仮面ライダー鎧武 巡りあう鍵   作:最上侑人

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7話:真実を探し始める兄と危険を冒し始める弟

「倉庫というのは・・・ここか。」

 

 

 

シドから逃げる為に川に飛び込んだ後に聞こえてきた通信に従い変身を解き、下水道を抜け沢芽市の外に着いた貴虎は倉庫を見つけドアに手をかけていた。

 

 

ガチャ「鍵が開いてる・・・(入れと言うことか)」

 

 

 

 

 

 

『中に入り進むと広い所に出る。そこを真っ直ぐ進むと左側の壁にパイプがある筈だ。それに沿って進みたまえ。警備は切ってある』

 

 

倉庫の中に入り始めるとまた通信がきて、それきり聞こえなくなった。

 

(この声はやはり・・・)

 

 

 

 

ベルトから鳴っていた電子音。変身している時は分からなかったが自分にしか聞こえない様にされている様だ。沢芽市を把握していてベルトに機能を付けられる者。そんな事が出来るのは貴虎の知る限り1人しかいなかった。

パイプに沿って進むと扉を見つけドアを開けると、一転して何処かの建物に入ったと判る景色に変わった。

少し奥に進み上に続く階段をあがると扉を見つけ開けると広い所に着き、その中心に誰かが立っていた。その人物は貴虎の予想通りであり、よく知る人物であった。

 

 

 

 

 

「やあ、待っていたよ。初めまして・・・と言うべきかな?平行世界の貴虎」

 

 

 

「やはりお前だったか・・・・・・・・・凌馬」

 

 

 

 

そこで待っていたのは、この世界の戦極凌馬だった。

 

 

 

「やはり、という事は私だと分かっていた様だね。ま、ドライバーに詳しいのは私だけだから当然か」

 

「何時からだ。私の存在に気づいたのは」

 

「二日前のこの映像で仮説をたて、先程の葛葉紘汰の戦闘で確信した。この世界にいる貴虎と君は別人だと」

 

近くの机に置かれていたパソコンを弄ると路地裏で行動している貴虎の画像が出てきた。

 

 

 

「・・・見ていたのか」

 

「戦極ドライバーとゲネシスドライバーにはさっきやったように通信、盗聴、盗撮、あらゆる機能を付加している。勿論、私しか知らない。・・・まっ、流石に全機につけるのは苦労したけど」

 

やれやれ、と疲れきった仕草をした。

 

 

 

 

「何故私を助けた?」

 

全て知っているならこうしてコソコソと助ける必要はない。戦極凌馬という男は自分に得のないことには動かない男。唯一の友人を助ける、ならまだ分かる。しかし、この世界では自分達は友人ではない。そこが分からなかった。

 

 

「君に話を聞くためだよ。ドライバーを着けないとOFFのままだからね。葛葉紘汰を通して聴いていたが気絶してしまった。その先に何があったのかを君に聞きたい」

 

 

「そんな事を聞いて何になる?先の付加した機能もそうだ。お前の役目はドライバーの量産。お前と私で成し遂げようとした理想の筈だ!それが叶った今お前は何をしようとする!・・・・・・凌馬・・・お前の理想とは何なんだ・・・ッ!!」

 

 

貴虎が一番聞きたかった事。世界を救う為。1人でも多くの命を助ける為。危険な事はあったけれど、この男の研究は必ずヘルヘイムの脅威から人類を救済する事が出来る。そう信じられたからこそ、どれだけ傷つこうともこの男の研究の実験に率先して志願した。計画のリーダーとそのバックアップという立場であれどそこには確かに絆があると、そう信じていた。しかし・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・君は、私の理解者ではなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘルヘイムの森で倒された時に言われた言葉。その言葉には光実と同じように何か自分に非があった。本来ならこの戦極凌馬にする質問ではない。しかし、自分のいた世界では戦極凌馬は行方知れず。なら、せめて似ているこの男に聞いてみたい。なにか深い理由があると信じて・・・

 

 

