本編との違いはカミキがお持ち帰りされた時点でアクアとルビーは既に寝ていて、カミキには会っておらず、またカミキも転生者である事に気が付いてないです。
第1話
ドアを開けた瞬間
「よくも俺のアイを汚しやがってぇぇぇ」
叫ぶと同時に白い花束で視覚を封じられた為、思わず顔をガードしてしまったのがまずかった。
切っ先が尖っている刃物である以上いかに防刃仕様のジャケットとワイシャツとは言え、突き刺されれば繊維をくぐり抜けてしまうのだ。
今回腹にヤングジャンプは仕込んでいない!
対応するにはもう遅くナイフが腹に向かって来るのをスローモーションで見ている事しか俺には出来なかった。
そして、ナイフが腹に突き刺さった。
防刃仕様だからナイフで切れはしないかもしれないが、鉄で出来たものをねじ込もうとしているんだ。
こんなことが痛くない訳が無い!
意識が飛ぶような痛みをその後も何度か受けた時だった。
「やめてぇぇぇヒカル君を殺さないでぇぇ」
アイの絶叫が聞こえた瞬間リョースケの動きが止まった。
今この場で俺自身の能力でリョースケを撃退する事は出来ない
しかし、リョースケ自身の力が強い訳では決してない
となると……覚悟を決めるか
短い人生であったけど、女の為に死ぬんなら俺には相応しいかもな
アイの絶叫で未だに動けないでいるリョースケを外に突き飛ばした。
「痛ぇな! この死にぞこないが!」
「仕留めぞこなったお前が悪い! 俺と一緒に地獄に落ちろ」
ナイフを持った左手をブンブン振り回して来たので、その手を掴みリョースケの右脇に手を差し入れてそのまま通路の手すりから落ちた。
俺が最後に見た光景ではマンションの下が駐車場になってはいるから、車が何台も止まっているし、運が良ければ助かるだろうなとどこか他人事のように考えてしまった。
「いや、いやぁぁぁぁぁぁぁ」
アイの悲鳴が聞こえたが、女をアンアン鳴かせて来たものの本当に泣かせた事は一度も無かったのに……とても残念だ。
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「あ、ああ、ヒカル君が、ヒカル君がぁぁぁ~~~~」
アイの絶叫で俺とルビーは目が覚めてしまった。
この身は赤ちゃんである以上動く事は敵わないけれど……アイが連れ込んだ中学生位の男の子が居なかった。
「アクア一体何があったんだろうね?」
「分からないけれど、もしかしたらアイが言っているヒカル君とやらが何かをしてアイを悲しませたのは事実だろうな」
「……そのヒカルって奴最低だね!」
今思い返しても胸糞が悪い会話だった。
事件が起こって数日間はニュースとして取り上げられており、貝原亮介なる人物がこのマンションにナイフを持ってアイを殺しに来たようだが……ヒカルなる人物がアイを守る為に貝原亮介と共に飛び降りたようだが……幸い両者共に車の上に落ちた為、両方とも生きてはいるようだが……
しかしアイの精神は不安定になっていた。
未だに赤ちゃんである俺やルビーは慰める事も寄り添う事も出来ずに見ていることしか出来なかった。
それから数年が経過した。
カウンセリングを受けて何とか持ち直したアイも日常生活や俺達の面倒を見ている時は笑顔になれるくらいは回復していたし、斎藤社長やミヤコさんもちょくちょく家まで来てくれて俺達の面倒を見てくれていた。
しかし、それでも夜になるとアイは自分の部屋で声を押し殺して泣いている。
そして俺とルビーもその事は知っている。
それと言うのも、ヒカルなる人物は今も生きてはいるものの未だに意識が戻らずに入院中らしく、とある財閥の社長が最高の設備で面倒を見ているようだったが、その所為でアイは仕事が忙しいのもあるが、面会をさせて貰えずにいた。
それから更に数年が経過して、アイが二十歳になった時だった。
アイはアイドルとしてB小町を引っ張りとうとうドーム公演を成功させた。
