カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第38話

「星野さぁ~役者やってんだろ?」

「本業はモデルなんだけどな……それがどうかしたか?」

「いや、なんで一般科にいんのかって正直な所疑問なんだよなぁー」

 

 そんな大層な理由がある訳じゃ無いが……

 

「俺自身今は役者やモデルもやってるけど、将来の事を考えると色々と選択肢は増やしたいんだよ」

「そうなんだぁ~」

「それに普通にバイトして稼ぐよりも役者やモデルの方が稼げるしな」

「へぇーそれは羨ましいなぁ~そういえば今度は『東ブレ』の劇に出るんだろ?」

「……詳しいな」

「ああ、実は俺カミキさんのファンなんだよな。なぁ~星野ぉ~頼むからサイン貰ってくれないか?」

 

 まさかのカミキさんのファンかよ!

 いや、下手にあかねやかなのファンじゃなくて良かったけど……

 父親のファンって……居た堪れないな

 

「あ~今日こっちに迎えに来てくれるから自分で頼め」

「マジかよ!!!」

 

 放課後になったから、校門に男子生徒を伴って行くとカラスにやたらと懐かれているカミキさんが居た。

 

「あの~カミキさん? それどうしたんですか?」

 

 カミキさんの両肩と頭に3羽のカラスが陣取っていてこちらを凝視していた。

 

「いや、それがどういう訳か懐かれちゃったみたいで……」

 

 カミキさんは何時もの困り顔でため息を吐いていたが、両肩のカラスはそんなカミキさんを慰めるように頬をすり寄せており、頭に乗っているカラスは羽でカミキさんの頭を覆うようにしていた。

 

「カラスって人に懐くんだな……」

「私に聞かれても……ところでそこの男子生徒は?」

「ああ、カミキさんのファンだってよ」

「す、すみません。カミキヒカルさんですよね? サインください」

 

 そういうとサイン色紙とマッキーを差し出した。

 ……準備が良いな

 

「え!? ああ、私ので良ければいくらでも……」

 

 カミキさんはそういうとささっと色紙に自身の名前だけでなくデフォルメされた翡翠も書いてあげていた。

 

「わぁー本当にありがとうございます。これ家宝にします!!」

「そこまで喜んで頂けたら書いた甲斐がありました」

 

 奴はそういうと喜色満面の笑顔で帰って行った。

 

「それにしても、まさか私に男性のファンが居るとは……」

「カミキさんはどちらかと言うと羨ましい立場にいますもんね。女性が居なかった事ってありましたか?」

「……いえ、都合の良い知り合いが多くいますので、そう言った事で困ったことはありませんね」

 

 女たらしの名は伊達ではなかった。

 

「あの、とりあえず車の中で待ってて良いですか?」

「あ、じゃあ開けますね」

 

 カミキさんがそういってハイエースを開けると中にはゆらさんとアイとルビーがいるのは分かるが……何故不知火と寿もいるのだろうか?

 

「カミキさん?」

「……言わないでください」

 

 だから、外に出て待っていたのか!

 

 

 

 

 

 流石にスタッフの顔合わせとはいえ、不知火と寿を連れて行くわけにもいかない為、車で両方の自宅まで送り届けてから、苺プロによってアイとルビーも下ろしてから劇団ララライに向かった。

 

 カミキさんは入口で俺達を降ろすと車を止めに走り去って行った。

 ま、しばらくすれば戻ってくるだろう

 

「ねえアクア~私『劇団ララライ』って硬派なイメージだったけれど……よくもまぁ2.5受けたわよね」

「カミキさん曰く劇団は常に金欠だから……って言ってたぞ」

「……世知辛い理由ね」

 

 なんだかんだ言っても世の中金だからな

 

「何をするにしてもお金は重要だよ! それにお金を使ってお金を得るのは商売の基本だしね」

 

 ゆらさんは一体どんな人生を歩んで来たんだ?

