カミキさんが言っていた芸能科がある高校は数が少なく私立で中高一貫の陽東高校が場所的にも通いやすかった。
そして、芸能科は芸能事務所に所属している証明書があれば面接重視の為、合格は容易いとの事
「アイとルビーどうだった?」
「私はあふれ出るオーラがあるからねー」
「たぶん平気そっちは?」
三十一歳児は鼻高々にルビーも手ごたえがあったのかにこやかに答えた。
「問題ない……万一弾かれるとしたら名前の所為だろうな」
「ええ~!? アクアって良い名前じゃん!? どこがおかしいの?」
信じられないって表情浮かべるアイは可愛いが……名付けた親が忘れているのはおかしいだろうが!?
「長いからアクアって周りが呼んでるだけで本名はアクアマリンだぞ」
「そういえばそうだったね。今じゃみんなめんどくさがってアクアとしか呼んでないもんね」
アイもルビーも他人事だと思ってけらけら笑っている。
そんな時だった。
「……アクア? アクア!あんた星野アクア!?」
赤い髪の少女から名前を呼ばれた
「……誰だっけ?」
「あーあれじゃない? アクアが昔映画に共演した『重曹を舐める天才子役』」
「重曹を舐める天才子役ってアハハ」
「十秒で泣ける天才子役!」
ルビーの覚え間違いがアイのツボをドンピシャに刺激し、アイはお腹を押さえて笑いだしてしまう。
「映画で共演した有馬かな」
「ああ、ここの芸能科だったのか」
有馬かなは感極まったのか……近寄ってきて肩を掴んで来た。
「……良かった。ずっと辞めちゃったのかと思った。……やっと会えた。」
その声は小さい声ではあったけど俺には届いた。
そんな中でニヤニヤし始めるアイとルビー
「……なんかいい雰囲気だね~ルビーさんや」
「そうですね~アイさんや」
女性というのはいくつになっても恋愛話は好きなものであるが、親と妹にそれをやられるのは大変キツイ
「ってそこの2人うるさいって……なんで元B小町のアイがここにいるのよ!?」
そんな二人に突っ込みいれてる途中で、ようやくアイの存在に気が付いて心底驚いてる。
「それは内緒♡」
アイは誰もが魅了されるウィンクと人差し指を口元に充てて答える。
口角、首、角度それらをミリ単位で調整して行っているポーズで落ちない男はいるのだろうか? カミキさんを除いていないだろう……
「……納得いかないけどいいわ。それとアクアはうちの芸能科に入るの?」
「いや、一般科受けた」
「何でよ!!!」
そんなに驚く事じゃないだろうに……
「いや、妹とアイがここの芸能科を受けることになって心配だから受けただけだ」
「はぁ!?」
「うちの兄シスコンでアイのファンなの」
「きっも!?」
「私あらまさんはちょっと苦手かなー」
「アイも? 実は私はこの人昔から好きじゃないのよね~」
「でも、2人とも受かったら後輩になるんだぞ」
2人が口元に手を当ててひそひそ話を始めたがしっかりと有馬に聞こえるレベルの声量なので、意味が無かった。
「(聞こえてんのよ)あと私はあらまじゃなくて有馬です!」
「ごめんね~人の名前を覚えるの私苦手なんだ~」
今でこそちゃんと呼ばれるようになったが、幼少期の時なんか俺とルビーを何時も間違えていた訳だしな。初対面の人の名前を言い間違えない方が珍しいレベルだ。
「ハイハイじゃあ仲良くしてくださいね。ロリ先輩」
「あんた本当にいびるわよ!!!」
ルビーも相手は年上なんだからもうちょっと礼儀を持って接してあげて欲しい
「じゃあ、今日はカミキさんの所でモデルの仕事があるから……」
「アクアずるい! 私もヒカル君の所に行きたい!」
「いや、アイが行きたいなら行けば良いだろう? 幸い今日はこの後暇なんだし、カミキさんも迎えに来てくれるって言ってたし、ルビーはどうする?」
「うーん、じゃあ私も行くよ」
「あ、ちょっと!」
校門に向けて歩きだすと有馬も何故かついて来た。
