ああ、今日から『今ガチ』に復帰することになってしまった。
制作側には俺の顔面にモザイクと音声加工をしてもらい、首にはただいま反省中の看板を下げた。
俺が休んでいた間の視聴率が軒並み馬鹿高く、代役のクマ人形はテディーアクアと呼ばれて大変な人気を誇っていた。
もう俺いらねーじゃんと思いつつも、公式にMEMちょに謝罪をしていないのはまずいので、カメラが回っているところで謝罪をしなければな……
「MEMちょ不可抗力とはいえ、申し訳なかった」
「まぁ~アレは事故だししょうがないよ。でも、何もしないと言うのもアクたん的に物足りない訳だから……しばらく私の動画にも出てもらうのと私のお世話もしてもらおうかな~」
「それで、MEMちょが許してくれるなら……俺は構わない!」
「じゃあ、まずは早速肩でも揉んでもらおうかな~」
収録中の間カメラには映っていなかったけど、黒川の目が大変怖かった。
いや、そんなに見られてもね。一旦フラれてるし、何なら2度目は無理だぞ。
「なあMEMちょ黒川どうする?」
「収録が終わったら、アクたんから話しかけてみて?」
大丈夫か? 俺身の危険を感じるんだけど……
その後、収録が終わって一人ぽつーんとしている黒川あかねが居たので、助けるためにやったとはいえ、謝罪をしない訳にも行かないから声をかけた。
「……黒川、今大丈夫か?」
「あ、アクア君!? だ、大丈夫だよ。どうかした?」
「いや、お前にも不快な思いをさせたなと思ってすまなかったな」
「ううん。そんなこと無いよ。むしろアクア君のおかげで私の方こそ助かったし……それに、アクア君の気持ち、ちゃんと届いたよ!」
一体何が届いたのか、気にしたらいけないんだろうな。
「そ、そうか。ところで黒川って劇団ララライに所属しているんだろ?」
「そうだけど……アクア君私に興味あるの?」
いや、全くないって言いたいけど言ったらヤバそうな気がする。
どうしよう? カミキさんなら、今がチャンスとばかりに口説き落として黒川あかねをモノにしそうな気がするけど、俺はそんな事したくないし、責任を取れない!
「あ~なんていうか、黒川は素の状態だとやりずらそうだから、女優らしく何かしらの『役』を演じてみたらどうだ?」
「……『役』かぁ~私……演技は得意だし……やって見ようかな」
よし、これで何とかなるだろう。
「アクア君……参考までにどんな役を演じれば良いかな?」
うーん、鷲見もノブもケンも今更目立ってもしょうがないし、物語もクライマックスに近いから黒川に主役を演じさせても良いだろ。
「まぁーうちの事務所の先輩になるけどアイで良いんじゃね?」
「……アクア君てアイの事好きなの?」
「好きって言うか俺の最推しだな」
「へぇーそうなんだぁー。じゃあアクア君の最推しやってみるね」
黒川あかねがどれほどのものかは知らないが、アイの真似なんて無謀も良い所だ。……それこそカミキさんぐらいしか出来やしないし思いもつかない
あの人レベルのは黒川あかねには無理だろう……というかそもそも何でカミキさんは骨格も性別も違うのにアイに化ければアイに見えてしまうんだ? メルトの時もそうだけど一体どんな事を考えているんだろう?
とりあえず、カミキさんの事務所に癒しを求めて行ったら、ちょうどカミキさんが両手両足を拘束されており、不知火フリルと寿みなみに運ばれていた。そして、事務所のドアを開けていたのはアイだった。
今日は大人しく帰るとしよう。
その日の『今ガチ』は俺へのアンチコメが大変多く、”顔面モザイク男”や”アクアそこ俺と変われ”や”やはりイケメンは許されるのか……”や”嫉妬でアクアを殺せたら……”や”MEMちょに許された男”と書きたい放題らしかった。
いや、許されているんだから良いじゃねーか!