俺とあかねはカミキさんの事務所に辿り着いた。
当然連絡なんてしていない訳だが、果たしてカミキさんは迎え入れてくれるだろうか?
恐る恐るインターホンを押した。
「すみません。アクアですけど入って良いですか?」
「女泣かせはお帰りください」
にべもなく切られてしまった。
「アクア君……女泣かせってどういうこと?」
「いや、俺に心当たりは無いんだが……」
「じゃあ、今度は私が押してみるね」
あかねはそういうとインターホンを押した。
「すみません。黒川あかねですけど、カミキさんいますか?」
「寝取り女はお帰りくださ「どうぞ開いてるので入ってください」カミキ良いの!?」
何だろう途轍もなく嫌な予感がする。
「……アクア君開いてるって言うから入ろうよ」
とは言ってもあかねも寝取り女と言われてダメージを受けていた。
「あ、ああ」
俺はそう返事をするのがやっとだった。
「アクアのばーか! マジさいあく死んじゃえ!」
中では有馬かなが号泣しながら、やけ食いを行い俺の悪口を永遠と言っていた。
そして、女性陣の中にはルビーとアイもおり、アイは居た堪れない様子でこちら見ており、ルビーに関しては親の仇を見るような目で俺を見ていた。
ハッキリ言うと凄い気まずい
何なら隣にいるあかねはもう泣きだしそうだ。
「まず、俺が女泣かせってどういうことだよ!」
そうだ、まず俺が女泣かせなんてひどい誹謗中傷だろ!
「どうもこうも無いよね! かなちゃんアクアの事が好きだったのに態々最終話の『今ガチ』で、そこのぽっと出の寝取り女にキスした訳なんだから……あ~あママは悲しいなぁ~まさかアクアがこんなことするなんて……よよよ」
アイはそういうと泣き崩れてしまった。
「いや、確かにあかねにキスしたけどそれには訳があってだな」
「びぇぇぇぇん」
「ああ、かなちゃん! ヨシヨシ大丈夫だよ。アクアは私がちゃんと懲らしめるからね」
有馬の泣き声が一段回上がって、アイが背中をさすって慰めていた。
そうだ、こうなったらさっきから黙って聞いてるカミキさんも巻き込んでやる。
「……カミキさんはどうなんですか? だってカミキさんは愛人12人いるじゃないか! 俺だけ攻められるのはおかしくないか?」
「……そうですね確かにアクアの言いたい事は分かりますよ。何せアイさん以外に手を出してますからね。そんな人が目の前にいる訳ですから、やり玉にあげたくなるのは分かりますが……しかしそれを言って良いのはアイさん達だけですので、子供とはいえ、文句を言われる筋合いはありません」
正論かどうかは分からないが凄い説得力だ。
「うぐっ」
「まぁ、話を戻しますと、有馬さんとは実際に付き合っている訳ではありませんので、黒川さんとそう言った仲になるのはなんら問題はありません。なのでそこだけを見て責めるのはどうかと私は思います。しかし、有馬さんがアクアに好意を寄せているのを理解した上でやったのであれば、話は別ですよ」
カミキさんの目の色が変わった。
それは、この前みた氷の様に冷たい冷酷な目だ!
「……前にも言いましたが、結局の所振るか認めさせるしかありませんよ」
「振るのは分かるが認めさせるってなんだよ?」
そう、この前も言っていたが、振るのは分かるが……認めさせるってどういうことだ?
「人が人を好きになる感情はコントロール出来るものではありませんからね。そこはどんなに綺麗事を言っても理屈ではありません。なので、本命以外はきっぱり振った方が良いですよ。なにせ愛人を作ってしまえば序列が生まれてしまうのは仕方のない事ですので、しかし、私みたいな人間が居る以上一人だけでは収まらない場合があります。その場合は相手を納得させるしかありません。ま、何が言いたいかって言えば、優柔不断な態度は辞めろってことと責任を取れるのであれば愛人が何人いようが問題ないってことです」
無茶苦茶な事言い出したぞ
「で、黒川さんはアクアとどうなりたいですか? 本気で付き合いたいのか遊びの関係で良いのか……」
「わ、私は……」
「ああ、答えを出して欲しい訳じゃ無いので言わなくても大丈夫ですよ。有馬さんはどうしますか? アクアの事を諦めて別の良い男を探しますか? それとも遊びでも良いから付き合いたいですか?」
「……そんなん分からないよぅ。今アクアに関しての感情がぐちゃぐちゃだもん」
「良いんです。ゆっくり整理して答えを探してくださいね」
カミキさん……有馬に関してやたらと優しいな
「で、アクアはどうしたい? 1人に絞るのかはたまた2人取るかそれとも振るのか、遊びで付き合うのも本気でも良いけれど、選ぶのはアクアですよ」
俺は、一体どうすれば……
「はい、それでは後はアクア達の問題ですから、皆さんもアドバイスくらいは良いですが、干渉はしすぎないようにお願いします。 ……アクア私が出来るのはここまでですよボソ」
そういうとカミキさんは懐からタバコを取り出して、一本口に咥えた。
「あ、ヒカル君タバコなんて吸ってたんだ!」
アイが目ざとくそういうと他の女性陣もカミキさんに問い詰めるように群がった。
「ああ、これは禁煙草でヨモギタバコなんでニコチンは入って無くて体に良いんですよ。皆さん吸ってみます?」
「へぇーそんなんあるんだーカミキは何時から吸ってたの?」
単独ソロライブでドーム4回達成したカナンさんはカミキさんの背中に飛び乗り興味深々の様だ。
「そうですねぇ~私も色々とありましたので……かれこれ6年前から吸い始めましたよ」
「ふーん。ちなみに何時もは何処で吸ってるの?」
「ええ、屋上で吸ってますね。では……」
「私ちょっと興味があるかも……」
「高峰はそもそも苺の時から吸ってたでしょうが!」
「ちょちょっと! 私はもう吸って無いし、何ならカミキさんに注意されて辞めたからね!」
「……辞めた理由がキスしてもらえなくなるからでしょ」
「渡辺もそうじゃん!」
「私はむしろ吸われたいかな……」
「ニノ何抜け駆けしようとしてる訳!?」
「カミキさーん高峰が苛めるよー」
さっきまでの張りつめた空気が一瞬で無くなったが、どうしたものか……
そんな事を考えていたら、カミキさんがニノさんを抱き寄せて、この場でキスをし始めた。
「あーニノだけずるーい。ねね、私本妻なんだし……」
「勿論みなさん順番に行いますよ」
カミキさんがみんなを引き連れて居なくなった。
カミキさん達のキスを見ていた所為かあかねも有馬も顔を赤く染めてこちらを見ている。
「わ、私ちょっと出かけて来るねー」
そういうとルビーは事務所から去ってしまった。