ズパァァン
「きゃああ!」
ツクヨミの大げさな悲鳴とは裏腹にボールはちゃんとグローブで取っている辺りこいつ慣れていやがる
おもしろいじゃないかツクヨミ!
どこまで喰らいつけるか試してやる!!!
「クッ! アクア調子に乗るなよ!」
ツクヨミから放たれた球は中々の速度
スパァァンと気持ちの良い音が響く
「へぇー中々良い球投げるじゃないかツクヨミじゃあこれはどう、だ!」
さっきよりもさらに速い球ぶん投げる
「いっやぁぁぁぁ」
ズパァァァン
叫んではいるが、それでもグローブでちゃんと取れている所を見るとまだまだ余裕はあるみたいだな
「ううぅ~手が痛いよ~なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ!」
なんかツクヨミがぶつぶつ言っているが速く投げ返して欲しい
「おい、ツクヨミ速く投げ返せよ」
「やってやるわよ! これでも喰らえ必殺ナックルボール」
ツクヨミから放たれたボールは特に落ちる事も無く普通のストレートだった。
「私カミキさんとペアでよかったわ」
「そう言ってもらえると助かりますが、私としては何だか居た堪れないですね」
「ツクヨミ……これが本当のナックルボールだ」
「だめぇぇぇ」
ツクヨミは悲鳴を上げるがやっぱり、変化球にもしっかり対応してちゃんと捕っている。
「はい、アクアもツクヨミもそこまでですよ。もう遅くなりますのでそろそろ帰りましょう」
カミキさんがそういうので、周りを見渡すと日が落ち始めており、気が付けば夕方になっていた。
「帰る! 私お家帰る。カミキさん送ってって」
「私も帰るわ。アクアじゃあねー」
「ああ、有馬はまた今度な……絶対逃がさねーからな」
ツクヨミの制裁済んだけど……お前はまだだしな!
「ひぃカミキさんアクアが私の事苛めるよー」
「はぁ~アクアちょっとやり過ぎですよ?」
「でも、カミキさん? 俺は謂れのない事で二人から女たらしと言われているんですよ!」
「……アクア? 私の考え的にはセーフですが、世間一般では女たらしと言われてもしょうがないと思いますが……」
「いや、あれはカミキさんの真似をしただけで……」
「私は『女たらし』ですよ? そんな人の真似をすればそれは『女たらし』と言われてもしょうがないかと……」
そりゃそうだ。
「まぁ、アクアに悪い影響を与えてしまったのは私の落ち度ですが、今後はどうするんですか? そう言った事に関しては私がとやかく言う資格は全くありませんが、黒川あかねさんはとても一途な方に見られますので、何というか、その、優柔不断な態度だけは取らない方が良いですよ。なんなら振るか認めさせるかしないと恐ろしい事になりますので、気を付けてくださいね」
いや、そんなことにはならないだろう。
「そうよ。黒川あかねなんて、アクアにはもったいないから振った方が良いわよ! それに今は仕事があるみたいだけど、収入だけでみたら私の方が良いしね。……でカミキさん役者の仕事はどうなってますか? モデルの仕事を回して貰えてるので収入が馬鹿みたいに上がったのは嬉しいですけど!」
「ええ、その件に関してはとあるアニメの実写化でオファーがあるのですが……」
「ふーん、どんな内容なの?」
カミキさんにしては口をもごもごさせて言いにくそうにしていた。
「とある眼鏡の少年が金髪美女の吸血鬼を17分割にしてしまうところから始まる。何と言いますか、中二病みたいなアニメですね。最近では格闘ゲームにもなっていたりと大人気なんですが……」
なんかどこかで聞いたことがあるような設定だな。
「へぇーでどんな役を当てられてる訳なの?」
「主人公の妹の屋敷のメイドさんの双子の姉ですね。ちなみに私はその妹役です。あとヒロインはこの前事務所に入った片寄ゆらさんでね」
「え、新人がメインヒロインなの!?」
「ええ、彼女は追い詰めれば追い詰める程面白いのでごり押ししました」
「ううん? まあそれは良いけれど何時から撮影になるの?」
「一週間後ですね。先方もキャストが中々決まらずに私の方に泣き付かれてしまいましてね。どうします? 断りますか?」
「ふん、中々の役者泣かせの現場ね! 燃えて来たわ」
「そう言ってもらえると助かります」
とりあえず役者としての仕事が出来て良かったな。
しかし、何故カミキさんはあんなに言いづらそうにしていたんだ?
「カミキさんさっき言っていたアニメのオファーですが何か問題があるんですか?」
「……ここだけの話にしてくださいね。元々はPCゲームなんですが、成人指定の物なんですよ。今回は全年齢対象なんで、そういったものは一切ありませんが中々難しいですね」
そういうと力なく笑うカミキさん
カミキさん達が出演した実写化アニメは再来週からのスタートらしく現場は『今日あま』より厳しそうだった。