俺は迷っていた。
ゴローの時は遊んでいた事はあっても正直二股はしたことは無いが、彼女が居なかった時期の方が短い……
今世はゴローではなく、アクアである訳で若さを持て余す事がある。
何せ推しであり、母でもあるアイなんだが……30歳とは思えぬ美貌があるのと隙だらけな部分があり、ふとした瞬間に目が引き寄せられる事は今も含めて何度かあった訳だし、ルビーも色々と成長期の為、どことは言えないが大きくなっている訳だし、母子家庭では無いけれど特殊な家庭故に俺も処理が出来ずに溜まってしまうのだ。
そんな訳で、有馬かなにしても黒川あかねにしても大変魅力的に映ってしまうのだ。
「「アクア(君)はどっちを選ぶの(よ)」」
この際二人同時に付き合って見るか……別段フラれた所でどうって事は無いし……
「じゃあ二人同時に付き合うか? 嫌なら二人とも付き合わないが」
「ぬぐぐぐ」
有馬は涙を絶えて必死に考えている。
「……これは浮気? でも、宣言されたら浮気じゃ無いし……かなちゃんが付いてくるなら、寧ろご褒美なんじゃ?」ブツブツ
あかねは色々とつぶやいているが、声が小さすぎて聞こえない
「わ、私はアクアと付き合えるならそれでも良いわよ! 黒川あかねがおまけでついてくるだけって考えれば良いんだし……」
やはり、思いっ切りが良い有馬が一番初めに声を上げた。
「わ、私だってアクア君と付き合えるならそれで良いもん!」
頬っぺたをプクプク膨らませて反論するあかねだが……
「あかね……お前は小学生見たいな怒り方するんだな」
「小学生って何!?」
「つまりお子ちゃまって事よ」
「むぅぅ有馬さんだって身長が低くて小学生みたいじゃないですか!」
「身長は関係ないでしょ! メンタル小学生!」
「外見小学生に言われたく無い!」
両者にらみ合ってるけど、争いごとは同レベルの人間でしか起こらない以上両方とも小学生だ。
「「アクア(君)はどう思うの(よ)!」」
「息ぴったり過ぎてどっちもどっちだな」
そんな時だった。
カミキさんがアイ達に両手両足を持たれて運ばれて戻って来た。
「な、何どうしたの一体!?」
そう声をかけるとアイ達は涙目でこっちを見ていた。
「ねぇアクア正直に答えて……ヒカル君がこの”ヨモギタバコ”なんだけど吸ってた所見たことある?」
アイは涙を堪えながら俺に言って来た。
それが何を意味するのか俺には理解できずに答えてしまった。
「ああ、以前車の中で吸っていたのとこの前おでん屋に連れてってもらった時に美味しそうに吸っていたけどそれがどうかしたのか?」
「そ、そんな事って……」
それだけ言うとアイは泣き崩れてしまった。
「……一体何がカミキさんにあったんだよ」
「……それはこれから分かるよ。ニノ!」
「うん、カミキ君ごめんね」
カナンさんがそういうとニノは持ってきたタオルでカミキさんの目を隠してしまった。
「……とりあえず放してくれませんか? 私は逃げませんよ」
そういうと、手足を持っていた高峯さんと渡辺さんはカミキさんを床に下ろした。
「カナン……これ」
メイさんがカナンさんに七味唐辛子を渡した。
「カミキ……上を向いて口を開けて」
「分かりました」
カミキさんはカナンの指示に従い口を開けた。
カナンさんはカミキさんの口に大量の七味唐辛子を注ぎいれた。
事情を知らない俺からはカミキさんの修羅場が発生したと思い心の中で合掌したけどおかしい……
カミキさんのリアクションが全くない
「ねえカミキ? 今何を口に入れられたか分かる?」
「……えーと、ゴマですか?」
カナンさんがカミキさんの目を隠しているタオルをはぎ取って入れたものを見せた。
「はぁーどうやらバレてしまったようですね」
観念したかのように答えたカミキさんは何時もと変わらず困った顔をしていた。
「……ねぇ何時からなの?」
「……正直に言いますと、中学2年の修学旅行の日からですよ。あの日宮崎でアイさんと会ってからですかね。それからというもの不定期で味覚が無くなることがありましたが、本格的に無くなったのは6年前位ですかね」
中学2年って事は15歳の時で、宮崎と言うとアイが妊娠中にカミキさんに会った事は少なくとも俺がゴローの時は無かった。つまり出産後に二人は会っていたという事か……
「……ねぇカミキ君にとって私は重荷だったの?」
「いえ、どうなんでしょう?……空っぽな私にはその重たさが逆に良かったのかもしれませんね。何せ何も考えなく済みますからね」
カミキさんはそういうと悲しそうな表情で答えた。
カミキさんあなたは一体何を背負っているんですか?