今日一日は全くもって長かったが……まだ、終わりじゃなかった。
「ねぇカミキ? 本当にこんなところに住んでいるの?」
「……物心着いた時から現在進行形で住んでますね」
やっぱり、このオンボロアパートの外観は凄まじい破壊力があるのだ!
何せ戦後の時代からあるみたいで、そんじょそこらの物件とは年季が違うのだよ年季がな!
しかし、建物が古いので、地震が来た時は崩壊するんじゃないかと常にドキドキしっぱなしで緊張感を持って生活が出来るデンジャラスな一面もある。
「トイレは?」
「そこの仮設トイレになります」
入口近くにある仮設トイレを指さすとカナンは絶句してしまった。
これほど住む人を選ぶ物件がある果たしてあるのだろうか? いや、無いな!
「後は少し離れた所に公園とコンビニがありますので、そこを利用してください」
「……今日明日の辛抱だもん。我慢するわ」
ちなみに普通の部屋には風呂・トイレは勿論……ライフラインである電気・ガス・水道もちゃんと付いているが、その分家賃が高く1万円である。
俺の部屋は寝る為だけの部屋だからライフラインは存在しない代わりに家賃は3千円である。
「じゃあ、適当にベットとタンスを運んで終わりだな!」
上原パンセンがそう言うと知り合いの方達がベットとタンスを部屋に運んでくれた。
「あ、暗いんで気を付けてくださいね」
俺はケータイのライトで足元を照らして先導した。
引き戸を開けて、だだっ広い俺の部屋に案内する。
窓から差し込む月明かりがあるから、今夜はそんなに暗く無いな
「部屋って言うよりもなんだか秘密基地見たいでワクワクするわ」
カナンはそう言ったが、若干声が震えてるように聞こえた。
「まー外観が廃墟見たいなものですからね」
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2日後
「カミキ良い物件あったぞ!」
上原パイセンはそう言うと物件の資料を見せてくれた。
「……電気・ガス・水道が通ってて、風呂・トイレは別で、玄関開けたらダイニングキッチンから2部屋にそれぞれ行ける形……2DKだけど家賃は都内だから7万8千円で、26倍か……」
「カミキ……電気・ガス・水道はライフラインだから本来ならどこも当たり前だぞ」
上原パイセンに突っ込まれてしまったが、無縁の生活を送っていたから仕方ないじゃん!?
「ここにしようよ! もう私、仮設トイレは嫌だよ!!」
カナンは涙目で俺に訴えて来ているが、生活するにあたって食事代込みで12万はみた方が良いよな? 後は家電も買わないといけないし……あと、この際俺もベットやタンスを購入する事を検討しよう
「ベランダが無いから乾燥機付きの洗濯機が必要ですね」
上原パイセンと知り合いの方に手伝ってもらうから、引っ越し代はかからないけれど、エアコンも2台買って設置して貰う事も考えると100万位は見た方が良いよな……
「今月からはもっと頑張らないといけないな……」
「カミキ……頑張ってね♡」
カナンにそう言われてしまい、思わずため息を吐いてしまった。
俺中学2年生になったばかりなんだけど?
「後お小遣いも欲しいな?」
カナンは上目遣いで聞いて来たけど……ちょっと待ってお小遣いも出すの!?
俺自身ようやく稼げるようになって来たから引っ越しに必要な100万・200万位なら問題無く出せるけど、月々の生活費+お小遣いもとなると結構厳しくなりそうだし、それならカナンにも働いて貰おうか……
「カナンさん……それでしたらモデルの仕事しませんか? 自身で稼いだお金なら問題ありません」
まー元アイドルだったから見た目は良いので、モデルの仕事は問題無いだろうし、スタイルだって、悪く……悪くは無いよな? 胸だって中学生なんだから今後に期待出来るし、そもそもおっぱいはデカいとか小さいでは無く、女性のおっぱいだからこそ価値があるのだ! ……しかし、悲しい事にそれがお偉いさんには分からんのです。
「でも、私『B小町』クビになったから、芸能界には居られないよ?」
「カナンさん……言ってしまえば『B小町』なんて知る人が知る隠れた名店みたいなものですし、苺プロがそもそも弱小プロダクションなんですから、カナンを芸能界から追放するなんて出来ません。それに私の伝手の方が権力はデカいですよ?」
これは本当の事だ。
今モデルの仕事に関してはとある財閥の方のコネでやってるのだ。
ならば、例え大手の事務所であっても喧嘩をするには覚悟がいるレベルなので、言ってしまえば、クビにした『元アイドル』に嫌がらせをするために弱小プロが行動を起こすことは絶対にない
「それに放課後はカナンさん暇ですよね? 稼ぎましょうか?」
「わ、わかったよぅ」
よし、カナンも働く意欲はあるみたいだから問題ないな!
「……では上原パイセンこの物件をお願いします」
「任せて置け! ところで引っ越しは何時にするんだ? この物件は即日入居可能だぞ」
明日が土曜日で学校は休みだから、明日で良いだろうと考えていたらカナンが食い気味で答えた。
「じゃあ、今日にしてください!」
「あの~私はこの後モデルの仕事があるんですが?」
「カミキの荷物は少ないから取り合えず全部運んで置くぞ」
上原パイセンはそう言うと手を出して来た。
「……ATM行っていきますが、いくらですかね?」
「20万あれば問題無いだろう」
お、お金が飛ぶように無くなる!