「うわ! めっちゃ可愛い子がいるし」
「どれどれ、ってマジかよ!? あんなレベル存在するのか!?」
周りの一般客が湧きたつ
流し目一つで、生唾を飲み込む音さえも聞こえてくる。
分かってるよ。
艶やかなこの唇に2度見しちゃうこの躰、淫らな視線が絡みつく……
「うっわーすっごい美少女!」
「親の顔見てみたいな」
「絶対美人だろうな……」
周りの視線を独り占め!
いやー気分は最高だよ!!
「そういえば私……ヒカル君の劇を見るの初めてなんだよね~」
全部アイに持ってかれてるけど……
改めてアイを見て思う
やっぱり、2児の母親とは思えない程可愛い!
あ~ママのおっぱいでバブりたいし、オギャリたい!
「私も初めてだから何だか緊張しちゃうよ」
アイはそういうとソワソワと落ち着かない様子を見せてキョロキョロしている。
「アイさん……みっともないから落ち着いてください」
「アハハごめんねミヤコさん」
ミヤコさんに注意されたけど、それでもはしゃぐ様子を隠せてないアイにため息を吐いてしまうミヤコさんだった。
「まぁーミヤコさん……アイがカミキさんの事ではしゃぐのは今に始まったことじゃないですから……」
「だから自重して欲しいのよ」
そんな時だった。
「あら、アイさんお久しぶりですね」
「あ、千佳ちゃん! なんでここに居るの?」
「私はヒカルに頼まれてね! 私のファンの方でこう言った劇を見て評価を下す仕事をする人がおりまして、是非一人一人厳正に評価して貰いたいって……あのヒカルが私にお願いしたんですよ!? もぉー私嬉しくて嬉しくてつい世界最高峰の5人の評論家呼んじゃいましたわ!」
え!? この人今なんて言った?
せ、世界最高峰の五人の評論家!?
カミキさんもそこまでの人間は想定してないよ!?
「わ、私は今の何も聞いて無いわよ!」
「へぇーなんか凄いんだね!」
ミヤコさんは事の重大さに気が付いたようだけど、アイはなんか面白い事になりそうだ位しか考えていなさそうだ。
「……アレこれってもしかしてかなりヤバいんじゃ?」
私の声が姫野さんに届いたのか首を傾げて答えた。
「え? 何でですか? だってこんなチャンスはありませんよ? この人たちに評価されるって事は未来が約束されたも同然ですよ?」
それは天国か地獄かの話なんじゃないかな?
私は純粋にお兄ちゃんの活躍を見るのを楽しみにしていたし、この為だけに『東ブレ』の予習もちゃんとしたけど……
まさかこんな事になるなんて……劇団ララライがこの世からララライするかもしれない生き証人になってしまった。
だ、大丈夫だよね。
劇団ララライは一流の役者しか居ないって話聞いてるから問題ないよね。
私の心配を他所にブザーが鳴り響き舞台が始まったが、私はブザーの音で口から心臓が飛び出そうになった。
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【『東京ブレイド』の物語は主人公が一振りの太刀を手にするところから始まる】
「なんだこれ 光って……」
姫川さん扮する『ブレイド』が太刀? 刀? を手にすると、駆け寄って来たかなちゃん扮する『つるぎ』が来た。
「ウチは剣主の一人『つるぎ』様だ!」
つるぎはそう言うと手に持っていた刀をブレイドに向ける。
「その『盟刀』を捨てて逃げるか私と戦うか選びな!」
【極東に集った21本の刀……『盟刀』は持ち主に様々な力を与える】
つるぎがブレイドに切りかかるも、それをブレイドは意図も容易く打ち破った。
「やめてけれ! おらまだ死にたくねぇだ!!」
そのブレイドの強さにつるぎは泣きながら命乞いをしているんだけど……
だめだ! 話が全然頭に入って来ない!
普段だったら、あのかなちゃんのシーンでご飯3杯食べれる程笑えていたかもしれないけれど……ガチなんだよね。
「なら、俺の方が強いと認めるか?」
「認めるだぁ! 屈服する! アンタの方が強いだぁ!」
【そして全ての『盟刀』が最強と認めた者には国家を手にする程の力……『國盗り』の力がもたらされるという】
そうだね。今ここに世界最高峰の5人の評論家が居るみたいだから、このまま無事に終われば役者としては一生安泰なんじゃないかな?
「この日本を盗めるほどの力ね……良いじゃん。王様になって見たかったんだよね俺」
刀を……太刀だっけ? 構えて不敵な笑みを浮かべていたブレイドが宣言する。
「俺が最強になって、この國の王になる!」
背景の映像もドゥーンっと表示されているけど……ワン〇-スかな?
【以上が『東京ブレイド』の骨格となる設定だ】
「アンタが王様になった際にゃ私を大臣にしてくれりゃ良い! したらこの『つるぎ』が王道を切り開いてやるさ!」
うん!本当に切り開かないと全員お陀仏になるからね
【決闘で敗れたものは命を奪われる事もあるが、そのまま配下に加わるパターンも多い】
それにしてもこのナレーション良い声しているんだけど一体誰がやっているのかな?
なーんか聞いた事ある声なんだよね。
「はぁぁぁひかるきゅんの声だぁ♡」
アイからくぐもった声が聞こえたけど……確かに今ひかるきゅんのって言った!
え! ナレーションもカミキさん出来るの?
本当に何でもこなせるなぁ~
そんな事を考えていたら場面が変わり私は驚いた。
「クソ…アンタら強ェな……」
配役自体は事前に聞いていたから分かるし……
おまけに手元にパンフレットと原作の絵も記載されているから見間違う事は無い……ハズだったのに……
「なぁ俺も仲間にしてくれよ! お前が王になった時は俺のポジションは将軍な!」
私の目には鳴島メルトが演じる『キザミ』では無く、『東京ブレイド』のキザミがそこに居た。
【次々と敵を破り仲間を増やしていくブレイド一行】
カミキさんが喋る度にアイの口元がニヨニヨしている。
声だけでアイを幸せにするってすっごいレベルだ!
【だが、徒党を組んで行動する者達は彼らだけではない】
第2幕にしてようやくお兄ちゃん扮する『刀鬼』とあかねちゃん扮する『鞘姫』と鴨志田って人の『匁』が登場した。
【新宿を拠点とするブレイド達新宿クラスタと渋谷区を拠点とし徒党を組んだ渋谷クラスタの対立が第2幕】
そして、鴨志田って人の『匁』と『キザミ』が向かい合う場面に切り替わった。
「どうしても戦わなきゃだめなんですか? 親から無理矢理剣を与えられ、こんな戦いに巻き込まれて、僕は戦いたくない……」
あ、終わったかも……
それが私の率直な意見だった。