 

「その質問は、例えこの世界の君に聞かれても答えるつもりはない。あえて言わせてもらうなら・・・私を失望させた君が悪いんだよ?貴虎」

 

 

「失望だと・・・!?」

 

 

 

 

「さて、そんな事よりまずはこれを見てくれたまえ」

 

問い詰めようとする貴虎を無視し凌馬はパソコンからあるデータを見せた。そこには見たことの無いドライバーとロックシードが写されてあった。

 

 

「これは今私が考えてる新開発のドライバーだ。葛葉紘汰が試作品のゲネシスコアを使った変化形態を参考にエナジーロックシードのエネルギーをベルトの中央に嵌めるロックシードに注入する事によって2つのロックシードの力を引き出す。こっちはドライバーを開発するにあたって新たに構想中のロックシード。2つのロックシードを合わせるんだ。上手く共鳴させなければならないがデータは充分ある」

 

 

「まだドライバーを作るつもりか!一体何のために・・・まさか、お前の目的は・・・知恵の実をロックシードにすることか・・・?」

 

 

ドライバーが普及しているとはいえこの世界にもヘルヘイムがある。当然知恵の実もある。元の世界の凌馬も知恵の実を欲していた。理屈は十分通る。しかし貴虎は致命的なミスをしてしまった。

 

 

 

「知恵の実?そうか、やはり存在するのかッ!神の領域に至る為の禁断の果実が!あの森にッ!!!」

 

 

「!(しまった!)」

 

 

普段の貴虎なら決して犯さないミス。しかし元の世界での出来事や平行世界の移動にサガラの正体、次々に起こる出来事に貴虎自身も無意識に疲弊し、疲れきっていた。

 

 

 

「取引をしよう貴虎。君が何処かに行きたいのは分かっている。君は急がなければならない。だが、派手に動くことは出来ない・・・私が手配しよう」

 

そう言うとロックビークルの『タンデライナー』を取り出し貴虎の前に歩き出し、手を出してきた。

 

 

 

「君は目的の場所に行けて私も知恵の実に近づける。ギブアンドテイクとしては充分すぎる。さあ、共に協力し目指そうじゃないか。人を越えた新たな領域を」

 

手をさしのべてくる凌馬を見て何かを思った貴虎の返答は・・・

 

 

 

 

 

 

「断る」

 

 

 

 

 

否定の言葉だった。

 

 

「そのロックビークルにも機能が付いてる筈だ。それに確信した。お前の見ている未来と、俺の見ている未来は、まったく違う。俺は俺のやり方で向かう」

 

 

タッタッタッ・・・ガチャン

 

 

それだけ言うともう話す事は無いという風に部屋から出ていった。

 

 

 

「交渉決裂・・・か。まあ良いや。いつかまた必ず会う。その為の準備を始めておくか。」

 

再びデスクに座りパソコンを触り出す凌馬。その瞳にはこれから起こる楽しさと決心が混じっていた。

 

 

「禁断の果実・・・・・・必ず手に入れてみせる・・・・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これから忙しくなるな」

 

 

倉庫を出た貴虎は、これから起こる困難に頭を悩ませた。しかしその目には諦めるという思いは決して無かった。

 

 

(ドライバーの機能がONになるのは恐らく装着している間か意識がある時だけ。葛葉が気絶した後の会話を知らないのがその証拠。いざというときの為にもドライバーは捨てられない。だがそれくらいのリスクなど、どうという事は無い。)

 

 

「私より年下のあいつらは世界の命運の為にオーバーロードと戦っている。ならば大人である私も、戦わなければならない・・・!」

 

 

 

 

そう言い貴虎の向かった先は飛行機よりは劣るが徒歩より速く、場所によってはビザとパスポートが必要だが国を渡れる手段。

 

 

 

 

「ふっ。まさか船を使って国を渡る時が来ようとは。以前の私なら考えられんな」

 

 

 

 