道中でアイとルビーも来るとラインでカミキさんにメッセージを送ると分かりましたとすぐに返事が返って来た。その後カミキさんからご飯はどうしますか? 何かリクエストは有りますか? とメッセージが来た。
「カミキさんから何か食べたいのは有るかって連絡来ているけど、どうする? 俺は何でも良いけど?」
「うーん私はガッツリしたものが食べたい」
「ヒカル君のハンバーグが食べたいな~」
「有馬はどうする?」
「え!? 私も食べに行って良いの?」
「一人増えたぐらい問題ないしな」
「それじゃあ、糖質とカロリーを抑えたものが食べたいわ。 それとアイさんもルビーも糖質のあるものばかり食べているとすぐに太るわよ!?」
「私は今現役アイドルだから体力づくりで走ってるから大丈夫だよ?」
ルビーは確かにジョギングなど毎日行っているから問題は無いが……
「私はアイドル辞めてからは特に運動は……」
アイはそういうと自身のお腹を軽く触ってみると、若干ではあるが摘まめてしまった事実に驚いていた。
「私もヘルシーな物が良いかな~」
「とりあえず、カミキさんにヘルシーな物って送っておくよ……」
5分後にカミキさんから返信が返って来た。
『頑張ります』とだけ書いてあるんだけど大丈夫か?
そして、校門で車を待つこと20分
有馬からの質問攻めに俺はあっていた。
「ねえ、カミキって誰のこと? 今どの辺に住んでいるの? ねえ! 聞いてる! あんたどこ中!?」
「ヤンキー女子か」
「おやおや、お兄ちゃんはモテますね~」
「う~ん一体誰に似たんだろうね~」
ルビーとアイは俺と有馬のやり取りを楽しそうに見ていた。
一体これのどこがモテているのか理解が出来ないのだが?
そんな風に時間を潰していると校門に黒いハイエースが止まり運転席からは事務員のみゆさんが出て来た。
この人もアイに勝るとも劣らない美人であるし、カミキさんの愛人の一人であるのだが、どういった経緯で事務員になったのか分からないし、何でもそつなくこなせる器用な人だ。
「あれ? カミキさんが送迎じゃないんですか?」
疑問を口にした瞬間にみゆさんからため息交じりに答えが返って来た。
「カミキさんならスーパーに買い出しに行くことになったので、代わりに送迎をたのまれました。それにしても今日のお昼はヘルシー料理らしいので楽しみですね♪」
「……ああ、そうなんですね」
つまり、有馬の所為で買い出しに行った訳か……
今日は事務所に何人いるのか分からないが、今頃料理を作り始めているのだろうな……
「ねえ、アクアこの女性は誰なの?」
「ああ、この方はカミキプロダクションの事務員で四条みゆさんだ」
「初めましてカミキプロダクション事務員の四条みゆですよろしくね」
「私は元天才子役の有馬かなです。こちらこそよろしくお願いします」
「?ああ、元天才子役の有馬かなさんですね?(誰でしょう?)それでは、時間もあまりないので皆さん車に乗ってくださいね」
みゆさんはそういうと後ろの席のドアを開けて、自身は運転席に乗り込んだ。
俺達もそれに倣い車に乗り込んだが……めんどくさい奴が居たから俺は助手席に座ろう
「あれ、アクア君は後ろじゃなくて良いんですか?」
「助手席の方が落ち着きますので……」
「フーン」
「へー私とおしゃべりするの嫌なんだ。アクアのざぁこ♡」
「うるさいな。大人しくしていろよツクヨミ」
「アクアさんいつもお姉ちゃんが、ご迷惑をおかけしてしまいすみません」
何でか知らんが俺とルビーに対してやたらと絡んでくる小学二年生のツクヨミとそれに振り回される双子の妹ウズメ
「いや、ウズメが気にする必要はないよ。このポンコツが生意気なのが悪い」
「ママ今アクアが私の悪口言ったよ!」
「挑発したのはツクヨミが先だろう」
車内は大変賑わっていた。
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