カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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アクア視点に戻ります


第37話

 JIFも終わった。

 ルビー達の『2代目B小町』もアイ達の『初代B小町』とても良かったし、どちらも俺は楽しめた。

 ルビー達の『2代目B小町』もこの先何度もライブを経験していけば、アイ達『初代B小町』を超える事は出来ると確信できたが……

 

 カミキさんとカナンさんのあの選曲は正直ズルいと思った。

 確かにアイ達『初代B小町』の後でもう解散ムードが漂っていた中じゃあ……普通にアイドルソングなんて歌っても誰も聞いてくれないし、寧ろ耳を汚されたと思われる可能性があった。

 だからって、一発目でしんみりした曲を流して観客の心を掴みに行って、2曲目でそれまでの空気をぶっ壊すロックンロールみたいな事をやって、最後にオーディエンスの要望に応えてアイドルソングも歌った。

 こんな型破りな事、良くやったなとしか言いようがない

 

 そんな事を考えていたら、ハイエースのドアが開けられた。

 

「あ、お兄ちゃん来てたんだ」

「『2代目B小町』の初ライブなんだ。来ない訳が無いだろう?」

「……お兄ちゃんがデレてる!」

「デレてねぇよ!」

「……ところでどうだった私達のステージ」

 

 かなの言わんとしている事は分かる。

 確かに『2代目B小町』よりも『初代B小町』の方が反応はずば抜けていた。

 だが、それは明確に劣っているって訳ではない

 

「いや、かな達も正直かなり良かったぞ。比較対象が『初代B小町』やカミキさんとカナンさんのコンビになっちゃうが……それでも良い線いっていたと思うぞ」

 

 『初代B小町』はカミキさんの手で鍛えられた部分が大きく、あのドーム公演だってカミキさんが替え玉で行ったとは言え、それでも皆が皆高い実力を誇っていたからこそドーム満員に出来た訳だ。

 

「ねぇアクア君……私の『アイ』の演技なんだけどどうだった?」

「そうだな……俺にはちゃんとアイに見えていたけど……あえて言えば、歌唱力は要練習だな」

「そっか……うん、私頑張るよ!」

 

 あかねも何かしら目標が出来たようだからまだまだ伸びるだろうし、MEMちょも全体的にはバランスが高いし、無理に背伸びする必要はない

 そんな中でも際立ったのが、片寄ゆらだ。

 彼女の学習能力は……元々高かったが、まさかここまでとは思いもしなかった。

 見られてる事に対しての見せ方をライブ中に学習したのか……一気に大化けした。

 その所為か2曲目に歌った『サインはB』の時には彼女の瞳に星が浮かんでいた。

 ライブの疲れもあったので、今は車内でスヤスヤと可愛らしく寝ている。

 反対にルビーは鼻提灯を膨らませて、おまけにいびきも掻いて寝ていた。

 

「我が妹ながら、アイドルなのに女を捨ててる気がする」

 

 

 

 <後日>

 

「アクア君今日はデートしよう! ほら私ライブ頑張ったし、彼女にご褒美を与えるのは彼氏の役じゃない?」

 

 あ、そういえば付き合っていたんだった。

 思い返せば『JIF』に出る為に頑張っていたからデートなんて全くしてなかったし、まぁー頑張った彼女を労うのは彼氏の役目だろう

 

「そうだな、頑張った彼女にご褒美を与えるのは彼氏の務めだしな良いぞ」

 

 俺がそう返事を返すと、あかねははにかみながらも嬉しそうに答えた。

 

「良かったーじゃあ早速……」 

「ねぇなんで私をのけ者にするかな?」

 

 かながドアを勢いよく開けて事務所に入って来た。

 しかも第一声から怒っているし……

 

「あれ? かなちゃん今日はモデルの仕事なんじゃ……」

「そんなのとっくに終わらせたわよ! それにアクアもさぁー私も彼女なんだから私の事も労いなさいよ!」

「分かった。じゃあ二人とも一緒にデートするから支度しろよ」

「「ぬぐぐぐ」」

「喧嘩するならデートは無しだぞ」

「わ、私はかなちゃんが一緒でも良いよ」

「わ、私だってあかねが一緒でも良いわよ」

 

 こうして2人の美少女を伴って、デートを行った。

 

 

「……で、この画像をインスタに挙げるのは別に良いわよ? でもね、リアルタイムの投稿は止めなさい。こういう投稿から悪質なファンに追いかけられてストーカー被害に遇う事もあるの……だから外での写真は全て予約投稿が基本よ!」

 

 今かなが言っているのは俺とあかねがクレープを食べてる画像の件だ。

 

「……中々詳しいんだな」

「当然じゃない! なんたって子役の時から芸能界に居るんですもの……スキャンダルにはならない様に注意して生きてるのよ」

「ハイ……スミマセンデシタ」

「それにしても……アクアがクマのクレープ食べるだけで、アクアがテディーアクアを食べてるってネタにされるんでしょうね」

「おい、やめろ! まだ俺は許されてないのかよ」

 

 俺の意見に対してあかねとかなはそっと目を逸らした。

 

「そ、そういえば私劇団ララライから役者の仕事頼まれたんだよね!」

「えーと、『東京ブレイド』の話? 私もアクアも鏑木Pから頼まれたわよ?」

「……ちなみにカミキさんは?」

「ああ、もちろん出るけど……ゆらさんも一緒で今回は2人とも脇役だって話よ」

「そ、そっかぁ~私は『鞘姫』役でオファー来てて、アクア君が『刀鬼』役で二人は恋人役だね! これは絶対にキャスティングした人狙ってるよね!」

「……今からでも『鞘姫』役私に譲るか、ゆらさんに渡しなさい」

「絶対やだ! かなちゃんは大人しく相棒の『つるぎ』役やってれば?」

 

 全く何かと二人は張り合うけど……過去に何かあったのか?

 

「あ、すいませーんお会計お願いします」

 

 とりあえず、これ以上はお店に迷惑だから二人を外に連れ出した。




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