仮面ライダースピリット   作:ガンダムラザーニャ

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アンケートで一番多かった魄啜繚乱弟切花魁が登場する話を書かせていただきました。

また新しくアンケートを用意しましたので、皆様の一票をお待ちしております。


絢爛!美しき花魁!

「えーと夜宵、もしかして、ここなのか?

 

その卒業生がいる場所って」

 

「うん」

 

「けどよ、ここって…」

 

悠仁たちは目的に着いたが、悠仁はこの場所に思わず狼狽えてしまう。

 

「明らかにラブホテルじゃねぇか!?」

 

「正確にはそのラブホテルの廃墟。

 

それも、ヤクザがここに女を連れ込んで嬲り殺しにしたことで、その女たちの霊が彷徨ってるという曰く付きの」

 

「いや廃墟だし曰く付きなのはわかるけど!?

 

何でこんなとこに卒業生置いとくんだよ!?」

 

「ここなら人気もないし、周りに被害が出ないかなと思ったから。

 

…もしかして、何かいけなかったの?」

 

「え、えと、その…」

 

(教育に悪いだろ!!)

 

いくら卒業生を保管した場所とはいえ、そして廃墟とはいえここはラブホテル。

 

小学3年生の夜宵にはあまりにも教育に悪過ぎると、悠仁は思った。

 

「…壁に水着のお姉さんのポスター貼ってる悠仁のことだから、何か変なこと考えてるだろうけど、少なくともそんなつもりで卒業生をここに置いた覚えはない」

 

「な、何でわかんだよ!?

 

つーか何でポスターのこと知ってんの!?」

 

「だって顔に書いてあるから。

 

それに悠仁、よくドア開けてることあるからポスターは普通に壁に貼ってるのが見えた」

 

夜宵にそう指摘された悠仁は、思わず自分の顔を覆った。

 

すると夜宵は呆れたようにため息を吐く。

 

「…本題、入って良い?」

 

「お、おう」

 

「…ここにはヤクザに殺された女の霊が、生前の苦しみから逃れたいという思念が融合して、本来存在するはずのない、秘密の部屋がある。

 

そこに卒業生を隠した」

 

「なんつーとこに入れてんだよ…。

 

ちなみにその卒業生って、もしかして俺が知ってるやつ?」

 

「うん、一年前フリーマーケットで買った曰く付きの手鏡覚えてる?

 

あれに取り憑いてた霊」

 

「けど夜宵、あの時弱い霊だったって言ってなかったか?

 

何でそんなやつが卒業生に」

 

「買った時点では確かに弱い、そこら辺にいる霊だった。

 

でもぬいぐるみに封印して私の部屋で入れてから一ヶ月で、他の霊たちの命を啜って化けた。

 

そしてここの秘密の部屋に入れた」

 

「マジかよ」

 

悠仁は曰く付きの手鏡のことを思い出す。

 

一年前にフリーマーケットで売られてた手鏡。

 

店主曰く、何でも持ち主を老化させる曰く付きの手鏡だから、100円と安い値段で売られていた。

 

そして手鏡を買って夜宵が部屋に持って行ってから1ヶ月後、部屋のぬいぐるみがズタボロになってたから、掃除が大変だったのを悠仁は覚えていた。

 

「…あれそういうことだったのか」

 

「うん、それにここは、どうしても私一人では行けないようになった」

 

「どういうことだ?」

 

「確かに秘密の部屋の浴槽に卒業生を隠した。

 

でもそれ以降回収しに部屋に行こうとすると、何故か入口に戻されてしまう。

 

ここに隠してる卒業生は花魁の霊で、恐らく彼女がその秘密の部屋をお気に入りしか通さない擬似遊郭になってると思う。

 

ぶっちゃけ、私はその卒業生にめっちゃ嫌われてる。

 

例えるなら、野球のバッターが、相手ピッチャーからの顔面デッドボール喰らったのにそのバッターを心配するどころか周りがそのピッチャーが褒められるくらい嫌われてるくらいに」

 

「お前、無茶苦茶嫌われてるな…」

 