貴虎が着いた場所は海外行きの船乗り場。飛行機と違って時間がかかり乗り継ぎしなければならない。しかし、今の自分にはそれしかなかった。

通常、船に乗るには事前の予約が必要だがこの世界に来た三日間の間に規制の緩い船を探していた。

 

 

そう考えながら待っていると汽笛の長声一発が鳴った。

 

 

 

 

プォ~~~ン

 

 

 

「っ、出発か」

 

(必ず真実に辿り着いてみせる。その為には葛葉、お前も生き延びろ。私もすぐに向かう!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用だ。人間よ」

 

ヘルヘイムの森─────

 

トライブに負けた光実はロシュオに会いに来ていた。

 

「平行世界に渡りたい。あんたの持ってる知恵の実なら可能な筈だ」

 

 

「断る。知恵の実といえども世界を越えるには危険がある。あれはお前達の世界の問題だ。乗り越えるべき試練の1つだ」

 

それだけ言うと話は終わりとでも言うように消えようとすると・・・

 

「その原因を作ったのはあんたじゃないのか?」

 

その光実の言葉に足を止めた。

 

 

 

「あの男は、自分が今存在してるのはあんたのお陰だって言ってた。つまりあいつは僕達の世界の問題であると同時にあんたの世界の問題でもある。でもあんたは何もしたくない」

 

「何が言いたい」

 

「取引をしよう。あんたは此処にいて支援してくれるだけで良い。あいつは僕が倒す。そうすればお互い力を貸しあったと言えるしあんたを信用に足る王だと判断できる。部下に責任を押しつけず率先して問題に取り組む偉大な王だと」

 

 

何時もの光実ならばやらない挑発ともいえる行為。しかし今の光実は危険を犯してでもしなければならない事があった。

 

 

「大事なものでも持っていかれたか」

 

「!?」

 

高司舞。今の光実にとって彼女は大切な存在。そんな彼女がいない世界などどうでも良い物になった。

 

 

「大切な者の為なら危険をも冒すか・・・。良いだろう。『シェグウグレン』」

 

 

「アウガ、コジョデェロシャシャフェエミョデュ」

 

ロシュオの言葉にどこからともなくオーバーロードが現れた。その白い姿と地面に膝をつけている事からロシュオの臣下というのが見てとれた。

 

 

 

キィィィィィン─

 

(あれは!?)

 

そう驚いた光実の視線の先にはロシュオが手を前に出した物にあった。

それは林檎の形を成し金色の輝きを放ち、見た者すべてに神々しさを感じさせる程だった。

 

 

『知恵の実』。今起こっている戦いの中心にあるものにして掴み取った者に無限の力を与える禁断の果実。戦極凌馬がヘルヘイムの植物が有史以前から地球に干渉していると思った根拠であり、かつてロシュオが掴み取った栄光。だが1回の浸食につき1個しか実らない地球の知恵の実をロシュオが奪い取っている。愛する者を生き返らせるという目的の為に。

 

 

 

シェグウグレンの近くに行くと知恵の実に手を入れ出した何かをシェグウグレンの中に入れた。

 

「今この者に知恵の実の一部を入れた。これで世界を渡れるだろう」

 

 

「そいつは信用できるのか?」

 

「私の臣下の中でも強く、理性的な者だ。案ずるな」

 

 

 

そう言うとシェグウグレンにクラックを開けさせ、平行世界に繋がっていると判る異質さだった。

 

 

「行くぞ。」

 

(舞さん。必ず、迎えに行きます!)

 

 

決意と共にシェグウグレンを連れてクラックの中に消えていった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

「フフ、あの男が掴むのは栄光か、それとも・・・・・・」

 

 

 

もはや残っているフェムシンムの民は自分を含めて3人のみ。王妃の事以外はどうでも良い自分がこんなにも興味を持つのはあの男が作る知恵の実に興味があるのか、はたまた別の理由なのか・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




独自設定その2:新しいオーバーロード、シェグウグレン

ひとまず鎧武編は終わりです。

因みにシェグウグレンとは“九尾”という意味です。



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