俺は今ユーチューバーのMEMちょの隣でペットの写真を見せられていた……
「ねね、これうちの犬ぅ」
「うんうん」
「ほら、かわいくてぇ~みてみてぇ」
「うんうん、かわいいねぇ」
だるぅ
若者特有の共感しあうだけの会話キツぅ……
なんで、俺この番組受けちゃったんだろう? やっぱり断ればよかった……
「でぇ猫がぁこっちでぇ~」
「へぇ~」
はぁーこっちはルビーの事で大変なのに……
元々アイと一緒にユニットを組んでいた時は問題が無かったが、ソロアイドルになってから、ルビーに陰りが見え始めた。
気になるのは以前ルビーが言っていた『私ね? 先生以外、あんなに優しくされた事は無かったから……期待しちゃてるみたい……』という発言だ。
ルビーはもしかして、その『先生』に自分を見つけて欲しいのか?
その『先生』も『アイ』を推していたのかは分からないが、アイとユニットを組んでいるときには『先生』らしき人物は終ぞ現れたなかった訳だから、今は解散した『B小町』を自分中心に再度結成したいってところか?
動機はどうであれ有馬かなに関しては事務所にもメリットは有る訳だし、問題は無いだろう……
「本当にこういう番組って台本ないんだね。どんな話して良いか全然分からない」
「分かる~」
今話しているのは『鷲見ゆき』というファッションモデルの女の子だ。
「あたし臆病でガシガシ前に行けないし、あんまりトーク得意じゃないし、きっと埋もれるんだろうなぁ」
「へぇーじゃあなんで君はこの仕事受けたの?」
「うちの事務所の看板の人が仕事断らない主義でね。事務所に来た仕事全部持っていくから……私年中ヒマでさぁ」
カミキさんの所と業務提携したら食いつくか? 今度相談してみよう
「なんか足搔きたくて、そんなときに鏑木さんが……」
「ああ」
やっぱり鏑木さんだよな……
「渡りに船って言うか、私恋愛とか今までしてこなかったから、恋人とか作った事ないし」
「嘘だぁ」
「やだな、嘘じゃないよ。私まだ高1だよ? タレントが皆が皆恋愛していると思ったら大間違い……君は恋愛に興味はないの?」
アイは推しだから違うし……
「ないわけないじゃん。僕も男だし」
ただゴロー時代がとっかえひっかえだったから、今更恋愛って言うのも分からんし……
「ふーん、そうだ前シーズンのカップル最後にキスしたの知ってる?」
「まぁ一応予習はしたし」
俺がそう答えると鷲見ゆきははにかみながら耳元に口を寄せて来た。
「良い人が居るか不安だったけど……私、君にならキス出来るかも」
「なっ」
さっきまで不安だなんだと言っていた鷲見が突如意見を翻してきた。
流石に俺も驚いたが鷲見は上目遣いで答えを告げた。
「後ろ……カメラマンさん撮ってるよ。」
なんで自身の真後ろが分ったんだ?
「カメラに視線は送っちゃ駄目……ここはきっと使われるよ」
いい性格してるな! 何が臆病だよ。
「仲良くしようね」
なるほど、これがリアリティショーか……面白いな
今日の収録が終わり家に帰るとルビーが仁王立ちで待ち構えていた。
「仮にも私は妹なワケで、私が嫌いなタイプと兄が付き合うのは嫌なワケ! なのでお兄ちゃんが付き合うべき女性を私が決めます」
「勝手にもほどがあるし、なんならカミキさんにも言って来いよ」
「……カミキさんは置いといて、私の一押しは鷲見ゆき! 多分この子は純粋で良い子だよ!!」
よりによって鷲見を選んでくるあたりルビーの目は節穴なのは間違いない
「お前は見る目がないからしばらく恋愛するなよ」
「はぁ!?」
いや、本当にカミキさんみたいなタイプが居たらルビーは真っ先に喰われてそうだし……
「ところでアイは?」
「ママは……「たっだいま!」お帰りなさい……ママは大丈夫そうだね?」
「昨日は帰って来たあとずっとむくれていたのに……今日はご機嫌だな」
「いや~やっぱり、私も経験者だからね! 正妻の余裕って言うの? まだまだ小娘には負けないよ」
ああ、カミキさんと楽しんでいた訳ね。
「ルビー……不知火と寿はどうだった?」
「今日見た感じだと……歩き方がちょっとおかしかったのと、休み時間になると常に電話していたね」
「アイ、カミキさんの送迎は禁止にします」
「なんで!? じゃあ私はこの高校生活の何を楽しめばいいの!?」
少なくともカミキさんの犠牲者を減らさないとまずいだろうが!!
「ママ……私クラスの女子が気が付いたらみんなカミキさんの愛人になっていたなんてことになったら気まずいんだけど?」
「それはそうだけど……ヒカル君はそんな節操無しじゃないよ? ライン超えなきゃ手を出さないし……」
そのラインの基準がゆるゆるじゃねーか!