「でやああっ!」
「………………」
サッ ガシッ ブン!
「うわっ!」
「はああっ!」
サッ
「はあァ!」
ジャキン!
「ぐああ!っ、ぐっ…!」
別世界で戦っているナックル、グリドン、斬月•真。
最初はある程度拮抗していた戦闘が少しずつ傾き始めていた。
「はあ、はあ、…ザック、呉島光実ってこんなに強かったっけ…」
「…いや、幾ら俺たちよりもアーマードライダーになって戦っていたといってもそんなに差があるとは思えねえ。だとするとありえんのはあのベルトの強さか…あいつ自身の才能だろ…」
ザックの予想は当たっているようで間違っていて、しかし間違っているようで当たっていない。
光実が使っているゲネシスドライバーは元は兄、貴虎のもの。そして貴虎が使っていたゲネシスドライバーは最初に作られた第一号であり後にバージョンアップされているシド、湊、戦極、戒斗の持っているのより劣っているプロトタイプである。(それでも戦極ドライバーより優れているが)
あの圧倒的な強さを誇っていたのは、ひとえに貴虎がドライバーの性能を知り尽くし自虐的なまでに己を鍛えていたから。
光実は確かに貴虎を超える才能を持っている。しかし今の光実の強さは不安定なものだった。
『メロンエナジースカッシュ!』
「ハアッ!」
「!?……くっ、どうする!」
「てか仁藤はどうしたんだよ!?」
『バッファ!ゴーッ!バッバ、ババババッファー!
』
「おうらっ!」
「……は!」
ボウッ!
「熱ッ!アチチチチ!」
近くの建物の屋上。
シェグウグレンの出す炎によって近づけないでいるビースト。
「こ〜なったら…とう!」
『ファルコ!ゴーッ!ファッ!ファッ!ファッ!ファルコ!
』
「……鳥?」
人間の世界を渡るにあたり言葉を憶え、その中で会ったワードを口にするシェグウグレン。
『シックス!ファルコ!セイバーストライク!
』
「ぃよっし!オラァァァッ!」
風を纏い突貫するビーストと周りに現れ加速する鳥の幻影。
「!」ボウッ!
幾つもの炎を出し放つシェグウグレン。しかし炎はミラージュマグナム、幻影により阻まれ…
ドン!ガシッ!
「オラァァァァァァァッッ!!」
「ゥゥゥゥッ!」
ビーストと激突し建物から放り出された。
「シャデェゴシュフォ…!」
ビーストから離れ1人落ちるシェグウグレン。
ーーーーその時、太陽に影がかかった。
『キックストライク!ゴー!
』
「ウオラアアアァァァッ!」
「ウオラアアアァァァッ!」
ドオオオオン!!!!
「何だ!?」
「空から…!」
「あれは…」
「ーーふう。おっ!おまえら!ひっでえじゃねえか!何で変身してんのに来なかったんだよっ」
突然空から現れたビーストに驚くグリドンとナックル。そして斬月•真は煙で見えないが横たわって倒れされたであろう足元に目を向けていた。
「…何が知恵の実を分けられた最も強い者、だ。死ぬにしてももっと役に経ってから死ねばいいものを…」
「それにおめえもだよっ。後ろに現れたんなら言ってくんねえと」
声で気づき斬月•真に近寄るビースト。
「ちょっと!あんた離れたほうが…!」
「??なんで?」
声を細めながら言うグリドンに構わず斬月•真の肩を叩くビースト。
そしてビーストの見えない角度からソニックアローを構え
ビーストに斬りつける…………その時。
ドンッ!