捕まえた霊のことだから、逆恨みは当然だろうが、それにしても嫌すぎである。

 

「だから、ここは男の悠仁なら花魁の霊も通してくれると思う。

 

入るための条件送っとくから頭に叩き込んでおいて。

 

じゃあ……そろそろ行こう」

 

「お、おう」

 

スマホに夜宵から秘密の部屋への条件を送ってもらい、二人で廃墟に入った。

 

だがその瞬間。

 

「…悠仁?」

 

寶月悠仁は、夜宵の前から姿を消した。

 

一方、悠仁は。

 

「は?」

 

夜宵と一緒に入ったはずなのに、一人だけ別の空間に来ていた。

 

来た道を振り向くと、そこはさっきまでの外ではなく、江戸時代を彷彿とさせる建物や堀が見える。

 

しかも出入り口のすぐ下は川、落ちたらずぶ濡れになること間違いなしだ。

 

だが幸いなことに悠仁がいる内部は夜宵と入ったものと変わらない。

 

「…そういえば夜宵のやつ、擬似遊郭になってるって言ってたな。

 

となると、これはここに隠した卒業生の仕業ってことか!」

 

スマホに送られた秘密の部屋の条件を頼りに、悠仁は奥へと進む。

 

一方で夜宵は。

 

「悠仁が消えた?」

 

出入り口に入ったばかりなのに、悠仁が姿を消したので、周りをキョロキョロと見渡すも、どこにもいない。

 

ふと、違和感を覚えた。

 

自分の近くで悠仁の声が聞こえる。

 

声の位置に手を伸ばして触ろうとするが手応えがない。

 

さらに確認でGPSで確認すればその声の位置に間違いなく悠仁がいる。

 

(この状況を鑑みるに、どうやら悠仁は座標こそ現実と同じだけど、お化けの世界に迷い込んだっぽい。

 

今の悠仁は幽霊だから、迷い込んでも不思議じゃないけど)

 

そう考えてると、恐らくこのラブホテルで殺されたであろう女の霊が通路を彷徨っていた。

 

それに、GPSで悠仁が動き始めたのを確認する。

 

(恐らくお化けの世界も、ここと同じもの。

 

なら、悠仁も秘密の部屋を目指してるかもしれない。

 

私もいかないと)

 

GPSと女の霊を確認しながら、夜宵も秘密の部屋を目指す。

 

その頃の悠仁は、夜宵から送られた条件の通り、各部屋の番号を変えたりドアの開け閉めをしながら進んだ。

 

「ここが」

 

その先で見つけた、一室のドア。

 

一見すれば他のドアと同じだが、明らかにこの先でヤバイ奴がいるという凄みを、悠仁はそのドアから感じた。

 

だがここで足踏みするわけにはいかない。

 

とにかく、ここにいる卒業生を回収するのが目的だから。

 

それに、夜宵から封印するための縄を預かっている。

 

意を決した悠仁は、ドアを開けた。

 

「おじゃましま~す」

 

中に入ると、ここが廃墟だから当然だがそこは寂れた寝室だった。

 

そして奥には曇ガラスが貼られた浴室がある。

 

その浴室から、凄まじい気配を肌で感じる。

 

息を呑みながら、浴室へと足を運び、ドアを開けると。

 

「…っ!」

 

そこはまるで火事のように燃え上り、その奥の浴槽には、塩の入った袋に入れられ、その上から縄で縛られた狐のぬいぐるみがあった。

 

「おやぁ?これはまたかわいらしい坊主が来たもんだねぇ?」

 

と、狐のぬいぐるみから声が聞こえる。

 

しかも、封印されてるにも関わらず、そこからオーラが出るように姿を現した。

 

美しくも禍々しいとも言うべき、豪華絢爛な着物をその身に纏う花魁が、そこにいた。 

 

(こ、こいつが卒業生!?

 

なんつー気配してやがる!)

 

その異様な気配に警戒をする悠仁を他所に、花魁はキセルを蒸して一息入れる。

 

「ねぇそこの坊主?

