「……分かりました。余り推奨出来る方法では有りませんが、時間も無いことですし……仕方ありませんね。黒川あかねが爆発しそうになったら後ろから抱き締めて口説きなさい!」
「いや、なんでだよ!!!」
いや、どういう発想なら口説いて解決すると思っているんだこの女たらしは!?
「カミキさん何考えているんですか! 俺に黒川は口説けませんよ!」
「アクア勘違いしているようですから、言いますが……口説くと口説き落とすは別の話ですよ。口説くのはナンパみたいなものですよ。なので結果は別としてその気になれば誰でも出来る事です。しかし、口説き落とすは中々難しく私でも成功率はそんなに高くは無いです」
何を自慢げに言ってるんだこいつは!?
「そして、今回必要な事実としてアクアには黒川あかねを口説いた結果……突き飛ばされるかまたはビンタされるのが望ましいですね。あとは駄目押しにMEMちょさんでしたっけ? その方の胸に顔からダイブして殴られて床に倒れて気絶した振りでもしてくれれば解決です」
「いや、そんな簡単な訳あるかよ」
「こういうのは意外と単純なものほど引っかかります。まずアクアが若干気持ち悪い感じで黒川あかねさんを口説けばそれだけで、彼女がヒロインになります。そして、突き飛ばされるかひっぱたかれるかは分かりませんがそれらの行為を受けたら、MEMちょさんの胸に飛び込んだ後に怒った彼女に顔面を殴られて、悪役のアクアは撃退される。最後にヒロインの黒川あかねさんは……鷲見さんに慰めて貰えば良いでしょう。なので騙されたと思ってやってくださいね」
「……ちなみにこんな感じの事はやったことあるんですか?」
「もちろんあります。そして、頭が良い人程これで引っかかるんですよ。『あの時○○君が何でこんなことをしたのか今になって分かったの』って具合にね」
「そんなばかな……」
今ほど俺はカミキさんの子供であるのが嫌になった。
「あと、分かっているとは思いますが鷲見さんとMEMちょさんの協力が必要不可欠ですので、必ず協力を取り付けるようにね」
自信満々で言い切ったカミキさんはもう問題解決したとでも思っているのか、熱燗をちびちび飲んでいた。
「ところでカミキさん絶対に抱きしめないといけないんですか? 下手すれば俺訴えられるんですけど?」
「……じゃあ、妥協して肩でも良いですよ」
何を妥協されているのか分からないがこうなれば野となれ山となれだ!!!
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「(鷲見とMEMちょこんなことに巻き込んで本当に悪いな……)」
「(ま、私もモデルの仕事回して貰えるなら協力は惜しまないよ!)」
「(良いよ~アクたんには全額この前の焼き肉代出して貰ったし、何なら買い物に付き合ってもらうからね~)」
気が進まないが本当にこんなことで解決出来るか疑問なんだが……いい方法も浮かばなかったし、カミキさん信じてるからな
黒川がケンゴと話しているところに鷲見を投入!
「あ、ケン! この前ラブラドール好きって言ってたよね! あっちにでっかいラブラドール居た!」
「えっマジ!?」
鷲見にケンゴを一瞬でもって行かれた黒川が焦りだした!
今がチャンス
「やめ「黒川!」えっ!」
一気に近づいて黒川の肩を掴み周囲に聞こえないように端的に伝える。
「……俺を突飛ばせタイミングは任せるボソ」
「え?」
伝わったかどうか分からないが、若干の気持ち悪さも演出して演じる。
「黒川の事が初めて会った時から俺気になっていたんだよね。よかったらさこの後「やだ!!」うわっ!」
あらかじめ、後ろに控えてもらっていたMEMちょの胸にダイブして……
ぽよんって擬音が付きそうな程弾力があったが、MEMちょには本当に申し訳がないな
「きゃーアクたんのエッチー♡」
「ぐはぁ!」
顔面を殴られたからすっげー痛いし、床に倒れた訳だけど……頭をぶつけない様に顎を引いて背中から倒れた。
一応背中にはヤンジャンを仕込んだから、そんなに痛みは無いけど、カメラに顔が映らないように逆側を向いて、そのまま倒れた振りを決行した。
とりあえず、後から来たノブに別の教室に運んでもらった。
しばらく俺は収録を休む事にして、俺の代わりにテディー〇アの人形に出演してもらう。もう恋愛リアリティショーには二度と出たくないな
「アクアお疲れ様です」
「カミキさん……本当にこれで大丈夫なんですか?」
「ほら、論より証拠です」
カミキさんはそういうと『今ガチ』の黒川あかねのコメントを見せて来た。
過去の奴はアンチだけど、最新のやつはみんなが皆同情していた。
「はぁー今まで散々好き勝手な事書いてた癖に手のひら回して同情するとはつくづく救えないな」
「ま、こんなところでコメント書いてる人に人間性を求めるのがそもそもの間違いですからね」
「で、俺はどうすれば良いですかね?」
「『今ガチ』はテデーちゃんに頑張ってもらってアクアは顔の傷が治るまでは自宅待機のが良いんじゃないですか?」
「……そうするかぁー。それにしても本当にカミキさんの言うとおりになりましたけど……これじゃあ俺が叩かれるんじゃないですか?」
今度は俺が叩かれる番になるじゃないかと思いきや……
「いえいえ、アクアの事を見ている人は見ているようですよ」
そういってカミキさんは俺のエゴサの結果を見せきた。
”黒川あかねに告白して玉砕した男www”
「めちゃめちゃ笑いものにされてるじゃねーか!!」
「良いじゃないですか! 男は体を張ってナンボですよ。必要とあらば泥に塗れなさい」
体を張る…か
カミキさんがモテる理由がよ~く分かった。
このちっちゃい身体で俺達の事を今までも守っていたんだよな
「アクア……かっこよかったですよ」
カミキさんはそういうと俺の頭を小さい手で撫でてくれた。
今まで撫でて貰った事は無いし、ゴロー時代も合わせればカミキさんよりも上だけど、不思議と嫌じゃなかった。