 

「お待たせしました」

 

 そうこうしていたら、カミキさんも戻って来た。

 

「えーっと待ち合わせ場所はBスタジオですね。皆さんこっちですよ!」

 

 カミキさん古巣の為か迷わず進みだしたので、俺達もカミキさんの後を歩き出した。

 

「そういえば……劇団ララライって一流の役者しか居ないって聞いてたんですけどカミキさんその辺りはどうなんですか?」

「……そうなんですか?」

「「「え?」」」

 

 カミキさんの反応からするになんか違う気がするけど……

 

「うーん、私が所属していた時の劇団ララライはそんな大層なもんじゃなかった気がしますけど……」

「じゃあ、どんな感じなんですか?」

「……私が居た時は性に奔放な方が多くおりましたからね。その方たちも下手って訳では無いですけれど、特段びっくりするほど上手い訳でもありませんでしたし……ま、愛梨先輩は別ですけれどね」

 

 実際はヤリサーだったのか?

 

「まぁ芸の肥やしでやられる方や愛の無いセックスで楽しまれてる方も多くおりましたからね」

 

 ララライの闇を感じさせる証言だった。

 そんな事を考えていたら前方に見知った顔の奴が居た。

 そいつはカミキさんを見ると大股で近寄り、腰を90度に曲げてお辞儀をした。

 

「カミキさんお久しぶりです!」

「あ、メルト君お久しぶりです。元気でしたか?」

「ハイ! 元気です。カミキさんはどうですか?」

「私も勿論元気ですよ。メルト君も『東ブレ』出演なんですか?」

「そうなんです今回俺は『キザミ』役を務めさせていただきます」

「へぇーところで……アクアと有馬さんはなんでメルト君の事を警戒しているんですか?」

 

 いや、なんでってそりゃあ……

 

「……まさかロクに演技出来ない奴が居て『今日あま』の悪夢が再びと思ってませんか?」

 

 カミキさんに図星を刺されてしまった。

 

「…………ハイ」

「…………思ってました」

「全く二人とも……再度言いますが、アレはメルト君に落ち度はありませんよ。あえて言うなら監督や鏑木が悪いんです! 何故なら初心者であるメルト君の演技でOK出したのは彼らなんですからね」

 

 カミキさんはメルトをかばうようにして告げた。

 

「……俺も『今日あま』から9か月……足りなくはあるけれど勉強してきました。だから前よりはいくらかマシにはなってると思うけど、駄目だったら遠慮くなく言って欲しい」

「大丈夫です。今回は私もついてますので、遠慮せずやりましょうね」

「ミキさーん私もお願いしますね」

「勿論ですよ」

 

 カミキさんはそういうと二人の頭を撫で始めた。

 

「……メルトの奴変わったな」

「……カミキさんに対しての態度が凄いわね」

 

 

 そんなこんなあり、Bスタジオに到着すると何人も人が居た。

 

『キザミ』役を務めさせていただきますソニックステージ所属鳴島メルトです。よろしくお願いします」

 

 入ってすぐにメルトが挨拶とお辞儀を行った。

 やっぱこいつ変わったな

 俺もかなもメルトに続いて挨拶を行う

 

「つるぎ役を務めさせていただきます『苺プロ』所属有馬です」

「おなじく『苺プロ』所属星野アクア 刀鬼役を務めさせていただきます」

「『カミキプロ』所属のカミキヒカルです」

 

 カミキさんがそう挨拶したときだった髭面の男性がこっちに向かって来た。

 

「おなじく「ちょっと待て」へ? 私ですか?」

「違う! お前カミキヒカルだよな?」

「そうですけど……金田一さん? もしや私の事忘れてました?」

「お前みたいなやつ忘れる訳ないだろうが!? ……もしや主役級のやるのか?」

「脇役ですけど何か?」

「何でだよ!?」

「鏑木さんからオファーがありましたので、うちの片寄ゆらの経験になればと思いましたが……何か問題でも?」

「じゃあこの子が主役級のやるのか?」

「いえ、脇役です」

「だから何でだよ!?」

「だって決まってますよね主役級って?」 

「そうだけど! ……全くお前は変わらねーな!」

「まぁ金田一さんもお変わりないようで安心しました」

 

 カミキさんはにこやかに対応しているがこの金田一っておっさんとは一体どういう関係なんだろうか?

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