「アクア……お前スカウトマン目指しているのか? それともカミキみたいに誑し込んだのか? どちらにせよこの短期間で良く金の卵を連れて来れたな」
斎藤社長からは呆れた表情で突っ込まれた。
「う~ん、中学生まではそんな事無かったんだけどな~。やっぱりヒカル君の血の成せる業なのかな? 顔もそっくりな訳だし……一応確認だけど、アクアはまだ未経験だよね?」
アイからそんな事を言われるとは思いもしなかった。
「当然だ! 業界には長くいるけど、俺はまだ捨ててない!!!」
「ほら、ヒカル君はそーゆーの早かった訳だし、アクアだって……誘われたら”据え膳食わぬは男の恥”だから行くでしょ?」
そう言われると世の男性の大半はそうだけどさぁー
「……好きでもない女性を抱くほど俺は落ちぶれてないぞ」
「えっと、つまりアクアはヒカル君が落ちぶれているって言いたいの?」
やばいアイの目が一気に真っ黒になってしまった。
「そ・そうじゃなくて、カミキさんは例外としてと世間一般的にそういうのは推奨されてないだろ?」
「むむむ、アクアが何を言いたいかは分かるけど、ヒカル君の事は悪く言わないで欲しいなー」
「……気を付けます」
「アイもアクアも盛り上がっているところ悪いけど、話が続かないから静かにしていて頂戴」
ミヤコさんから注意をされてしまった。
「は~い」
「あ、ああ」
「それじゃあMEMさんちょっと幾つか質問があるのだけれど良いかしら?」
「あ、はい、どうぞ」
MEMも結構緊張してるみたいだけど大丈夫か?
「じゃあ、まず聞きたいのだけれどMEMさんの事務所は?」
「私は一応個人事業主として配信業やっていて、今はFARMって事務所でお世話になっていますが、所属じゃなくて業務提携って形を取っています。なので、自分で自由に仕事を取ってきて問題ない契約になっているので……」
「なるほど、その場合苺プロから貴女に『アイドル業務』を依頼するって形になるわね」
ミヤコさんも契約上は問題なさそうでほっとしていた。
「はぁ~ほんと移籍問題は勘弁して欲しいからな」
「その節はご迷惑を掛けました」
「俺に謝ってもしょうがないだろ? 俺はその件はノータッチなんだから、カミキには謝ったのか?」
「先日謝ったので大丈夫です」
「それなら問題ねーな」
ま~知らなかったとはいえ、斎藤社長もぼやきたくはなるよな
俺も前回の事は反省しているし、カミキさんには本当に悪い事しちゃったし……
「後は……苺プロはネットタレントも多いし、そのあたりの契約は問題ないし、渡りに船って感じだけれど……」
ミヤコさんのMEMを見る目つきが変わった。
「MEMさん……その顔だと、何か言わなければいけない事情がありそうね。」
ミヤコさんの言葉でMEMは汗を一滴流し、目を泳がせた。
「まぁ察しはつくけれどね。ズバリ年齢サバ読んでるのでしょう!?」
MEMの顔色が一気に悪くなった。
「分かりますか……」
「ええ、貴女大分骨格からして幼く見えるけど、私の目は誤魔化せないわよ」
MEMの答えに笑顔で答えるミヤコさんだけど、どうしてサバ読みが分かったのだろうか?
「……アイはサバ読んでいたの分かったか?」
「う~ん、私は相手の年齢とか全く気にしないからね~」
年齢どころか他人に興味が無いの間違いだけどな!
「大丈夫よ。個人でやってる子が年齢いくつか若く言うなんてよくある事よ。だから別に気にしないわ」
「本当ですか……? 良かったです……」
MEMもミヤコさんの言葉に安心したのか、ホット胸をなでおろした。
「で、本当はいくつなの?」
まーそれはそれとして、実際の年齢は気にはなる
「あの……その……」
MEMも女性だから年齢を言うのは恥ずかしいのかミヤコさんの耳元でひそひそと話した後、ミヤコさんの表情が固まった。
そして、次の瞬間
「ガッツリ盛ったわね!!」
「申し訳ございませんー!」
ミヤコさんが吠えてMEMが即座に謝った。
「公称18歳って事は……中々の肝の据わり具合ね……」
ミヤコさんは驚きながらも指を折って数えていたが……
「数えないでください!!」
即座にMEMからの訴えで数えるのは辞めたが、反対にいくつ盛ったのか興味が湧いてきた。
「で、実際はいくつ盛ったの? 3歳位?」
MEMは人差し指を合わせてもじもじし始めたが、覚悟を決めたのか……後ろを向いて頭を掻きつつ答えた。
「その倍」
え? 3の倍って事は……
「盛ったなお前!」
公称18歳だから……
「ってことは今24?」
「24……だったよ春ごろまでは」
「つまり25じゃねーかこの期に及んで悪あがきしようとすんな」
はぁ~MEMの化物メンタルには驚いてしまった。
「ねぇ年齢が25だからJKを名乗るのがおかしいなら私は31歳なんだけど?」
アイの表情が怖すぎて全く見れない
そんな時だった。
「有馬撮影から戻りました」
「おおー有馬お疲れー実写アニメの撮影はどうだ? 順調か?」
「順調も何も……とんでもないキャストが来てたんですよ!」
かなはすっごい興奮しながら、しゃべりだした。
「今3話目取ってるんだけど、遠野秋葉役の子が……不知火フリルだったのよ」
「おい! それはマジか!?」
斎藤社長の驚きもそうだけど、それに答えたのはカミキさんだった。
「本当ですよ。私もびっくりしました」
相変わらず困った顔をしつつもどこか嬉しそうな表情をしているカミキさんだった。
「カミキわざわざ有馬を送ってくれてありがとな」
「いえいえ、大した事ありませんよ。私も丁度ルビーにお願いがありましたのでね」
「うん? 私にお願いって何ですか?」
「ええ、実は……ゆらさん来てください」
「はーい。片寄ゆらですよろしくお願いします」
あ、カミキさんの事務所に新しく入ったマックの美少女か……
「ところでミキさん何故私はここに呼ばれたんでしょうか?」
「ええ、実は撮影も順調ですから、ゆらさんにはこの際アイドルにもなって貰おうと思いまして、それでルビーがアイドルユニットの人員を募集していたのを思い出したのでゆらさんもこの際入れれば面白いかなと思いました」
お、面白いって……
「あの、ミキさん? 私撮影でいっぱいいっぱいなんですけど?」
「そうは言ってもゆらさん台本は全部覚えてるんですよね?」
「それはそうですけど……ほら、演技は一朝一夕では出来ないじゃないですか~今日だってかなちゃんやミキさんに助けて貰ったりした訳だし……」
「演技指導ぐらい大した事ありませんよ。と言うか、意外とゆらさんはアルクにドハマリしてますので寧ろやらかした方が良いですよ?」
「そんな事言われても~」
根が真面目な何だろうけど、それにしてもゆらさんの仕草はやたらと可愛らしく見える
「うーんゆらさんっておいくつですか?」
ルビーがそう尋ねるとゆらさんは若干言いづらそうに答えた。
「……私は23歳だよ?」
「……仲間かと思ったのにぃ~」
23歳も25歳も社会に出れば変わらんだろう