炎の球体がビーストに当たりグリドン達の方に倒れていった。
「……成る程。グリンシャ、そしてデェムシュ殿が倒されたのも納得がいく」
「生きてたのか…」
「いや死んだ。命は一つだけではない。」
「…ストックがあるのか?」
「そういうことだ。」
「っ痛えぇぇっ〜!」
「おい!大丈夫か!?」
「あの野郎確かに倒した筈なのになぁ〜!つか、なんであいつら一緒にいんだよ!」
「呉島光実は敵なんだよ!」
「はあ?お前らどんな喧嘩したんだよたくっ。」
立ち上がり指輪をはめるビースト。ダイスサーベルを突き刺し、ベルトに嵌めた。
『ハイパー・ゴー!ハイッ・ハイッ・ハイッ・ハイパー!』
現れるキマイラの幻影。それがビーストを包み姿を変えていった。
黒かったスーツは青に、非対称だった金色のアーマーも左右対称に、頭部は青く、金の線が入り複眼は赤く、胸にはキマイラを模した装甲が、両腕にはビーストの意思で動く「フリンジスリンガー」が。
古代戦士を思わせる格好からエジプトを思わせる姿に変わっていった。
仮面ライダービーストハイパー
「悪りいが、あいつは俺のメインディッシュなんでな。加勢はできないぞ?」
「いや、こっちが加勢に入るみたいだけど?」
そういうグリドン達の視線の先に変身を解き帰ろうとしている光実がいた。
「あんたがいないと世界を渡れないんだから早く倒しなよ。」
さっきとは逆の立場になっていると気づきながらもビースト達に目を向けた。
「んじゃ、食らい尽くすぜ。」
左右に別れるアーマードライダーと正面から撃ちはじめるビースト。
左右に炎を放つもビーストに阻まれ近づいてくる。
「よっと!おりゃああ!」
「デヤアアアッ!」
ガシッ ザザザザザザ…
「な!?おおおおおお!?」
「ちょちょちょちょ!」
同時攻撃を止め、押し返すシェグウグレン。次第にその手に炎が集まりつつあった。
「やばっ!?」
『カモン ドングリスパーキング』
『ギュイーン クルミオーレ』
放たれる寸前にドンカチとクルミボンバーにエネルギーを纏って相殺する2人。
「痛たたた。やったかね?」
「まったく答えてないように見えるがな。城之内、耳貸せ」
「いやー、何であんたら果物じゃねえんだ?」
「後で説明してやる。それよりちょっと手伝ってもらいてえんだが…」
爆風の中から無傷で出てくるシェグウグレン。
「ほー。んじゃ行くぜッ!」
「何であいつが仕切ってんのかね」
「この際どうでもいいだろ。それよりも。」
「はいはい。」
『マンゴー』
「シャムフォンロフォンムフォシャデュオンエシュファン?」
「ああ?何言ってるかわかんねえ…よ!…ふう、とりあえずあんたの相手はこの俺だっ。」
ドンドンドン!
『カモン マンゴーオーレ』
ブン…ブン…ブン、ブンブンブンブン!
「準備…!完了!」
「よし!行くぜッ!」
『ギュイーン クルミオーレ』
「何をーーー」
「お前の相手は俺だろ!」
ブンブンブンブン!!
「デヤアアアアアアァァッ!!!」
回転しマンゴー状のエネルギーを飛ばすグリドン。飛ばす先はシェグウグレン。
「行くぜェェェ!」
そして2人の間に立ち構えをとり待機しているナックル。
「そういうことか…」
「余所見してる場合じゃねえだ…ろ!」
連撃を加え隙を与えないようにするビースト。
『ハイパー!マグナムストライク!!』
「オラァ!」
「これで、どうだッ!」
ドオオオオン!
マンゴーのエネルギーを殴り威力と速さを増し、それにタイミングを合わせビーストハイパーもキマイラを模した魔力弾を撃ち出した。
「…ふう、ホントは俺とザックの合体技だった筈なのに…あんたあんな事も出来るんだな…」
「へへ、ナイスアシスト!だったろ」
「まあな。こんだけ食らえばあいつも……」
「…………………」
「げっ!?まだ生きてんのかよ!?」
驚き構えるグリドンとナックル。しかしシェグウグレンは背後の光実に向かいだした。
「何?倒さないわけ?」
「私の命令はお前を導くこと。寄り道をするとしてもそこから外れてはならない。」
「(ふーん)まいいや。じゃあさっさと開いてよ。」
「おい、あのオーバーロードが開いてるあれって…!」
「クラック!しめた!あれを通ってヘルヘイムに…」
「クラック?なんだそれ?パーティーの道具か?」
「あれを通れば元の世界に戻れんだよ!あいつらが行ったら直ぐに俺たちも行くぞ!」
変身を解く三人。そこに騒ぎを聞きつけたスバルが走ってきた。
「一体何がーーー」
「スバル悪りい!俺たちも直ぐ行かなきゃいけねえからこれで!」
「短い間だったけどこれで!」
「飯美味かったぞ〜!」
「え?は?は、はいッ!あ!じゃ、じゃあこれ!」
突然に戸惑いながらも預けていたロックビークルを投げるスバル。
「すいません!なおせなかったようです!」
「いいや、大丈夫だ!じゃなッ!」
「だあっ!」
「よっと!」
ジジジジジ………
光実達が行った後に残ったクラックに飛び込む3人。3人が入って行くと同時にクラックも消えていった。
「いっちゃった……。あ〜何て説明しよっかなぁ…。いきなり現れたチャックの中に入っていったって言ってもどうせ馬鹿にされるし……〜〜〜!」
説明の仕方に頭を抱えるスバル。
その影ーーー城之内が座っていたベンチに咲いていたヘルヘイムの花に気づく事は無かった。