一馬は、岬明乃と宗谷ましろ、羽山陽介を連れて横須賀鎮守府へと向かった。
横須賀軍港:横須賀鎮守府 会議室
鎮守府にて古庄薫教官と大和型各艦長と副長、先に横須賀に着いていた宗谷真霜と知名もえかと合流した一行は、”ある人物”に招集を受けて会議室へと向かった。
津田一馬「津田一馬です!宗谷少佐以下数名をお連れしました!」
???「入れ。」
一行が会議室へ入ると、そこには歴史にその名を刻んだ人物がいた。
???「貴方がたが、異世界からの使者ですか?」
宗谷真霜「は、はい!ブルーマーメイド保安監督官の宗谷真霜です!」
第40代横須賀鎮守府提督:米内光政「横須賀鎮守府の提督、米内光政と申します。」
米内光政。
史実では未だ予備役のはずであったが、明乃たち学生艦隊が転移してきたときに、歴史の流れは大きく変わり、39代目の横須賀鎮守府提督【平田昇】がMI作戦参加の為、空母蒼龍へと乗艦して南雲機動部隊と同行。
次期提督として海軍省の過激派は【古賀峯一】を新補させようとしたが、その古賀峯一自身が海軍省へ出頭中に交通事故に遭い負傷。更に南雲機動部隊が米軍の航空奇襲に遭い壊滅の報が入り、過激派の上層部は混乱していた。
過激派が混乱している隙に穏健派は、予備役そして再就任のときを待ち続けていた【米内光政】に第40代目横須賀鎮守府の提督に就任してほしいと懇願。米内光政自身も現在の帝国軍の内情を知っていてこの要請を承諾、そして山本五十六長官の要請を受けて今に至るのだ。
米内光政「話は山本長官から聞いております。長期の航海、お疲れでした。」
宗谷真霜「お気遣い、感謝します。」
米内光政「まず、お伝いせねばならない事が少々………」
古庄薫「何でしょうか?」
米内光政「北方アリューシャン列島沖合を捜索中でありました、駆逐艦如月から、貴校の航洋艦……でしたな。陽炎と雪風を発見して、保護したとの報告が入っています。」
宗谷真霜「…………!!それで、乗員は!!」
米内光政「乗組員数名に軽い凍傷がありますが、全員無事です。今、軽空母隼鷹以下駆逐艦3隻の護衛の下、青森の大湊警備府へと回航中です。」
大湊警備府は、帝国海軍の北方海域の重要拠点であり、以前は南樺太の安全確保の為小規模の水雷戦隊が駐留していたが、太平洋戦争開戦と同時に戦力の増強が行われ、現在は細萱戊子郎少将が指揮する【第5艦隊】と【第1水雷戦隊】が大湊警備府に駐屯している。
なお明乃達の世界では、大湊警備府は現在【ブルーマーメイド日本支部 大湊基地】に改名されていて、現在は哨戒艦[あやみね]を旗艦とする【第4哨戒戦隊】とホワイトドルフィンの【第7戦隊】が駐留しており、アメリカ支部の【北方第2艦隊】が不測の事態に備えて常駐している。
米内光政「そして、貴方がたが派遣された潜水艦隊ですが……」
宗谷真霜「その報告なら、既にシンガポール経由での電報で確認済みです。」
米内光政「2時間ほど前、トラック泊地から電報で、”設営隊撤退作戦開始のため、HF進発せり”の暗号を受信しました。」
古庄薫「遂に………ですか。」
米内光政「はい。続報は追ってお伝えしますので、今日はゆっくりとご休息を。」
この日の会談は、行方不明であった航洋艦2隻の保護とガダルカナル島の設営隊撤退作戦の発動の報告だけで、学生たちの疲れもあり会談の続きは後日改めてということとなった。
会談を終えた一行は、学生たちに休息を与えることにした。
補給作戦で重労働の上、これまで無理を承知で学生たちを動かしてきた者にとってはささやかなお礼でもある。
なにはともあれ、他の艦への燃料・物資の積み込みは帝国海軍にまかせて、学生たちは深い眠りについた。
そして場所は、南太平洋ソロモン諸島へと移る…
1942年6月18日 ソロモン諸島ガダルカナル島
ここガダルカナル島では、夜明けと共に艦砲射撃が行われ、米軍主体による上陸作戦が敢行された。
突然の攻撃で不意打ちをされた設営隊は皆大慌てになって、各分隊ごとジャングルの中へと退避したが、苛烈な艦砲射撃に恐れおののいて散り散りになってしまった。
明乃たち学生艦隊が転移してきたことにより、歴史の歯車はきしみを上げて一気に異なる道へと転がり始める。
ガダルカナル島内:ジャングルの中
海軍陸戦隊員5「この蒸し暑いジャングルに隠れて、もう3日か………。」
海軍陸戦隊員3「今頃ナテル川東岸は、米軍で溢れかえっている頃だな………。」
海軍第12陸戦隊隊長:宗谷霜大尉「不安になってはだめよ!まだ死ぬと決まったわけじゃないんだから!」
米軍の艦砲射撃の中、なんとかジャングルの中へと逃げ込めた海軍第12陸戦隊は、途方に暮れる日々を送っていた。
海軍陸戦隊員4「これから俺達、どうなるんだ?」
海軍陸戦隊員8「やっぱり玉砕覚悟で守らなきゃいけないのか?」
海軍陸戦隊員7「馬鹿いえ!米軍に失陥寸前の島を守って何になる!ここは、兵力を温存するためにも撤退すべきだ!」
海軍陸戦隊員1「だがよ!撤退するって言ったって、どこに行けばいいんだ?」
撤退するといえど、ナテル川東岸は米軍で溢れかえっており、安全な海岸線は限られていた。
しかし、宗谷霜はある希望を見出す。
宗谷霜「…………エスペランス岬よ。」
海軍陸戦隊員5「え?」
宗谷霜「エスペランス岬へ行きましょう。迎えの船は、必ずそこへ来るはずよ。」
海軍陸戦隊員2「しかし、この状況で友軍は来るのでしょうか?」
宗谷霜「必ず来るわ。山本五十六長官なら、必ず。直ぐに設営隊にも知らせて、エスペランス岬へ集合するように伝えるわよ!」
海軍陸戦隊員達「は!」
そして海軍陸戦隊はエスペランス岬への撤退のため、行動を開始した。
その頃、東舞校の潜水艦隊は設営隊撤退のため、一路ガダルカナル島エスペランス岬へと向かっていた。
果たして、撤退作戦は成功するのだろうか?
そして、この時代に適応するため、学生艦隊の改装計画が着々と進みつつあった。
第9話「哨戒活動でピンチ!」続く…
やっとストック出し切ったよ(本編の方は……)
これで、次回作を心置きなく書ける!
次回は戦闘準備の回ですよ! ヒントは、【ワから始まる米海軍の空母】です!
お楽しみに!
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