俺は一体何をやっているのだろうか……
ただ、言われるが儘に……指示された事を無感情でこなす。
そうでなければ心が壊れてしまいそうだ。
出来る事なら今すぐ俺は逃げたい! 逃げ出して、自分の部屋に閉じこもっていたい位だ。
「みなさーん! こんめむー! MEMちょだよー」
MEMちょはそういうとあざと可愛いポーズを取って視聴者サービスを行った。
『こんめむー』!
『こんめむー』!
『こんめむー』!
『こいつは挨拶代わりだ¥50000』
流石人気ユーチューバーだけあって、多数のコメントが一気に流れる。
中には挨拶代わりにスパチャをする奴もいるのだから凄いものだ。
ただし、その金額は挨拶代わりとしてはすっごい重いけど……
「わ~早速赤スパありがとう~今日は私の配信用のお部屋からお届けしています!」
しかし、MEMちょには【今ガチ】で借りがある訳だから、そんな不義理な事は出来無いし……
内心でため息をしながらも、表情には出さないように取り繕うが、嫌でも考えてしまう。
この日何で俺は風邪やインフルにも罹らなかったのだろうか……
もしも、病やあるいは怪我でもしていればそれを理由に出演の拒否は無理だけど、バーターは行けたかもしれない。
その場合はカミキさんを生贄にしてだが……あの人はそういった事もこなしていた訳だけど、抵抗は無かったのだろうか?
多分だが無いんだろうなぁ~
あったら、巫女服姿のままで、高速道路をバイクで移動はしないだろうし……ましてや実写アニメの撮影で女性キャラが多いとは言え、男性キャラも少なからずいるのに……何故かメイド女性の妹になっているし、それも完成度が極めて高くて、第1話を見たけどアレは知らなかったら、勘違いのレベルでは無く禁断の扉を開かせるレベルの物だった。
あまりのレベルだった為、エンドロール時に翡翠役カミキヒカル(男)って書かれていた。
「そ・し・て~みなさーんお待ちかねの特別ゲストを紹介しまーす。黒川あかねに番組終盤で一旦フラれたにも関わらず、最後にはキッチリと落とした”許された男”星野アクア君でーす」
覚悟を決め…決め……決めきれなかったから、結局諦めることにした。
「……今紹介に上がりました星野アクアです」
『な!? 誰だこいつ!!!』
『……男?』
『男なんだよな?』
『俺は許して……許してなんか……』
『めっちゃ葛藤してる兄貴がいて草』
『ところで男って何だっけ?』
コメント欄は凄まじい数の疑惑のコメントで溢れ返っていた。
あまりの疑惑振りに星野アクアは”男”では無くそもそもが”女”だった説が浮上する位だった。
いや、声は加工してないし、そもそも変えて無い地声そのままなんだから気づけよ!
何で”アクアは女でも良い!”や”女である事を許された男”とか言われているんだ!
そして、当初MEMちょがやろうとした企画はあまりのバズりっぷりに予定の半分も出来ずにいただけでなく、予定の時間も2時間オーバーしていた。
「アクたんが可愛すぎて予定の半分も企画が出来なかったー」
『こんなんアクたんが悪い!』
『アクたんが悪いな』
『アクたん悪い子』
『悪たん!』
『悪たん? ……良いな』
「悪たん! 悪たん」
涙目のMEMちょには悪いが、もうバズったし良いだろ?
俺はもう疲れたよ……
「悪たんに終始もってかれたー。おつめむ~」
『悪たんが強すぎたんや……おつめむ』
『そうだ! 悪たんが悪いんや! おつめむ』
『MEMちょは悪くない! おつめむ』
その後も色々とコメントを書かれていたが……恐らく明日の朝にはネットニュースになっているだろうな……
【今ガチ】の時もそうだったが、ネットニュースにする基準は一体何なんだ?
「いやーアクたんの……悪たんのおかげで同接もそうだけど、高評価にチャンネル登録者が一気に増えたよ~」
「それは良かったな」
「ねぇねぇアクたん……今回だけじゃなくて、今後もゲストで出てくれないかな?」
「いや、今回は借りを返しに来ただけだから、女装しただけだし……」
「……うーん。出来ればアクたんもとい悪たんとの繋がりは切りたくないんだよね」
いや、もう女装はやらない……絶対に!
「俺もそこまで暇じゃ無いし、第一MEMちょの事務所はどうなんだ?」
「私は確かに事務所にお世話になっているけど、その辺りはちゃんと上手くやっているから中身は個人事業主だよ。だからアクたんの事務所と契約出来るよ」
そういえばルビーがアイドルユニットを組みたいって言ってたし、メンバーもまだかなだけだから、誘って見るか……
「……今うちの事務所でアイドル募集中なんだがMEMちょはやるか? それなら暇な時は動画に出ても良いぞ」
「やる!!」
MEMちょの返事は即答だった。
アクアの女装はアイドルマスターシャイニーカラーズの西城樹里を想像してください