カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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日々の食事メニューを考える事が楽しすぎて、アイの事をすっかり忘れているカミキヒカル


第7話

 最近何かを忘れているような気がする?

 うーん、ガスは家を出る時に確認したし、ドアに鍵もちゃんとかけてるし……学校の宿題も忘れていなければ、仕事のスケジュールだって手帳で毎日確認してるから問題は無いし……あ、しまった! カナンに今日の晩御飯何が食べたいか聞き忘れた。

 ま、メールでも送って置けば良いだろう。

 

『今日の晩御飯は何か食べたい物はありますか』っと送信

 

 するとすぐにカナンから返信が返って来た。

 

『何でも良いよ!』

 

 夕食を作る方を悩ませる最強最悪の返信が返って来た。

 うーん、困った。

 最近は脂っこい物ばかり作っている気がする……

 一応サラダも作ってはいるものの、バランスはあまり良く無いかも知れない……

 上原パイセンや愛梨パイセンは基本外食派だから作らないけど、栄養バランスはちゃんと取れている。

 基本愛梨パイセンが札束でぶん殴る食生活をしているから、大輝君ものびのびとしているけれど……そんな大輝君が心配だ。

 ちゃんとブロッコリーやピーマンなんか好き嫌いせずに食べているだろうか?

 俺はねばねばしたものや餅なんかは嫌いだから食わないけど…… 

 とりあえず、学校が終わったら劇団に顔出して、その後はスーパーに行くとしよう!

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「初めまして『B小町のアイ』で~す♡よろしくお願いしま~す♡」

 

 目に星のカラコンみたいなのを入れてる痛い女性がやって来た。

 なーんか見た事があるんだけど……何だっけ?

 

「カミキ……お前年齢が近いからアイちゃんの面倒を見てやれ」

 

 上原パイセンは当然の様に言ってくるけど俺は忙しいのだ!

 

「上原パイセン! 俺この後夕食のメニュー考えないといけないんですけど?」

「ああ、それなら鮭のバター焼きがおすすめだし、作り方も簡単だぞ」

 

 ……今日の夕食が決まってしまった。俺が今の今まで悩んでいたのは一体何だったのだろうか?

 

「ヒカル! ちゃんと野菜も食べなきゃだめよ!」

 

 愛梨パイセンはそう言うと紙パックの野菜ジュースを大量に持って来た。

 食べなきゃとは言っといて、飲み物を渡すのが愛梨パイセンらしい

 

「あの愛梨パイセン? この量は一体?」

「……野菜ジュースのCMに出たら大量に渡されたのよ」

 

 そんな事ってあるのか?

 

「あの~演技指導始めて貰って良いかな?」

「……分かりました。えっとなんて名前でしたっけ?」

「私は『B小町』のアイです。君は?」

「私はカミキヒカルです。よろしくお願いします」

 

 なるほど目が特徴的だからアイって言うのね

 

 ま、演技指導って言っても特段大した事はしない

 極端な事を言えば、恥ずかしがらずに感情を出せれば問題は無いのだから……

 その点はアイドルだからか凄い堂々としており、寧ろ私を見てと叫んでいるぐらいだった。

 多分アイドルとしては正解なんだろうけど、役者としては主役なら問題は無いだろうけど……それ以外だと使えたものじゃないな

 

 

 

 

 

 

 

「って事があったんですよ。カナンはどう思いますか?」

 

 夕食の鮭のバター焼きを食べながらカナンに尋ねると、カナンはニヤニヤしながら答えた。

 

「へぇーそうなんだ。ねぇじゃあ私なら役者としてはどうかな? アイに勝てる?」

「うーん、主役争いをするのであれば、現状勝ち目はありませんね。……恐らく愛梨パイセンでも無理ですし、私でも勝ち目は無いでしょう……」

「うっそ!? あの大女優の愛梨さんでも!?」

 

 カナンは凄く驚いていたが、あの目立ちたがり屋に勝てる人間は恐らくいない。

 しかし、映画やドラマってのはたった一人の役者が作るものじゃないから、一人が目立ったところで意味はない

 

「目を惹くと言う意味合いならまず無理ですね。しかし、言ってしまえばそれだけです。演技力は練習すれば良いですが、あの協調性の無さでは話題や収益は見込めると思いますが……賞は絶対に取れないですね」

「あ、カミキがそこまで言うならきっとそうなんだね。……ちなみにアイドルとしてはどう思う?」

 

 アイドルとしてかぁー

 

「『元アイドル』のカナンさんの目の前で言うのは、気が引けますが……」

「良いよ! この際遠慮せずに答えて」

 

 了承を得た事だし……ま、いっかぁ~

 

「前提として、私自身アイドルに興味が無いので、全く分かりませんが……身も知らない不特定多数の人達に好かれるのって怖く無いですか? 私もモデルの仕事で稼いでますが、それは単に儲かるからやっている訳で、好きでやっている訳では無いんです。カナンさんはどうでしたか?」

「私は……あの家から出たかったからアイドルをやっていたけど、別に好きって訳じゃなかったわ。だから、……アイみたいに何かあればアイドル辞めるって言いだせる神経がムカついたのよね」

 

 確かに……アイにとっては八つ当たりに近いものだと思うが、地獄の様な環境から抜け出そうと必死になってやっている人からすれば、アイのやっていた事は質が悪い事この上ないものだ。

 

「その癖、評価をされるのはアイだけで他のメンバーはおまけ扱いでしかも給料も少なかったしね。……私は他のメンバーと違ってアイを神聖視なんてしないし、何より()()()()()()()()()()()()

「ま、今は明確に収入で勝っている訳ですから良いんじゃないですか?」

「……そうね。確かに今収入では余裕で勝ってるけど、それはカミキのおかげだし……そうだ良い事思い付いた」

 

 何だろう嫌な予感がするんだが……

 

()()()()()()として私とアイドルやらない? きっと人気出るわよ」 

 

 いや、女装してモデルも男の時よりもギャラが良いからたまにやっているけど……アイドルとしても活動するの?

 人気が出たとしても……それって男相手だから気が乗らないし、役者の仕事もこなしている訳だから忙しいんだけど……

 

「ねぇ良いでしょ?」

 

 目をキラキラさせて頼んでくるカナンのお願いを断るのは難しかった。

 

 

 

 

   

 

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