 

ここまで来たんだ、あたしは開放しておくれよ?

 

そうすれば、お前の食わないでおいてやるから」

 

「…そんなこと聞いて、はいそうですかってなるかよ。

 

俺たちは、お前を回収するためにきたんだ。

 

封印を解くつもりはねぇよ」

 

「ふん、礼儀がなってない坊主だねぇ…。

 

お前は、今置かれてる立場というものがわかってるのかい?」

 

「立場…っ!?」

 

後ろを振り返るの炎が燃え上がって、出ることができなくなった。

 

「あたしとこんな所で心中するなんて嫌だろう?

 

ほら、さっさとこの縄を解きな」

 

「うるせぇ!」

 

このまま花魁と心中するわけにはいかない。

 

そう思った悠仁は、封印を強めるために縄を取り出そうと、ポケットに手を突っ込むが。

 

「痛っ!?」

 

ポケットが、いつの間にか口になっており、手を噛まれた。

 

「あらあらつれないじゃないか。

 

そんなつれない子は、折檻しないとねぇ?」

 

狂気のある笑みを浮かべる花魁の美しい顔が、皮膚が、グズグズに焼け爛れて、その下から覗く醜悪な異形の顔が露見する。

 

「ぐっ!」

 

花魁は力強く悠仁を抱き締め、身動きが取れない状態で、その焼け爛れた顔を近づけ、悠仁の唇を噛み切った。

 

「いてぇ……っ!」

 

「ふふっ、痛がる顔も良いねぇ、ゾクゾクしちまうよ」

 

「っ!?」

 

何か嫌な予感を感じる悠仁。

 

その瞬間、悠仁の体に夥しい数の斑点ができる。

 

「なっ!?」

 

「ふふふっ、出来ちまったねぇ?

 

そうなったら早いよ?

 

あんたもすぐ、こうなっちまうから」

 

醜くなった顔でゲラゲラと笑う花魁に、悠仁は戦慄する。

 

「さぁ?わかったらさっさとこの縄を解きな?

 

そしたらあんたのことは見逃してやるよ?」

 

「…それを解いたら、お前はどうする?

 

夜宵はどうなるんだ」

 

「夜宵?あぁあの忌々しい小娘か。

 

あたしゃあの小娘にここに閉じ込められちまった恨みがあるんだ。

 

もちろん、小娘の命を啜って、より美しくなるのさ。

 

小娘だけじゃない、そこいらの命ある奴ら全員さ。

 

あぁ、けどあんたは見逃してやるよ。

 

それも治してやるさ」

 

「…本当に、この封印を解いたら、俺のことを見逃すのか?」

 

「ふふふっ、あぁ約束するさ。

 

あたしは早い男が好きだからねぇ。

 

さっ、わかったらとっとと解きな!」

 

「…わかった」

 

同意してくれたのが嬉しかったのか、花魁の手が緩み、悠仁は開放される。

 

その瞬間。

 

「ふんっ!」

 

「がっ!?」

 

悠仁の拳が、花魁の顔面を捉えた。

 

その衝撃に、花魁の体は後ろへ吹き飛ぶ。

 

距離を取ったことで悠仁は眼魂を取り出す。

 

「がっはぁあ!?」

 

「なわけねぇだろ。

 

誰がお前の要望に応えるかよ。

 

どうやらてめぇは、ここでブチのめしてから封印を強くするしかねぇようだな」

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「変身!」

 

『カイガン!スピリット!燃えろ生き様!その果ての死に様!』

 

炎が燃え上がる中、悠仁は仮面ライダースピリットに変身して、拳を構える。

 

「この…っ、クソガキがぁ!!!」

 

花魁の怨嗟に、炎が激しく燃え上がる。

 

「このあたしをコケにした落とし前はつけてもらうよ!」

 

花魁は炎から、炎でできた蝶を呼び出し、悠仁に襲い掛かる。

 

だが、悠仁は蝶の攻撃をいなし、それを上回るスピードで花魁を殴り続ける。

 

「うらぁ!」

 

