「これで良かったのかね?」
ベンチにて、仁藤からドングリロックシードを受け取った城之内はロックシードを弄っていた。
取り調べの後、故障しているロックビークルを直すためにティアナに預け、信頼している者に診せると言って別れた現在。異世界の技術を見せて良かったのかと考えていた。
「少なくともなんも知らねえ俺たちより専門家に任せた方がまだ大丈夫だろ?……それに俺達は一刻も早く沢芽市に戻らなきゃいけねえ。俺達がいなきゃ、誰がユグドラシルタワーに連れてかれた人達を助けるんだ」
「ザック……」
ーーーチームの為ならどんな汚い手段でも使う男
沢芽市にて、ビートライダーズによるインベスバトルが行われていた頃、最初に見た時に抱いていた印象はそれだった。
それが合同ダンスイベントの時は戦極ドライバーを使って変身し他のチームの為に戦い、そして今は見ず知らずの人の為に奔走している。
ーーー男子三日会わざれば刮目せよってなぁ!
「(ーーーお前も随分変わっちゃって……)」
「ん?つか、あいつどこ行った?」
「仁藤攻介、だっけ?あいつは町だよ。じっとしてるのは性に合わないってさっ」
「いやー、満足満足♪」
町に繰り出した仁藤がしていた事、食べ歩きだった。
「やっぱ腹が減ると戦はできんって言うしな。それにピンチはチャンス!動いてたら何か良い事あんだろっ。」
持参のマヨネーズ片手に回しながら歩いてると見覚えのある後ろ姿が……。
「お?あいつは……おーいおいおい!ちょっと悪りいな……やっぱり!久しぶりだな〜〜!」
「……………………あんたは……何でここに……」
「いやさ、変な奴に襲われてよっ、こんなところに飛ばされたんだよっ。」
仁藤が見つけた人物ーーーーーそれは黒スーツに身を包んだ呉島光実だった。
「そういえば、お前、フルーツライダー何人いるんだよ?さっきそこでも2人程会ったんだけどよーーー」
ーーースタッ
「ーーーん?」
背後から聞こえた足音。それに気づき背後を向く頃には遅かった。
ドスッ!
腹に強い衝撃が走り、意識を刈り取られた仁藤。
背後に現れた者。ロシュオにより動向を任されたオーバーロード•シェグウグレン。
「こいつはどうする?」
「好きにしていいよ。用が出来た」
そう言って歩き始める光実。その光実を見た後に倒れている仁藤を見た後、何かに気づき、仁藤に手を伸ばし引っ込めると、霧のように消えていった。
「ーーーん?…おい…あれ…!」
驚いたものを見るように促す城之内につられ、城之内が見ている方を見るザックの目に入ったのは此方に向かって歩いてくる黒スーツ。
「ミッチ…!?」
「何、あいつもここに流れ着いた訳…!?」
ーーーーザッ
「あんた達に聞きたい事がある。舞さんの居場所、あんた達を襲った奴について全部聞かせてもらおうか?ま、無駄だと思うけど。」
ザック達と距離をおき立ち止まる光実。
「その前に聞きたい事がある。ユグドラシルタワーに人を連れて行ったのはお前の指示か?それともオーバーロードか?」
「黙れクズ。質問してるのはこっちだ」
「あいつ…!」
ロックシードを解錠しようとする城之内を手で制するザック。
「だったらこれだけは聞きたい。お前が俺達を騙してたのはこの際どうでも良い。ただあの合同ダンスイベント。あの時踊り、成功した時皆と一緒に笑っていたのも演技なのか?」
ーーー騙す側の方が何倍も辛いんだ………!
騙されていたと知った時に紘汰が言った言葉。もしその通りならあの時も、クリスマスでのダンスイベントの時も少なからず苦しんでた筈。だが、今の光実には意味がなかった。
「僕だって暇じゃない。それに、クズの言葉を聞かなきゃいけないこっちの身にもなって欲しいな」
「ザック」
「ッ……解ってる…」
目を瞑り、悔しさを吐き出すように言って戦極ドライバーを出した。
それを見てゲネシスドライバーを出す光実。そしてお互いにロックシードを出した。
「変身!」
「変身!」
『クルミ』
『ドングリ』
「………変身」
『メロンエナジー』
『『ロックオン』』『ロック•オン』
『ギュイーン! クルミアームズ ミスター ナックルマン!』
『カモン! ドングリアームズ ネバー ギブ アップ!』
『ソーダ メロンエナジーアームズ』
エレキギター、ファンファーレ、激しいメロディーが流れ頭上に出現したアームズを纏い展開しそれぞれのウェポンを握る三人。
走り出す2人。対し、斬月•真はその場で迎え撃った。
「ーーーーさて、どれ程の男なのか………」
その戦いをビルの上から見ているシェグウグレン。
その手に持っているもの。仁藤から掠め取った物ーーーヘルヘイムの果実だった。
口にしようとするシェグウグレン。その口に入ろうとするその時………
ドン!
響き渡る銃声。それはシェグウグレンの手に当たりそれによって手から離れ飛んでいく果実。
「……っと!」
果実をキャッチしたのは持ち主であり銃ーーミラージュマグナムーーを構えている仁藤だった。
「へへへ、盗み食いはゆるせねえぞ?特に俺の目の届く内はなっ。」
「…………フォディングルンデェンフェンエボリャビリェブリョ…」
「あ?」
飛んでいった果実には目もくれず、撃たれた手など忘れたように仁藤に問いかけるシェグウグレン。
「その果実を持ちながら、口にしようとは思わないのか…」
そう言われ考える仁藤。そしてかつて土日限定で旅を同行している魔法使いの飯島譲に果実を渡そうとした際にキマイラに言われたことを思い出した。
ーーー人間が食えばロクなことにならない。
「あいつそういえば……わりーな、これはキマイラの食事なんだ。食べようとは思わねーな。よっ。」
『ドライバー オン!』
ビーストドライバーを出し果実をかざすとエネルギーに変わりベルトへと吸収されていく。
「ほんじゃ、ま!行くか?」
別の指輪をはめ、空に振り上げる。
「変ー…身!」
『セット・オープン!L・I・O・N・ライオーンッ!』
ベルトに見られる凹みに指輪を嵌め、回すとベルトに目立つ銀色の扉が開き金色の獣が姿を見せ仁藤の気合のいれた声と共に目の前に魔法陣が表れ通過すると、ミラージュマグナムを構えたビーストが現れた。
「さぁ、ランチ…はさっきしたから、デザートタイムだ!」
目の前でおこった光景にラウ、と口にしたシェグウグレンにダイスサーベルを出し走り出した。