その姿は俺やルビーも見惚れる程のまさに完璧で究極のアイドルだったが、ドーム公演を機にB小町は突如解散してしまったが、俺は箱推しでは無くアイ単体の推しだったから特に気にはしていなかった。
しかし、アイ以外のB小町メンバーは全員それと同時に苺プロを辞めてしまい今じゃ連絡も着かないようだ。
俺とルビーも4歳となり保育園に通うようになった時には、アイもアイドルだけでなくドラマや映画にバラエティー番組にも出演するようになり多忙を極めた。
俺だけは以前アイのドラマ撮影に行ったときに縁が出来た監督のおかげで子役の仕事をしている訳でルビーと違い毎日保育園に行ってる訳では無かった。
その所為かルビーは癇癪を起す事もしばしばあり、アイやミヤコさんを困らせる事も多々あった。
そんな日々も過ぎていき、小学生になった時だった。
アイが家に居ない事を見計らって、俺はルビーに父親について聞いていた。
「そういえば俺達の父親って一体何をしているんだろうな?」
「アクア何言ってるの? 私達に父親なんている訳無いじゃない! アイは処女受胎だよ!?」
「んな訳ねーだろ! アイもセックスして俺達を産んだんだよ」
「父親なんてどーでも良いよ! 結局アイが困っている時に助ける事をしなかった人を私は父親なんて認めないもん」
「それなんだけど……もしかして、あの日ナイフを持ってアイを殺しに来た奴は俺達の父親の差し金って事は無いか?」
「……え~っとりょーすけだっけ? カミキヒカルって人と一緒にマンションから落ちた人だよね?」
「そうだ。貝原亮介は数日後に息を引き取ったってニュースで流れたが、カミキヒカルは未だにそう言ったニュースは流れていない」
「……でも、もし生きていたら会いに来るんじゃない? 『元B小町』のマネージャーだったみたいだし」
そう、当時の苺プロに在籍していたマネージャーだったカミキヒカルだが、不審な点がある。
何故あの日アイの家に居たのか俺やルビーにはさっぱり分からなかった。
そして、その事をアイに聞く勇気が俺やルビーには無く月日だけが過ぎていき、
小学校を卒業し、中学校に入ったぐらいからアイの様子が一気におかしくなった。
厳密に言うとアイがやたらと俺に構うようになってきたのだ。
小学校低学年の時は抵抗空しくされるが儘だったが、高学年になるにつれてやたらと一緒に寝る事を強要されたり、お風呂も一緒じゃないとヤダと言ってきかなかった。幸いルビーも一緒に居る為、間違いは起きていないし俺も頑なにアイの裸を見ない様に両目を閉じて対応していたが、ルビーからの目線は厳しいものだった。
いや、これは俺の意志うんぬんじゃんくて、健全な少年の証なの!
そんな日々を過ごしていた中学三年生の時だった。
「ねぇ今日転校生来るんだって」
「へぇー男? それとも女?」
「ズボンだったから男だと思うけど……髪が長かったからもしかしたら女性かも……?」
「まー今時ズボンの女子もいるしな」
「それなwww」
クラスでは転校生の話で盛り上がっており、ルビーも女子達とその話で持ちきりだった。
「なぁーアクアお前は転校生はどっちだと思う?」
「……どっちでも良いし」
「アクアはブレないな~まっ良いけどよ」
そんな事を話している時だった教室に先生が入って来た。
「はーい皆さん席についてくださーい」
先生がそう言うとみな席に着き始めた。
「もう知っている人もいると思いますが……うちのクラスに転校生が入ります。じゃあカミキ君入ってくださーい」
カミキと呼ばれた少年が教室に入った時俺は息をのんだ。
誰もが目を奪われる様な美少年であり、金髪のゆるふわのセミロングであり一見すれば美少女にも見えてしまう魔性を放っていた。
「初めまして神木ヒカルです。皆さんよろしくお願いします」
俺とルビーの父親がこの神木ヒカルである事を知ったのはそれから何年も先の話だった。
とりあえず恋愛リアリティーまでは書くかな?
もし要望などあればメッセージでの方が良いのかな?
どしどしください