「がっ!?」

 

一瞬怯んだ隙に悠仁は、花魁を浴槽の中へと投げ飛ばす。

 

さらに。

 

『ダイカイガン!スピリット!オメガドライブ!』

 

必殺のエネルギーを宿した必殺キックを放つ体勢を取ると。

 

「こいつで最後だ!」

 

その炎の中を突っ切り、花魁を渾身の一撃を叩き込んだ。

 

「ギャアアアアアアアア!?」

 

断末魔の叫びと共に、花魁はぬいぐるみの中に戻り、周囲の炎が消えてなくなる。

 

「よし、あとは巻くだけだ」

 

ぬいぐるみに封印の縄を巻こうとすると。

 

「ぐっ!?」

 

全身の斑点が一気に広がり、発熱と吐き気を感じ、動きが鈍くなる。

 

「嘘だろ!?体のこれ、まだ続くのかよ…!」

 

「こんなこと、あたしは認めない…!

 

何が何でも、絶対に抜け出してっ、お前の命を啜ってやる!!」

 

ぬいぐるみから腕だけを出した花魁が、悠仁の縄を巻く手をどかそうと、そして悠仁の手で封印の縄を解かそうと動かす。

 

縄を巻く手に力が入らない。

 

思考が働かない。

 

意識が朦朧とし、意識が途絶えようとしていた。

 

だが、こんな所で諦めるなんてことは、できなかった。

 

「ふざ、けんな…!

 

ここで諦めてたまるかよ!

 

俺が生き返るためにも、夜宵を、夜宵の母親を助けるためにも、絶対に!諦めるかよ!!

 

お前みたいに、美しさばっか求めてるような奴には、負けられねぇんだよ!」

 

「〜〜〜〜っ!!

 

小僧が!!知ったような口を利くんじゃないよ!!」

 

「ぐっ、うぉぉ!!」

 

花魁は最後の力を振り絞り、呪詛の言葉を叫びながら、悠仁の手を握り、縄を解かせようとするが、悠仁も負けじと腕に力を入れて、縄を巻き始め拮抗する。

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

変身して身体能力上がってるとはいえ、全身の斑点が広がって、思うように力が出ない。

 

けど、悠仁はそれでも力を振り絞る。

 

そして。

 

「おおおおおおおおお!!!!!」

 

ぐるぐると縄を巻き、力強く解けないように縛り上げた。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

強く封印されたことにより、花魁は完全に沈黙し、全身の斑点がなくなって吐き気や発熱などがなくなるを感じ、変身を解除した。

 

それにより、悠仁は現実の世界へと戻される。

 

「戻った、のか?」

 

「悠仁」

 

振り向くと今来たばかりの夜宵がいた。

 

「夜宵、卒業生回収したぜ」

 

「うん、ありがとう。

 

それと悠仁、この部屋に来てから、ずっと悠仁の声、聞こえてた」

 

と、夜宵は悠仁の手を握った。

 

表情は変わらないものの、その小さな手は震えていた。

 

「悠仁が私やママのために頑張ってくれてるのは知ってる。

 

でも、悠仁は私の家族だから、心配くらいさせて。

 

私は、もうこれ以上家族を失いたくないから」

 

夜宵は、家族を失うことの辛さを知っている。

 

だから悠仁が殺されたときも表情には出さなかったものの、本当は、内心は悲しかった。

 

家族を失う辛さを知っているから、もう失いたくないから。

 

「だから、約束して。

 

本気でヤバくなったら、その場から逃げるなりして、自分の身を守って、私に頼って。

 

悠仁のことは絶対に、私が守るから」

 

「夜宵…」

 

「だから、これからもずっと私の側にいて」

 

「……おう!任せとけ!」

 

そう言って二人は約束の証に握手をし、ラブホテルの廃墟を後にした。

二号ライダーで出してほしいキャラ

  • 乙骨憂太(呪術廻戦)
  • 東堂葵(呪術廻戦)
  • 脹相(呪術廻戦)
  • デンジ(チェンソーマン)
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