カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第4話

「カナンやめとけ……不幸度合いじゃカミキに勝てる奴は中々いないぞ」

「……ごめん……私そんなつもりじゃ……」

 

 カナンはそう言うと目に見えて落ち込んでしまった。

 

「いえ、そんな深刻に捉えなくて大丈夫ですよ」

 

 ……とは言ったものの、多感なお年頃の子が気にしないでいられるはずが無いか、俺自身は全く気にしては居ないと言うか、正確に言えば気にしている余裕が無かったが答えだけど……

 

「これからは一緒に生活する訳ですし、それに行く宛ても無く彷徨う寂しさは私にも分かりますから……」

 

劇団ララライに入って無ければ……もっと言えば愛梨パイセンや上原パイセンと仲良くなれていなければ俺は餓死していただろう。

 そう思えば、たかだか栄養失調で身長が伸びなかった位大したことは無いけど……それを言葉だけで想いを伝えようなんて虫の良い話しだ。

 俺はカナンを抱きしめた。

 

「ちょっ……ちょっとカミキ!?」

「カナン……聞いてください。私は別に気にしてません」

 

 転生者という特殊な経験をした俺だけど、何一つ特別な能力がある訳では無いが、それでも魂の伝達だけは可能だと信じている!

 

「分かったよぅ~分かったから離してぇ~」  

「分かってくれましたか?」

 

 カナンは分かってくれたようなので、離してみたら顔を真っ赤にしてふにゃふにゃしていた。

 ……やっぱり、歌にある様にHEARTを触らせてあげるのが重要だ!

 

「……カミキお前凄いな!」

 

 ぽつりと上原パイセンがつぶやいた。

 まぁー銭湯のロビーでやる事じゃ無いからな。

 

 

 

 

 

 

 さて、問題は俺の部屋だけど……

 

「上原パイセン……部屋にある布団は1セットだけですよ」

 

 流石に一緒の布団で寝る訳には行かない……よな?

 

「……カミキとなら私一緒に寝ても良いよ?」

 

 カナンは顔を真っ赤にしてそう言ってくれたけど……やり過ぎたか?

 いや、やるのは別段良いし……寧ろ望むところではあるんだけど、流石に不味いよな?

 

「……私も構いませんがそれはそれとして、カナンさんは荷物ってありますか?」

「……ううん、家を飛び出して来ちゃったから、何も持ってない」

「じゃあ、取りに行くか」

「え?」

 

 上原パイセンが居ればなんとでもなるな!

 

「とりあえず、荷物がどれだけあるか分かりませんが、車が無いと厳しいんじゃないんですか?」

「……うーん、でも制服だけでも取りに行きたいし……」

 

 中学生だからな……学校は無視出来ないわな

 

「それだったら俺が運転してやるよ!」

「さっきビール飲んでましたよね? 飲酒運転で捕まりますよ」

 

 確かめた訳じゃ無いけれど、上原パイセンが飲んでいたのは絶対にノンアルコールビールでは無かった気がする。

 

「それなら、別の奴に運転させれば良い」

 

 そりゃそうだけどさ、そんな都合の良い人居る?

 

「俺の知り合いに軽トラ持ってる奴が居るから大丈夫だ」

 

 家財一式運ぶ気か!?

 ……何となく嫌な予感がするが大丈夫なのだろうか?

 

 

 

 

 カナンの家に着くまでにカナンの両親に着いて聞いた所……結構な毒親である事が分かったが、苺プロの違約金問題により、更にこじれてしまったとの事で話を聞いた限り修復は不可能だろう。

 

「よし、腕がなるなぁ~」

 

 指をポキポキ鳴らしてる上原パイセンを見ると傷害事件待った無しなのは火を見るより明らかである。

 だって、明らかに殺す気満々だし……

 そして、上原パイセンの知り合いの人も続々と来ており、カナンの家の前には軽トラが2台とパトカーが離れた所に停まって居る。

 

「じゃあ、インターホンよろしく!」

「は、ハイ」

 

 恐る恐るカナンはインターホンを鳴らす。

 しばらくするとドアは勢いよく開かれて、強面な男がカナンを殴りかかるって来たところでその拳を上原パイセンが止めた。

 

「なんだてめぇぶっ殺すぞ!」

 

 これがカナンの父親? これはカナンに同情するわ。

 

「ほーう警察の前で暴行しようとして、挙句の果てに脅迫するとは強気じゃねーか……なぁこいつボコって良いか?」 

「上原……流石にそれは駄目だ! 庇えなくなる。ま、暴行の現行犯で逮捕だな」

 

 カナンの父親にそう言うと上原パイセンの知り合いの警察はすぐさま手錠を掛けた。

 

「あ、警察だぁ!? おい、こんなん不正だろうが! てめぇ等訴えてやるからな!」

「訴えるのは構わないけど、おっさんが俺の手を殴った事実は変わらないだろ?」

 

 確かに上原パイセンの手を殴った事実は変わらないな

 

「……それは、お前が勝手に手を出して来たからだろうが!」

 

 上原パイセンが止めなきゃカナンの顔面に直撃コースだったのは確かだったけど……その辺りの言い訳はどうするのだろうか?

 

「詳しい事は署で聞くから……上原じゃあ俺らは行くぞ!」

「ああ、助かったぜ!」

 

 上原パイセンの知り合いはそう言うとカナンの父親を連行して行った。

 

「上原パイセン? 警察に知り合い居たんですか?」

「おう」

 

 ”おう”じゃ無いんだよなぁ~

 

「……とりあえず、荷物運んで来る」

 

 カナンの言葉と共に上原パイセンの知り合いの方たちも家に入って行き、タンスやベットなどのカナンの家財道具を運び込んでいた。

 何だろう? どう見ても窃盗しているようにしか見えないんだけど……

 ……というかこれ等を俺の部屋に運ぶのかぁ~

 部屋自体は広いけど、これは一気に手狭になる。

 

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